生徒会長が栞子なのは間違っている?   作:プロテイン飲んだ兎の家族

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最終幕「雌雄は決した」

「という訳で栞子さん、勝負しましょう!」

「ドウイウコトデスカチョウサン」

「栞子、痛い。腕折れる、ねぇ殺す気? 貴方私を殺す気なんですか?」

「ウワキハゼッタイユルサナイ」

「する気ないですけど」

「それではこの状況を説明して下さい。刺しますよ」

「刺してない、噛んでる。首痛い、腕痛い」

 

 今の俺は割とピンチだ。どれくらいピンチかと言うと、悲しみの向こうへ辿り着きそうな状況なのだ。いや、せつ菜さんはそんな事しないけど、栞子が、栞子が俺を首を噛むのだ。

 俺の腕に抱きついているので、中々いい二つの果実が当たる。本来なら喜ぶべき所なんだろうが、腕が折れるくらいの力で掴まれているので、走馬灯を見るのに必死である。死んでんじゃねぇか。

 

「私だって蝶さんに助けられた時から好きなんです」

「黙って下さいぽっと出」

「栞子言い方ってもんがあんだろ」

「黙れ小僧」

「あ、はい」

 

 怖、栞子怖。え、何? コイツって本気で怒るとそんな怖いの? 蝶さん全然知らなかった。

 

「勝負をして下さい。私が勝ったら蝶さんに二股してもらいます」

「返り討ちにしましょう」

「あれ? 俺の意見無視? という栞子。もう付き合ってるなら勝負する必要なんて無くね?」

「どうせせつ菜さんの事です。逃げるのかとか言って私を挑発するでしょう。面倒な芽は潰すのが最適です。豆苗の様に」

「例えもう少し何とかならなかったのかよ」

 

 もう、止めても無駄だ。そう考えた俺は二人の試合の審判をするのだった。

 

 ☆

 

「「料理対決です!」」

「死人が出るんですがそれは」

 

 助けて、せつ菜さんに殺される。というのも前に栞子が言ってた。せつ菜さんの料理は核兵器だと。一口食べるとトロけると……心臓が。

 それを怖がった俺は言葉を発したが、時すでにお寿司。

 

「「出来ました!!」」

「何で片方紫色なの?」

「因みに課題は卵焼きですよ」

「何で片方紫色なの?」

「一生懸命作りました! 食べて下さい!」

「何で片方紫色なの?」

 

 おかしいな、栞子が作ったものはしっかりと厚みのある黄色通り越して黄金の卵焼きなのに。なぜせつ菜さんの卵焼きは紫色なんだ。

 

「せつ菜さん。卵焼き何入れた?」

「隠し味に卵の殻で食感を作り、タバスコでアクセントを加えまして、プロテインの出汁を入れました!」

「何で片方紫色なの?」

 

 本日4回目のこのセリフ。だっておかしくね? タバスコは赤、卵の殻は白。プロテインは……仮にココアとかで茶色だとしてもこんな紫色にならんだろ。

 

「「さぁ! 食べて下さい!」」

「あ、ハイ」

 

 俺は覚悟を決めた。まず最初に栞子の卵焼き……

 

「何これ店なんだが。めっちゃ美味い」

「わーい」

「途端に栞子さんのIQ低くなった!? やはり好きな人に褒められるとバカになるって本当ですね」

「ちなみに蝶さんと快楽に溺れている時も頭バカになりますよ」

「溺れた覚えはない」

「ぐぬぬ……それじゃあ蝶さん! 私のを食べて下さい」

「お命頂かれます」

 

 そして俺は覚悟を決めて、せつ菜さんの卵焼きを一口……二口……三口……

 

「あべし」

「「ちょ、蝶さん!?」」

 

 結論から言おう、俺は口と鼻から血を出して倒れたのだった。

 

 ☆

 

「勝ちましたね」

「……私の負けです」

 

 俺が目を覚ますと、既に雌雄は決していた。せつ菜は俺に申し訳なさそうに言う。

 

「……ごめんなさい、蝶さん。私の料理のせいで……」

「気にすんな、なんて野暮か」

 

 俺がどれだけ口で許しても、せつ菜さんの料理で倒れたのは事実。彼女は気にするだろう。

 

「……せつ菜、よく聞け」

「はい……」

「俺は栞子が好きだ。だからお前とは付き合えん」

「ちょ、急すぎません!?」

「お前にはストレートに言わないとわからんだろ。納得しないだろ。だからはっきり言わせてもらう。好きになってくれたのは嬉しいが、俺は栞子が大好きなんだ。だからお前とは付き合えない」

