王の血   作:東洋コッペ

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第4話

 

 

呪術高専

 

日本に2校しかない呪術教育機関。東京校と京都校が存在する。今年は2人の大物が入学するとあって、大変注目を浴びている。その中の1人、加茂猛は今年京都校ではなく東京校へ入学を決めていた。五条悟と同級生になる事で、組手という名の合法的な試合がいつでも出来ると考えての事だった。

 

 

 

16歳になり、猛は身体も大きく成長していた。身長187cm・体重80kg。まるで格闘家のような筋肉を纏い、金色の短髪で肉食獣のような赤い眼を持っている。黒を基調とした浴衣型の制服に赤い帯。所々に金の刺繍が入っている呪術高専の制服を身に纏い圧倒的な威圧感放っている。道ゆく誰もが目を合わせる事すら恐れていたが、呪術師から見れば、見た目の威圧感もそうだが、圧倒的な呪力量・鍛え抜かれたフィジカル・天才的な呪力操作、格闘技術。そして両面宿儺と同じと言われる術式が恐れられる理由である。

 

 

 

ーー呪術高専入学当日

 

「ここが今日から通う、呪術高専か。。少しは俺様を楽しませてくれる学校生活になるんだろうな!」

 

 

嬉々として校舎に向かう、猛に向かってくる人物が1人。

 

 

「お前が加茂猛だな?」

 

「あ?誰だお前?気安く俺様に話しかけるんじゃねーよ。」

 

「呪術高専一年担任、夜蛾正道だ!本日からお前の先生になるものだ。加茂よ、いま何時だ!?」

 

「お前が担任か!時間?13時くらいだが、問題あるのか?」

 

「入学初日から遅刻とはいい度胸だ!もう学校は始まっている!早く来い!」

 

入学初日だというのに、大幅に遅刻してきた猛に喝を入れつつ教室まで案内する夜蛾。問題児ばかりで少し不安になっていくのである。

 

「五条悟はもう到着しているんだろうな?」

 

「ああ、8分遅刻だったがな。」

 

「クックッ。楽しみだ。奴はどのぐらい強くなっているのか。」

 

「ここがお前らがこれから学ぶ教室だ。一年は全部で4人だ。」

 

 

ーガラガラ

 

「先生おっせーよ。どんだけ待たせんだよ!」

 

「悟。落ち着きなよ。遅れてくる最後の1人にも事情があったんだろう。」

 

「最後の1人はどんな奴なんだろ〜?」

 

 

教室には、これから猛と同級生となる3人が既に座っていた。

 

 

五條悟

六眼と無下限呪術を持つ、五條家の怪物。猛とは、幼少期に一度だけ戦った事があり、いつか倒さなければならないと思っている。

 

 

夏油傑

降伏した呪霊を球状にしてから取り込み、自在に操る呪霊操術を持つ。午前中に出会ったばかりの悟と喧嘩し、互角の勝負を繰り広げた。

 

 

家入梢子

反転術式による傷の治療が出来る数少ない人物。一年生唯一の女性。

 

 

ーーズズズズ

 

 

「クックッ。加茂猛だ!これからよろしく頼む。」

 

「加茂!呪力を抑えろ!」

 

 

猛の登場に驚愕した五条悟を尻目に、夏油・家入は猛の呪力に驚愕し止まっていた。

 

「お前!!こっちに入学したのか!?」

 

「……悟……知り合いなのか?」

 

「ああ。ガキの頃、試合を一度だけした事がある。とんでもねー力を持っている…。」

 

「五条悟!!貴様と戦う為に東京校に来たのだ!!」

 

「………。そこまで戦いたいってのかよ!」

 

「夜蛾先生よ、早速戦わせろ!!全員の実力を確かめるべきではないのか!?」

 

 

遅れてきたのに、自己中心的に仕切る猛に呆れつつも夜蛾は今後の話を進める。

 

「大幅に遅刻してきたお前が言うな!まあいいだろう。この後、グラウンドにて模擬戦を行う!ただし!殺傷能力の高い術式を使用する事を禁ずる!今から戦うのは敵ではなく、今後仲間となるものという事を肝に銘じろ。」

 

「あのー、私は戦えないのでパスで。」

 

「……。家入以外は準備をしてグラウンドに集合だ。」

 

 

ーーグラウンド

 

 

この日を待ち侘びていた猛は歓喜していた。唯一互角に戦えると思っている五条悟とようやく戦えるのだ。だが負けるつもりは毛頭ない。自分が最強であると自覚しているのだ。

 

 

「さあ、早速やろうか!!まずは誰と誰からやる?」

 

「ではまず、加茂と夏油がやってみろ!」

 

「五条ではないのか…まあいい、ウォーミングアップだ。」

 

「随分と舐められたものだね。確かに君はとんでもない呪力を持っているが、それだけで勝負はわからないよ。」

 

「ほう。では、楽しませてみろ!!!」

 

ーズズズ

何もない空間から5体の呪霊を呼び出し、先手を仕掛けたのは夏油だった。

 

「大口を叩くんだから、このくらい訳ないよね?」

 

「呪霊操術か、珍しい術式だが……弱い!!」

 

ーードドドド

 

「……え?……」

 

夏油が気づいた時には、呼び出した呪霊は倒されていた。余りのスピードとパワーに呆気に取られていた。

 

「もっと強い呪霊は呼べないのか?このままだと退屈で死んでしまうぞ?」

 

「くっ、、言ってくれるね。ならばこの量はどうだ!?」

 

夏油自身の呼び出せる呪霊の半分を呼び出した。おびただしい量の呪霊を見て、猛は笑っていた。

 

「クヒィ。この量を操れるか!優秀だな!だが……。」

 

ークイッ

ズババババババババ!!!!!!!

