機動戦士ガンダム 青き流星のヅダ   作:ヅダ神様

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ちょっとどころじゃないくらいグダりましたが投稿


序章 2

宇宙。それは人類にとって最後のフロンティア。地球と言う星を何時しか揺り篭と呼び始めたあの日から、地球は宇宙へと進出しようとする人類を縛り付け、太陽系の探索すらもろくに出来ないまま。人類は地球の周りで生活し続けていた

 

「全機スクランブル。軌道上にて連邦軍のパトロール艦隊を確認。数はサラミス級2隻。敵艦載機が存在するかは不明。マシャール隊はこれを撃滅せよ」

そしてそんな時代が続く中で、地球に縛られた人々は、巣立てた人々を搾取するようになった。人を人とも思わぬ愚かしき行いに、ついに宇宙に出た人々は反旗を翻した

 

「マシャール・V・エイドリアン、出撃する!」

反旗を翻した者の名は、ジオン。巣立てた人々の独立の為に、地球に縛り付けられた人々を開放するために戦う道を選んだ‥そう私たちだ

 

「各機敵を食らいつくすぞ! 私に続けッ!」

一気にペダルを踏みこむ。ランドセルのメインスラスターがけたたましい轟音と共に白色に光り輝き、爆発的な推力は暴力的な加速となって機体を押し出し、幾つものピンク色の閃光が走るその先へと突き進んでいった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の名前はマシャール……マシャール・V・エイドリアンだ。階級は少佐、所属は宇宙攻撃軍麾下の今年の10月24日に新設された第121地球衛星軌道パトロール艦隊であり、私は一応そのパトロール艦隊の艦隊司令官にあたる

 

と言うのはあくまでも形式的なもので、実情は副官に司令官としての任を任せて、もっぱらMSに乗り込み、自由気ままに戦うことを楽しみにしていた

 

普通の軍隊ならありえないことなのだろうが、それができてきまうのがジオン公国軍と言う軍隊の異常性なのだろう、後俺が所属する宇宙攻撃軍のトップであるドズル•ザビ閣下がそう言うのにめっちゃ優しいのが悪い

 

「マシャール機が着艦する! 回収作業に入れ!」

そして私が指揮する艦隊はムサイ級の後期生産型(以降はムサイ(後)と呼称)が3隻。通常のムサイ級を改装したもので、性能的にはサラミスよりも上らしい…まぁ少なくともMSの搭載能力や居住性なんかはムサイなんかより遥かに優れているのは事実だ

 

そんなことを話している間にガイドビーコンに連動して機体が自動操縦に切り替わる、そのまま俺の乗る機体、まだロールアウトした直後で、一部のエースパイロットにしか配備されていないザクⅡR2…正式名称は高機動型ザクⅡR-2型であり、既に配備に向けて先行生産が開始されたMS-11「ゲルググ」のジェネレーターを流用、実行が進む統合整備計画とも組み合わさり、大型化した試作型のビームライフルと試作型のビームサーベルを装備しており、最近重力戦線で存在が確認された連邦軍のMSに対抗するために急遽スケジュールを前倒して作られたのである

 

「連動問題なし、オートパイロット異常なし」

各部のバーニアが噴射され、機体を減速させながらゆっくりとムサイ(後)の格納庫に向かって背中を向けると、格納庫から伸びたハンガーとカタパルトを兼ねた固定用ロックに機体を接続させる

 

「機体関節固定、エンジンカット」

定められた手順に従って機体を停止させる作業を行う最中、直立状態の機体が固定ロックによって水平にされると、そのまま伸ばされたレールの上を走り、機体が格納庫の中に搬入され、機体が停止したら機体を停止させると、スクリーンに外に出るように促してくるノーマルスーツが見えたのでそのままコクピットハッチを開けてからシートベルトを外すと、操縦桿を支えにまずは座席の上に足をつけて屈むように立つと、続けて背もたれに足をつけると操縦桿を離すと、背もたれを蹴ってハッチから格納庫へと飛び出す

 

「っお疲れ様でした司令官!」

飛び出した先には先程スクリーン越しに私に降りるようサインを送ってきたノーマルスーツの…声からして30は行かない男の声が聞こえてくる。私はそれに

 

