東方雲入人道~人間と妖怪の共存~   作:大剛毅

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今回はヨウマと外の世界との接点や関わりが出てきます。
あと少し他の方の小説とか読んで少し書き方変えてもようかなと思いまして
少し書き方変えてます。


第22話「幽霊調査とロボットの墓」

「ったく!そんなに言わんでもいいのによ...」

そう悪態をつきながら襖を締める。

さっきまで風邪引いた修行僧で入道使いの一輪に理不尽にも『変態』と罵倒されていたのである。せっかく薬とか、命がけで取ってきたんだがな..

まあ、変態って罵れるくらいは元気だ。今日一日安泰にしとけば明日にはもう復帰できるだろう。

そう思いながらまた外に出るため自分の部屋に行こうとすると

「あっヨウマさん。少しお話よろしいですか?」

ここ、命蓮寺の住職である聖白蓮に呼ばれた。

 

 

「なに、外からやってきた亡霊だと?」

「はい、どうやら何年か前に彼岸から逃げた亡霊が幻想郷に来ているとの話が入りまして」

頼み事があると話を聞いてみりゃ、どうやら何年か前に亡くなり、閻魔の裁きを受ける前に三途の川の船を強奪して行方不明になった亡霊がこの幻想郷に来ているという話だった。

「それで、頼みってのはその調査を俺にしてほしいというわけだな」

「はい、私はここを離れるわけにはいかないのと、外の世界の亡霊ですのでヨウマさんならば話が通じるかと」

まあそうだな、亡霊といえど外の世界で死んだ奴の霊だ。同じように外から来た俺なら、まあ外国人や相当歳食ってるやつ以外なら、コミュニケーションは取れるだろう。

「しかし、なんでそいつが外から来たということが分かったんだ?」

「この幻想郷にはサボってばっかりの死神がいて、その死神から聞きました」

サボりな死神って..大丈夫なのかそれ?

「よしわかった。んじゃ行ってくるとするかな」

「あっお待ちください!ヨウマさん一人では大変でしょうから、彼女と一緒に調査をお願いします」

「彼女?」

 

 

「でええええこうなるんかよ!」

俺は今、空を飛んでいる。一緒に調査する相手は紫色の傘を持った少女..唐傘お化けの小傘だ。

前に変な鳴き声を調査したのと同じで、こいつの体にしがみついて空を飛んでいるというわけだ。大蜈蚣が俺と小傘に巻き付いて、命綱代わりになってくれているが怖い..

「そもそもなんで、お前と一緒の調査なんだ!?」

「しょうがないじゃないですか、一輪さんは安静にしなくちゃいけないので」

そう本来ならば聖は一輪と俺に頼む予定で、雲山の手に俺が乗って飛んで探すという算段だったが..

一輪は体調不良になって安静にしている。それで困っていた聖に自分から協力すると申し出たのが小傘とのこと。前に一緒に飛んだことがあるからだとか、いやそもそも飛ばないで調査したほうがいいんじゃねえかな?

「とにかく、どこに向かおうってんだ?」

「無縁塚です」

「無縁塚だと」

無縁塚は幻想郷に存在する場所である。聖に話を聞いたところによると弔ってくれる縁のない者の墓地であるという。人間の住む場所は限られているので、里の人間には縁のない者は存在しない。なので、ここに埋葬されている者は「俺と同じ外の世界から来た人間」だ。おそらく、俺の別の末路だ。人間、妖怪問わずここは危険な場所とされている。なんでも、外の世界だけじゃなく、冥界ともつながっているのだとか。