「……クリティカルなんですけど」

「せつ菜さん。私は別に蝶さんを取ろうとしたことに怒ったわけではないですよ」

「「え?」」

 

 栞子の言葉に俺とせつ菜さんが聞き返す。

 

「蝶さんを取りに来るなら大いに結構です。返り討ちにします。でも、私のいない所で告白するなんて卑怯な真似は許しません。ヤるなら正々堂々気持ちよく、お互いの快楽を発生させる試合を」

「せつ菜さん、もう聞かなくていいわ。コイツ変なスイッチ入ってる」

「あ、アハハ……でも、栞子さんの言う通りでした。すみません」

 

 そう言ってせつ菜さんは頭を下げた。

 

「……せつ菜さん、俺はせつ菜さんとは付き合えないけど、料理とか同好会の話なら聞くぜ」

「……それって」

「まぁ、親友だよな。せつ菜さんがそれでもいいのならだけどさ。勿論栞子とも仲良くしてくれよ、いつも会うたびに火花散らしやがって。何でそんなに牽制してんのかと思ったら俺の事だったとは。それに関しては申し訳ないけどな」

「「それについては首を頂きます」」

「罰が重いよ。ってか頼むから首を絞めないでくれ。しかも二人で」

 

 何だこの二人力強い。これが、スクールアイドルだと言うのか……! 

 

「蝶さんの申し出はお断りします」

「……だよな」

 

 分かっていたさ、俺は男と女の友情なんて無いと思っている。そして、恋でいざこざがあったならそれはもう終わりだと思う。

 さらば親友、優木せつ菜さん。俺は貴方と訣別しないと……

 

「……ごめんせつ菜さん耐えられない」

「え? ちょっ!? 蝶さん!」

「蝶さん! なにせつ菜さんに抱きついて……」

 

 栞子はせつ菜に抱きついた蝶を離そうとしたが、出来なかった。

 だって、蝶は泣いていたから。

 

「……せつ菜さん、我儘なのは分かってる。俺のせいで、せつ菜さんと栞子が争おうとしたのも、せつ菜さんの告白を振ったのも、結局俺のせいだよ」

「でも、俺は栞子やせつ菜さんとずっと話してたいし、関わりたい。俺はせつ菜さんにも栞子にも嫌われたくない。だからせつ菜さんと栞子と3人でまだ仲良くしたいんだ」

「自分で振っといて我儘過ぎません?」

「分かってる。でも……俺は二人とも好きだから女々しいとか、我儘とか言われても、せつ菜さんと仲良くしたいし、栞子とも恋人として仲良くしたい。両方欲しい」

「……せつ菜さん、どうします? この男。今回ばかりはせつ菜さんに同情しますから、せつ菜さんが決めて下さい」

 

 酷い構図だ。男を挟んで女2人、そしてその男は彼女が後ろにいるのに別の女に抱きついて泣いている。側から見たら裁判沙汰案件であった。

 

「蝶さん、別に私は蝶さんと縁を切ろうと思った訳じゃ無いですよ」

「え?」

「私は蝶さんの親友は嫌です。だって、可能性が無いからです」

「……ちょっと雲行きが怪しくなってきたから涙引っ込んだんだけど」

「親友になったら愛人になれないじゃないですか!」

「「何言ってんの(言ってるんですか)この人」」

 

 まて、この先を言うなせつ菜さん、それを言うとまた……

 

「たかだかこんな対決で好きな人を諦めるとか私がすると思いますか? 料理はダメでも、それ以外で蝶さんを心変わりさせればいいんです!」

 

 そう言ってせつ菜さんは俺の左腕に抱きついてくる。うわぁ、柔らけえ、栞子より胸ある。

 そんな事を考えた瞬間俺の背筋が凍る。

 

「フフフフフフフフフフフフフフフフ!!」

「栞子落ち着け、せつ菜が勝手に言ってる事を……」

「いえ、怒ってませんよ? 蝶さんがせつ菜さんに抱きつかれて鼻の下伸ばして殺してあげます」

「殺意しか口に出てねぇんだけど」

「蝶さん、私の方が良いですよね? 栞子さんがツンツンしていた時からずっと話し合った仲じゃないですか」

「蝶さん、貴方の彼女は私ですよ。私たちは生徒会の前からお会いして、貴方といっぱいお話ししてたんです。せつ菜さんに渡す訳ないでしょう」

 

 そう言って火花を散らし合う二人。そこに挟まれた俺は、さっきの情けない自分を殴ってやりたいくらい呆れてしまったのだった。

 

「「あ、3Pすれば解決ですね!」」

「今までの話返せテメェら」

 




 最終回の理由は打ち切りとかではありません。
 
 とりあえずこれで完結です。ありがとうございました。

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