「ありがとう。ただあの程度は敵じゃないよ」

と、私は笑顔で男に答え、男はさすがです、と目を輝かせながらそういうと、俺を更衣室とシャワー室を兼ねたパイロットの待機所の方に向かって引っ張ると、両手を下に回してくるのでそれに合わせて俺も膝を曲げて足を男の両手の上に乗せると

 

「行きますよっ!」

と、声かけをしてから私の体を思いっきり前に押し出す、これで勢いをつけた俺は、足を伸ばすと後ろに振り返り、男はありがとうの意味を込めて敬礼し、男もそれに返礼する

 

その後はさっと待機室でシャワーと着替えを終え、私はいつもの士官服に着替えると、いまだに慣れない士官服の硬い硬い襟に息苦しさを覚えてなんとか広げようと襟を外に向かって引っ張りながらブリッジに入る

 

「おかえりなさい司令官」

船の艦長であると同時に艦隊の副司令官でもある男が私を出迎えてくれる。男も同じくジオン軍の士官服にニット帽と中々にアンバランスなものを着たくせ毛の銀髪ショートに狐を思わせる胡散臭い、まるで目を閉じているかのように細い目つきの、やけに猫撫で声の男だ

 

「出迎えご苦労様、やっぱりあいつらもヨーロッパ方面への補給を断つための部隊だった。ろくな護衛も無かったよ」

仕留めたサラミス級2隻だけの艦隊‥ですらない特攻部隊を思い出しながら副官にそう話すと、副官は何かを考えるようなわざとらしい表情のまま、腕を組んで右手で顎を触ると

 

「最近かなり増えてきてますよねぇ…やっぱり噂は本当だってことでしょうか?」

と、私に尋ねて来る。私はそれがここ最近士官以下の連中の間で流行っている連邦の欧州反攻が近々行われると言うものだと理解した私は、鼻でそれを笑うと

 

「事実だとしても、欧州は北米からの輸送が主な補給手段だ。上からの透過はあくまでも不足している軍需物資だが数だってそんなに大量じゃない。ここで奴らがやってる無意味な特攻は戦略的には何ら影響を及ぼさない無駄死にだよ」

と、ただただ自分の持論を述べる。それは正しい事だが、副官の答えに対しての回答では決してない。それをわかってはいるが、副官は彼があえて答えを避けたことを理解し、ふん、と軽く鼻を鳴らすと

 

「ま、それで我々の評価をわざわざ上げに来てくれるのですから、良い事ではないですか」

と、副官が組んでいた腕を解いて肩を竦めた直後、オペレーターが二人の会話に割り込むようにこう報告した

 

「司令官、後任の第213パトロール艦隊です」

オペレーターがそう報告した直後、角無しの兜のようなヘルメットを被った恰幅の言い男がメインモニターに映し出される

 

「おぉドレン大尉が後任でしたか。これならば安心してこの宙域を託せますよ」

と、私は心からの喜びを込めてそう言って両手を上げる。それにドレンも上機嫌に笑うと

 

「ハハハ! 狭間の妖精からそうも信頼して頂けるとは感激の極みですな!」

と答える。私とドレンは戦前から面識があったのだが、ルウム戦役の際、彼の上官である「シャア・アズナブル中佐」…いや当時は大尉だっただろうか? 彼と肩を並べて戦い、最終的に私は被弾してしまい、彼の乗艦に乗せてもらったことをきっかけに彼とは交流を持つことになったわけである

 

「報告書には目を通しましたが、随分と敵が来たようですなぁ…」

ドレンの労うような尋ね方に、私はそうなんだよ、と露骨に疲れた様子を示しながら

 

「最近ヨーロッパ方面の衛星軌道はひっきりなしに敵が来るもんだからもうくたくただよぉ~…」

と、何とも階級が下の物しか周りにもモニターにもいないはずなのに気の抜けた…ともすれば上官にふさわしいとは間違っても言えない姿をさらす私を、怒る者はおらずとも呆れ笑うものたちばかり

 

