殺し屋と戦術人形   作:ハイドラショック

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と言うことで第2話です。この小説は平均5000字で書いていこうと思います。


第2話 チャイナドレスと中華料理

目が覚め時計の時間を確認してみると午後8時だった。寝たのが2時30分くらいだったから思ったより熟睡してしまっていたらしい。しかし微妙な時間に起きちまったな。こりゃ夜眠れなくなるやつだ。

 

そんなことを考えつつボーッとしているとリビングの方から何か物音が聞こえて来た。まさか侵入者か⁉︎と警戒したがそこでさっきまでのことを思い出した。

 

「あー戦術人形が来たんだったな・・・」

 

戦術人形がプレゼントされたなんて今でも信じられない。取り敢えず腹が減った。何か食おう。そう思いベッドから降りて寝室を出た俺はリンの姿を見て仰天した。多分風呂に入ったんだろう。三つ編みに束ねられていた黒色の髪は下ろされ若干湿っており肌はほんのり赤くなっている。

 

そしてここが問題なんだが奴は俺の黒色のTシャツを着ている。と言うかTシャツだけしか着ていない。多分パンツなどの下着は来ているんだろうがズボンやスカートなどと言った服は来ておらず着ているのはTシャツ一枚だけと言うか超ラフな格好だ。しかも着ているTシャツは俺のだからサイズが合っておらずブカブカな状態でそのお陰でパンツはギリギリ隠れているが少し動けば見えてしまいそうだ。

 

「お、お前なんて格好してんだよ」

 

予想外の格好に俺は動揺を隠しきれない。だがリンは特に恥じらうこともなく普通に接して来た。

 

「だって着替えなかったから」

 

「いやだからってTシャツだけって・・・・」

 

「だってキミのズボンとかはサイズが大き過ぎて履いてもずり落ちちゃうもん。それにこの格好はこの格好で涼しくて良いよ」

 

「俺の方も考えてくれよ。目のやり場に困る」

 

「別にボクは見られて困るような身体はしていないよ。スタイルの良さには自信があるんだから」

 

そう言って腰に手を当てモデルの様にポーズして見せるリンだが大きく動いたせいで彼女のパンツが少し見えてしまった。色は黒だった。

 

「いやそう言う問題じゃなくてだな?俺は男でお前は女。それは分かっているな?」

 

「だから別にキミに見られてもボクは困らないって言ってるじゃん」

 

ダメだ会話にならねぇ。

 

「ん?って言うかパンツは履いているみたいだがパンツの着替えは有ったのか?」

 

「いや、パンツの着替えもなかったけど流石にキミのパンツを借りる訳にもいかないしかと言ってノーパンは嫌だから仕方なくさっき着ていたパンツを使い回してる。まぁ別に汚れていた訳でもないからね」

 

流石にノーパンになるのは嫌だったのか。コイツの価値観と言うか基準がいまいち分からないな。

 

「ノーパンは嫌なんだな」

 

「当たり前じゃん!股間見られて恥ずかしがらない女の子って居ないと思うけど」

 

「今のその格好も恥ずかしがるべきだと思うんだけどなー」

 

「何で?」

 

「上半身は兎も角少しでも動いたり足を上げたりしたらそれパンツ見えるぞ」

 

「別にパンツは見られても良いんだよ」

 

「いや何でだよ。それこそ普通女はパンツとか見られたら恥ずかしがるだろ」

 

「ボクとキミの仲じゃないか」

 

「まだお前とは出会って5時間半しか経っていないんだけどな。けどまぁ確かに着替えは必要だな。明日買いに行くか」

 


 

翌朝、俺はリンを連れてマルクと呼ばれる街に来ていた。ここマルクはE44地区にあるロヴナと呼ばれる都市の中にある街だ。E44地区の中でもロヴナは栄えている場所で第三次世界大戦の戦火を運良く免れた都市の一つだ。そんなこともあり住む場所や働き口を求める人達がこの都市に殺到している。しかしこの都市に来たからと言って必ずしも住むを場所を手に入れたり働き口を見つけれる訳ではない。

 

