君に贈る、最初で最後の花束。~ひぐらしのなく頃に~   作:エア@疾風迅雷

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第22話

 

 

「・・・・・。」

 

一方その頃、エアグルーヴは自身のスマホのディスプレイをにらみつけていた。

 

『明日の朝、生徒会室に来れないか?』

 

・・・昨日の放課後、というか深夜、グルーヴはタキオンにそんなメールを送ったのだが、『明日はフラワー君たちと登校したいから遠慮しておく』と返信が帰ってきたのだ。今朝未明に。・・・ほんとに寝てるのか?あいつ。

 

「さて、・・・これ、いったいどうすればいいんだ・・・?」

 

そう呟いたグルーヴの右手には、何かの薬品が入ったアンプルが3つ。

 

「・・・まぁ、有効活用させてもらうか・・・。」

 

 

 

 

 

「・・・ん。」

 

放課後。何気なく校舎裏をうろうろしていると、ふと、見覚えのある人物の姿が。

 

「あれ?・・・ネイチャじゃん、なにやってんの?」

「ん?・・・あっ、スカイか・・・。」

 

針金を片手になにかの作業をしていたと思われるネイチャが、顔をあげてそう返してくる。

 

「なにやってんの~?なんか面白そうじゃん。」

「ここのカギを開けたいの。もうちょっとで開きそうなんだけど・・・。」

 

そりゃ見てわかりますけども・・・なんでわざわざそんなことをするんです?

 

「ん~・・・中を探検したかったから?」

 

・・・まぁわからんでもない。

 

「まぁこの体育倉庫、数年前になんかの事件が起こったとかなんとかかんとかで、それ以降使われてないもんねぇ・・・。」

 

わたしもネイチャも心霊的なものを信じるタイプではないのだが、・・・ネイチャに付き合って、体育倉庫に忍び込むのも、なんだか面白いかもしれない。

 

「そ。確かになんかの事件が起こったんだけど、結局なんだかんだでお茶を濁されちゃってね?なんの事件なのか、よくわからないのよ。」

「ほへ~・・・それはなかなか面白そうじゃん。」

 

そんな会話をしている間に、ガチャっという少なくとも警戒ではない音が鳴り、倉庫の錠前が開く。・・・完全勝利のお知らせである。

 

「・・・一緒に来る?」

「お察しくださ~い。」

 

ネイチャからの質問の返答を適当に濁すと、わたしはネイチャと共に倉庫内へと忍び込む。

 

「あっ、中は結構広いんだ・・・。」

 

予想の3倍くらいは広かった。まぁでも体育倉庫ってだいたいこんなもんか。

 

「防音機能もついてるんだっけ?・・・こんな高性能な施設なのに、もったいないなぁ・・・」

「綺麗に掃除すれば、案外再利用できそうなのにね・・・。」

 

・・・中には特にめぼしいものはなかった。

体育倉庫に入ってそうなものが、そのまま残されていた。・・・長らく放置されていたのか、かなり埃をかぶっている。

 

「・・・使わなくなると、道具ってすぐ傷むのよね・・・。」

「?・・・どしたの急に・・・」

「いや・・・なんでもない。」

 

・・・まぁ確かに、ネイチャの言う通りだと思う。・・・そういえば、前はお気に入りだったけど、今は机の奥の方に放置しちゃってる時計があったような気がする。・・・自室に戻ったら、久々に使ってみるか。

 

「にしても暗い・・・懐中電灯持ってくればよかっ・・・うわぁっ!?」

「!?ネイチャだいじょー・・・あっ・・・。」

 

・・・今の状況を冷静に説明できる自信はないが、出来る限り説明させてもらう。・・・足を滑らせてバランスを崩したネイチャがこっちへ倒れてきて、それで・・・。

・・・結果的にネイチャがわたしを押し倒しているような体勢になっている・・・といえば通じるだろうか。

 

「・・・ねい、ちゃ、さん・・・?」

「え?・・・うわぁっごめん!!」

 

彼女も今の状況をようやく理解する。・・・き、気まずい・・・。

 

「・・・スカイ・・・」

「なに?」

 

どうしたの?と返すよりも先に、わたしはネイチャに抱きしめられてしまう。

 

「ちょっ・・・ネイチャ!?」

「ごめん・・・でもしばらくこうしてて・・・。」

 

そう返してくると、彼女は抱きしめる強さをもっと強くしてくる。

 

「・・・ちょっとだけだよ?」

 

わたしはそう返すと、静かにネイチャの背中を撫でた。

 

 

 


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