外の世界にも冥界にも近い、例の亡霊が確かにいそうだな。

「着きました!」

そう言って大地に降りる小傘。俺も大蜈蚣もようやく地に足を付けることができて安心する。

「ここが無縁塚..」

墓場といっても墓標もなにもなく、ただの石っころが転がっているだけだった。

この石っころはおそらく墓石代わりなのだろう。

とりあえず、その墓に合掌し黙祷する。

「見てくださいヨウマさん!変な人形が落ちてますよ?」

「変な人形って、えぇ..なんでお前こんなところ落ちてるんだよ..」

小傘の持ってきた人形がここに落ちている事に動揺する。なぜなら元祖スーパーロボットの人形だからだ。

「あー、腕が取れちゃいますね。これ壊れちゃったんですかね?」

「いやそれ、壊れたとかじゃなくてもともと取れるんだよ。ロケットパンチで腕飛ばすからな」

「ヨウマさん、この人形のこと知ってるんですか?」

「まあな。昔テレビで見ていたよ、といってもリメイクの方なんだけどな」

「?」

アニメの話とかしてもわかんねえか。

しかし、無縁塚には外来人だけでなく外の世界の物が流れつくらしい。周りを見てみると外の世界で見たことのあるものが、ゴロゴロ落ちていた。

ゲッターに機動戦士..ってロボット多くね!?

「はぁしっかし、物が落ちてるだけだな..小傘次行くか」

俺は振り返って人形で遊んでいる小傘に次行くよう言う。すると小傘は悲しそうな顔をして

「ヨウマさん..この子たちやっぱりおいていきますか..」

涙で潤んだ瞳でロボットを見つめている。そうか、こいつは唐傘お化け。捨てられた傘が妖怪化したやつだ。捨てられたものに関しては思うことがあるのだろう。

「いや、懐かしいからな。少しだけでもいいから持っていきたいって思っててよ。小傘も持ち帰るの協力してくれるか?」

「はい!」

俺の言葉を聞いて小傘の顔はパァーっと明るくなり、ロボット達を拾い始めた。

「しかし、捨てられた物が妖怪になるということは、こいつらも妖怪になるのか..」

ロボットが妖怪になったらすげえことになりそうだな..特にこの伝説巨神なんかやばそうだな..

「ヒャアアアア」

「小傘!?」

物を拾っている小傘の悲鳴が上がる。俺は悲鳴の元へと大蜈蚣と共に走るが。

「うおおおおおお!?」

俺もビビっちまった..石の上に座る俺と同じくらいの身長の朽ちたロボット。朽ち果てた姿はとてもおどろおどろしく、力尽きたように座っている。

「な、なんで座っているんですか?」

「俺が聞きてえよ..」

ここは基本妖怪も人も来ねえ。なのにこいつは誰かの手で座らせられている。

朽ち果てたロボットの下には、多数のおもちゃのロボット達の残骸が積み重なっている。

そこで俺は妙な点に気づいた

「なあ小傘、ここには外の世界の物が流れつくにしてはロボットしか落ちてないよな?」

「そういえば..この子たちくらいしか見かけてないです..」

そう、外の世界の物が色々流れつくはずなのに、ここにあるのはロボットしか落ちていないのだ。まるで誰かが意図的にロボットだけを残したかのように..

「おそらくだが、誰かがここにロボットだけを残しているのかもしれねえ..」

「誰かって..誰ですか..?」

「そこなんだよな..」

一体だれがやったのか、人間も妖怪も入ってこないこの場所でだ..おそらくだが

「外来亡霊の仕業かもしれねえな」

しかし、ロボットだけを集めている理由がわからない。よっぽどのロボットオタクなのかもしれない。

「もしかしたら、ここを拠点に活動しているのかもしれねえ。ここで待ち伏せしたいところだが、三つの世界と交わっている危険な場所だ。長居は出来ねえ、一回かえって聖に報告だな」

それに薄気味悪いからな..

「はっはい!」

飛ぶために小傘の体にしがみつこうとすると、ロボットは糸の切れた人形のように力なく石の上から倒れた。

「キャアアッ!?」

「ちょっ小傘!まだ準備が!」

倒れたロボットに驚いた小傘が急上昇する。こっちは心の準備もしてねえし、大蜈蚣も巻き付き終わってねえから落ちる可能性が高い!

「グオオオ!」

小傘は驚いてパニックになっており激しく飛んでいる。振り落とされないように命がけでしがみつづけた。

 

 

「はあ..はあ..死ぬところだった..うっぷ..」

パニックになった小傘にしがみ続けて、ようやく命蓮寺の境内へと降りることができた。

激しく飛んでいた影響で、胃の中のものが出かけたがなんとか堪える。

「怖かったです~」

小傘は命蓮寺についた瞬間安心したのか、俺に抱き着いてきて大声で泣いていた。

そんな状況で目立つなという方が無理で、参拝客にめっちゃジロジロみられるわ、ちょうど外の空気を吸いに来ていた一輪にひっぱたかれるわ、その影響で吐きそうになるわで踏んだり蹴ったりだ..