ここロヴナにもそう言う仕事も住む場所も無い人達が大勢居る。そしてそいつらは金を持ってそうな奴らを襲ったり犯罪組織に雇われたり殺し屋になったりと金を稼ぐ為に犯罪を犯し始める。お陰様でロヴナの治安は最悪だ。どれだけ治安が悪いかと言うと夜に女性が1人外を歩いているとほぼ確実に攫われて薬物漬けにされてから売春婦として売り飛ばされるのがオチだ。まぁ今話したのは1番最悪なシナリオで1番マシなシナリオは銃やナイフで襲われるか脅されて金目の物を全部取られるって感じだな。

 

まぁ今は朝だし人も多いし俺もリンも荒事には慣れているから例えチンピラ共に襲われても問題無いと思うがな。

 

因みに今のリンの格好は選択した例のチャイナドレスを着ている。ただ外でこの格好はチャイナドレスと言う珍しい格好と色々と見えてしまっている際どい格好が合わさり結構周りの視線を集めてしまっている。

 

「おいあの女の格好エロくね?」

 

「だな。って言うかあれブラジャー付けなくね?」

 

「あの人凄い美人さんじゃない?」

 

擦れ違う人達の会話も聞こえて来る。やっぱりこの格好で出歩かせたのは失敗だったか?

 

「そう言えばお前ブラは付けてんのか?」

 

聞こえて来た会話でも話題に上がっていたが彼女の着ているチャイナドレスの構造上横乳が見えてしまっている訳だが見る限りブラジャーを付けていない様に見える。俺も気になってはいたがなかなか聞けないでいた。

 

「どっちだと思う?」

 

と思わせぶりな口調で書いて来るリン。しかしどう見ても付けている様には見えない。それにこうして歩いているとリンが歩く度に胸が揺れている。俺も詳しい訳じゃないがブラジャーを付けていたらこんなに揺れないだろ。

 

「いや付けてないだろ」

 

「あったり〜♪」

 

「何で付けてないんだよ」

 

「付けてない方が好きだから」

 

コイツにマトモな返答を期待する方が馬鹿だったな。

 

「そんでお前の服を買いに行く訳だがどんな物が良いとかあるのか?」

 

「ん〜本当はこの服が気に入っているからこの服が良いんだけどねぇ。まぁ着れれば何でも良いよ」

 

「何でも良いが1番困るんだよなぁ」

 

まぁ店に行ってからどう言うのにするかは決めるか。と言うことで暫く歩きやって来たのは値段も大して高くないごく普通の服屋。店内に入ると色んな種類の服達が所狭しと陳列してある。俺は特にオシャレに気を使っている訳ではないので女に似合う服なんてのも分からない。ここは彼女の好きに選ばせた方が良いだろう。

 

「好きな服選べ」

 

「うーむ。どうしよっかな〜」

 

リンはあちこち見て周り色んな服を手に取っては「違うな〜」とか言って戻すと言う作業を何度か繰り返していた。これは長くなりそうだと思った俺はスマホで仕事の依頼が来ていないかや今後の予定などを確認して時間を潰した。

 

時間にして15分程経ちやっと服と下着を決め終わった様だ。どんな服を選んだのか気になり見てみると黒色のタンクトップやパーカー、Tシャツ、灰色のショートパンツなど本当に着れれば良しみたいなラインナップだった。昨日の夜の裸Tシャツの格好と言い彼女はラフな格好が好きなんだろうか?下着も買ったそうだが流石にどんなパンツにしたのかを見たりとかはしなかった。だが服の選び方から察するに特にこだわりは無く適当に選んだ可能性がある。まぁ兎に角リン用の着替えの服や下着は買い終えたので帰ろうかとしたがリンがこんなことを言って来た。

 

「ねぇ。ここら辺に中華料理屋さんとかないの?」

 

何故に中華料理屋?と思ったが彼女の格好と中国製のサブマシンガン高いと言うことを踏まえて考えた結果食べ物も中国関係が好きなのかと予想した。

 

「中華料理好きなのか?」

 

「まぁね」

 

そしてその予想は合っていた様だ。ロヴナに中華料理屋はあるのか無いのか、正解はある。しかし俺は別にそこまで中華料理が好きな訳でもなく店に行ったことは全く無かった。

 

「まぁあったと思うぞ。俺も行ったことが無いから上手いかどうかは分かんねぇぞ」

 

「それは食べてからのお楽しみってことで。さ、ボクお腹減ったから早くお店まで案内してよ!」

 

