タイトルが全て。
真3と呪術って親和性高そうなのに誰も書いてなくて仕方なく書いた駄文。
だれか書いて!(魂の叫び)
呪術成分ほぼなし。

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初執筆なので内容はおろか構成とか段落の使い方とかいろいろおかしいかも。


邪神と悪魔の王(唐突)

 少年は有り体に言うなら極々平凡な存在だった。

当たり前のこととして我が子に愛情を注ぐ両親のもとに生まれ、少年もまた愛情を返した。さほど裕福ではないが貧困でもなく、この日本では多数派を占める中流家庭に育ち、社交的な質ではないため少数ではあるが友人にも恵まれ、何不自由なく育ってきた。頭の回転は早いほうだが特筆して優れているということもない。運動能力といえば徒競走では5人中3番めくらい。いじめや喧嘩などとも縁がなく、誰かと敵対するような関係、ましてや暴力沙汰に巻き込まれたことなどもない。齢として12になろうかというところで、公立の小学校に通っているが、通信簿では特に問題のない生徒として当たり障りのないことが書かれる。そんなどこにでもいるような普通の少年。

 

 そしてこの世界はこのような普通の人間が想像するようには普通にできていなかった。

その界隈では一般に呪力と呼ばれる力と呪力から生まれた呪霊という存在があった。呪力とは生物の負の感情から生み出される力で、これがある程度一所にたまると呪霊という人に害をもたらす存在が発生する。世の中には呪力を操り、術式と呼ばれる固有の能力を持つ人間がおり、その優位性を生かして人に仇なすものを呪詛師と呼び、人のため呪咀師や呪霊を狩るものは呪術師と呼ばれた。

 少年は平凡であるので、先祖をどれだけ遡っても非術士の家系でしかなかったし、少年自身も当然呪力を操ることなどできず、その他大勢の普通の一角として扱われる存在だった。

 

 

 少年は呪術や呪霊の存在など知りもしないが、ただ目の前の光景が普通でないことくらいはわかっていた。

 辺りは薄暗く、ところどころに明かりが灯されているが、電灯ではなく松明による原始的なもの。よく目を凝らしてみると自分の他にも大勢の人間がいた。だが自分と同様に縛られ、自分とは違い死んでいるように身動きしない。もしかすると本当に死んでいるのかもしれない。空間としては学校の体育館くらいはあるのかもしれないが、暗いため全容がわからない。前後の記憶は定かではなかったが、明らかに何者かに誘拐されてきたのだとわかる状況。

 そしてそんな薄暗い空間には1箇所だけ明かりが強い場所。まったく馴染みのない光景ではあるが、黒魔術の儀式場のようなものというのが一番近いか。明かりの中央には成人一人分の高さほどの円筒状の物体が据え置かれ、その側面には明らかに日本語でも英語でもない、青白い光を放つ文字がビッシリと刻まれている。円筒はゆっくりと回転を続けており、その傍らには一つの人影があった。少年や周囲の人間のように手足を縛られていないところを見ると、この誘拐の下手人かその一味であることが推測される。黒装束を着込み、顔はよく見えないがシルエットから男性ではないかと思われる。右手で円筒に手を当てており、左手に小さい三角錐のような物体をもって、何やらブツブツと口ずさんでいる。

 目の前には誘拐犯、周囲には縛られ動かない人間、怪しい儀式場。どうやら自分たちはこのカルト宗教の信者か何かに生贄にされようとしているらしいと気づいた少年は、縛られたままではどうにもならないと、この異常な空間には似つかわしくない冷静な思考をもって行動を始めた。

 

 

 

 件の黒装束の男であるが、彼はある呪術師の一族に生まれた。

『呪霊繰術』と呼ばれるそれを持った男は一族から期待を寄せられ、幼少の頃より当主となるべく呪術師としての訓練を続けた。『呪霊繰術』とは呪霊を調伏することでその呪霊を使役することができるというもの。強力な呪霊を操ることができればそれはそのまま術者の力に変わる。