 

 

「それは大変でしたね..」

苦笑いしつつも、労ってくれる聖。俺は無縁塚であったことを全て話した。

「なるほど..意図的に集められたロボットが..」

「あぁ、まるで墓のように座らされていたロボットに、積みあがっている残骸。おそらく外来亡霊のしたことだろうな。待ち伏せしようとも思ったが、あそこは三つの世界が交っているからな、俺と小傘じゃ長居できねえな」

「ふむ..これは改めて私が調査する必要があるかもしれませんね」

残念だが冥界や外の世界に行ったときの対処は俺にはできねえ。だから、聖みたいな力の強い人物と一緒にいなければ、危機に対処は出来ねえだろう。

「話は聞かせてもらったわ。私も行くわ!」

「一輪!」

どうやら俺たちの会話をこっそり聞いていた一輪が、花京院のように柱の陰から出てきて協力を申し出る。

しかし、彼女は今日一日安静にしなければならない。

「しっかり寝てろよ」

「一輪、今日は一日安静にしなさいって言ったと思いますが..」

「うっ..私はもう大丈夫です!」

安静にしなければならない一輪に大人しくしてるように聖と言うも、奴は大丈夫だとアピールする。

 

「自分で大丈夫って言ってるうちは大丈夫じゃねえんだよ」

「うるさいわね!寝ているだけだなんてできないわ」

要はこいつ退屈なんだろうな。修行もできねえし、かといって出かけられねえし。

「はいはい、暇なら俺が話し相手になってやるから。聖すまない、調査を任せちまって」

「いえいえ、一輪のことしっかり診ててくださいね」

聖に無縁塚の詳しい調査は任せて一輪の腕を掴み彼女の部屋へと引っ張る。

「ちょっと!なんでアンタの世話にならなきゃいけないの!」

「はいはい、病人は寝ましょうね~」

「ちょっと聞いてる!?」

 

 

ギャーギャー騒ぐ一輪を部屋へと連行し、とりあえず布団へと寝かせる。

一輪は頬を膨らませて不機嫌そうだ。

「せっかく聖様と行動できると思ったのに..」

「まあそうぶーたれるな。安静にしてなさい」

とりあえず不機嫌そうな一輪の頭を撫でた。思いのほか少し嬉しそうな顔をしていた気がしたが、またいつものように

「触らないでよ変態安静

と罵られるのだった。変態って否定する気はもうねえ。とりあえずなんか話題振っておくか

「そういや、無縁塚まで亡霊調査をしたんだが、これを拾ったんだ」

「なにそれ?」

「俺の過去話したときに一緒に話したロボットだよ」

「あぁ!あんたが言ってた雲山より強いロボット?...フッ、なによ雲山の方がかっこいいわ!」

うっ、まあ確かに昭和に作られたものだから装飾とかがしょぼく感じる。

「こんなの雲山の拳で一発ね!ほかにもあるの?」

「おう、ほかにもいろいろあるぞ」

ロボットはやはり珍しいのか、一輪は興味津々にロボット達をみていた。

捨てられ、忘れ去られて無縁塚にいた時はどこか寂し気だったが、今はロボット達が輝いているように感じた。

 

 

 

「ふむ、ヨウマさんの言った通り、形跡がありましたが..おそらくもうここを離れていることでしょう」

ロボット達の墓標を見ながら聖は空を見る。

外の世界から来た亡霊はおそらく彼岸の時に来たと予測する。

外の世界の物を扱っている店の者がいて、よく彼岸の時にここにきて色々拾っていくが、ロボットだけ放置するとは思えない。おそらく、外の世界の亡霊が接触してロボットだけを残してもらったかもしれない。

「一体どこにいってしまったのでしょう..」

 

 

 




大量のロボット達の墓標..犯人は私と同じロボット好きだ!

私がロボット好きでまあ書いたと思われるかもしれませんが、一応しっかりとした理由はありますのでご安心を。

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