千剣山らしき場所で寝てたら世界が滅んでいた   作:烏龍ハイボール

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本作での蛇龍種の通称


蛇王龍 ダラ・アマデュラ

蛇帝龍 ダラ・アマデュラ亜種(脱皮直後)



――――普通は越えられない壁――――


蛇皇龍 ダラ・アマデュラ(辿異種)


見た目で特に異常発達した箇所はなく、身体が異常な速度とサイズまで成長する事で辿異種と定めている。何となく皇って特別な感じがしたので

因みに読み方はジャオウでも、ジャコウでも可。でも敢えて同じジャオウ読みでも良いかと



今回はFGO二部の一部とその時のダラさん達の活動報告の様なモノ。







第6異聞帯 封鎖妖精世界 キャメロット   
閑話 共に明日を


―――異界サイド―――

 

 

 

空想は根に落ちた

 

何処かの世界では世界が白くなり7つの空想樹が世界に降り立った。

 

それを経験者から聞かされた我等がダラ・アマデュラ様は有力者を交えた場でこう言ったらしい。

 

『・・・・・大変だね。因みに樹は大きいのかな?我が登っても折れないか?』

 

平常運転であった。

 

我が道を行く蛇皇龍ダラ・アマデュラは詳しい詳細を聞き、有ることを経験者へと尋ねた。

 

『それはひょっとしてブリテンにあるあの白い木の事か?枯れてるけど・・・』

 

経験者は肯定した。

 

更にこの世界に新たに一人の人間が来訪した。

 

クリ何とかと言う役職を携えてやって来たがアチラは女王の事を良く知っているみたいだ。ただ、状況確認の際にさっそく眷属の怒りを買った様で件の妖精から折檻を受けてボコボコにされていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――クリプターサイド―――

 

空想は根に落ちた。世界の白紙化が完了して早三ヶ月。定例の会議に出席する為、ブリテン異聞帯の担当になったベリル・ガットは痛む全身を労りながら会議へと参加する。出席したクリプター達は頭に包帯を巻いて現れたホログラムのベリルの姿に様々な反応を示した。

 

『イテテテ。こりゃ暫く痛みが残るな』

 

『いったい何をしたらそこまでの怪我を負うのかしら?』

 

『現地にいる奴だよ。少しふざけただけでコレだ。全くこたえるぜ』

 

ペペロンチーノの質問に嫌味ったらしく答えるベリル。彼の態度や現状を聞いたオフェリアはすかさず指摘を始める。

 

 

『それは由々しき問題では?異聞帯の王と良好な関係を築く事は空想樹の成育の為にも必要な筈。それを全う出来ずにその体たらくでは先が思いやられますよ』

 

『あぁ、そこは問題ないさ。なんせ俺の世界は既に詰んでいるからな。アレがあり得た人類史(・・・・・・・)なんて、詐欺も良いところだ。あんな所はさっさと滅んだ方がいい』

 

ベリルをしてそう言わせるブリテンの異聞帯。関心と疑問は尽きないが、今回は別の議題があった。それは白紙化を逃れたカルデアの残党達の事である。これから否が応でもぶつかる事になるが、彼等が最初に行き着く場所としてカルデアを襲撃したオプリチニキ達を辿ってロシアに現れる事が濃厚であった。

 

 

その後、カルデアは予想通りロシア異聞帯に姿を見せて、その後も各異聞帯を訪れてペペロンチーノがいたインド異聞帯までの4箇所の空想樹を切除した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――異界サイド―――

 

女王暦2017年

 

蛇皇龍ダラ・アマデュラは暇を持て余していた。現在、進めている計画において自分が手を出す事はない。手伝おうにも身体が大き過ぎて邪魔になるので只管忙しく動く者たちを眺めるしか出来なかった。

 

なので暇を持て余していた。

 

そして暇なので気になることが幾つか出てきた。

 

その一つが今現在の自分の全長は何メートルなのかと言う事。

 

2000年前の段階でアルビオンには計測するのが面倒だと断られたが、自身の他に暇を持て余している輩がいた。彼を呼びつけて要件を伝えると、直ぐに嫌そうな顔をして断られる。そんなに嫌かと聞くと、首を縦に振って即答された。誰も相手をしてくれず拗ねて眠る事にした。

 

その頃、アナザーボディーは地上に繰り出していた。行き先は妖精國の首都キャメロット。大穴をよじ登りテラスまで来るとそこから宮殿の装飾の隙間を通って中に入った。既に幾度となく訪れているここは、ダラ・アマデュラにとってのセカンドホームと言って差し支え無かった。玉座の間に入って天井の柱に絡まっていると、下ではモルガン女王が各地の領主もとい妖精の氏族長達からの報告を聞いていた。今報告をしているのは、人に似た姿をしている土の氏族長スプリガン。その表情は芳しくなかった。

