日曜朝の爽やかアニメの世界に転生してしまった   作:龍姫の琴音

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第六話シャードの力

師となったコトネは早速ゼッドにシャードキャスターについてのレクチャーを始める

 

「まず、この世界にはシャードという力があって、シャードキャスターになる者は初めにシャードを扱えるように修行を行い、力が扱えるようになったら体のどこかにその証が必ず浮かび上がる。ゼッドの場合は左腕ね」

 

「そういえばコトネもシャードキャスターなんだよな。お前は何処にあるんだ?」

 

「私は生まれた土地柄の影響でシャードキャスターの証は武器にあるの」

 

そう言って右腰に差している刀を抜きゼッドに見せる。鞘の部分にゼッドの左腕にあるのと同じ証が刻まれている

 

「まぁ、ゼッドの場合は既に証があるから基礎的な修行は飛ばすね。だからは最初にゼッドがするのはこれね」

 

コトネは荷物の中からビー玉サイズの赤い玉を取り出しゼッドに渡す

 

「それを左手の紋章の上にかざしてみて」

 

「こうか?」

 

言われた通りにかざすと赤い玉は紋章の中へと吸い込まれていった

 

 

「うわ!どうなってんだ!?」

 

急に吸い込まれてゼッドは驚きの声を上げる

 

「これが修行の第一段階が終了。さっきの赤い玉はスペル・シャードっていう技の一種よ。スペル・シャードは様々な場面で使用するからよく見ててね」

 

コトネはその場から立ち上がり湖の前に立ちゼッドもコトネの後に続き隣に立つ

 

「まず、スペル・シャードにはいくつか使い方と応用法がいくつかある。まずはさっきのように手を紋章の上にかざす」

 

紋章が刻まれた鞘の上に手をかざすと赤い光と共に紋章の中から先程のビー玉サイズの赤い玉を取り出す

 

「まずは基本的な使い方。取り出したこの赤い玉にはシャードが込められていて、これを投擲する」

 

湖に向かって投げると赤い玉は炎に変わり湖に着弾すると湖の水を少しだけ蒸発する

 

「これが基礎よ。やってみて」

 

「あぁ」

 

ゼッドは言われた通り左腕に右手をかざしスペル・シャードを取り出し同じように投擲すると炎へと変わり湖に着弾する

 

「こんな感じか?」

 

「上出来よ。次はさっきの応用の技を見せるわ。やり方は簡単でさっきより長めにかざすだけ」

 

鞘に手を数秒ほど当てからスペル・シャードを取り出し先程と同じように投擲すると最初に投擲した時よりも大きな炎となり湖に着弾すると広範囲の水が蒸発する

 

「力を溜め込むイメージでかざすと高威力になるってわけ。威力は低いけど連射が可能な使い方、威力は絶大だけど力を溜めるのに時間がかかる使い方。この2つを戦況によっ使い分けるのが重要になって来るけどそれは経験を積めば自然と出来ると思うわ」

 

「なぁコトネ。俺はカームで一度だけシャードキャスター同士の戦い方を見た事があるんだが剣みたいな武器を使っていた奴がいた。俺にも出来るか?」

 

(そういえばゼッドはカームで母親とシャードキャスターの戦闘を見ていたんだっけ)

 

過去の記憶を引っ張り出してそんなシーンがあった事を思い出しコトネは荷物の中からテンプラーで造られた武器を取り出しゼッドに渡す

 

「これはスペル・シャードのもう1つの使い方。武具に使用する事よ。その武器に3つの穴があるでしょう。そこにスペル・シャードを填め込んでみて」

 

言われた通りにスペル・シャードを填め込むと赤い刀身が出現し剣へと変わった

 

「似てるが俺が見たのは刀身がもっと細かったぞ」

 

「それは単純に武器の造りが違うだけ。基本的にはそういった形でシャードキャスターによっては武器の設定をいじる人もいるから。私も普通の武器とは違うから」

 

鞘に埋め込まれている赤い玉を触り鞘から刀を抜きゼッドに見せる

 

「この武器とは随分と違うんだな」

 

「刀身の赤い部分は斬る、峰の部分は打つ、そして切っ先で突く。3つの攻撃方法を持った有能な武器だと私は思ってるけどね」

 

