転生したらまさかの馬!?   作:白雪(pixivでもやってる)

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番外編 孤高?の女王様

金色の暴君の娘であるエルドールは、それはひどい気性難だった。

 

同じオルフェーヴル産駒であるラッキーライラックなどは気性が穏やかなのにどうして…………と言われていた。

 

しかも母ジゼルの影響か賢いので自分のことを悪く言った人のことを噛む。

 

調教師にも厩務員にも暴れるので牧場では問題児。

ただ、顔はジゼルに似てすこぶる良かった。かなりの美人であった。

 

オーナーはエルドールの暴れっぷりを聞くたびに頭を抱えていた。

騎手のことを落としてしまうかもしれない、どうしようと。

 

そこで、数ある気性難の馬に乗って勝利してきたミスター気性難ことikze騎手(イケゾエ騎手と表記する)に頼むことにした。

 

スイープトウショウやデュランダル、何より父オルフェーヴルを勝利に導いたのだ。エルドールのことも走らせてくれるはず…………!

 

イケゾエ騎手とエルドールの初対面はイケゾエ騎手が振り落とされて終わった。

厩務員は心配したが、彼曰く「オルフェーヴルやデュランダルの方が酷かった」とのこと。

もはや慣れか?慣れなのか。

 

それでもニコニコと笑っているイケゾエ騎手にビビったエルドールは開き直ってレース後や調教中にたくさん振り落とした。

 

自分のことをひたすらにビビっていた人間が多かったから新鮮だったのだろうか。

 

ファンからは「まーたイケゾエが気性難の馬乗ってるぜ」なんて思われていた。

 

デビュー戦は10馬身差、オープン特別戦でもレコードを出すなどその素質の高さを見せた。

 

桜花賞では一番人気。

今まで産駒成績で優秀な馬ばかり出してきたジゼルの産駒だからである。

その人気に答えるかのように当然のようにコースレコードを出した。

 

もちろんその後はイケゾエ騎手を振り落とした。

 

続くオークス、秋華賞も馬身差を広げて勝った。勝ち方も派手だったのでファンからの人気も高かった。

結果、史上初の母娘無敗の牝馬三冠を達成した。

 

年末の有馬記念では惜しくも三着。リスグラシューの意地が見えたレースであった。

 

この負けに納得がいかなかったのかいつもより乱暴に振り落としてしまった結果、イケゾエ騎手は骨折してしまった。

 

翌年の天皇賞秋まではかつて母と母父の主戦騎手であったリュージ騎手に乗り変わった。

 

日経新春杯、金鯱賞では大差での圧勝をしたが、他のレースでは同じ牝馬であるクロノジェネシスやアーモンドアイには度々苦しめられた。

 

特にヴィクトリアマイルでアーモンドアイに惨敗して以降は明らかにライバル視していた。

 

「(何よ、あの女…………一番は、女王の座は私のものよ?)」

セリフだけ見てもただの悪役令嬢である。

 

しかもエルドールはプライドが高くて中途半端に優しかった。

なのでいつも重くて振り落とすアイツがいなくてモヤモヤしていた。

 

「(私のせいで来なくなった?私のせいではありません…………。早く帰ってきなさいよ、バカ。)」

 

これは、見事なツンデレ…………ッ!

 

そんな彼女も天皇賞秋では仲良くアーモンドアイと同着。しかもレコードである。

 

「はあ〜!?あの女と同着とか嫌なんだけど!私の勝ちでしよ!?」

「エルドールちゃんは可愛いわねえ」

「アンタに言われたくはないわよ!」

 

アーモンドアイはエルドールのことを親友だと思っているので何を言われても効果はゼロである。

 

そして、ようやくイケゾエ騎手が復帰。次戦のエリザベス女王杯で乗ることが決まった。

 

「フフン………遅すぎるわよイケゾエ」

「ゴメンなエルドール。」

 

元のリュック()を取り戻したエルドールは強かった。エリザベス女王杯では2分7秒7の文句なしのワールドレコード。

しかも元の記録を二秒も上回っているのでさらにすごい。

 

ジャパンカップでは同じ無敗の牝馬三冠のデアリングタクト、無敗の三冠のコントレイル、ライバルのアーモンドアイが出走する大レースとなった。

 

しかもここ3年で牝馬三冠が連続で出ているヤバさ。間違いなく牝馬の強さを知らしめた。

 

勝ったのはアーモンドアイで、エルドールはハナ差二着。今度は振り落とさなかった。

 

エルドールは有馬記念には出す、ドバイターフに出走して引退することが発表。

 

エルドールはなんとなく自分の終わりだと悟ったのか、いつもより力がみなぎっていた。

 

かつての父の有馬記念のように、差をぐんぐん開いてこれが引退する馬か、と思わせた実力を見せつけて勝った。

 

繁殖牝馬になり、初年度の相手はエピファネイア。

………………アーモンドアイといいエルドールといい両手に花だなこいつ。

 

 


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