それでは、どうぞ!
「ここは…どこでしょう?」
彼女が最初に感じたことだった。彼女はベンチの上に寝ている。
「なぜ…私はベンチで寝て…?」
彼女は混乱を隠し切れない。
「えっと…何故、学校にいたはずが夜に…?それ以前にここはどこですの?」
「ま…さか…!」
彼女は急いで携帯を出す。そして、画面を鏡代わりにして自分の顔を見る。その画面に映し出されたのは正真正銘黒澤ダイヤだった。
ダイヤ「良かった…この前ルビィと見た映画のように誰かと入れ替わっているかと…」
ダイヤはベンチに寝てたからといって特に何もされていないようだ。調べ終わると、突然ダイヤのお腹が鳴る。
ダイヤ「おや…ご飯の時刻ですか…確かに夜ですもんね…」
ダイヤは立ち上がり服に付いていたゴミを取る。
ダイヤ「さて…帰りましょう……」
ダイヤは家に帰ろうと歩き始める。しかし、すぐに立ち止まった。
ダイヤ「ここ…どこですの?」
ダイヤは忘れていた。ここがどこか分からないことを…。ダイヤはそこで携帯を出して地図アプリを開く。
ダイヤ「ここは……ヨコハマ?何故カタカナ……ヨコハマ!?」
ダイヤは驚きのあまり大声を出してしまった。
ダイヤ「ヨコハマってあの横浜ですの?何故?……っ!?!?!?夢…ですの?」
そこでダイヤは見つけてしまった。携帯のカレンダーを見ると、明らかに時が進んでいることに。
ダイヤ「どうしましょう…これから…」
ダイヤは完全に路頭に迷っていた。帰る場所がない。しかもダイヤは現在一文なしだった。今は、寝る場所を探して歩いている。もう、心身ともに限界だ。
ダイヤ「あっ!そうですわ!Aqoursの皆さんに連絡を……!」
そしてダイヤは携帯を再び出すが、あることに気づいた。
ダイヤ「…それ以前にここはいつもの世界じゃない。それに、先程軽く見えましたが連絡先が全くありませんでしたわ……」
孤独。一度味わったが、今回はそれ以上に怖く、辛く、悲しいものだった。
ダイヤ「グスッ…皆さん…ルビィ……会い…たい……」
ダイヤは歩きながら泣いた。声を出しながら、泣いた。
ダイヤ「もう…疲れましたわ……」
ダイヤ「(ここで寝たら皆さんに会えますか…?)」
ダイヤは疲れが限界に達してしまい、崩れ落ちるようにその場に倒れてしまった。
ダイヤ「ル……びぃ……」
そして意識は闇に落とされた。
ヨコハマの街から少し外れた山の中。その山道を3人の男が歩いている。
理鶯「2人とも、早く行くぞ。」
銃兎「え、ええ…分かってますよ。理鶯。」
左馬刻「チッ…相変わらず遠すぎんだろ…」
彼らはMAD TRIGGER CREWというグループだ。グループでも碧棺左馬刻はヤクザ、入間銃兎は警察官、毒島メイソン理鶯は軍人という外から見たら決して合わない組み合わせだろう。だが、彼ら3人のラップスキルは本物だ。もちろん、ディビジョンラップバトルの優勝候補だろう。
左馬刻「てかなんで理鶯のベースキャンプでなんだよ?」
銃兎「仕方ないだろ?俺も言ったが聞かないんだよ。」
左馬刻「またあの飯を食わなきゃ行けなくなるとか考えねえのかよ?」
銃兎「大丈夫だ。今日は食事はいらないと言っておいたからな。」
理鶯「何か言ったか?銃兎?」
銃兎「いえ、何も言ってませんよ?」
理鶯「そうか、なら急ぐぞ。」
理鶯はそう言って足を速めた。
彼らは暗くなってきた山道を進む。すると、理鶯が突然足を止めた。
左馬刻「ああ?急に止まんなよ理鶯?」
左馬刻が理鶯に怒るが、理鶯は前を向いたまま静止している。