だが男の持つ『呪霊繰術』には致命的な欠点があった。それは操ることのできる呪霊の強さに上限があるという、正に強さを是とする呪術師としては致命的なものだった。術者自身の人間としての格以上の呪霊は降しても操ることができない。本体としては二級術士程度の実力しかなかった男はすぐに実力の壁にぶつかった。それでも当主となるべく、期待に応えるべく男は努力することをやめなかった。本体以上の呪霊を下せないなら本体が強くなればいいと、あらゆる体術を収め、呪力の扱いを極め、術式を抜きにした本体だけの実力として一級術士程度までには上り詰める事ができた。

そして当主となるのに恥じない程度の実力を持つことができたと自覚した時、ある男が彼の人生の前に立ちふさがった。

 名を「夏油 傑」というその男は正真正銘男の一族の秘伝術式である『呪霊操術』を持って呪術界に現れた。非術士出身だというが、その実は長らく術式を宿すことのなかったためにその名ごと追放された分家一族の末裔であり、ただの隔世遺伝であった。この『呪霊操術』には操る呪霊の格の上限がなく、どれだけ強い呪霊でも祓うことさえできれば自分のものとすることができた。そもそも自分自身で祓う必要すらなく、強者が祓った呪霊を取り込むだけで自らの力とすることができるという、男の努力を全てあざ笑 うかのような術式だった。

 夏油が現れてから男の人生は全て変わった。期待は全て侮蔑か、あるいは同情へと変わり、夏油を当主として取り込もうという動きが一族の中に現れた。男が血の滲むような努力の末にたどり着いた一級術師という格にはものの数ヶ月程度で追いつかれ、終いには特級術士などという規格外の枠に当てられる始末。

 男はこれまでの人生全てを否定され、関わってきたもの全てを憎んだ。

 

 

 

「ようやく…ようやく、我が望みを叶える時が来た」

 

 男は自分の目的が叶うことを確信し、感慨深そうにそう呟いた。

男が願ったのは、この世の呪霊、呪術師、全てを超える存在となること。単純な話で、力を否定された男は圧倒的な力を求めた。各地をめぐり、あらゆる文献を漁り、そうしてたどり着いた「答え」。

文字通りの答えがそこにはあった。儀式上に据え置いた円筒状のそのオブジェクト。秘匿されていたそれを使うことで、あらゆる知識に到達することができた。それが『アマラ転輪鼓』と呼ばれるものであるとその物体自身が教えてくれた。誰が、いつ、何のために作ったものなのかどうかは知ることができなかったが、そんなことは気にならない。男の目的を果たす上での最適解は簡単に見つけることができた。

 大量の呪力を用いて、最強たる外なる神をこの身に宿すこと。それが男のたどり着いた答えだった。この世界の内より生まれたものではこの世界の最強には勝てない。その考えのもとたどり着いた答えだったが、ここに来て男が選んだのは完全なる他力本願。自身のあらゆる過去を否定され、男は自分自身の力に何の希望も持たなくなっていた。

 それを降臨させるためには途方も無い準備が必要だった。呪力というものは放っておくと呪霊を生み出して消費されるものであるから、まず呪力を溜めるための触媒『八尋神籬(やひろのひもろぎ)』という特級呪物を手に入れることから始まり、呪力を効率よく得るために大量の生贄を消費した。呪力は人間の負の感情より生まれることは周知の事実。そうして男は呪力を絞り出すために万を数える人間を拷問し、殺した。動き始めて数年。これほどの準備を行うには短すぎる年月であることが男の能力の高さを物語っているが、それは誰からも理解されることはない。男自信からさえも。

 そして今、ようやく準備が整ったと目の前のアマラ輪転鼓より告げられる。

 最後の儀式。神の降臨する記念すべきその瞬間のために生贄を兼ねて多くの観客を用意した。これまでのように拷問で絞り出すような真似はせず、自然に溢れさせる呪力を限界まで吸い上げるだけに留めた。もはや誰からも気にも留められることのなくなった男が、傷ついて欠けた自尊心と承認欲求を満たそうとするのは仕方のないことだったのかもしれない。

 

 

 

 男が達成感と歓喜に満ち溢れた表情で衆人を振り返ると、そこには小さな人影が立っていた。

 

――子供?生贄たちは呪力を粗方吸い上げられて立つことなどできないと思っていたが…。

 

男は疑問に思うも、これから降臨する存在の前にはあまりに矮小な存在であったため、瑣末事と切り捨てた。たとえ逃げ出して、呪術師共にこの場所を見つけられようとも、もう遅い。その頃にはあらゆるものの上に立ち、あらゆるものを否定する神が自分のものになっている。

