ドラゴンボール()   作:yosui

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ドラクエの魔法で1番好きなのはルーラです。

前の話で悟飯の年齢28になってたの修正しました。
22歳です。


天使の影

 孫悟天がヤードラット星に降り立って半年が過ぎた。当初の予定では宇宙船の修理と食料の調達さえ出来ればすぐにでも新ナメック星へ向けて旅立つつもりだったのだが、この星のエンジニアに見せたところ技術体系が違い過ぎてマップ機能を直せないと言われてしまったのだ。

 

 そうなるとそれこそこの星から宇宙船で出て行くことすら危険なので、失礼を覚悟で宇宙船を譲ってくれないかと言ったところあっさりOK。宇宙船を譲ってくれたヤードラット星人に盛大な感謝を述べて飛び立とうとしたら、今度は座標が乗ってきた宇宙船の仕様に則ったもので、譲ってもらった宇宙船に入力出来なかった。

 つまり詰みである。

 

 そこで、一連の流れを見守っていたこの星で1番偉いと思われるヤードラット星人がこう提案してくれた。この星で修行して瞬間移動を覚えないか、と。一も二もなくそれに飛びついた悟天、しかしまたしても習得は簡単にはいかなかった。前にも言ったが、孫悟天は気を探る修行は全く行っていなかったのだ。瞬間移動という技は相手の気を感知してそこに向かって移動する技。そもそも気の感知が十分出来ていなければ使えない技なのだ。

 こうして孫悟天は、まず気の感知の修行から入り、約半年をかけて瞬間移動をマスターしたのだった。

 

 その頃地球では、前の戦いで片腕を失った孫悟飯が自身の全てを賭けて人造人間を倒しに向かおうとしていた。まだスーパーサイヤ人にもなれない自身の弟子であるトランクス、一緒に戦うと言ってくれた彼を気絶させ、奴らに見つからないように横たわらせる。

 

「すまないなトランクス、もし万が一俺が負けたらあとはお前だけが頼りだ。必ず過去のお父さん達に会ってこの未来を変えてくれ」

 

 その言葉にはどこにも悲壮感は無い。それどころかどこか晴々とした気色さえ感じとれた。この時彼は既に決意していたのかもしれない。自分の身をもってトランクスの成長の糧とする。そういう決意を。

 

 悟飯と人造人間達の戦いは苛烈を極めた。これまでの戦いで2対1どころか片方ずつどちらかが戦うだけでも勝てていた人造人間達は、まるで命を燃やしているかの如き孫悟飯の爆発的なパワーの上昇によって少なからずダメージを受け、初めてその表情を怒りに染めていた。

 

「調子に乗るんじゃないよ!」

「ぐあっ」

 

 全力でもって17号を追い詰めていく悟飯。だがそうなると流石に18号が黙って見ているはずもなく、横合いから蹴りを放たれたその衝撃で悟飯は倒壊寸前のビルへと体が吹き飛ばされる。

 

 2対1、それも片腕を失った状態での戦いは、やはり悟飯の圧倒的不利な状況だった。スーパーサイヤ人の長時間維持の修行をしていない悟飯はスーパーサイヤ人になっているだけで莫大なエネルギーを消費してしまう。残されたエネルギーはあと僅か、最後の一撃に賭けるしかもう手はなかった。

 

「これでお前達を粉々にしてやる! 波ぁーーっ!!」

 

 右手に限界まで集めた気を全力全開で放つ悟飯。亀仙人から受け継がれ父孫悟空に教わったカメハメ波を、悟飯は片手で人造人間達に向かって撃ったのだ。青白い光が周囲のビル群の窓ガラスに反射してキラキラと輝く。

 やがて一筋に伸びていた光も収まり、人造人間達が立っていたそこには、相変わらずの出立ちでちょっとだけ驚いたような顔をしている17号と18号の姿があった。

 

「クッ、やはりダメかっ」

「惜しかったなお前。どちらか一人だったらやられていたかもしれないぞ」

「ふん、そんなこと言いながら一人でもやられはしないんだろう?」

「そんな事はないさ、18号だけなら今ので確実にやられていた」

「ああん? まるで私よりあんたの方が強いみたいな言い草じゃないか?」

「事実だろう?」

「ちっ、後で白黒つけてやる。それよりこいつはどうするんだい、17号?」

「流石にこいつと遊ぶのも飽きた。殺してしまおう」

「だね、それじゃあバイバイ、孫悟飯」

 

 数メートル先で突き出された人造人間達の手にエネルギーが光っているのが見える。だが、もう悟飯の体は動かすことも出来ないほどに消耗していた。その光を見ながら思い出すのは、トランクスのこと、ブルマのこと、一人残してしまう母のこと、そして未だ行方がわからない弟のこと。

 

(すまないトランクス。すまない母さん。弟よ、孫悟天よ。もし生きているのなら、皆んなを頼む)

 

「死ね!」

 

 光が放たれた。ああ、これで1秒もしないうちに悟飯の命は散ってしまう。

 

 その時。唐突に光が遮られた。着弾して既に死んでしまったのか? いや違う、誰かが急に悟飯とエネルギー弾の間に現れたのだ。悟飯はその何者かに早く退くように言おうと残った力で顔を上げる。

 

 シュンシュン。という音の後、遠くで爆発する音が聞こえた。目の前の人物がエネルギー弾を弾いたのか? まさかトランクスが? そう思ってもう少しだけ顔をあげる悟飯。そこには、いつかの幼い日にも見た独特な衣装を見に纏い、ツンツンとした特徴的な髪を風に揺らした男が一人。

 

 父の姿が見えた気がした。




地球に帰ってきました。あれれー? おっかしーぞー

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