 

「陛下。前回起きた、大厄災『凶星』によって齎された被害は概ね復興が完了しました。しかしながらかの厄災後に島の各地で出現する様になった蛇に酷似した化け物。通称モースの対処は未だ有効な手段が確立されていません。一応、撃破には成功していますが被害をゼロにする事は適いません」

 

 

「そうか。ならば割り切って対応する他ない。調べも進まずに手立てが無いのなら尚更な」

 

「ですが陛下。それはあまりにも酷では?」

 

「では貴様は、私に火を吹く山のご機嫌を取れと言いたいのか?あれは自然の起こす気まぐれ(・・・・・・・・・・)。自然より誕生して死していく我等に出来るのは備えるか、抗うかだ。その備えが満足に出来ないのであれば抗うしかなかろう」

 

「分かりました。ところで陛下。そのモース対策で本土の北部に住むとされる竜人族の知恵を借りる事は出来ますか?彼等の持つ技術の高さは私も歴史家殿より拝見しています。それがあれば先の報告した事項も好転するかと・・・」

 

「それは確認を取らねば分からない。何より彼等とのパイプは現状、歴史家のニアだけだ。彼女とコンタクトを取って聞いてみよう」

 

それから各氏族からの報告や聞き捌いていくモルガンは、執務が一段落した事で天を仰ぐ。その天井に見知った存在が居るのを見て、表情が固まった。一度顔を下げて、両眼を擦って自身に見間違いだと言い聞かせて再度上を見上げる。が、やはりそこには蛇が絡みついていた。その蛇ことダラ・アマデュラは柱から飛び降りると全身をバネの様にしならせて床に着地した。

 

『ヨッス、ヨッス!モルガンちゃん元気?』

 

「はい元気ですよ。毎回の事で慣れたつもりでしたがそれでも驚きます。所で先程の話は聞こえていましたよね?」

 

『おう。竜人族の技術が欲しいって話でしょ。私としてはどっちでもいいや。ニアと彼等が了承したらいいんじゃない。そこの所はどうなのよ?』

 

『それを俺に聞くか?』

 

モルガンとダラ・アマデュラの他に聞こえてくる第三の声。玉座の間の暗がりから出てくるのは白いスーツを着こなす黒髪の男性。ただしその身に纏うオーラは妖精のそれではなく遥か高次の生命体である事をモルガンは感じ取っていた。

 

「ニア・・・いえ、今の姿は何と呼べば?」

 

かつてブリテンに現れた際は少女の姿をしていた歴史家ニア。それが今目の前にいる男性の正体である。この姿も仮初でありその正体は古き生命体。

 

『おまかせするよ。それよりも竜人族の件だが、私から確認は取ってみるよ。過去にいざこざがあったかもしれないが、それは既に10000年も前の話。いつまでも引きずる彼らでは無い』

 

「それは正直どっちでも良いのです。大厄災はある種の篩。より強き者が生き残ればそれでいい。奴等も別に生まれてこなくなる事は無いのですから」

 

『でもこの前の厄災は凄かったね。空を駆ける赤き流星。滅びの凶兆。まさに凶星(・・)の名に恥じないモノだったよ』

 

「そしてその星を辛くも撃退した牙の氏族。その彼と肩を並べた剣士」

 

『妖精の中にも見どころのある奴が増えてきた。それは彼らも同じさ。所で、あの人間はどうした?暫く姿を見せていないが・・・死んだか?』

 

話を進める彼等だが、その中で話題はこの世界にやって来た人間の話に変わる。ここ数日は、姿ばかりか話すら聞こえてこない。その答えはモルガンより出された。

 

「彼は、彼らを束ねるリーダーの元に向かいました」

 

『それでか。見慣れない女が居たと思ったが、あれは迎えに来たのか。あの女(・・・)は面白かったな。全貌を見せはしなかったが、多少は警戒されただろう』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――クリプターサイド―――

 

 

「あのヤロウ!巫山戯やがって!!」

 

クリプターのリーダー、キリシュタリア・ヴォーダイムが管理する異聞帯オリュンポスにて、彼の使役する神霊カイニスはご機嫌斜めだった。

 

空想樹を切除したブリテン異聞帯からベリル・ガットを回収して来たわけだが、そこに行く前はまだ普通だった。現地で気に入らない何かが起きたのだろう。

 

