86−エイティシックス 戦争が生んだものとは   作:梅輪メンコ

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再編成

新しい機体が来てから二ヶ月が経った、その間第235特務部隊はユジーエ山脈要塞で各部隊の救援のために動いていた。この日はユジーエ山脈要塞北部方面で発生したレギオン部隊の迎撃を行っていた

 

「こちら235特務部隊、侵攻してきたレギオン部隊の殲滅完了。その他の敵影は見当たりません」

 

「了解した、第235特務部隊は直ちに帰還し修理をされたし」

 

「235特務部隊了解した。これより帰還す」

 

そう言って通信が切れると235特務部隊はユジーエ山脈要塞にある基地に行くと235特務部隊は機体を降りた

 

「おぉ、随分と派手にやった様だな」

 

「いつもすいません」

 

「大丈夫だってよ、これくらいは慣れているさ」

 

そう言って帰ってきた機体を見て整備班長がそう言うとリチャードはそのまま機体を見ながら歩いていた、すると整備班長から

 

「ああ、そういえばさっきあんたに連絡があったよ。明後日に山脈鉄道に乗って本部に来いってよ」

 

「山脈鉄道・・・と言う事はビートルは持って行くんですか?」

 

「ああ、そういう風に貨物の手配もある」

 

「分かりました、あとはお願いしても良いですか?」

 

「おう、任せときな」

 

そう言うとリチャード達は基地の休憩室でゆっくりしていた

 

「はぁ、今日も雑魚ばっかりだったなぁ」

 

「仕方ないよ、ここら辺のレギオンは要塞砲で殆どやられるんだ。俺たちの仕事は取りこぼしの制圧だけだな」

 

「まだ東部戦線の方が良いわね」

 

「そうだな、あそこはレギオンがけっこう上陸して激しい戦いになるからな」

 

「それでも最近は取りこぼし戦闘になってきてたけどね」

 

「それもそうだな、それにシンのくれたあの情報で研究が行われている」

 

「ああ、亡霊の声ね。あんなのがずっと聴こえているなんてシンはよく気が滅入らなかったわね」

 

「本人は慣れたって言ってたけどね」

 

「いや、あれは慣れちゃダメなやつでしょ」

 

そう言ってシンの異能で話しているとリチャードはふと

 

「はぁ、シンはお兄さんの事。見つけられたのかな」

 

そう言ってシンが探しているシンの兄の取り込まれている機体の事を言うと

 

「見つけられているんじゃない」

 

「そうだな、レギオンは沢山いるからな。きっと出会っているだろ」

 

「シンの兄上はレギオンできっと苦しい思いをしているでしょうしね」

 

「早く成仏出来ると良いね」

 

「そうだな」

 

そう言って時だった、突如休憩室全体が地震が起こったかの様に揺れた

 

「なんだ!」

 

すると休憩室に整備班長が入ってくると

 

「新型レギオンの攻撃だ、お前達は山脈鉄道の駅に行け。機体はそこに置いてある、今直ぐ出て行ったほうがいい」

 

「でもここは大丈夫なんですか?」

 

「ああ、砲撃は一日二回だけだ。それに揺れはこれだけだ、だが工場にヒビが入るかもしれん直ぐに行け!!」

 

そう言うとリチャード達は揺れている中を山脈鉄道のホームに向かい、列車に乗り込むと貨物列車は長いトンネルを走り始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

列車が走り出してから少しすると揺れはおさまっていたが、リチャード達はさっきの揺れがレギオンの攻撃であると言うことに驚きを受けた

 

「・・・まさか新型レギオンがあんな威力だったとは・・・」

 

「一応、首都からケラウノスが来るって言ってたけど・・・」

 

「そもそもケラウノスって山脈鉄道のトンネルに入るの?」

 

「ビートルはギリギリ入るように設計されているけど・・・」

 

「それでも複線運用だよね」

 

「ああ、だから山脈鉄道じゃあ一杯一杯の大きさなんだよなぁ」

 

「でもケラウノスって山脈の内側から高高度砲撃で砲撃するんでしょ?」

 

「ああ、これで北部戦線は大分押せるだろうな」

 

そう言うと山脈鉄道トンネル区間が終わり、外の景色と共に空高く聳える山脈の姿があった

 

「やっぱりあの山脈はいつ見ても大きいねぇ」

 

「確か9000mだっけ?」

 

セシルがそう言うとジャスが

 

「正確には9642m。大陸最高峰の山ね」

 

そう言ってユジーエ山脈で一番大きい山のユジーエ山をリチャード達は見ていた

 

「・・・レギオン達はここを超えて来たりするのかな?」

 

「さぁ、まだ分からないが。いずれ空を飛ぶレギオンが出てくるかもな」

 

