もう一人のプリンセスナイト   作:オオル

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どうも!今回はその2です!やつが登場!

投票してくださった20数名の方達ありがとうございます!更新は遅いですが定期的には更新していく予定ですので!感想もらえると嬉しいです!

それではどうぞ!

誤字脱字絶対あります。お許しを!


第十三話:テレ女のやべーやつ その2

 クロエの家で夕ご飯を食べることになった俺は近くの公園でクロエの弟達と遊ぶことになった。

 

 さて、ここでひとつ話があるのだが…諸君らは10歳にも満たないクソガキ共の体力は成人男性(仮)よりも有り余っていることをご存知だろうか。

 

 普段俺は有り余っている魔力をいいように使い常時身体強化をしている。

 

 ガキと鬼ごっこするにあたって強化した肉体で遊ぶのは流石に可哀想だと思い身体強化を解除して一時遊んでいた…が。

 

「ぜはぁ、ぜはぁ……な、なんだコイツらは…体力ありすぎだろ…」

 

 俺は強敵を目の前にしたような仕草で地に膝を付けしまいには両手も付け肩で息をしていた。

 

「にいちゃん最強の騎士じゃないのー?」

「ああ、最強の騎士…のはずだよ?あれ、俺身体強化しなかったらこんなに体力なかったのか…?」

 

 まさかガキよりも体力が劣っているとは…いやガキはそりゃ若いから俺よりかは体力あるとは思うが…こんなガキが俺を見下ろすように囲んでいるのは…俺のプライドが許せん!

 

 ええい!知ったことか!こーなったら強化魔法使っちゃうもんね!

 

 身体強化の魔法を使ったとんアリトは普通に立ち上がる、のでは無くわざわざその場でバク転を決めて立ち上がった。

 

「クソガキ共、第2ラウンドだ!身体強化した俺からは逃げられんぞー!!」

「うわ!こすーい!ずるい大人だ!」

「はっはっはっ!まだ17のガキだってのー!」

 

 その後アリトは自称子供と豪語しながら鬼ごっこを無双するただの残念なやつであった。

 

◆ ◆ ◆

 

「いやあんたさ、10歳未満の子供に対して何意地はってんの?」

「はい。何も言えません」

 

 あの後一番下の弟が俺を捕まえれないと泣き出し、その声を聞き止めたクロエが音速で俺の元にやってきて絶賛今説教を受けてる。

 

「あーやだやだ。NIGHTMAREの騎士様は大人気のないガキンチョだったとは…世間が知ったらガッカリしちゃうよ」

「いや、俺だってまさか子供に劣るほど体力がなくなっていたとは…もう身体強化魔法なしでは生きては行けない体に改造されてたみたいだ」

「カイゾウじゃないから。ただの怠惰だから」

「うぐっ!」

 

 これまた何も言えない…!はあ、稽古のメニューにランニングも追加しておくか…。

 

「やーい!アリト怒られてやんの!」

「煽んな!大体お前!呼び捨てやめろ!」

「アリトは大人気ないもんねー!」

「こいつらの記憶消してやりてぇー」

 

 絶対命令使えばこいつらの記憶なんて好きなように改竄できるっての。

 

「でも身体強化だけで全然動き変わるんだー、いいなー僕も使えたらなー」

「それは無理だよ。これは本来長時間使用できない魔法なんだ」

 

 例えば武器を振る瞬間だけ発動だったり、防御する時とか、移動する際の初動で使う…とかな。

 

「でもアリトはずっと使ってる感じだったじゃんか!」

「だから呼び捨て…まあ俺はそこら辺のやつと魔力量がちげーからな」

 

 俺みたいに常時発動できるのは本当に限られたやつ程度だろ、多分ランドソルには俺しかいないと思う。

 

「どれぐらい違うの〜?」

「それは知らん。でも魔力が尽きたことなんて一度もない」

「魔力量に関しては生まれた時から決まってるって学校で聞いたわ。あんたの両親相当凄い人だったんだろうね。知らんけど」

 

