かぐや様の弟   作:花宮@

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三十三話 『藤原千花、自覚する』

 

――藤原千花は四宮かずまのことを意識したことなんて一度もなかった。いつも優しく接してくれるし、一緒にいる時間は楽しい。だけど、それはあくまで先輩後輩の関係としてであり、異性としての意識は皆無だった。

 

 

親友の弟、というフワッとした認識しかなかった。だから、あの日から何故か――、

 

「かずまくんのことを考えると何か顔が赤くなるのはなんでだろう?」

 

藤原はそう言いながら机に突っ伏していた。

 

「ふ、藤原さん?どうかしましたか?」

 

その様子を見ていたかぐやは藤原に尋ねる。

すると藤原はゆっくりと起き上がり、

 

「あ……かぐやさん……いえ、何でもありません」

 

そう言うも明らかに様子がおかしい藤原をかぐやは見逃さなかった。ここ最近の藤原の様子は可笑しい、というのは誰が見ても明らかであった。

 

「藤原さん。私にも言えないことですか?」

 

真剣な眼差しを向けるとかぐやは藤原を見つめた。それはまるで全てを見通しているような目だった。

そんな目を向けられた藤原は観念したのか、重い口を開いた。

 

「実は最近ずっとある人のことが頭から離れないというか…ある人を見るとドキドキするというか…私、分からないんです……。これって一体どういう気持ちなのか……」

 

それを聞いていたかぐやはあることを確信して頭を抱えた。

 

「(ああ…最悪だわ……)」

 

確実に藤原はかずまに恋をしている。つまり、両思いであるということなのだから。それはおめでたいことではある。だが、同時に厄介なことでもあったのだ。

 

何故なら早坂に圭の問題もあるからだ。

この2人をどうにかしないといずれ問題が起こることは目に見えていた。

だが、どうすればいいのか全くわからないまま、こんな事態になっている。

 

「こんなの私らしくないですよね…」

 

はぁ……と、深いため息を吐き、机に項垂れてしまう藤原を見て、かぐやは何も言えなかった。

その時、

 

「お疲れ様でーす」

 

石上の声が生徒会室に響いた。タイミングが良いと言うべきか悪いと言うべきなのか。少なくとも石上にとってはあまりいいタイミングではなかった。

 

「え?何すかその空気感!?」

 

2人がどんよりしている姿を見て、ただならぬ雰囲気を感じ取ったのか、石上は困惑する。

 

「いや~別に何も無いよ!うん!」

 

藤原は笑顔を取り繕うとするが上手くいかない。無理矢理作った表情は不自然極まりなく、余計に心配させるだけであった。

 

「そ、そうですか…?」

 

しかし、石上にはそれ以上何も聞けず、とりあえず納得することにしたようだ。そして、そのまま自分の席に向かうとパソコンを立ち上げた。

それから数分後。

カタカタとキーボードを打つ音だけが響く中――。

 

「お疲れ様でーす」

 

当の本人であるかずまがやって来た。

石上の時と同じように挨拶をするかずま。それに反応するように藤原は立ち上がり、

 

「え?ど、どうしたんです……?藤原先輩……急に立ち上がって……」

 

 

「あ、あの……私……用事を思い出したので帰りますっ!!」

 

かずまの顔を見た瞬間、顔を真っ赤にして走り去って行った。

 

「え?ふ、藤原先輩……どうしたんだろ?」

 

突然の出来事に呆然と立ち尽くすかずまであったが、かぐやと石上には理由がよく分かっていたため――。

 

「「((祝福すればいいのか分からない))」」 

 

複雑な心境のまま、心の中で呟くしか出来なかった。

 

 

 

△▼△▼

 

 

「分からない……」

 

藤原は1人で悶々と考えながら歩いていた。

今まで感じたことの無い感情について考えれば考えるほど分からなくなる一方であった。

 

「何でこんなに胸が苦しいの?」

 

もっと、もっと、かずまと一緒に居たいと思う自分。それがどうしてなのか理解出来なかったけど、かずまの顔を見て――。

 

「ああ……」

 

自覚、してしまった。

藤原千花は四宮かずまが好きなんだいうことを。

 

「…恋しちゃった……」

 

誰もいない道端で小さく呟かれた言葉は誰にも聞かれることなく消えていった。




お久しぶりです。ここ最近バタバタしていた為、更新が遅れてしまいました。ここから更新を再開していきたい所存です

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