刀にそっくりなこの武器は使用用途も刀と同じで斬、打、突の3つの攻撃方法を持ち状況によって使い分ける事が可能。しかも普通の刀とは違いシャードの力で刀身を形成しているため鞘の中でシャードの量を調整すればナイフから大剣まで様々な形や長さに変える事が出来る

 

「じゃあ最後にシャードキャスターの取っておきの技を見せてあげる」

 

そう言うとコトネは振り返り湖に背を向ける。木々の間から武装した兵がぞろぞろと現れた

 

「やっと探したぞコトネ」

 

「お前を仕留めればたんまりと報酬が貰えるからな覚悟しろよ」

 

「コトネ、こいつらは何だ?」

 

「ジーモットって国の雑魚兵よ。私はジーモットに喧嘩売っているから私を狙っている連中は多いのよ」

 

敵に囲まれているというのにコトネは動揺したそぶりを見せずにゼッドの質問に淡々と答える

 

「行くぞお前ら!」

 

ジーモットの兵が合図を出すと数人が紋章からゴルフボールサイズの玉を取り出し空へと投げると玉は大きな円へと変わり中から様々な怪物が姿を現した

 

「な、なんなんだこいつらは・・・!?」

 

突然の怪物の出現にゼッドは驚き尻餅をつく

 

「これがシャードキャスターの中でも習得が難しい技『スピリット・シャード』自然界に存在するスピリットを使役する技。シャードキャスターの精神力が強ければ強い程に強力なスピリットを使役する事が出来る技」

 

「スピリット・・・コトネも持っているのか?」

 

「当然よ。国に喧嘩を吹っ掛けているんだがらね」

 

鞘に手を当ててゴルフボールサイズの玉を取り出し空に向かって投げる

 

「これが私の持つ最強のスピリット。ランボス!」

 

現れたスピリットは召喚されるとすぐさま攻撃に転じ敵のスピリットに蹴りを叩き込むと一撃でスピリットは消え去った

 

「スピリットの倒し方は2つ。1つはスピリット自体を倒す。そしてもう1つは・・・」

 

コトネは走り出し敵の中に突っ込み刀を振り一番近くにいたジーモット兵を斬り裂くと召喚されたスピリットの1体が何もしていないのに消えた

 

「スピリットを召喚したシャードキャスター本体を倒す事。さぁ、死にたい奴からかかってきなさい」

 

いきなり仲間を倒されジーモット兵の中に動揺が広がる

 

「うろたえるな!数ではこっちが有利だ。スピリットを駆使してコトネだけを狙えばこちらにも勝機がある!」

 

「おう!!!!」

 

ターゲットをコトネに絞りジーモット兵は攻撃を開始する

 

そこから先に起きた光景にゼッドは呆気を取られていた。それは戦いというよりも一方的な殺戮だった

コトネ1人にジーモッド兵は数で攻めて来た。だが、コトネは敵陣の中をまるで躍るかのように動き回り敵の攻撃をかわしていき隙を見つけて的確に1人ずつ倒していった

スピリットも攻撃に加わるがコトネは自分よりも大きな存在であるスピリットに臆することなくスペル・シャードを使いスピリットをかく乱しランボスがスピリットに止めを刺すという完璧な連携を見せジーモット兵はあっという間に壊滅し地面に転がり立っているのはコトネとパートナーのランボスだけになった

 

「お疲れランボス」

 

激励の言葉をかけるとランボスはゴルフボールサイズの玉に戻り紋章の中へと収納され刀を納刀するとゼッドに近寄る

 

「これがこの世界での戦い方よ。どう?真似できそう?」

 

「出来る出来ないじゃねぇ。できなきゃ死ぬんだろう」

 

これから先、コトネと行動を共にするという事はこういった事が日常茶飯事で起こると考えると生き残るには琴音がやった事をマスターしなければ自分の身も護る事も出来ないと理解できた

 

「状況をよく理解できたみたいね。じゃあ、これから強くなるための地獄の特訓を始めましょうか」

 

「上等だ」

 

気合を入れてコトネとゼッドの修行の日々が始まった

 


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