 

 

 

 

 少年は自身を縛っていた縄を石の角などに擦りつけ脆くしてから引きちぎることに成功した。ついで脚の縄もどうにか解くことに成功すると、とにかく助けを呼ぶために逃走しようとした。

 だが男の左手の物体から呪力が迸り始め、儀式が始まろうとすると、逃げ出そうとする気持ちはいつのまにか雲散霧消していた。

 儀式の進行に伴い、その空間が少年にある影響をもたらしていた。非術士であるはずの少年には既に儀式の全容が「視えて」おり、これから降臨しようとしているものの存在も「知っていた」。この世のものとは思えない光景を目にしてなお、自分にできることは何もないと自覚しているのになお、逃げ出そうとはしなかった。既に恐怖はなくなっていた。焦りも不安も、この場にふさわしい感情は全て忘れてしまったかのように凪いでいる。男も少年自身も気づいていないが、先程から迸っている呪力の一部は少年に向けて流れ始めている。

 

 

 

「運のいい少年よ。これから生まれ出るは外なる神の化身。その誕生の目撃者になれるということを光栄に思え。最も、非術士である君には何が起きているのか、その威容を目にしてもわからないかもしれないが」

 

男はどこか気取ったような調子で言う。それが少年には哀れに見え、そしてひどく滑稽だった。その雰囲気が伝わったのだろう。男が苛立ちを見せる。

 

「…貴様、非術士の分際で、何だその目は。見覚えがあるぞ、その目には」

 

 過去に見たことがあるような少年の視線に男は記憶を探る。そして気づいた。

最も忌むべき視線、侮蔑、同情、哀れみ…それを含んだ目だということに。

 

「貴様ごときがなぜ私を憐れむ…!?なぜ今ここでその目を向けることができる!

気に入らない気に入らない気に入らない…殺してやる、いの一番に殺してやる…」

 

急に子供が癇癪を起こしたようになり、今度は一転してブツブツとつぶやき始める。幼いときより年相応の振る舞いができず、年齢に応じた成長ができなかったために、その精神は幼いままであったのかもしれない。ただ、少年が視線に含んだのはそんなことについてではなかった。

 

 呪力の流れは一層激しさを増し、神の降臨を予期させる。ついに男の頭上に空間の亀裂ができた。

 

 「降臨せよ!古より伝わりし名もなき邪神よ!」

 

男の叫びと同時に亀裂が大きくなり、そこに異次元への道が生まれた。

 

 

 

 少年の目の前で男が空間の穴より現れた神の触手に取り込まれ一体化する。どうやら邪神と言う割に邪気はないようで、無色の力の塊に近い。正に力を求めた男の理想に答えた姿。

最初は不定形でスライムのようだったその肉体はやがて安定し、四肢と頭部のような突起を形成し始める。体躯は大体象10頭分ほどといったところだろうかというくらい大きい。その体表は波打ち、波紋を形成している。

 その威容を目の前にしてなお、少年の心は凪いでいた。その神が少し動くだけで少年のような矮小な存在はすり潰されるというのに。

 

 ――だってやるべきことはもう決まっている。

 

 そう一瞬うなずき、少年はいつの間にかその手中に現れていた「勾玉のような物体」を一思いに飲み込んだ。

少年が男に対して向けた視線、それは「取るに足らない程度」の神の威を借りて偉ぶっている哀れな羽虫に対するものだった。

この世界において少年は平凡であったが、それ以外の世界においてはその通りではなかった。

 

 

 

 

 男はかつてない全能感に包まれていた。かつて見下げられ、軽視され、侮蔑されていたことなどどうでも良くなっていた。この体は最強だ。この世のあらゆる生命体を凌駕している。

ただでさえ強靭な外皮はその波紋に合わせて外界の攻撃を無効化し、反射する能力を持っている。手にした権能は全てを崩壊させる最強の矛になる。五条悟?知ったことか。その身に纏う無下限ごと我が万能に食らわせてやる。領域展開?神たるこの俺に敵うか?矮小な人間が?