「そうなったらここら辺も安全とは言えなくなりますね」

 

「そうだな・・・」

 

そう言って山脈鉄道は途中、駅で機関車の入れ替えを行うと専用の軍用軌道に乗り入れ、首都にある連邦軍本部まで列車は進んでいった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、首都に着いた部隊はリチャード以外はサン・デ・レグリアレスタ連邦軍総合基地に向かい、リチャードは一人連邦軍司令部のトーマスのいる部屋に入った

 

「失礼します」

 

「ああ、丁度良かった。リチャード、丁度軍で再編成がされていたんだ。これが新しい編成だ。お前ならきっと驚くだろうな」

 

「拝見させていただきます・・・っ!!??」

 

リチャードは紙に書かれていた言葉に言葉が出なかった。そこにはこう記されていた

 

『第二十四次連邦軍再編成要項

 

連邦軍司令部直属第235特務部隊隊長リチャード・スミスを連邦軍第476号法令に基づき以下の人物の階級を昇格し、該当部隊を再編成し連邦軍司令部直属部隊第32特別旅団とし、この旅団の旅団長に任命する。昇格する人員と併合する部隊に関しては以下の通りである

 

リチャード・スミス少佐→大佐

所属:連邦軍直属第32特別旅団 旅団長兼ビートル砲撃隊隊長

 

ジル・スミス大尉→中佐

所属:連邦軍直属第32特別旅団 副旅団長兼偵察部隊隊長

 

ジョージ・アンダーソン大尉→少佐

所属:連邦軍直属第32特別旅団 近接戦闘戦部隊隊長

 

セシル・シルバー大尉→少佐

所属:連邦軍直属第32特別旅団 遠距離砲撃部隊隊長

 

ルミエル・チェレンコフ少佐→中佐

所属:連邦軍直属第32特別旅団 情報収集部隊隊長

 

ジャスミン・レイ大尉→少佐

所属:連邦軍直属第32特別旅団 ミサイル攻撃部隊隊長

 

再編成該当部隊

 

第165特務部隊

第235特務部隊

第276特務部隊

第277特務部隊

第301特務部隊

 

以上を持って連邦軍第二十四次軍備再編成要項を終える。なお旅団は明日の正午から適応される

 

連邦軍総司令官ユーゴ・スラッド元帥』

 

紙を読み終えたリチャードは手が震えていた

 

「お、叔父上・・・これって・・・」

 

「ああ、そうだ。お前はもう旅団長だ」

 

「か、階級は・・・二階級昇進は戦死以外ではなかったはずでは?」

 

「それも特例だ、君たちが特務部隊の中では最古参の部類だ。だから君達が部隊の部隊長なんだ。それに他の特務部隊も同じ様に合併されている」

 

「そ、そうなんですね。じゃ、じゃあ新しい機体が早く来たのも・・・」

 

リチャードが震えながら言うと

 

「ああ、お前が旅団長になるからだ」

 

「・・・やっぱりそうですか・・・」

 

そう言ってリチャードはこれが夢ではない事を認識すると溜息を吐いた

 

「第32旅団はまだ新設されたばかりだ。だが実戦経験はどこの部隊よりもある」

 

「つまり、レギオン戦闘に慣れた部隊という事ですか?」

 

「そう言うことだ、この再編成で他の部隊も編成を行い一部は正規軍に入りそれぞれの方面軍に編入している」

 

「そうですか・・・」

 

「でもまずは顔合わせだ、メンバーは既に第六会議室にいる」

 

「分かりました」

 

そう言ってリチャードは部屋を出て第32旅団メンバーのいる会議室に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、トーマス邸にてベットにダイブしたリチャードは明らかに疲れた様子であった

 

「お疲れ様です。兄上」

 

「あー、忙しかった」

 

そう言ってリチャードがベットで寝そべってゆっくりし、ジルが再び部屋に戻ってきた時にはリチャードはぐっすりと眠っていた。ジルはリチャードの隣に行くと

 

「兄上は立派です。お父様やお母様が亡くなった時でも私のことを心配してくれました。兄上が大佐になったのも当然だと思います」

 

ジルばそう言うと寝ているリチャードをじっと見て呟いた

 

「兄上、私は十分自分と見直すことができました。だからこれからは自分だけの人生を歩んでください。私はクレナという友人ができたんですから・・・」

 

そう言って今までジルは両親が亡くなった影響でリチャードから離れることができず今までリチャードなりの人生を歩ませられなかったことを謝すると部屋を出ていった。それは全てリチャードに聞かれているとも知らずに・・・

砲口径はインチ派か。センチ派か

  • インチ派
  • センチ派

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