 そうかな…?親父も母さんも言うて魔力量は人並みだったと思うけどな。

 

 親父なんて龍雷すらまともに扱えない人だったし…ってあの人は優しすぎるからそもそも使う機会がなかったから使い慣れてなかったってところか。

 

「ってごめん。無神経なこと言ってた」

「ううん。気にしてないぞ。両親は、まあ、うん」

 

 今度ガリアードとやり合う時倅を見つけては…絶対に…。

 

「ほーら。また怖い顔してるーそんな顔してると小じわ増えちゃうぞー」

「!……ごめん」

「やっぱ親の話したのはマズかったか…今後気おつけるよ」

「それは助かる」

 

 クロエとそんな話をしている時、クロエの母親が夕ご飯できたと知らせに来てくれた。

 

 クロエ家の今日の夕食はカレーと来たか。

 

 どうやら俺は食堂で何食うか迷ったらとりあえずカレーを選ぶほどカレーが好きなようだ。

 

 各々がテーブルに着き手を合わせいただきますと言った後俺もいただきますと言う。

 

 スプーンを手に取り一口食べてみる。

 

「!う、美味い…!」

 

 NIGHTMAREの食堂のおばさんが作るカレーよりうめえ、なんだこれ。もう食堂のカレーに戻れねえよ。

 

 ガツガツ食べる俺の様子をクロエ達はぼけーと眺めていた。

 

 視線が向けられているなんて気づいたのはカレーを食べ終わったあとだった。

 

「……あんたさ。なんて言うの?凄く美味しそうに食べるンだね」

「?そうか」

「ええ、作ったかいがあったわ♪」

「ねえちゃんと母さんが一緒に作ったカレーは世界一美味いからね!」

「アリトも気に入るのは無理もないよ!」

「だから呼び捨てぇー!!」

 

 このクソガキ共目…ってガキはこんなもんか。あーやめやめ、ムキになって刃向かうのは時間の無駄だし、それこそ大人気ないな。

 

「そうだ!アリトさ!ねえちゃんとケッコンしなよ!」

「……はい?」

「ケッコンすればアリトは毎日このカレー食べれるよ!ねえちゃんが1人で作るカレーもこれに負けないぐらい美味いからね!」

「ちょい待って。え?誰この子らに結婚なんて単語教えたやつ、まだそんなこと考える年頃じゃないでしょ。ただでさえうちらもまだそんなこと考える年頃じゃないのにさ」

 

 クロエはたんたんと口を動かしていた。さらにその口は一度止まったかと思えば爆弾発言をした。

 

「それにアリトさんはペコリーヌさんって言う超絶美少女のことが好きぴだからうちなんて眼中にないよ」

「……だから俺は別にペコリーヌに好意を抱いてないって言ってんだろ。苦しくなったからって無理やり話を変えるな」

 

 ああ、そうだな。ペコリーヌは可愛いさ。正直初めて顔を見た時は可愛すぎて驚いたさ。

 

 だけど可愛いからはい好きーとはならんだろうが。確かに気にはかけるがそれは好きとかではなくでな、なんというか。こうあれだよ。

 

「今頭の中で必死にコウテイしてたっしょ」

「してない」

「若い子の恋バナにはついていけないわ」

『ついてこなくていい!』

 

 何を言い出すんだクロエの母親は、無理してつい来る必要なんてないだろうが!

 

「あらそう?あっ!アリトさんお代わりいりますか?」

「え!いいんですか!?是非!」

「躊躇してた数時間前のあんたどこいった?」

「……うるさい」

 

 低い声でそう答えたアリトに対してクロエと弟達は目を合わせふふと笑ってその後は特にいじらないのであった。

 

「ふう。ご馳走様でした。とても美味しかったです」

「お粗末さまでしたー」

「さまさまでしたー」

 

 誰かの手料理なんて久しぶりに食べたぞ。

 

 スズメのシチューとかそれぶりか?あーそういえばペコリーヌも料理振舞ってくれたっけ?