キリシュタリアは、そんなカイニスを見て嘆息する。

 

 

「いつも以上に不機嫌だね。ブリテンで何があったんだい?」

 

「あぁ!?何でもねぇよ。ただムカついただけだ。あの舐め腐った態度の男。次に会ったらぶっ殺してやる!」

 

「ブリテン異聞帯にはそんな人物が居るのかな?ベリルの報告には無かったよ」

 

「いや、俺の話を聞いてアイツ自身も驚いていたからな。多分異聞帯側の隠し玉だ」

 

「だが空想樹は既に伐採した。消えるのも時間の問題だ」

 

そう言うキリシュタリアだが、カイニスの中には一抹の不安があった。無論、彼自身も楽観視していない事は理解出来ていたが、そちらにまで意識を向ける事が難しい事も分かっていた。だが彼にはある大きな計画を遂行する為に動いていた。だから多少の事で意識を割く事は出来ない。

 

「カイニス。君の懸念も理解できるが、今は目の前の事に集中しよう。何れやってくるカルデアに対して我々は先手を打った。後は追い込まれた彼らに噛まれない様に注意しなければならない」

 

「ちっ!分かったよ。今落ち着いた。じゃあ、行くか」

 

 

 

 

 

 

 

それから時は経った。

アトランティスにやって来たカルデアにより守りは崩された。そして彼等はオリュンポスにも乗り込んできた。残る全ての機神は撃ち落とされ、原初の神カオスも観測する手段を断たれて消えた。考えうるほぼ全ての障害を排除したカルデアだが、そこへとうとう異星の神が降臨しようとしていた。

 

「ご照覧を!今こそ、我等が神が降臨するのです!」

 

異星の神の使徒であるアルターエゴのサーヴァント、リンボは興奮しながら宣言する。彼とキリシュタリア、カイニスの背後にそびえる空想樹は神を召喚する器になり得る。だが、そんな興奮するリンボに釘を指した人物がいた。キリシュタリアである。

 

 

「残念だが、異星の神が降りる事はない」

 

 

キリシュタリアは語る。既に空想樹には神霊を召喚してあると、それは空想樹の通称にもなっていた巨人アトラス。これにより異星の神降臨を妨害し、自身の計画を完成させようとした。

 

自分以外の全ての人類が神になる。

 

それは彼の導き出した人類の勝利への道筋だった。が、これに賛同できない人物がいた。ブリテンからやって来たクリプター、ベリル・ガットである。彼は空想樹の特性を利用して、マゼランを燃やした。更に自身をターゲットに世界を越えて天より降り注ぐ光の柱が現れた。

 

それはカルデアの記録にあるロンゴミニアドの光

 

一同を焼き尽くすかに思われた一撃をキリシュタリアは何とか防ごうとする。そこにスキを見出したベリルによりキリシュタリアは瀕死の重傷を負う。未だに燃え続ける空想樹の元で行われる数々の駆け引き。その渦中にてとうとう異星の神が降臨した。その姿は人理焼却にて命を落としたカルデアの先代所長と瓜二つ。

 

混乱する彼等を他所に異星の神は眼下に広がる全てを滅ぼそうと動くが、そこへ予期せぬモノが現れた。それは奇しくもカルデア側でも観測する事が出来た。

 

 

「マスター!再び空から高出力のエネルギーを観測!異星の神目掛けて降ってきます」

 

カルデアのマスター藤丸は相棒のマシュからの報告に上空を見上げる。それはロンゴミニアドが降り注いできた方角であり、そこには巨大なワームホールと見て取れる大穴が空いていた。それを感知した異星の神も空を見上げた。

 

それは巨大な槍だった。

 

三叉に別れた鉾を思わせる尖端と連なる黒い突起。

 

穴の中から出現したそれはまるで生物を思わせる様な鱗も見え、自在に曲がりながら異星の神を捉えた。異星の神に当たる瞬間、凄まじい衝撃波を発生させたその槍は異星の神を叩き落とした。空想樹から一気に最下層付近まで落とされた異星の神は眉間に皺を寄せる。

 

『羽化前とはいえ私をここまで吹き飛ばすだと!?こんなモノ、私は観測していないぞ!』

 

驚きの声をあげる異星の神は自身を守る障壁に傷が付いた事を認識した。

 

『更に私の防壁に傷を付けるとは・・・ん?』

 

異星の神を攻撃した槍は直ぐに巻き戻す様に天に戻り穴の中へと消えた。更に追い打ちをかける様に極光が現れるとロンゴミニアドの時よりも更に巨大な光の柱が降り注いだ。その光は轟音と共にオリュンポスのある空間自体を揺らして、やがて消え去る。全てが終わると世界を静寂が支配した。

