東方雲入人道~人間と妖怪の共存~   作:大剛毅

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さて今回は花映塚の二人が登場します。


第23話「幽霊調査と死神」

「ふふん!やっぱり雲山が最強に決まっているわ!」

そう高らかに宣言し、胸を張っている修行僧一輪は俺の持って帰ってきたロボット達を見て勝ちを確信する。

「これはおもちゃだ、実物はもっと強いし!おもちゃ程度に勝ってよろこんじゃうとか、一輪さんぷぷぷ」

好きだったロボットを馬鹿にされイラついた俺は一輪を挑発する。

「なんですって!」

もちろん挑発にキレた一輪が俺に掴みかかってくる。

「なんだよ!」

俺も負けじと抵抗する。

ドッタンバッタン大騒ぎだ。

「二人とも静かに!」

「「はい..」」

俺たちの騒ぎを聞きつけた、毘沙門天の代理である寅丸に二人そろって怒られてしまった。

 

「一輪。貴方は修行した自分は冷静さを失わないなんて言ってなかったかしら?」

「うっ、それは」

意外だな、一輪がそんなこと言ってたんだな。俺の前だとバリバリ冷静さ失っているような気がするんだけど。

「とにかく、一輪もヨウマさんもしっかり修行した方がいいと思います。では」

そう言い残し去っていった寅丸代理

 

「お前、冷静のれの字もねえじゃねえか」

「うっ..」

それを指摘すると一輪は何も言わなくなってしまった。

ジッと見つめていると

「あ..あんたも、妖怪が嫌いって言ってた割に今は小傘達にも甘いじゃない!」

やっと口を開いたと思ったら何言ってんだ?

「いや、その話今関係なくねえか?」

「関係あるわ!」

「どんなふうに?」

「そ..それは..あんただって、昔言ってたことと今の状況が全然違うじゃない」

「それで?」

「だから私だけがあんたに一方的に言われるのは癪だってことよ!」

ただの意地張りか。

「はいはい、安静にしましょうね」

「もう!」

適当にあしらいそのままロボットをいじくりまわす。

いじくりまわしていると俺は一つの違和感に気づいた。

「これって..」

 

「ヨウマさん!聖様がお呼びです!」

じっくりロボットを見つめていたら、響子が襖を思いっきり開けて俺を呼ぶ。

「うお!襖開けるときは事前になんか言え」

「あっごめんなさーい」

うっかりした~といいたいばかりに頭に手を当てて笑っている。

「はあ次気を付けてな」

「は~い」

呆れつつもとりあえず注意しておき、そのまま聖の元へ向かおうと立ち上がる。

「あっ、響子。一輪がここから出ないように見張っててくれ」

「はい!」

「ちょっと!待ちなさい!」

「はい、一輪さん安静にしましょうね~」

一輪のことだ、おそらく聖のところへ行くだろう。

だから響子に任せるとするか。

 

 

「で、調査結果はどうだった?」

俺の問いに聖は静かにあるものを差し出す。

「これは、無縁塚に落ちていた残骸じゃねえか」

差し出したのは朽ち果てたロボットの近くに積みあがっていたロボットの残骸だった。

「一応持ち帰ってみたのですが、件の亡霊はヨウマさんの言う通り意図的にこれを集めていたのでしょう。

外の世界の物を収集している者がいるのですが、その者が敢えて残したあたりおそらくですが、亡霊が彼と交渉して残してもらったと考えてます」

あの無縁塚に物を回収しに来るとは、相当な強者がいるんだな..