 そうしてひとしきり人生で初めての万能感、多幸感に浸っていたが、ふと我に返った。

そういえば先程、無礼にも術師ですらない塵芥が俺のことを哀れんでいたな、と。

閉じた神の視界を開く。すると目前には件の少年が馬鹿みたいに突っ立っているではないか。神は憤った。こんな塵芥ごときが俺を馬鹿にしたのか。与えられる全ての辛苦を与えながら殺してやる、と憎んだ。

 そうして神の権能を使うため、少年に手<触手>を伸ばそうとしたとき、少年が何かを飲み込む。

 

 その瞬間、どこからか少年目掛けて眩い稲妻が閃いた。同時に空間に飽和した呪力が全て少年に流れ始める。神の視界すら眩ますその光から一瞬目を背け、次に目を開くと、そこには先程の少年と似ても似つかない「化け物」が静かに佇んでいた。

 かつてこの世界を含む広大なアマラの海を支配する『大いなる意志』に抗うため、至高の闇が見出した最後の悪魔。死の上に死を築いてきた、全ての悪魔を統べるもの。

 混沌王人修羅がここに顕現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 目覚めた俺は「いつもどおり」自分の肉体の具合を確かめるために、全身に『魔力』を漲らせ、アナライズの『魔法』を行使する。体躯は元の肉体より大部小さい。戦いには向いていないが関係ない。いつもどおり全身に走る線条に燐光が灯っている。うなじからは一筋の黒い突起物。上着は、どうやら消し飛んだようだ。手中にある『マガタマ』はマロガレからマサカドゥスまで全て使える。ここまで高い適合率となると、なるほど予想通り、平行世界の同位体らしい。これは『この少年』にとっても『俺』にとっても幸運なことだ。

 そしてその幸運を運んでくれた眼の前の天使に一言礼をしようと口を開く。

 

 「まずは感謝を。貴様がこうして場を整えてくれたおかげで、完全に『アウェイ』であるこの世界で顕現することができた」

 

 頭を下げることはしない。王というものはそう安々と他者に頭を垂れてはならない。だが感謝しているのは本当だ。目の前の懐かしの邪神を降臨させた男が状況を整えてくれたということに対して。既に手中に収めた世界なら別として、『奴』が支配するこの物質世界に混沌王たる『俺』が顕現するためには諸

々の必要な条件がある。アマラ輪転鼓があり広大なアマラ宇宙にアクセスできる環境、蓄えられた膨大な

マガツヒ<呪力>、そして平行世界の同位体である俺自身の肉体と魂、その全てがこの空間に同時に存在した。アマラ輪転鼓もヤヒロノヒモロギも非常に希少なものだったはずだと記憶しているが、よく探し当てたものだと感心する。奇跡的な確率でしかなし得ないその条件をこの男が見事に全てクリアしてくれた。

 だが残念なことに目の前の恩人は俺に対して敵意を持っているらしく、長年の経験から『話し合い』も通じそうにないと解る。仕方ないが返礼として、我が全身全霊を持って、僅かな痛苦を感じることもなく消し飛ばしてやるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 神の肉体を持つに至った男といえども、その思考には限界がある。何をどうしたら自分が神に至るために催した儀式で、取るに足らないガキがわけのわからない化け物になるというのか。そんなことを予測できるわけがない。それ自体は非常に不運なことだが、ただ男は万難を排したわけではなく、混沌王の依代となりうる少年という最大の不確定要素を残してしまった。しかしそれは男の満たされない自尊心と承認欲求から生じたものであるのだから正に身から出た錆でしかなかった。

 そんなことを知るはずもない男が、突然なんの前触れもなく出現した眼の前の異形に困惑していると、そいつが何故か礼を言ってきた。どうやら自分が神を降臨させるために準備をしたおかげで現れることができたというらしい。ふざけている。何様のつもりだ。少年に対してもともと感じていた憤りが更に高まる。もはや視界に入れることすら不愉快。苦痛を与えてから殺すつもりだったが今殺す。すぐ殺す。

 強大な力を手にした反動か、男は思考が単純化していることに気づけていない。常の男であれば目の前の脅威を見定めようとしたはずなのに。

 

――メギドラオン。

 

その全てを消滅させる権能を行使するために力を溜める。この空間すらも消滅させるだろうが知ったことではない。生贄にもともと価値はない。アマラ輪転鼓ももう用済みだ。この世で俺を妨げるものなどもはや存在しない。

