終電を逃したフジキセキ&ヒシアマゾンのふたりによるお泊り。

ちなみに僕は150連くらい回しましたがフジキセキを入手できませんでした(おい)


1 / 1
クーラーの冷えた風と、寮長。

公園に設置してある時計は、深夜12時過ぎを指している。もう、終電には間に合わないだろう。

 

「さて・・・これからどうするかなぁ・・・。」

 

ショートカットの黒髪をなびかせながら、フジキセキはそうつぶやく。

 

「・・・・・・。」

 

そして、再び視線をベンチのほうに戻す。

 

ベンチに横たわって、ヒシアマゾンがすやすやと寝ている。

 

今日はヒシアマに誘われ、トレーニングをしたり、新しいシューズを買ったり、そのほか色々で、一日中移動&遠出をしていたので、疲れて寝てしまったのだ、きっと(確証はない)

 

「ふ~ん・・・寝顔、案外かわいいじゃん・・・。起こすのがもったいないくらいだ・・・。

 

ふ~っ・・・さて、僕も結構眠いし、今夜のところは、とりあえずホテルでも探しますか・・・。」

 

 

 

「んっ・・・あれ?・・・ここは・・・」

 

ホテルのベッドの上で、あたし・・・ヒシアマゾンはふと、目を覚ます。

 

(・・・ベッド?でも寮じゃなさそうだし、ホテルか・・・?)

 

「・・・お目覚めかい?」

 

「うぁ・・・フジ・・・。」

 

「ひとの顔を見るなり『うぁ』とはなんだい?」

 

不満げな顔でそう言うフジキセキは、まだ髪が濡れていて、タオルとドライヤーを片手に持ってる。外で雨は降ってないので、きっとお風呂上りだろう。

 

「ってか、今の時間は・・・

・・・深夜3時・・・?」

 

寝すぎじゃないか?

 

「・・・なんであたしはここに?」

 

「忘れたのかい?公園で休憩しようと思ってのんびりしてたら、そのまま寝ちゃってたのさ。で、起きるのを待ってたら、終電を逃したってわけ。」

 

「それでホテルにいると・・・叩き起こしてくれたってよかったんだぞ?」

 

「いや~、それも考えたんだけどさ、・・・こんなかわいい寝顔で寝てたら、起こせないでしょ?」

 

「え~?」

 

そう言って、フジキセキはスマホを手渡してくる。そこに写っていたのは・・・え?

 

「うわぁっ!?消せ!!早く!!」

 

「え~?なんでさ、可愛いじゃないか・・・。あっ、そんなことより、お風呂沸かしておいたから、入ったら?」

 

「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!?」

 

 

 

・・・ま、入るんですけどね・・・・。

 

(———ったく・・・あいつ、このヒシアマさんをおちょくりやがって・・・)

 

『————君に捕まるなら、本望さ?』

 

あれは、寮対抗で鬼ごっこか何かをやったときだろうか。なんだかんだで寮長同士の一騎打ちになったとき、フジはあたしにそんなことを言ってきた。それで・・・あたしを・・・

 

「ぐぁっ!!・・・くっ・・・このヒシアマさんをおちょくりやがって・・・」

 

セリフがさっきと同じ?知らん。

 

(今度はこっちからフジをおちょくって・・・いや、あのフジがそう簡単におちょくられるか・・・?とびきりのやつを仕掛けないと、ダメなような・・・

 

・・・んっ・・・そ~いえば、この風呂、ついさっきまでフジが入ってたんだよな・・・

――――フジが入ってた、のか・・・。さっきまで、ここに・・・)

 

・・・って、あたしはいったい、何のことを考えているんだっ!?

このままだと、なんだかどっかのラブコメみたいになっちまうぞ!?

 

(・・・いいか、落ち着くんだヒシアマゾン。

今はフジと同じ部屋に泊ってるから、フジの事を変に意識してしまっているだけで、これが終わったら、きっと元に戻る・・・。)

 

自分にそうやって言い聞かせる。でないと、なんだか自分が自分じゃないような気がしてくる。

 

「・・・ふ~っ・・・よし、そろそろあがるか・・・。」

 

フジが寝ている部屋のほうから来る、クーラーの冷えた風だけが、あたしを冷静にした。

 

 

 



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。