「アッハッハッハッ! 相変わらず、おかしな方ですね貴方は!」

と、豪快に笑うドレンに侮蔑や嘲笑は含まれておらず、私が乗る艦のブリッジクルーたちもそれは同じだった(直してほしいな、という期待は向けられている)

 

「だからドレン大尉も気をつけた方がいいよ。連中こっちの対処能力を見極めるつもりでぶつけて来てる感じがするからさ」

と、釘を刺す俺に対してドレンも笑いを止めると、打って変わって真面目な顔で

 

「ご忠告感謝します。慢心は自分が最も嫌いな単語でありますので」

と言った直後、オペレーターが時間です、と告げてくるのでそれに分かったよ、と返し

 

「ではドレン大尉、時間も押しておりますので我々はここで、続きはまた今度、ソロモンで出会った時に」

とそう言って私が敬礼すると、それに合わせて副官やブリッジクルー全員が敬礼する。それにドレンも返礼と共に

 

「ハッ! 少佐殿も存分に英気を養われてください!」

と答え、そこで通信は終わり、私の乗艦を含めたムサイ(後)2隻がゆっくりとドレン大尉指揮下のキャメルパトロール艦隊、の左横を通り抜けてソロモンへ向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「司令官。予定通り連邦の警戒線とキャメルパトロール艦隊の捕捉範囲を抜けました」

と、オペレーターがそう言った直後、私は先ほどまでのおちゃらけた、おとぼけたと言ってもいい調子から一変

 

「そうか」

と、まるで氷でできた暗器のように鋭く冷たい印象を感じさせる冷淡な声で応えると、こう命令した

 

 

 

 

 

「現時刻より偽装進路を解き、作戦に従ってルナツー近海へと進路を取る」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し裏話をしよう。今回、私が率いる121パトロール艦隊はドズル閣下からの勅令を受け、キシリア閣下直属のジオン海兵隊の()()を目的に、同海兵隊が行うルナツー強襲作戦に参加することとなった

 

そもそもの経緯はルナツーの兵器工廠で生産されていると言う連邦軍製MSの情報収集、可能ならば実機の鹵獲か残骸の回収と現時点でのルナツーの戦力把握を目的に立案されたこの作戦は、宇宙攻撃軍と独立機動軍の両軍による連携作戦として立案され、主に宇宙攻撃軍は実働部隊として活動する海兵隊の補給など後方支援を任とすることになるのだが、悪名高いジオン海兵隊…()()「シーマ海兵隊」に対してドズル・ザビが信用ならない海兵隊だけで作戦を任せられないと私たち121パトロール艦隊にシン・マツナガ大尉をつけて実働部隊として参加させる…としたのだが

 

ところがこれ、嘘である

 

いやまぁ正確には建前とか方便とか表向きとかつくタイプのもので、実情は「え? 海兵隊やばくね? この冷遇と身内差別はあかんやろ」と実情を知ったドズル閣下が精一杯足りない頭を捻った結果なのである

 

ようは補給だとか後方支援で難癖付けたりちゃんと仕事しないとか差別がないようそう言うのが大大大っ嫌いな私と武人としての面がくそ強いうえに誠実なマツナガ大尉は鉄拳制裁くらいはしそうなので恐らく最良のメンツと言える

 

「へぇ、あんたがあの有名な狭間の妖精様かね。てっきりひ弱な小娘かと思ってたよ」

そしてジオン海兵隊旗艦、ザンジバル級「リリー・マルレーン」の艦橋に上がり、司令官である「シーマ・ガラハウ中佐」に出会って、開口一番に言われたのがこれである、噂に違えない素行の悪さだが、実情を知っていると、こう…なんというか、そうせざるを得ない彼女の境遇に哀れみを抱いてしまう

 

「っ……」

その気持ちが顔に表れていたのか、彼女は露骨に不機嫌そうに顔を顰める、そらに私がしまったと思ってはっとすると、彼女は呆気に取られた後に、面白そうにけらけらと笑い出す

 