銃兎「理鶯?前に何か……ん?あれは…なんだ?」
銃兎も先に何かがあることに気づいたようだ。
左馬刻「銃兎。何があんだよ?」
理鶯「左馬刻には見えないか?」
銃兎「あれは…人か?」
銃兎は持っていたライトで照らしてみる。
左馬刻「女…?倒れてんじゃねえか?」
3人は倒れている女に近づいた。
左馬刻「おい、大丈夫かよ?」
銃兎「お嬢さん?聞こえますか?」
2人で彼女に呼びかけるが、反応がない。
銃兎「チッ…山だから圏外か…」
理鶯「だったら山を降りるより小官のベースキャンプの方が近い。とりあえずそこに運ぼう。」
左馬刻「そうだな。」
理鶯は彼女を背中に担いで歩き始める。3人は出来るだけ急いでベースキャンプに向かうのであった。
ダイヤ「ん…ここ…は…?」
ダイヤはゆっくりと目を覚ました。そこには大きなテントがあり、火も焚かれていた。
左馬刻「おう、起きたか。」
ダイヤ「……っ!」
ダイヤは突然知らない人が出て来たので思わず身構える。
左馬刻「身構えるのはいいが、生憎女を襲う趣味はねえよ。」
銃兎「そうです。こう見えて彼はシスコンですし、女性には優しいですよ?」
左馬刻「ああ!?誰がシスコンだって!?」
左馬刻は銃兎の胸ぐらを掴んでキレる。
理鶯「2人とも止めろ。これじゃあ逆効果だ。」
それを理鶯が止める。それを見ていたダイヤは身構えたまま彼らに言う。
ダイヤ「何者ですか…?あなた方は…」
左馬刻「何者だぁ?人に言う態度じゃねえなあ?」
左馬刻は少しダイヤに睨みながら詰め寄る。
銃兎「はいstop。キレたら始まらないだろ?」
左馬刻は不服そうだが素直に銃兎に応じた。
左馬刻「チッ…俺様は碧棺左馬刻。火貂組若頭をやってる。」
銃兎「私は入間銃兎です。警官をやっております。そして…」
理鶯「毒島メイソン理鶯だ。軍人だ。」
ダイヤ「……………。」
ダイヤは彼らを見つめたまま黙っている。
左馬刻「おら、どうした?名乗らせといて自分は名乗らねえのか?」
ダイヤ「…生憎ヤクザとは絡むなと教えられていますので…帰ります。」
ダイヤはすぐに帰ろうとする。すると、突然大きな音が聞こえた。誰かが腹を空かせているような。
ダイヤ「………………。」
左馬刻「何だ?腹減ってんのか?」
ダイヤ「違います。」
左馬刻「いやでも今腹鳴って…」
ダイヤ「違います!!!」
するとそれを聞いた理鶯がエプロンを着ている。
理鶯「其方、腹を空かせてるのか?だったら食事にしよう。」
左馬刻、銃兎「えっ!?」
ダイヤ「いえ、申し訳ないですわ。」
理鶯「遠慮するな。そこに座っていろ。すぐ出来る。」
ダイヤ「じゃあ…頂きますわ。」
ダイヤは戻ってきて椅子に座った。
すると近くで左馬刻と銃兎がボソボソと話している。
左馬刻「おい、これ俺らも食べなきゃいけなくなってんじゃねえか…」
銃兎「絶対に嫌ですが、流石に女性相手ですよ?ネズミとかは出ないでしょう。」
左馬刻「だ、だよな…じゃあ大丈夫か…」
左馬刻と銃兎の小会議を終え、2人も椅子に座った。
理鶯「出来たぞ。まずはそぼろ丼とスープだ。」
理鶯は3人の前にそれぞれを出す。
左馬刻「…おい。」
銃兎「これ、明らかに前のスープだよな…。ってことは…」
左馬刻と銃兎は顔を見合わせ、顔面蒼白だ。
ダイヤ「……では頂きます。理鶯さん。」
理鶯「うむ。存分に頂くといい。」
そして、ダイヤはそぼろ丼を口に運んだ。
左馬刻「お、おい。大丈夫か?」
銃兎「無理しなくていいんですよ?」
左馬刻と銃兎は心配した様子で見ている。
