スパイと君と私   作:M@si

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スパイの女の子と男の子とその他とりまくスパイの話です。色々描いていくのでよろしくお願いいたします。
ちょこちょこ短く書いていくつもりですので、コメント等良ければ、よろしくお願いいたします。


露都モスクワ編1

露都モスクワ、極寒の市街地に二人、異分子がいた。

「おいエヴァ、これはどういうことだよ。」

「君、やっとこの言葉が出てくるって遅くない?なんなの不幸慣れしてるの?キモッ。」

「おい、最後のいらないだろ。でもどういうことだよ…なんでイギリス行きの旅客機から、こんな寒いところに…」

 

俺の名前は光山怜音。まあそこら辺にいる、一般的な優等生的な高校生だ、今の異常としか言い様のない状況に反して。

こいつはエヴァ、これ以上の個人情報はこれといっては知らない。ただひとつ、こいつがMI6のスパイということを除いては。何故一般人がこのような歩く地雷原のようなきな臭い人種と歩いているかと言うと少し前に遡る。

 

「レディース&ジェントルメン、ウェールズ航空へようこそ。こちらは東京発、ロンドン行きの便となります。皆様とこのフライトを楽しめることを嬉しく思います。」

英語の和訳のような少しかしこまった日本語が機内に流れる。俺はイギリスでのホームステイのため、人生発のフライトへと挑んでいた。

「大丈夫、大丈夫、そんなに墜落しないって。」

随員の先生が適当な慰めを言う。どうせならそんなにとか言わないで欲しい。

「えーと、この席だね。窓側がいい?通路側?」

「通路側でお願いします。」

座席に座ると安全確認。日本という狭い国に住んでいるとどうしても新幹線で済むこともあり、今日が初めてのフライトだった。

席について少し荷物を広げて落ち着く。そんな時に通路を挟んで向かいの右隣の席に、病的なまでに白髪の美少女とでっぷり太った火のついていない葉巻を持ったおっさんが座った。通路側に座った白髪の少女と目が合うと、今にも吹き出しそうな顔で話しかけてきた。

「君、何、地獄にでも行くの?」

「うるせ、飛行機が初めてなんだよ。」

「ふふっ、変な顔。」

同い年ぐらいの少女にからかわれていると、

「エヴァ、一般人とあまり関わるなと何回言ったらわかるんだ。」

「ハイハイ、マクリーン。じゃあごめんね。こっちはビジネスだから。」

そう言って彼女はマクリーンというおっさんと英語で話し込み始めた。

寝た方が良いよという随員のおばさん教師のアドバイス通りに寝ようとすると案外気を張っていた分疲れたのかすんなり眠ってしまったので、その後の惨劇の直前は覚えていない。

たぶん、だいたい中央アジア上空だろうか、目覚めは一瞬だった。機体の真ん中からドゴンという爆発音。機体が真ん中で折れる。一気に空へと投げ出されていく乗客達。シートベルトを外していたのかおばさん教師も空へと投げ出されていく。とはいえシートベルトをしているから投げ出されていない自分の方が安全かと言われるとそうでもない。落下していく感覚で頭がおかしくなりそうだ。右隣を見ると同じくシートベルトをしていたのであろう投げ出されていない白髪の女の子と目が合う。

「君、助かりたい?」

「も、もちろん。」

「なら私の手を取って。」

シートベルトを外して言われた通り目の前に差し出された手を掴み女の子の方へ移動する。そうすると、

「じゃあ飛ぶよ!」

「飛ぶ!?」

一瞬で空へ舞った。

上空何万kmかは知らないがとりあえず地上のものが全て豆に見えるような高さ。そんな中俺はイギリスへのフライトを中断され、白髪の美少女と両手を掴み合いながら、地面への自由落下をしている。

「ねえ!片手ずつでいいから手を私のベルトに持ち替えて!」

「え!?、なんて!?」

轟音の中叫び合う。

「だから!片手ずつ私のベルトに持ち替えて!」

「わかった!」

とりあえず言われた通りにする。もう下なんて怖くて見れない。

バサッ!布が開く音がする。女の子の開くパラシュートの音だ。

「ふぅ~。助かった…、君も安心していいいよ。」

地面へと向けてゆっくりと降下していく。それは遊覧飛行のように穏やかとは言えなくても物騒な物ではないはずだった。

「そう言えば、君名前なんて言うの?」

「光山、光山怜音。そっちは?」

「エヴァ。エヴァって呼んで。」

「そういや、あのおっさんはいいのか?」

「いや君こそ先生が投げ出されてるけど?」

「まあもう仕方ないだろう。それよりあのおっさんはお父さんか?」

「君案外デリカシーないね。いや、違うけど。ただのビジネスパートナー。親をファミリーネームで呼ばないでしょ。」

その後、こちらがイギリスへのホームステイに行くところだったとか少しは英語を喋れるのとか変な顔だねとか怖いんだよとかそういう話をしていたらいつの間にかだいぶ地面が近く見えてきた。そんな時いきなり、上から轟音が聞こえた。上の方から戦闘機が近づいてきていたのだ。あれは救護に来てくれたのだろうか。

「うーん、ちょっとまずいというかまずすぎるかも!」

パァン!

銃声が響く。それは地面までもう後数メートルまで近づいていた、パラシュートを撃ち抜いた。




ここからスタートです。続けていきたいので頑張ります!

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