 

カルデアも、負傷したキリシュタリアも、協力してくれた現地の味方も、そのあまりにも唐突過ぎる展開に言葉が出なかった。

 

やがてヨロヨロと浮かんでくる異星の神が現れると、崩壊した神殿に降り立つ。見た目に変化は無かったが、額には数滴の冷汗が浮かんでいた。

 

『防壁の九割を損耗。まさか蓄えていたリソースをほぼ出し切る事になるとはな。そこの使徒よ、アレは何だ?』

 

若干苛立っている異星の神は一部始終を見ていた使徒、ラスプーチンに尋ねる。しかし彼もまた、理解が追いついていなかった。まさか異星の神をあそこまで疲弊させるとは思わなかったからだ。

 

「恐らくはここ以外で残る異聞帯からの攻撃かと。しかしながら我々もアレに関しては理解が及んでおりませんので確かな答えは出せません」

 

『そうか、まぁいい。ならばお前達はあの極光の謎を調べて来い。次に相見えるまでに対策を立てる。我も一度退散する。この損失は流石に想定外だった』

 

そこまで言って言葉を区切った異星の神は視線をその場に残る者達に向ける。

 

『命拾いをしたな、小さき生命体達よ。だがこれはほんの一時の猶予だ。努々忘れない事だ』

 

その言葉を最後に異星の神は姿を消した。後に残されたカルデアとキリシュタリアの間には微妙な雰囲気が流れるが、それも彼が吐血した事で変わる。

 

「大丈夫か!」

 

駆け寄ったカイニスは倒れ込む彼の身体を支える。更に藤丸やマシュ達も集まってくる。

 

「いいんだ。私は敗北した。私の進む道はここでおしまいだよ」

 

「ですが・・・」

 

「ふふふ。敵にすら涙を見せるなんて、君達は甘いな。でも・・・願わくば私も旅をしたかった。君達の様にAチームの皆とね」

 

『では、今から敗者復活戦でもしますか?』

 

その声の主は突然現れた。

 

声のする方を向くと、そこには白いスーツ姿の男性が立っていた。彼の登場にカルデアの面々は戦闘の準備をするが、中でもカイニスがいの一番に反応した。

 

「てめぇ、あの時にいた奴だな!!」

 

「神霊カイニス。君はあの男を知っているのか?」

 

「あん?あぁ、そうだよ。アイツは俺がベリルをこっちに連れてくる時に邪魔してきた男だ」

 

「つまり彼は、ブリテン異聞帯の存在と言う事になる」

 

他の異聞帯の存在であると言う情報に、一層の警戒をする一同。それを見た男は両手を上げて敵意がない事を示す。

 

『早まらないでくれ。私は君にチャンスを与える為に来たんだよキリシュタリア・ヴォーダイム』

 

「私に?」

 

『あぁ、ほらこれだよ』

 

男は懐から小袋を取り出すとキリシュタリアに投げ渡した。袋を開けると中には黄色の袋が入っていた。それを手に取ると僅かだが、身体が軽くなる感覚を覚えた。

 

「これは・・・」

 

『それは秘薬。知り合いの薬師が調合した薬だよ。消費された生命力を回復し傷も癒す』

 

「はぁ?んなもん信じられるかよ。キリシュタリア!あんな奴の言う事なん・・・て、なにさっそく使ってんだよ!!」

 

怪しい男からの施しに懐疑的なカイニスだったが、キリシュタリアは臆する事なく薬を口に含んだ。それを見たカイニスは慌てるが、彼の肉体が癒えていくのを見た。やがてベリルから受けた傷も癒えたキリシュタリアは立ち上がり、カイニスの横に立つ。

 

「落ち着けカイニス。この通り、私はもう大丈夫だよ。寧ろ彼には感謝しないといけないな」

 

「そのスカした顔を見ると嫌でも事実を突きつけられるよ。で、調子はどうなんだよ?」

 

「まだ違和感は残るが、調子はいい。今ならもう一回ゼウスと戦う事になってもいい勝負が出来そうだ」

 

「そうかい。そいつは何よりだ」

 

二人のやり取りを見た藤丸達カルデアの面々も彼らに並ぶ様に横に立つ。手を貸してもらえたのは良い事だが、依然として目の前の男の素性は謎のままだ。しかし男は一同に並ぶ彼等を眺めるとクツクツと笑った。

 

『それ位元気ならもう大丈夫そうだ。一応、私も君達とは敵対する立場だけど、今回は特例だからね。次に相対したらその時は敵として相手になろう』

 

