ドラゴンボール()   作:yosui

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ブルマはドラゴンボールで最強の女性だと思うわ。


ブルマとの再会

 人造人間を倒した悟天は、そのままパオズ山に帰ることはせずに一度トランクスの家に向かうことにした。と言うのも、ブルマが今作っているであろうタイムマシンを見ておきたかったからだ。

 

 この時代、まだブルマはタイムマシンの作成中か、もしくは作成前の構想段階だ。どちらにしろ今この時に人造人間を倒してしまったことで一番最初に影響を受けるのはここだろう。原作ではこのタイムマシンを使ってトランクスが過去へと戻り過去の悟空たちと共に人造人間セルを倒して帰って来る流れになるのだが、今の状態だとブルマがタイムマシンを作らなくなってしまう可能性が十分にあった。

 

 ここでタイムマシンが作られずにトランクスが過去へと行かない。これは悟天たちが生きている今には影響しないが、トランクスが行かなかった過去では別の絶望の世界が生まれてしまう事になるだろう。悟天はそれを良しとしなかった。元々悟天の目的は原作通りの流れで物語を進めることだ。これは絶望の世界になってしまった今でも同じで、こうなったからにはトランクスを過去へと送ることこそが原作の正しい流れと言える。つまりここでタイムマシンの作成を止めてもらうわけにはいかないのだ。

 

「トランクス。君の家は本当にこっちなの? 前にブルマさんの家に行った時と道とかがずいぶん違うから分からないんだけど」

「はい、合ってますよ。家の場所も悟天さんが居た頃から変わってないと思います。たぶん周りが破壊され過ぎてて違う場所に見えてるんじゃないでしょうか」

「そうか。お! ホントだ! ブルマさんの気を感じる! 瞬間移動する?」

「いえ、良ければこのまま飛んで行きませんか? 今俺すごく飛んでたい気分なんです」

「分かった。別に急ぐわけじゃないしね」

 

 ゆっくりと時間を使って飛んで、ようやくブルマの家へと到着した悟天たち。以前見た時よりボロボロになった建物は、現在では広い土地に複数ある建物の一つしか使っていないようだった。

 

「家の建物の中で地下にシェルターがあるのはこの建物だけだったそうです。だから他の建物は今はほとんど使っていません」

「そうなのか。随分変わったなぁ、この10年で」

 

 入り口から中に入るとすぐ近くに地下への階段がある。ずっと地下で生活しているわけではいらしく、一階の他の部屋にも生活感があった。

 トランクスの案内で悟天は地下へと降りていく。彼にによると、ブルマはこの時間なら地下でタイムマシンの製造を行なっているらしい。

 シェルターと言うだけあって少し深い所まで続く階段を降り終え鉄のような素材で出来た扉を開くと、中ではジリジリという音と共にピカピカと眩い光が点滅していた。

 

「母さんは作業中みたいですね。あの光と音は溶接の際に出るものですから。僕が母さんを呼んできますので、悟天さんはそこにある椅子にでも座って待ってて下さい」

「分かった。じゃあ待ってるよ」

 

 悟天が頷くと、トランクスは早足で作業中のブルマのところへと向かって行った。その後5分ほど経ってから、トランクスが溶接用のマスクを被った人物を後ろ手に引いて連れて現れる。

 

「母さん、ほらこっちです」

「ちょっと待ってトランクス。合わせたい人が居るのは分かったけど、もうちょっとで今やってる部分の作業が終わりそうなのよ」

「そんなの後で大丈夫ですよ。それより早く早く!」

「もうしょうがないわね。トランクスがこんなにはしゃいでるのなんて久しぶりだし。ちゃんと先に会ってあげるから、手を引くの止めなさい」

「あ、すみません。つい」

 

 マスクを被ったままなのと、トランクスの体に隠れているのとで悟天の事がまだ見えていなかったブルマは、トランクスのはしゃぎようから自分に会ってほしいという人物の事が俄然気になり始めていた。

 マスクは溶接の光での失明を防ぐためにサングラスの様に視界が暗く光を遮るようになっている。そこから見える客人はシルエットに近いボヤッとした感じでしか見えていない。だが何処か懐かしいつんつん頭から、ブルマは悟飯だろうかと当たりを付けてついに溶接マスクを脱いだ。

 

「こんにちはブルマさん」

「え……? 孫……くん?」

「違いますよ母さん。この人は孫悟空さんではなくて、孫悟空さんの息子で悟飯さんの弟の孫悟天さんです」

「ええ!? ご、悟天君!? 帰って来たの!?」

「はい。ほんの数時間前にようやく帰ってこれました。大変でしたよ」

「大変だったのはこっちよ! もう十年以上も経ってるのよ!? 通信も繋がらなくなるし、位置はつかめなくなるし、チチさんには何回も詰め寄られたんだから!」

「ははは、それについては本当にすみませんでした。色々あって宇宙船がボロボロになっちゃって」

 

 しばらくブルマは悟天にどれだけ大変だったかを話し続け、それはトランクスが止めに入るまで終わることは無かった。悟天はその間、申し訳なさそうに黙ってブルマの話を聞き続けた。ブルマは強い女性だがこの十数年で大切な人が次々亡くなっている。それがこうして帰って来る者が居たことが嬉しくなり、ついつい話が止まらなくなっているのだとブルマの顔を見て察していたからだ。

 

「母さん。それともう一つニュースがあるんです!」

「ニュース? その顔は良いニュースかしら?」

「もちろん! ここ数年で一番いいニュースですよ! なんたって人造人間17号と18号がこの世から居なくなったんですから!」

「ええ!? それってもしかして!?」

「はい! ここに居る孫悟天さんがあっという間に人造人間たちを倒してくれました! 本当に凄かったですよ。あの悟飯さんでさえ二人同時に戦うのは苦戦していたのに、どちらもほぼ一撃で倒してしまったんですから!」

 

 ブルマはトランクスの話を聞きながら、未だ申し訳なさそうに苦笑いしている悟天の顔を見た。悟天の顔は自分がまだ十代の頃出会って、何度も何度も地球を救った孫悟空の顔にうり二つだ。悟空がこんな困ったような顔をすることは無かったので態度で悟天だと言うのはすぐに分かる。けれども雰囲気と言うか、時々見せる何処かあっけらかんとした笑顔は本当に悟空が目の前に居るようなそんな気分にさせてくれる。

 

「そう、悟天君が人造人間たちを倒してくれたのね。本当にありがとう。ふふふ、それにしても不思議だわ。私は人造人間が現れてからずっと孫君が生きていればと何回も思ったの。それが今日、孫君にそっくりの悟天君が帰ってきて人造人間を倒してくれたなんて、今も夢を見てるんじゃないかと思ってるぐらいよ」

「はは、だとしたら俺も悟飯さんも皆同じ夢を見てることになっちゃいますね」

「ちょっと複雑ですけど、ブルマさんにそう言って頂けて嬉しいです」

 

 将来髪型変えようかなと真剣に考えながら、悟天はブルマとの話を続けていく。本当に重要な話はここからだ。

 

 




なんか長くなったので途中でぶった切りました。

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