 

 料理って言っても魔物を焼いたヤツだけど

 

「(ってまたペコリーヌのこと考えてた)」

 

 クソ。クロエが変なこと言うから意識しちまうじゃねーか。

 

「さてと。俺はそろそろ帰るよ」

「えぇー!アリト帰るの?一緒にお風呂入ろうよー!」

「悪いな。それだけは絶対にできん」

「ちぇー、じゃあまた来てくれる?」

「今度は強化魔法なしで鬼ごっこしてくれる…?」

「……ああ、それまでに体力付けておくから待っておけよ!」

「わーい!じゃあ僕達も走ろっと!」

「走ろーっと!」

「いや、お前達はこれ以上体力をつけるな」

 

 これ以上体力付けられたら俺が頑張ったとてやり合えるかちょっと不安になるからやめてくれ。

 

「帰るなら途中まで送ろっか?」

「……いいよ、適当に歩いておけば中央区に着くだろ」

「そ。なら玄関までは見送ってあげる。感謝しなー」

「あーはいはい」

 

 居間のテーブルに備え付けられていた椅子から立ち上がり玄関に向かう。

 

「んじゃまたな」

「カレーの時は呼ぶから」

「ははっ!それは嬉しいな!」

 

 なんて別れを告げ俺はクロエの家から出ていく。

 

 クロエの家から一歩出れば外は真っ暗だ。ここには街灯もないからな、そりゃこんなに真っ暗になるわ。

 

 ジュンさんにここへ街灯をつけるべきだと相談しとくか。

 

 俺は異空間から光る魔石を取り出し手に持ちながら帰ることにした。炎と変わらないほどの光の強さだからな、暗くなった道を照らすにはうってつけだ。

 

 俺は暗い夜道を1人歩くのであった。

 

◆ ◆ ◆

 

 クロエ達と一緒にひと時を過ごしたためなのか、その日は何も考えずぐっすり眠ることができた。

 

 次の日早朝に目が覚めた俺は早速ランニング…を始めることはなかった。

 

 そうだよ。バレない程度の身体強化をすればいいんだよと朝一頭が冴えている時に思いつき今度からそうしようと意気込み二度寝をしたのだ。

 

 二度寝を終えて起きた俺はいつも通り顔を洗いシャワーで寝癖を治し装備を身につけ食堂に向かう。

 

 さて、今朝は何を食べようか。

 

 なんて呑気なことを考えて食堂に向かうといつもより少し遅めだったためか、人が沢山いた。

 

 とりあえずパンを2つとりいつもの定位置に向かうが…畜生、俺の定位置がよくわからんやつに奪われているじゃないか。

 

「おーいアリトー!座る場所ないならここ空いてるぜ!」

「……助かる」

 

 声をかけてきたのはいつもの3人組の奴らだ。正直名前は覚えていない、が仲はいい。多分、こんな感じで誘ってくれるのだから。

 

「聞いたぜ、ガリアードとカトラスの戦争に応戦すんだって?」

「お前さん大丈夫か?その、精神的にさ」

「無理そうなら行かなくてもいいんだぞ?」

「……ジュンさんから陛下直属の命令だからどうしようもないってさ」

「なるほどなぁー」

 

 なんだ。この人達俺のこと心配してくれてるんだ…。まさか心配してくれるなんて思ってもみなかったぞ。

 

「ガリアードはライオネスの再来って言われるほどの軍事国家だからな」

「しかもこすいよなー、数年間ずっと秘密裏に軍事訓練を続けていたなんて」

 

 こすいしたちも悪いな…やはりビースト共そんなヤツらばかりなんだろう。

 

「お前さんビースト嫌ってただろ?やっぱり殺るのか?」

「……ジュンさんがそう言うならそれに従う」

「じゃなくてお前自身の話さ。そんな殺したい程憎んでたりするのか?」

 

 殺したいほど憎んでいるのか?

 

 はは、何言ってんの?

 

「それ以上恨んでるに決まってんだろ。じゃなあ」

「!おい!アリト!パン残ってんぞー!」

「いらない。食べてていいよ」

 

 俺達の自由を奪っていながら?翼も角も尻尾も奪っていながら?殺したいと思えるほどの憎んでいるのか?