「待て待て案内してよとか言いながら先に行こうとするな!って言うか道間違えてるし!」

 

急かす彼女を連れて俺は多分この街に来て初めてであろう中華料理屋にお邪魔した。この店はお高い中華料理屋と言う訳では無いが中国人の料理人が使っている本格的な中華料理が食べられるとか聞いたことがある。店内に入ってみると思っていたより人は多く美味しそうな匂いが漂って来て丁度腹が減り始めていた俺に食欲を沸かせた。適当に席を選び座った俺はメニュー表を見て何にするか悩む。リンの方を見てみるととてもワクワクした様子でメニュー表を見ている。相当中華料理を食べるのを楽しみにしていた様だ。

 

「・・・炒飯と麻婆豆腐にするか。そっちは決まったか?」

 

「それじゃボクは青椒肉絲と炒飯と麻婆豆腐で!」

 

「そんなに頼んで食べ切れるのか?」

 

「大丈夫だって!」

 

まぁもしリンが食べきれなかったら俺が食べてやるか。などと考え俺は店員を呼び注文を済ませた。注文を受けた店員は足早に厨房の方へ行った。頼んだ料理が運ばれてくるまでじっと待っていると突然リンが俺に顔を近づけて来たかと思うとすこし声のトーンを落として話しかけて来た。

 

「それで、殺しの仕事はいつになるの?」

 

ここでする話では無い様な気もするが他の客などは俺達の話を聞いていない様だし問題ないか。

 

「今の所は何も依頼は来ていない。だが次来た依頼はお前にやらせようと思う」

 

「それは楽しみだね。そう言えばアレックスはどんな殺し屋なの?」

 

「どんなって言われても別に普通だ。依頼された標的を容赦無く殺すだけだ」

 

「金さえ貰えればどんな依頼でも受ける感じ?」

 

「まぁ基本的にはそうだな。だが不可能だと判断した依頼はどんなに金を出されても受けないことにしてる」

 

「今まで何人殺したの?」

 

「一々数えてはいないが2桁は確実だな」

 

「結構殺ってるんだね〜」

 

「まぁ昔からこの仕事をやって来たからな」

 

「いつからやってるの?」

 

「初めて殺し屋の仕事をやったのは17の時だったから5年前からやってるな」

 

「17歳から殺し屋か〜凄いね」

 

「金を稼ぐ必要があったからな」

 

「キミも色々と大変な思いをして来たんだねぇ」

 

「今のご時世大変な思いをしていない奴の方が少ないっての」

 

そんなこんなで雑談をしていると注文していた料理が運ばれて来た。炒飯はよくある感じの普通の炒飯だったが麻婆豆腐が見た目からしていかにも辛そうな赤黒い色をしている。試しにレンゲを1掬いして食べてみる。

 

「辛っ⁉︎」

 

クソ辛かった。と言うか辛いを通り越して痛い様にも感じ舌がヒリヒリする。直ぐに水を飲むがそれでも口の中に残った辛味は消えない。口直しに炒飯を食べてみるが麻婆豆腐の辛さで舌が馬鹿になったのか炒飯の味がしない。

 

「これ辛いなおい」

 

と言いつつリンの方を見てみると麻婆豆腐を美味しそうにパクパクと食べていた。

 

「ん?そう?」

 

「お前辛いのが強いんだな・・・」

 

「そうかな?別に普通だと思うけど」

 

「さいですか・・・」

 

俺は別に辛いのに弱いと言う訳では無い。この麻婆豆腐の辛さがおかしいだけだ。だがリンはその激辛麻婆豆腐をこともなげに食べ進めている。どうやらリンは結構辛いのには強い様だ。にしてもチャイナドレスを着ているせいか中華料理を食べるリンの姿はとても絵になるな。

 

「何見てるの?」

 

「いや、美味そうな食べるなと思ってな」

 

実際リンはとても美味しそうに食べている。また今度ここに連れて来てやるかと思いつつ俺はひーひー言いながら残りの麻婆豆腐と炒飯を食べ進めて言った。




この話を書いていたらなんだか辛い麻婆豆腐を食べたくなって来たので今度王将に食べに行こうと思いますw皆さんは中華料理は好きですか?私は結構好きです。中でも麻婆豆腐と青椒肉絲が好きです。

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