男はその場から飛び上がると青い光の筋となってオリュンポスの空の彼方へと消えていった。完全に敵対反応が消えた事を確認して、マシュはバイザーを上げた。

 

「周囲に敵対する反応はありません。状況終了」

 

「さて、一段落した所を申し訳ない。キリシュタリア・ヴォーダイム。貴殿はこれからどうするのか聞かせてもらえないか?」

 

話を切り出したのは他ならぬシャーロック・ホームズであった。謎の乱入者によって傷の癒えた彼は、まだカルデアにとっては敵対する存在。今ここで、その在り方をハッキリさせる必要があった。

 

 

「一度は消えて蘇り、また失う筈だった命だ。彼には悪いが私の命は君達に委ねるよ。藤丸立香」

 

キリシュタリアの答えは投降であった。カイニスも仕方ないと肩を竦めて武装を仕舞う。

 

ここにイレギュラーが発生した第5異聞帯の戦いは終わりを迎えた。これからこの世界は緩やかに消滅を迎えて消えていく。

 

そして、クリプターのリーダーであるキリシュタリアの姿は、ストームボーダーの中にあった。傍らには神霊カイニスもおり、その手には手錠すらかかっていない。これはカルデアのマスターである藤丸立香やマシュ・キリエライト他カルデア関係者たちによる話し合いで決まった事だ。これからカルデアは藤丸とキリシュタリアの二人体制で異聞帯の攻略に挑む。

 

シリウスライトと言う不安要素もあるしカルデアを裏切った前科もあるので、警戒はする。それでも彼程の魔術師が此方にいれば心強い。次に目指すは第6異聞帯。ベリル・ガットのいる通称ブリテン異聞帯である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――???―――

 

「さて、では私はこれから南米に向かう。お前はブリテンに向かってもらうぞ」

 

「ソイツはいいが、なんで奴さんはあんなに汎人類史の記録を漁っているんだ?あの虚空からの攻撃が相当効いたのか?」

 

「ご自慢の防御式も九割持っていかれて、それの再構築などに持ち得たリソースの大半を割いた。現状、もう一度同じ攻撃を喰らえば一溜まりもない」

 

「結局、アレは何だったんだ?儂には穴の向こうに生物が見えたが?」

 

「異星の神が言うには、この世界とは異なる理の領域(・・)から迷い込んだ存在だそうだ。編纂事象、剪定事象を含んだこの世界とは違う場所。そう定義する他、アレの説明はつかないとの事だ」

 

「へぇ、そんなものかい。まあ、本来はない追加分の依頼だが、きちんとやってやるさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――異界サイド―――

 

「お疲れ様でした。おかげで我々の障害足り得る存在の観測も出来ました」

 

『それにしても大胆な事をしたな。私とお前で道を作って、世界を繋げる。並の魔術師達が聞いたら卒倒するだろうな』

 

「それはさして問題は無かったですね。始点と終点が分かればその間を繋げるだけなので」

 

『それが至難の技だと言うのに・・・。まぁ、いい。それよりも此方への影響は?』

 

「龍脈を流れるエネルギーの2割を注ぎ込んだ位ですね。当人はピンピンしています」

 

『また急だったな。突然、空を見上げて苛立ち始めたから何事かと思ったぞ』

 

「曰く、見るだけでムカムカする(・・・・・・・・・・・)との事でした。恐らくは本能から嫌悪する程の相手なのでしょう。だからこそ無理矢理向こうへ出向いて先制攻撃を仕掛けた。ですが、此方の計画を考慮してあの程度で終わらせたみたいです」

 

『難儀だな。それに回りくどい』

 

「堅実に事を進める方が良い方向へ進みます。後は待ちましょう。最後のピースたる彼等が訪れるのを・・・」

 

 

 

 

 

 




駆け足

だって分かり切ってる話だし


ダラ・アマデュラ

尻尾とブレスだけオリュンポスに出演

しかし龍脈のエネルギーを吸い上げて撃ったのでピンピンしている。

異星の神

存在すらも想定外のイレギュラーだった模様。


ダラのいる世界

どんどん謎が増えてくるダラさんのいる世界



後、サラッとリンゴ農家は生き残りました。ついでにカルデアに保護されます。ついでにアルビオンによる施しで体調も万全です。ぺぺさんはブリテンに飛ぶのでキリさんの生存を知りません。

ですがご心配なく、アルビオンはきちんとダラさんサイドです。単純に彼等人間の抗う姿にチャンスを与えただけです。



次回より、第6異聞帯に当たる話に入ります。

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