すると、ダイヤの顔から涙が一粒、また一粒と落ちていく。
理鶯「どうしたのだ?何か気に障「いえ…」
するとダイヤが涙声で答えた。
ダイヤ「美味しい…です…わ。すみません…私、住む所もなく、食べる物もなかったので…」
そんなダイヤの姿を見て、3人はすぐにダイヤの状況をなんとなく理解した。
左馬刻「おいお前、1人でなんでも出来るとか思ってんのか?だったらまだガキだな。もっと人を頼れ。助けを呼べ。こんな社会でも助けてやる奴がいるからよ。」
ダイヤ「はい、ありがとうございます…。すみませんでした、左馬刻さん。私はあなたの事を勘違いしていましたわ。」
左馬刻「ま、ヤクザの事を警戒することは間違ってねえかもしんねーけどな。」
理鶯「口にあったようで安心した。待ってろ。じきにメインディッシュも出そう。」
そういって再び理鶯は戻った。
ダイヤの姿を見ていた銃兎もそぼろ丼を一口頂く。
銃兎「美味い…!…左馬刻、俺たちは理鶯をみくびっていたようだな。」
左馬刻「ああ、アイツはちゃんと気配り出来る奴だな。」
そう言って3人は黙々と食べていく。
理鶯「みんな気に入ってくれて良かった。」
左馬刻「理鶯!美味えよ!」
銃兎「それで、メインディッシュというのは?」
すると理鶯は大皿を一つ机に出した。
左馬刻「……マジか。」
銃兎「まさか……」
ダイヤ「ほう、やはり理鶯さんは…」
左馬刻と銃兎は恐ろしいものを見る目をしていたが、ダイヤはその料理をまじまじと見つめていた。
理鶯「今日のメインディッシュはこのアオダイショウの塩焼きだ。」
左馬刻「どういう事だコイツ…」
銃兎「あの、ダイヤさん。本当に無理しない方が…」
銃兎はダイヤに忠告したつもりが、ダイヤが更に衝撃な事を言う。
ダイヤ「もしかしてそぼろ丼にはウジ虫が、スープにはカミキリムシが入っていましたか?」
銃兎「えっ……?」
左馬刻「理鶯…?」
理鶯「よく分かったな。全て正解だ。」
それを聞いた瞬間、左馬刻と銃兎が再び顔面蒼白になる。
左馬刻「ゴホッ!!」
銃兎「嘘だろ!?」
理鶯「この料理も気にいるだろう。待ってろ。おかわりも作るからな。」
理鶯は上機嫌そうに戻っていった。
銃兎「おい、君はなんでこれが普通に食えるんだ?」
ダイヤ「昔これに詳しい方がよく家にいらして来て、よく食べましたから。」
左馬刻「だとしてもこれは……」
ダイヤ「左馬刻さん、銃兎さん?出されたものを残すのはマナー違反ですわよ?」
ダイヤは笑みを浮かべながら2人を見つめる。
左馬刻、銃兎「(コイツ…絶対分かって言ってるだろ…)」
左馬刻と銃兎は初めのように勢いよく食べた。
左馬刻「うえ…クソが…」
ダイヤ「全く…どれも比較的美味しいですわよ?」
左馬刻「うっせえ…味は良いけど見た目がヤベェんだよ。」
2人は銃兎と理鶯と別れ、夜の街を歩いていた。
左馬刻「お前、これからどうすんだよ?」
ダイヤ「さあ、何せ何もないですから。」
ダイヤは少し声細く答える。
左馬刻「だったらよ。俺様について来い。」
ダイヤ「はぁ?何言って…」
左馬刻「だから俺様…碧棺左馬刻について来い。見たことない世界を見せてやるよ。」
ダイヤは左馬刻の表情からすぐに分かった。左馬刻は…本気だと。
どうも、銀河のかけらです。いかがでしたか?
ダイヤ…凄すぎるだろ。ちなみに私は無理です。てか今回少し長過ぎたかな…
ひたすら驚く左馬刻と銃兎であった。
そして、本日は2ndbattleの結果発表です!どこが勝つのか…楽しみです!
それでは今回は以上!銀河のかけらでした!