HG ガンダムビルド…ビビッドアーミー   作:星龜少将

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ケイ、覚醒(後)


 

吹雪く雪原に降り立つシグ([ケイ])ー―。

 

吹雪のせいで、視界は非常に悪い。

 

しかし、クレアにとっては、吹雪による視界の悪さなど、苦にならないだろう…。

 

 

まもなく、レーダーが2時方向に、雪煙をあげて迫り来るマリン([クレア])ハイザック・アルフェルグを捉えた。

 

(来たっ…!!)

と、腹をくくるケイ。

 

しかし…

 

もし、本当に自分が『ニュータイプ』なら…

 

(勝てる…はずだよね…?)

と、ほのかな期待を抱くケイ。

 

ターゲットカーソルがマリン([クレア])ハイザック・アルフェルグを捉えた…

 

次の瞬間!!

 

あぁ…!!

 

マリン([クレア])ハイザック・アルフェルグが…

 

まるで静止画のように、止まって見える

のだ…!!

 

 

(間違いない…

私は…

『ニュータイプ』になった

んだ…!!)

 

 

まるで静止画のように止まって見えるマリン([クレア])ハイザック・アルフェルグに向けて、シグ([ケイ])ーは、ビーム兵器に設定されたMMI-M7S 76ミリ重突撃機銃を撃った―。

 

 

なんとぉッ!?

と、突如、右方向から飛んできたライムグリーンのビームを被弾するマリン([クレア])ハイザック・アルフェルグ。

 

それも、1発や2発ではない。

 

何発も飛んでくる。

 

うわぁッ!?

 

マリン([クレア])ハイザック・アルフェルグに次々と命中する、ライムグリーンのビーム…。

 

(おかしいっさ…!?

回避できない

っさ…ッ!?)

 

どういうわけか、シグ([ケイ])ーの攻撃を回避できないため、マリン([クレア])ハイザック・アルフェルグは、バックパック右側のEQFU-5X 機動兵装ポッドから、ビーム撹乱粒子を内装したミサイルを発射した。

 

発射されたミサイルは上空で破裂し、金色に輝くビーム撹乱粒子を放出した…。

 

 

マリン([クレア])ハイザック・アルフェルグがビーム撹乱粒子を展開したため、シグ([ケイ])ーの攻撃は通じなくなった。

 

相手が静止画のように止まって見えても、防御装備で防御されては、如何に『ニュータイプ』といえども、手を出せない…。

 

「あっ…!!」

 

ケイが攻撃の手を止めたため、体勢を立て直したマリン([クレア])ハイザック・アルフェルグが、バックパック右側のEQFU-5X 機動兵装ポッドからAGM141【ファイヤーフライ】誘導ミサイルを撃ってきたのだ。

 

(この攻撃…

知ってる…!!)

 

上空に撃ち上げられたミサイルを回避すれば、回避中をサブロックガンで狙い撃つ…

 

クレアの常套手段の1つだ―。

 

しかし、そうだとわかっていても、突っ立っているわけにもいかない。

 

サブロックガンで撃たれるのは必要経費と割り切って、ミサイルを回避することにしたら…

 

あぁっ!?

 

飛んでくるミサイルすらも、まるで静止画のように止まって見える

のだ―!!

 

(これなら…!!)

と、シグ([ケイ])ーは左腕に装備されているM7070 28ミリ バルカンシステム内装防盾の28ミリ バルカン砲で、止まって見えるミサイルを次々と撃墜していった―!!

 

 

そんな…ッ!?

と、シグ([ケイ])ーが、左腕に装備されているM7070 28ミリ バルカンシステム内装防盾の28ミリ バルカン砲でミサイルを全て撃墜したのを見て、驚愕するクレア…。

 

(まさか…

これほどとは…。)

と、『ニュータイプ』の実力を思い知るクレア…。

 

(・・・。)

 

クレアは、正面モニターの右脇にある『降参』のパネルをタッチする…。

 

すると、マリンハイザック・アルフェルグは両手を挙げた…。

 

 

見物客からすれば、あまりに一方的な戦いにしか見えず、しかも、マリン([クレア])ハイザック・アルフェルグが降参したため、試合後は多少のブーイングが起こった…。

 

 

「ま…負けたっさ…。」

と、クレアが肩を落として、コクピットルームから出てきた。

 

「うん…。」

と、クレアを迎えるケイの表情は、とても暗かった。

 

「どうしたんさ?

ケイは私に勝ったんだから、もっと嬉しそうな顔をしたらいいっさ。」

とクレアに言われたが

 

「無理…。

喜べない…。」

と、ケイの表情は暗いままだった…。

 

 

自分が『ニュータイプ』に覚醒したこと…

 

そして、強大な力を手にしたことを、なかなか受け入れられないのだろうと、クレアは思った。

 

 

一方で、クレアの心中に

ケイに対する嫉妬心

が芽生え始めた…。

 

ガンプラバトル歴11年の自分が『ニュータイプ』になれないのに

なぜ、ガンプラバトル歴1年たらずのケイが『ニュータイプ』になれた

のか―?

 

それが何よりも悔しかった…。

 


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