「あっはっはっ、アタシ達に対して隠そうともしないやつは何人も見てきたが、まさか初対面で同情してくるなんて、軍人とは思えない純情少年じゃないさね」

艦橋内にはどう判断すればいいのか、と私に敵意を向けていたクルー達は互いに顔を見合わせるかシーマの方を見るばかりだが、彼女はそう言って私を見下ろすと、カラカラと笑っていた。しかしその笑顔の中に、艦橋に初めて入った時に感じたこちらを値踏みするような視線と激しい憎悪の感情を感じることはなかった。

 

「しょっ、初対面でいきなりなんだシーマ中佐!? だいたい私はもう少年と呼ばれるような歳ではないんだぞ!? 君よりは一回りは離れているんだぞ!」

と、この幼い顔立ちと158cmの低身長のせいでよく誤解されるが、私はこう見えてももう25歳の立派な男なのである…まぁ、そう見られたことはほぼないが……

 

「あはははは! 坊やが背伸びなんてするもんじゃないよ、ここが小さいから男に見てもらえないのさあんたは!」

と、私の抗議を受けてさらに初対面に対してとはとても思えない失礼な、侮辱とも取れる物言いである、しかしまぁ彼女自身からは見下しているような悪い印象を感じ取れなかったので、作戦のためにもここは仲良くするための第一歩にしよう、と割り切った私は、絶対にこの作戦後はこいつと関わらないからな! と心の中で強く決意しながら

 

「なっ!? い、いくら上官とはいえあまりにも失礼がすぎるぞ! 私だってこの見た目でも男に見てもらえるように精一杯努力しているんだからな!?」

と、わざとらしく両手を振って怒ると、それにシーマは意地悪げに笑いながら

 

「それで男らしく見てもらおうなんておかしな話だね、どうせ女受け狙って可愛こぶってるだけだろう? アタシは騙されやしないよ」

と、こっちの意図に気づいたのかは分からないがノリに合わせてわざとらしく額を右手の人差し指で小突いてくる

 

「うわっ!?」

しかし小突く力がかなり強い、指一本だけのはずなのに手で押されたかのような力強さに驚いた私は声をあげて後ろにには後ずさるも、それを見たシーマはまるで「ほら、坊やだ」とでも言いたげに笑っていた

 

「こ、こけにしてぇ!?」

と、流石に役とかノリとかでは済ませなくなった私が素の怒りを向けた瞬間である、私以外の人間には一切聞き覚えのない咳払いが響き渡る

 

「オホン! そろそろマツナガ大尉がいらっしゃる頃ですし、下のものに示しがつかないのでお二人共そこらでじゃれ合いはやめてくださいね?」

と、いつもかすかに微笑みを携えているはずな顔を真顔にしてそう言った私の副官の全身から溢れ出す怒りのオーラに、俺は冷や汗を浮かべながら顔をかすかに引き攣らせ、シーマも背中に氷を押し当てられたかのような冷たさを覚えたことから

 

「怒らせたらまずいなこいつ…」

と判断し、即座に

 

「あ、あはっはっはっはっ! いやわるかったねぇ少佐? いくら何でもちょっと言いすぎたよ!」

 

「いえいえ中佐殿! お気になさらず気にしておりませんので!」

と即座に笑顔で握手しながら和解する私たちの姿に、デトローフらリリー・マルレーンのブリッジクルーは全員は唖然とその様を眺めることしかできなかった

 

 

 

 

 

あの後マツナガ大尉を乗せた補給艦がすぐに到着したので、私たちはマツナガ大尉を含めて、全員でブリーフィングルームで今回の作戦についての説明を受けた

 

「ふむ…流石は海兵隊。見事な用兵だ」

と、説明を受けたマツナガ大尉は顎に手を添えながら、海兵隊が立案した今回のルナツー強襲作戦をそう評価した

 

「どう思う?」

私も副官に尋ねてみる。正直常道からかけ離れたものな上に、南極条約的にはグレーもグレーの行為ではあるが、-は、あれば確実に作戦を成功させることができる。そう確信できるほどの内容だった

 

「…正直に申し上げれば危険な賭けです。上手くいけば損害もほとんどなしで作戦を達成できるでしょうが、失敗すれば確実に生きて帰っては来れませんよ?」

と、素直に答える副官の顔には、いつも通りの余裕を携えた微笑みがあった。それに私は

 

