アストラルの語り場   作:yokki

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1-1 ラヴァ・ゴーレムとは

 《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》

 

 世に出てから20年になろうとしているこのカードは今、後手型の構築において一考もあり得るカードとなっている。今回はそもそもこのモンスターは如何なる存在であるかを語る。

 

 「この話は私、月島小恋と」

 「アストラルがお送りする」

 

 なお個々のカードの能力などに関しては、(遊戯王ocg以外も含め)公式の発表を参照いただきたい(これより先、遊戯王以外のカードに関して語る場合、後語りにてその補足をする故、ご了承願う)。

 

 

 「確か原作では《人造人間-サイコ・ショッカー》がコストに含まれていたんだよね」

 

 その通り。では「それをコストにして現れたモンスター」がどのような能力であるのかを見てみよう。

 

 

 「後の開闢の使者が同じ攻守を持っているんだね」

 

 ルール上はそうなるな。だが《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》が系列カードである以上、ここは「その元となる《カオス・ソルジャー》と攻守が同じ」として良いだろう。

 

 「3000の攻撃力……3ターンクロックってこと?」

 

 (何も無ければ)3ターンでゲームを終わらせる攻撃力という意味では、確かに3ターンクロックと言える。

 

 「初期ライフ8000に対して3ターンクロックとなり得るのは、攻撃力2700から3999ということでいいのかな」

 

 若干話は逸れるがその通りだ。詳しくは省略するが開闢の使者が一時期「一線級」とされていたのは、能力により3000の攻撃力を簡単にクロックにできる状況であったからだ。

 

 「なるほど」

 

 話を戻すとラヴァ・ゴーレムはレベル8である、炎属性・悪魔族だ。今でこそ《トロイメア・フェニックス》や《召喚獣プルガトリオ》などが存在する炎属性・悪魔族だが、初出段階では希少種に近い状態だった。

 

 「悪魔族自体は500種以上いるんだっけ」

 

 闇属性に限定した場合でもその通りだ。一方「炎属性の」となると(この話をしている時点では)50種に満たない。その中には《レッド・リゾネーター》や《紅蓮魔獣 ダ・イーザ》、「インフェルノイド」モンスターも含まれる。

 

 「《No.60 刻不知のデュガレス》を忘れちゃいけないよ」

 

 おっとそうだったな、確かに悪魔族だ。ちなみに単純にレベル8となると闇属性の《トーチ・ゴーレム》や光属性の《SPYRAL-ボルテックス》も名の知れた所になるだろう。

 

 「ところで『インフェルノイド』モンスターは通常召喚出来ないんだよね、殆どが」

 

 正確には《インフェルノイド・デカトロン》は「特殊召喚モンスター」でなく、《インフェルノイド・ティエラ》は「融合モンスター」だ。言うなれば炎属性・悪魔族の「特殊召喚モンスター」の先駆けがこの《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》と言える。

 

 「特殊召喚モンスターは簡単に言うと、メインデッキに入れるカードの中で通常召喚ができないモンスターを言うんだっけ。例えば《マシンナーズ・カーネル》のように」

 

 カーネルのような「固有の特殊召喚条件を持たない」モンスターであっても、通常召喚ができなければそれは「特殊召喚モンスター」だ。一方、それこそ殆どの「インフェルノイド」モンスターは「固有の特殊召喚条件でのみ場に出せる」。

 

 「ではそれを踏まえてラヴァ・ゴーレムを引き続き見てみよう」

 

 ラヴァ・ゴーレムの固有の条件は「相手モンスター2体のリリース」だ。それを満たし「相手の場に」特殊召喚することになる。まず見てほしいのは特殊召喚の条件だ。

 

 「あ、『のみ』などのテキストがない」

 

 このように「固有の条件」に紐付けるテキストがないモンスター(例えば開闢の使者)は、一度条件を満たせば他のカードの効果で特殊召喚することが可能となる。ラヴァ・ゴーレムの場合は次の条件のためにそれがやや難しくなってはいるが。

 

 「それって通常召喚権の放棄?」

 

 放棄というのも過言ではない。通常召喚権はデッキによっては重いものとなるからな。また条件を満たした後、他のカードで特殊召喚する場合も通常召喚後はアウトだ。

 

 「結構厳しく見えるね」

 

 本来、自陣営に置くモンスターとは少し違うからな。そのことは次の能力が示している。

 

 「コントローラーのスタンバイフェイズ毎に1000ポイントのダメージを与える誘発効果だね」

 

 そう、ラヴァ・ゴーレムは単体では(耐性の無い)デメリットアタッカーだ。それを「相手モンスター2体を(条件として)退かせながら」押し付けることを考えると、通常召喚権と引き換えに行う能力であることも頷けるだろう。

 

 「但し、そのデメリットアタッカーは攻撃力3000であることもまた事実……と」

 

 然様だ。何も無ければ前のように「3ターン」……どころか、場合によっては追加の戦力とともに1ターンで決着ということもある。

 

 「事実上能力なしの攻撃力3000がクロック?」

 

 という声もあるだろうが、ここで通常召喚権の放棄が効いてくる。

 

 「あ、壁が出せない」

 

 その通りだ。

 

 

 「それじゃラヴァ・ゴーレムのおさらいだね。ラヴァ・ゴーレムは通常召喚権を放棄し、《カオス・ソルジャー》ステータスのデメリットアタッカー1体に、相手モンスター2体を(リリースという条件を介して)変換するカードである」

 

 場合によっては炎属性であることも大切になるが、それらも含め「どのように使われるか」は次回語ることにしよう。

 

 「お時間がいっぱいいっぱい、ということだね」

 

 話が早くて助かる。

 

 『それでは今回はこれにて』




どうもありがとうございました

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