 しかし邪神が権能を解き放とうと力を溜めだしたとき、これから起こることを予期していたのか、既に混沌王には邪神を屠るための準備ができていた。

 

 全身に滾らせた膨大な魔力が頭部へと集中する。

 

これほど膨大な魔力を目の前にして、なぜ邪神は平然と立っていられるのか。これほどの魔力すら自分に影響を及ぼすことはできないと考えているのか。それも確かにあるだろうが、圧倒的すぎる力を前にして、感覚が麻痺して危機感を覚えられなかったというのが正しい。

 

 少年に降りた存在、混沌王人修羅がその身を『悪魔』に変じた世界。ボルテクス界と呼ばれる世界の終わったあとの卵とも言える世界において、目の前の邪神とは一度相対したことがある。波打つ外皮は特定の属性以外の攻撃は全て跳ね返す最強といえなくもない盾。その時は四属性攻撃しかしてこなかったが、現在感じている力場は全てを滅する万能属性攻撃のもの。別個体であるならそういうこともあるだろう。発動されれば文字通りこの空間が消し飛び、自分は問題なく耐えられるだろうが周囲の人間たちは跡形もなくなる。

混沌王自身はそれらに特に執着していなかったが、宿主たる少年は全て救うことを望んでいる。見ず知らずの人間に対してお優しいことだと苦笑しつつ、それならば取る手段は決まっている。奴より早く滅すればいいだけだ。

 

 ここに来て邪神は数舜後に自身を襲う脅威に気がついた。危機感が麻痺しながらも気づくことができたのは、訪れる確実な死に対して外界の神自身が恐れ慄いたからかもしれない。

 だがもう遅い。

 

 物理を含めたあらゆる属性攻撃を防ぐ盾も、一つだけ防げないものがある。即ち万能貫通攻撃。それが穿つとき、あらゆる盾は既に貫かれている。

 

――至高の魔弾

 

 邪神は自らが滅んだことすら認識できずにこの世から消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある日呪術高専の『窓』によって突如観測された膨大な呪力の奔流。その原因を調査すべく呪術界最強の男が即日その場所に派遣された。自身の術式を用いて擬似的な瞬間移動を可能にする男は連絡を受けてから時間を置かずにそこへたどり着いた。人知れず行われた邪神と悪魔の王による戦いと呼べない戦いのすぐ後のこと。

 五条悟はとある地方の木々に覆われた山奥にある、かつてとある邪教集団が築いたとされる洞穴の入り口まで来ていた。と、正規の入り口に入る前にそこから入る必要が全く無いことに気づく。少し遠くを見遣ると、木々が削り取られ、山肌が裂け、ポッカリと開いた丸穴が見えたからだ。

 

「これが呪力の奔流の跡ってやつ?」

 

 半径30mほどの真円形の穴から中を見ると、まず目に入る爆心地のようにくぼんだクレーターがあるが、そこに何が有ったかを推し量ることはできそうになかった。そしてその奥を見遣ると大体50人ほどだろうか、多数の人間が縛られ、横たわっていた。何らかの術式を行使されたのか、呪力が枯渇しており、皆の意識がないのはそのせいだろう。そしてそういえば、と。ここら一帯の空間に全く呪力が感じられないことにも気づいた。呪咀師が膨大な呪力を持って呪霊を作る実験でも行ったのだろうか。それから妙なのはこれほどの破壊が起きた痕跡があるにしては人々に傷ついた様子がないことか。そして視線を巡らせていくと、とある少年が意識を失って倒れているのが視界に入った。

 

「わーお。これは思わぬ拾い物かもねぇ」

 

 上半身裸であること以外は一見して何の変哲もない平凡な少年に見えるが、あらゆる術式・呪力を見通す五条の術式『六眼』の前には平凡な少年などいなかった。数刻前にあった奇怪な紋様やうなじより生える突起物は消失している。だが、その体には五条をして見覚えのない術式が刻まれ、その魂は変容していた。即ち、人と呪霊の混ざりものへ。

 

 

 




なおつづかない模様

しっかし呪術成分ほぼねぇなこれ
誰か真3と呪術のクロス書いてくんねーかなー俺もなー


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