「おかしいな・・・・・」
ここまで荒れた状態じゃなかったはずなのに。クラスの全員で教室の雰囲気を少し変えたことはあるけど少しの間でここまでは変わらなかった。たぶんプロの誰かがやったんだ。じゃなきゃこんなことできるわけない。うん、それで納得しておこう。それより、どこに行こう?
「・・・あの広場でいいか」
広場にはもう椅子が一つあるだけだ。ヒガンバナは一つもない。最初からこれだけしかなかったみたいだ。
「う~ん、ここじゃ何もできないなあ・・・」
困った、どうしよう。
「・・・・・あの部屋に行く?」
正直やだなあ・・・でも・・・・うん・・・・・
少し扉を開けてこっそりのぞいた。・・・もう部屋は掃除されていて、血も紙もない。でも、ベッドだけ残ってる。
「良かった。この下にしよう」
安心して中に入った。
「あ・・・寝ちゃってた・・・」
音無し、人も無しで、つい寝ちゃった。まあ仕方ないよね。
「ま、この部屋から出よう」
窓から月明りが道を示すように差し込んできてる。変な音も聞こえないし変な人もいない。けど、何をすべきか分からない。
「まあ・・・光についていこうかな?」
半分やけくそだ。
光の先には上への階段があった。どうやら屋上に出れるみたい。外は雨だけど文句を言える状況じゃない。
「上から見渡せばここがどこか分かるかも」
前が見えるから安心して上がれる。
「雨と金網でよく見えない・・・・」
何か分かると思ったのに、また立ち往生だ。・・・・帰ろうかな?
「・・・ん?あれは・・・・・」
見たことあるような人達が外で列を作ってる。・・・思い出せない、それも今更のことじゃないけど。見たところしばらく動かなさそう。
「あのー、ちょっといいですか?」
『』
「聞こえてますか?」
『』
「だめだ・・・」
聞こえてないのか、意地悪なのか分からないけど、反応がない。困るなあ。
「直接行こう」
階段を急いで降りた。
雨で濡れていたから足を滑らせた。
「痛い・・・・」
あれからしばらく動けなかった。思ったより痛かったから。
「うう・・・」
まだ痛くてうめいてる。
「何してるの?」
「え?」
声がした方を見ると女の子がいる。
「だ、誰?」
「・・・」
「その~」
「ごめん、私もう行くから」
「え、ちょっと!」
女の子はそう言ってガラス扉の向こうへ行った。追いかけないと。
「まだ痛むけど、我慢しよう」
歩き始めて、女の子が入ったガラス扉を開けた。また階段がある。
「どっちに行ったんだろ」
外は雨で、この上はもう屋上だからたぶん上はない。下だ。
「もう遠くなっちゃったかな・・・」
少し不安になりつつ進んだ。