「うちの副官がこう言うなら、間違いないってことなので、我々は指揮権を海兵隊にお譲りします」

そう、この作戦の要となるのは適切なタイミングと統制の取れた艦隊運動にかかっている。そこで海兵隊は増援として送られた我々を臨時で組み込みたいと言ってきたのである。俺自身は作戦内容を聞いて、道理であると判断したためにこうして許可を出したのだが…

 

「…本気かい、あたしらに部下の命を預けると?」

と提案した側が突如言い出してくる謎の不具合である。いやまぁそう聞く意味は良く分かる。なんせジオンの汚点とまで言われた悪名高いジオン海兵隊だ、同じジオン軍の中で、酷い連中は彼ら彼女らを人とも思わないってやつらもいると聞いたことはあるが

 

「今回の作戦は孤立無援の特殊作戦。戦力はザンジバル1隻とムサイ10隻。これでルナツーの艦隊とバトルして新型機を鹵獲するか残骸を回収しないといけないなんて無理無茶無謀の三拍子そろった任務をやらされるってのに、同じ味方を信用しなくてどうすんだよ」

少なくとも私は極限状態と言っても過言ではないこの極秘任務を前に詰まらないプライド云々を拘って死ぬのはごめんだ。その気持ちをありのままに告げると、副官のデトローフは殊更に驚いた顔をしてなんか一歩後ずさったまま固まってて、副官は表情微笑みのまま後ろで手を組んでるし、マツナガ大尉はよく言ったみたいなすっきりした顔のまま横目で俺を見るばかり。そして

 

「ハッ、こりゃ驚いたね…酔狂で言ってるなら後悔することになるかも知れないよ?」

と、シーマは虚を突かれたかのように、真顔とも驚きともとれぬ顔をしながら、次の瞬間には眉をひそめながら真剣なまなざしでそう言ってくる。その言葉を私は鼻で笑う

 

「なっ!?」

それを見たデトローフは驚き、シーマはピクリと眉が動く。私はそのままこう言い放った

 

「私があなた方を信頼したのは酔狂なんかじゃなく、ドズル閣下から資料として渡された海兵隊の戦歴を拝見した上での決断です。…まぁ、確かに海兵隊がこれまで実施して来た作戦はどれも危険性が非常に高く、損耗率も高い上に口に出すのも憚れるような恐ろしい任務でしょう」

事実だ。現に亡命者の粛清やスペースノイドの非協力的な難民の排除、連邦の病院船の破壊にサイド6から地球への物資を運ぶ民間団体の保有船舶を焼き払ったりと、文字通り非合法部隊の名に恥じぬ活躍ぶりだ

 

「…それを離反者を出すことも無くこなしてきたのです。それが組織に対する忠誠なのか、それともまた別の要因によるものなのかは私の知るべきことではないでしょうが、私はその能力から部下たちを任せるに申し分ないと判断した。ただそれだけです」

そう、私が信じたのはそこだ。どれほど非合法な任務に従事していようと、彼女たちは任務を放棄したことはただの一度もなく、仲間の命を常に第一に考えながら忠実に任務を達成してきた。だからこそ部下の命を預けてもいいと、そう私は思えた訳である

 

「…いささか言葉足らずだろうが。私もマシャール少佐と同じ思いです。中佐殿」

と、これまで口をつぐんでいたマツナガまでもが同意を示す。それに驚くばかりのデトローフと、驚きと言うよりは動揺の色が隠し通せないシーマに対し、マツナガは続けて

 

「私は武人だ。見たままにしか物事を捕らえられぬ阿呆だ…その阿呆から見て、あなた方は信を置くに値する方々であると小官は確信しております。是非私を指揮下に置いていただきたい」

お願いしますと、そう言って深く頭を下げるマツナガに、私も同じく深く頭を下げ

 

「私と、部下たちの命をよろしくお願いします」

と、そう私が言うのに合わせ、副官は無言のままに私と同じように深く頭を下げる

 

その下げられた頭に、さしものシーマも、状況を飲み込めぬままに首を縦に振り、承諾を示すことしか出来ないのであった


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