「それで、このロボットの残骸から何かおかしな点等はありましたか?」

「あぁ、今この残骸を見て確信したよ、おそらくだが亡霊は部品が狙いだな」

「部品ですか..?」

そう、さっきロボットをいじくっていて分かったが、金属部品だけが抜き取られていて、ソフビみたいなビニールの所だけは残っていた。聖の持ち帰った物は超合金シリーズで腕だけ金属になっているはずなのだが、腕部分は無くなっており、残りのプラスチック部品しかない。

「金属製の部品だけなくなっている。おそらく金属を集めるのが目的なんだろうけど、なぜロボットだけなのかという点が引っ掛かる。ほかに家電とかが落ちていればそれを使えばいいのに..」

考えれば考えるほど、謎が多い。亡霊の考えていることがわからない。

「無縁塚にはもう既にいないかもしれねえな。回収し終わって残骸をあそこに積み上げて残しておいたんだろうな」

「はい、それだけは確かですね。さっき言った外の世界の物の収集家は彼岸の時に来るそうなので」

「一カ月くらい前か..だとするとなんで今その存在が確認できたんだ?」

「おそらくですが、死神達だけで探していた。けど見つけることができずに私たちに協力を要請した..ということだと思います」

自分たちだと探せねえから、幻想郷に助けを求めたというわけか..ん?てことは

「霊夢や早苗たちにもこの話は行っているのか?」

「はい、多分そうだと思いますが..」

「それなら、早苗と霊夢にも聞いてみるとするかな」

早苗はともかく、霊夢の奴が亡霊見つけたらどんな目に合わせるか分かったもんじゃあねえな..

おそらく秒で『成仏しなさい!』って言われて即消滅だよ..同じ外の世界から来た奴だ、少しは話をしたい。だから、霊夢より先に見つけねえとな..

 

 

「てなわけで、亡霊についてなにか知ってるか?」

「知らないわよ!!」

開口一番知らないわよと言い放つ紅白巫女の博麗霊夢。相変わらず神社には人はおらず、霊夢は母屋の中で座っている。

「死神に頼まれたんじゃないのか?」

「あぁ、その件ね。別に外の世界から来た人間の霊なんて珍しくないわ」

そういいながら呑気にお茶を飲んでいる霊夢。

まあ、この世界じゃ霊魂とかそういったものは珍しくないんだろうな。前の宴会でも幽霊みてえなの連れていた子がいたしな。

「そんなことよりあんた、うちの神社を陰で貶してないわよね?」

「...」

笑顔で聞いているけど、目が笑ってねえ..しかし、俺が守矢神社を見て心の中で馬鹿にしていたことを察知するとは..どうなってるんだ?

「ねえ、結局どうなの?」

「...全然。俺調査しなきゃいけねえからじゃあな!」

俺はそのまま後ろを向き、全速力で駆ける。

「ちょっと待ちなさい!」

霊夢が俺を呼ぶけど、立ち止まって振り返ったら死ぬ!

 

 

霊夢から逃げ切り、人間の里へと避難する。

博麗神社の次は守矢神社へ聞かなければならないのだが

「次は守矢神社なんだが..ロープウェイがなー」

守矢神社はロープウェイで行かなくてはいけないので、少し面倒だ。

明日行くか!と思っていたら。

「ヨウマさーん!」

と噂をすればなんとやら、どうやら里に守矢の巫女早苗がちょうど来ていたみたいだ。

「おう、早苗。里でなにしてたんだ?」

「布教活動の方を少々。ヨウマさんは一体どうしたんですか?」

「あぁ、実はだな..」

 

早苗に外来亡霊の話をしたら

「えぇ!外来亡霊がここにきているんですか!?」

いや、初耳だったのか。

「あぁ、それで霊夢とかに何か情報がないか話を聞いて、次は早苗の所に聞こうと思ったんだが、反応的に知らないみたいだな」

「はい..神奈子様も諏訪子様も何も..」

「そうか、二柱もお前につたえてないということは知らないのだろうな」

内心山の上まで行かなくて済むのは俺にとっては超ラッキーだ。

「まあ霊夢の方も調査する気はねえから収穫はないんだ。死神に直接聞くのがまあ手っ取り早いんだがな」

「あっそれでしたら!」

早苗が手を合わせて笑みを浮かべる。何を思いついたんだ?