 

 

「「「は?」」」

 

その場にいた全員が驚愕した。猛が指先をクロスした瞬間に、とんでもない量の斬撃が飛び呪霊が次々と細切れになっていくのだ。

 

 

「それまで!!!勝者、加茂猛!!」

 

「なっ!まだやれます!!!」

 

「これ以上はダメだ。本気になりすぎ怪我もしくは、死ぬ可能性がある!また、夏油もこれ以上手持ちの呪霊を減らす事はリスクになる。加茂との力の差を噛み締め、精進しろ!」

 

「クッ……。悟、後は頼みますよ。。」

 

「まあ俺様には、通じないが良い線いってるのではないか?俺様を楽しませるよう強くなれ!さて、次はようやく五条悟。貴様の番だ!!!」

 

「加茂猛!ぶっ潰してやるよ!」

 

「ようやくこの時がきた。。さあやるぞ!!!!」

 

ーー約10年待ち続けた戦いが切って落とされる。

 

 

「何度も言うようだが、絶対に熱くなりすぎて殺傷能力の高い術式を使わないように!では、始め!!」

 

まず仕掛けたのは悟であった。

 

ー術式順転『蒼』

 

ゴリゴリゴリゴリ!!

 

「うぉぉ!!」

 

ゴシャ!!!

 

あっという間に収束に巻き込まれ、食らってしまう。悟はこれだけでは終わらない。先程の夏油との戦いを見て、猛が想像の何倍も強くなっていると感じていたからだ。無下限呪術を活かした圧倒的なスピードでラッシュをかけていく。

 

ドドドド!!

 

 

だが、しかし猛は全ての攻撃に反応する!

 

 

(ウソだろ。。このスピードに反応しついてこれるのか!?)

 

「いいぞぉ!!もっとだ!もっとやって見せろ!!」

 

時間にして、10秒。とんでもないスピードで行われてる攻防にも終わりがやってくる。五条悟が殴り飛ばされるという形で。

 

 

ドン!!!

 

 

「なんだ……無限とやらを発生しつつ攻撃出来ないのか。。」

 

「今はまだ練習中なんだ…よ!!!」

 

ーグイッ

 

グンッ!!ドギギャ!ガシャーン!!

猛は後ろに吸い込まれるように吹き飛ばされていく。

 

 

だが、猛の鍛え抜かれた身体と呪力強化により効いていなかった。圧倒的攻撃力、防御力それに加えて再生能力まで持ち合わせているのだ。術式を使わずとも彼は強すぎたのだ。

 

 

ーゴキゴキッ

 

首を鳴らしながら瓦礫から出てくる、猛は昂っていた。

 

「さあ、次はこちらからいくぞ!無限とやらで死ぬ気で守ってみせろ!」

 

『解』

 

ーピッ

シュパパパ!!!!

 

(グッ……。なんて威力!!ガキの頃食らったものとは桁が違う。)

 

悟は鼻血を出し、必死の形相で猛の攻撃を耐えていた。しかし、前回戦った時と違う事は、猛にはまだ余裕があった。。

 

 

「ここまで耐えるやつは初めてだぞ!!さあ…どこまで持つかな?」

 

「そこまで!!!!」

 

夜蛾は五条・加茂の両者の防御力の高さに、試合を止めあぐねていたが、五条の鼻血をみて危険だと感じ、止める事とした。

 

「あ………!?終わりだと?」

 

「勝者、加茂猛!!だが、加茂!熱くなりすぎて殺すつもりだったのか!!」

 

「ちっ。たしかに熱くなりすぎて本気を出しかけたな。まあ勝ちならいい。。それにしても五条悟よ。10年で力に差がついてしまったな?」

 

「クッ……。俺だってまだ本気出してねえし!次回戦ったら俺が勝つ!!」

 

「フハハハハ!!!!ならば次こそはもっと楽しませろ!!!悟、傑!!」

 

 

猛は認めたのだった、悟と傑を強者として。いずれ自分にも届き得る存在になると信じて。無論、彼ら2人が成長しようと自分も更に強くなるので負ける気はないが。

 

 

そして最後に。

 

「家入!念の為、五条を治療しておいてくれ!」

 

「はあい。」

 

『反転術式』

 

「「すげえ!!!」」

 

「貴様も反転術式を使えたのか!梢子!後で回復力アップについて話すぞ!!」

 

「「「貴様も?」」」

 

「ああ。俺様も反転術式で回復することが出来る。だが、他者の治療は苦手なのだ。」

 

「まじかよ。。あんだけ防御力あって回復能力もあんのかよ。」

 

「話すのはいいけど、ピューンってやってピョンピョンって感じじゃない?」

 

「言っている意味がわからんが。。」

 

 

こうして、今年の呪術高専には逸材4名が入学したのである。。

 

 

 

 

 

 


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