吹雪く雪原に降り立つ
吹雪のせいで、視界は非常に悪い。
しかし、クレアにとっては、吹雪による視界の悪さなど、苦にならないだろう…。
まもなく、レーダーが2時方向に、雪煙をあげて迫り来る
(来たっ…!!)
と、腹をくくるケイ。
しかし…
もし、本当に自分が『ニュータイプ』なら…
(勝てる…はずだよね…?)
と、ほのかな期待を抱くケイ。
ターゲットカーソルが
次の瞬間!!
(あぁ…!!)
まるで静止画のように、止まって見える
のだ…!!
(間違いない…
私は…
『ニュータイプ』になった
んだ…!!)
まるで静止画のように止まって見える
◇
「なんとぉッ!?」
と、突如、右方向から飛んできたライムグリーンのビームを被弾する
それも、1発や2発ではない。
何発も飛んでくる。
「うわぁッ!?」
(おかしいっさ…!?
回避できない
っさ…ッ!?)
どういうわけか、
発射されたミサイルは上空で破裂し、金色に輝くビーム撹乱粒子を放出した…。
◆
相手が静止画のように止まって見えても、防御装備で防御されては、如何に『ニュータイプ』といえども、手を出せない…。
「あっ…!!」
ケイが攻撃の手を止めたため、体勢を立て直した
(この攻撃…
知ってる…!!)
上空に撃ち上げられたミサイルを回避すれば、回避中をサブロックガンで狙い撃つ…
クレアの常套手段の1つだ―。
しかし、そうだとわかっていても、突っ立っているわけにもいかない。
サブロックガンで撃たれるのは必要経費と割り切って、ミサイルを回避することにしたら…
「あぁっ!?」
飛んでくるミサイルすらも、まるで静止画のように止まって見える
のだ―!!
(これなら…!!)
と、
◇
「そんな…ッ!?」
と、
(まさか…
これほどとは…。)
と、『ニュータイプ』の実力を思い知るクレア…。
(・・・。)
クレアは、正面モニターの右脇にある『降参』のパネルをタッチする…。
すると、マリンハイザック・アルフェルグは両手を挙げた…。
◇
見物客からすれば、あまりに一方的な戦いにしか見えず、しかも、
「ま…負けたっさ…。」
と、クレアが肩を落として、コクピットルームから出てきた。
「うん…。」
と、クレアを迎えるケイの表情は、とても暗かった。
「どうしたんさ?
ケイは私に勝ったんだから、もっと嬉しそうな顔をしたらいいっさ。」
とクレアに言われたが
「無理…。
喜べない…。」
と、ケイの表情は暗いままだった…。
自分が『ニュータイプ』に覚醒したこと…
そして、強大な力を手にしたことを、なかなか受け入れられないのだろうと、クレアは思った。
一方で、クレアの心中に
ケイに対する嫉妬心
が芽生え始めた…。
ガンプラバトル歴11年の自分が『ニュータイプ』になれないのに
なぜ、ガンプラバトル歴1年たらずのケイが『ニュータイプ』になれた
のか―?
それが何よりも悔しかった…。