 

 

「いや、死神ってサボっていいのかよ..」

「普通はだめですけどね..」

早苗に連れられて少し日の当たるところに出たと思えば、死神だと一目見て分かる鎌を近くにおいて気持ちよさそうに寝ている、赤髪のツインテールの女性の死神だ。リンゴ好きのあいつを思い浮かべたんだがな。死神っておもしろ。

「しかしまあ、こいつはいつもこんな感じなのかよ」

「そうですね..いつも大体サボっている姿を見ます」

いつもサボっているとか..やる気ねえ死神は確かにノートの死神もそうだったんだが..

「う~~ん、誰だい?」

俺と早苗の話声に気づいたのか、死神が体を起こし腕を伸ばす。

「お前が外来亡霊を探している死神か」

「ふぁ~、そうだよ。あたいがその亡霊を探している死神さ。それでアンタは?」

「命蓮寺の聖の命で調査を任されたヨウマだ。死神本人から直接情報を聞きたくてな」

「あー、命蓮寺に最近所属している人間ってアンタのことか。ふぁ~」

眠そうな目を擦りまたでかいあくびをする死神。死神ってこんなんなのか。

「あー、多分誤解してると思うけど。あたいだけだよ、こんなに休憩している死神は」

「いや、休憩って範囲超えてる気がするんだが。あと心の声読むな」

「まあ気にしない、気にしない。で、例の件だろ?」

おっようやく本題だ。

「正直な話、あたいたちも上に言われただけで、その亡霊がどこにいるとかはわからない」

なんだとおおおお!

「それで、あたいたちじゃお手上げだから、色んなやつに協力を求めたってわけさ」

「おいおい、嘘だろ..」

「しょうがないよ、だってここ幻想郷には幽霊とか普通にその辺にいたりするからね。亡霊の姿もわからないし。広いし、多くいる中で見つけ出すのは困難なんだ」

「はあ..まあお前の感じから期待はしなかったがな..」

「そんなわけで用はすんだかい?あたいはもう少しサボっ..休むことにするよ」

今サボるって言いかけただろ。

「早苗、こんな奴放置して帰るか」

「そ、そうですね..」

そのままこいつを放置して帰ろうとすると

 

「こら、小町!あなたはまたそんなところでサボって!」

「し..四季様!」

死神を叱る声が聞こえてきて後ろを振り向いた。飛び起きたであろう死神がそのまま緑髪で帽子を被り笏を持っている女性の前で正座になっていた。

そしてその女性はそのまま

「あなたはこんなところで何をしているのです!あなたには仕事があるはずですが?」

そのまま叱り始めた。死神をしかりつけるってことは..

「なあ早苗、あの人もしかしてだが」

「はい、閻魔様ですよ」

「やっぱりい!」

もう手に持ってる笏で分かる。この厳格な感じも閻魔というならうなずける。

「大体あなたは!」

もう説教まで始めちまったよ..とりあえず、上の者だ。おそらく亡霊に詳しいだろう。

「あの~ちょっといいですか?」

流石に閻魔だし、恐る恐る話しかける。

「少し取り込み中なので、後にしてもらえませんか?」

閻魔様の眼に怯んでしまうも、このまま後にするとなると日が暮れちまうだろう。

「いや、今じゃないとだめなんです。ここ幻想郷に現れた、外来亡霊について聞きたいんだが..」

「外来亡霊ですって..小町!その調査はあなた達の役目のはずですが?」

「うっそれは..」

どうやら上司に内緒で俺たちに協力を求めていたらしい。

「はぁ..本来は私たちで対処しなければならないのですが..しょうがない。そうですね、私が知っていることを全てお話いたします」

溜息をつきながら、話すことを決めた閻魔様。正直苦労してるだろうな。

「それではお願いします」

「ヨウマさん珍しく敬語なんですね」

「流石にな..」

俺は正直こういうタイプの女性は苦手だし、なおかつ閻魔で失礼な態度を取ったらおそらく長い説教が飛ぶだろう。それだけは避けねばならない!

さて、いい情報を手に入れることができればいいんだが..

 

 

 




最近少し忙しくなるので、更新頻度少し落ちるかもしれません。まあでも頑張って更新したいんでなるべく頑張ります。

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