[完結]FIA Formula1 World ChampionshipThe New generation 2nd season   作:九嶋輝

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Round7~9 Just a Day(モナコ~カナダ)

前回のスペインから、舞台は伝統のモナコへと移して迎えた、モナコGP。実はここに来て、晴南の調子がすごく良いのだ。何故かは知らない。考えられるとしたら、昨年のリベンジを果たす為だと思う。そんだったら俺は、バックアップに徹する事にした。そして予選でも、晴南がポールを獲得。俺は、3番手を獲得。2番手には、自身予選最高位を獲得した一飛という並びだ。レッドブルのお二人さんは、Q3でペレスがやらかしたりと色々あったが、なんとか1桁台を獲得している。そして、決勝がスタート。俺は、1コーナーで一飛をねじ伏せるかの如くパスして2番手にアップ。晴南は、トップのまま1コーナーをクリアした。あとは完全に晴南のリズムでレースをリードしていき、そのままフィニッシュ。結果は晴南が昨年のリベンジを果たした。俺は、最後の最後まで、アルファロメオの一飛を防ぎきって、2位フィニッシュ。一飛もルーキーながら、初のモナコ表彰台を獲得。星奈もレッドブルを防ぎきって5位フィニッシュ。晴南はゴール後に、泣いていたとか。

 

そして第8戦、アゼルバイジャンGP。ここでは、日本人ドライバーによる、超高速接近戦が展開された。しかも、すごい僅差の戦いだった。予選は、星奈が自身初のポールを獲得。そのすぐ後方に晴南と俺が構える格好になった。そして、決勝がスタート。俺は、ロケットスタートを成功させ、1コーナー突入時までにトップに。そして、あとは完全に自分のペースでレースをリードして行ったが、その後方では、晴南と星奈による、超高速ドッグファイトが起きていた。一進一退の攻防戦が、ファイナルラップまで続いていた。そして、最後は、星奈が僅かなミスをしてしまい、その隙を待ちわびてたかのように、晴南がパスして2位でフィニッシュ。ゴール後に俺は、ガレージで「良く頑張ったよ。あそこまで、星奈を防ぎきるなんて言うのはかなり凄いよ。ミラー越しに見えてたけど。俺も過去にやったけど、あの時は気の緩みが全てだったね。一瞬の気の緩みが全てを決めた。でも、今日は違った。晴南が最後の最後まで星奈を防ぎきって取った2位だよ。」と賞賛した。

 

そして、第9戦、カナダ・モントリオールGP。コースは、モントリオール・ジル・ヴィルヌーヴ・サーキット。ちなみに、俺と晴南と星奈と一飛とミケーレは、初めて走るコースになる。見た感じは、高速コースであるが、「最後の壁」が鬼門である。ミケーレのおやっさんのマイクさんだって、あの「壁」の餌食になってる。そして、初のカナダに来たが、本当に綺麗で絶景のオンパレードだった。ちなみにこれは、余談だけど、カナダは州ごとに色々法律があるけど、何故かケベック州だけはかなり「特殊」な扱いを受けている。そこは、あまり触れない事にしている。まぁそんな事どうだっていい。今回のレースは、まぁ荒れに荒れたね。晴れた日がほぼ皆無だった。ほとんど雨だった。あのマシンで雨のレースはもはや「恐怖」でしか無い。ただでさえ、300km/h以上でポーパシング全開(レッドブルのおかげである程度は治まってる)なのに雨なんて、「自殺行為」も当然である。揺れるマシンで視界がよろしくないのに、雨で尚更なんて言う状況だ。そして問題は、フリー走行から露呈していた。マジで俺は死ぬかと思った。そう、迂闊にドラフティングを使えない事だ。ドラフティングを使おうもんなら、死に直結する行為だ。いや、バックストレートが怖くてたまらなかった。前の車のウォータースクリーンで視界が遮られるは、ブレーキングポイントが掴めないはで。あとは、「ハイドロプレーニング現象」という、タイヤが上手く「撥水」出来ずに「水の膜に乗ってしまい制御不能」になる現象が起きないようにも気を付けてたが、やっぱり起きてしまった。ブレーキを踏むに踏めない様な状況だった。踏んだらどうなるか知ってるからだ。それを見越してかは知らないけど、俺は、とある「秘策」を思い付いて実装していた。それは、「エンジンブレーキ・ブースター」という、MotoGPではもはや「当たり前」のアイテムである。それが一体何なのかと言うと、簡単に言えば「エンジンブレーキを増強させるシステム」である。普段は、そんなに必要無いから0.5位だけど今回ばかりはこんなんじゃ済まない為、マックスの5にして走っていた。俺はそれを有効活用して、ブレーキに極力頼らない運転を心がけていた。ちなみに晴南のマシンにも実装している。そして予選なんて、良くあんなコンディションでやれたなと思った。マジで心臓に良くないね。俺は、慣れない雨に苦戦しながらも何とかトップ5に食い込んだ。そして晴南は、何故か晴れのレースでの才能が開花したのか、メルセデスをものともせずにポールを獲得。そして、レーススタート。俺は、スタート時に3位までジャンプアップ。そして、問題は最後の最後だった。何と、今どきのフォーミュラカーでは有り得ない、「ミスファイア」が起きていた。俺はステアリングディスプレイに出た文字に目を疑った。「Caution!Power Unit MissFire!」という表示に。でも、何とかして表彰台に登りたかった為、意地で、アロンソの猛攻を振り切って3位を掴み取った。ゴール後に俺は、死力を尽くしたかのようにヘロヘロになっていた。でも、アロンソがやって来て「今日は楽しめたよ。ありがとう。」と寄ってきて、俺も「こちらこそ今日は楽しめたよ。ありがとう。」と握手を交わした。そして、結果は、1位が晴南。2位がフェルスタッペン、3位が俺という順になった。


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