 

 それ以上に決まってんだろ、ライオネス帝国の連中は女子供問わず全員殺すとあの日俺は誓ったんだ。

 

 多分…そう誓わないと俺はあの時死んでいた(・・・・・)

 

 理想郷が現出したとて殺る覚悟が決まってなかったら生き残れていなかったし、そもそも中途半端なやつになるところだった。

 

「グッモーニング♪アリト♪」

「……クリスティーナ」

 

 向こうの角からいきなり現れ話しかけてきたのはクリスティーナだった。

 

「相変わらずだな。様かさんを付けろ」

「そうゆうの大人気ないって言うんだぞ?」

 

 なんせ昨日学んだことだからな。

 

「ふんっ!オマエのその態度については今後改善させるとして…カトラスには1週間後に向かう予定だ」

「?調整してくれたのか?」

「阿呆か。飛行艇の手配と相まって1週間後になってるんだ。誰がオマエの休暇に合わせて調整するものか」

「あっそ」

 

 俺はその話を聞き受けその場から離れようとクリスティーナの横を通り過ぎようととした。

 

「まあ待て。話はまだあるんだ」

「……なんだよ、言っとくが「接触禁止命令か?もう聞き飽きたぞ?」……」

「それに一緒に応戦に行くのだからそんな命令は取っ払うはずだろ?」

「まだ続いている」

「1週間なんて誤差さ誤差さ、ところでアリト…お前は殺れるのか?」

「ッ!」

 

 何を聞いてくるかと思えばそんなことか。

 

 答えは決まってる。いや、あの日から俺の答えは決まっているんだ。

 

「……ライオネス帝国の倅は俺が殺す」

「にひっ!いいぞその目…オマエが何故ライオネス帝国の倅に執着するかは解せんがな」

「知る必要はないし話すつもりはない……そうゆうお前はどうなんだよ?」

「ワタシか?ワタシはもちろん戦争は望んでいたことだからな♪存分に愉しむ予定さ♪」

「……殺すってことか」

 

 戦闘狂のクリスティーナなら当然の返答か。戦場で高笑いしているクリスティーナの様子が目に浮かぶぞ。

 

「もしかしたらガリアード帝国の皇帝の首もワタシが切るかもな」

「……やってみろ。そんなことしたら俺がお前を殺すぞ」

「おー怖い怖い、オマエはビーストの話になると人が変わるな。そんなんでマツリ団員とは仲良くできているのか?」

「あいつは良い奴だよ。流石に良い奴と悪いやつで区別はつけてる」

「当初はそんな様子見受けられなかったがな」

「うるさい。黙れ」

 

 クリスティーナはにひとまたも不気味な笑みを浮かべては話を切り出してきた。

 

「さてと、戦争の話はここまでだ。ちょっとは愉しい話でもしようじゃないか」

「お前とか?」

「なんだぁ?ワタシとは不満か?」

「……はあ。なんだよ」

 

 何か余計なことを言えば話が長くなりそうと思った俺は早急に話を終えるために返事をした。

 

「オマエはカルミナと言うアイドルギルドを知っているか?」

「カルミナ…?いや、知らないな」

「まあオマエのことだから知らないとは思ってたさ。でもな?そのメンバーはオマエのことを知ってるのさ」

「はあ?何故ゆえ?」

 

 なんかそのアイドルギルドに迷惑かけたりしたかな?そんな覚えはないんだが!?

 

「実はそのカルミナが明日ライブをするんだ。オマエにはそのライブの護衛を任せる」

「はぁぁー!!??なんで急に!?」

「うるさいぞ♪これは副団長(・・・)の命令だぞ♪」

「なっ!てめえ!いい時だけ権利を使いやがって!」

「なっははは☆権利は使ってなんぼだろ?」

「ちっ!てかなんでお前がそんな命令下すんだよ」

 

 なんだ?そのカルミナがNIGHTMAREに護衛の申請でもしたのか?

 

てかそうだよな?じゃないとうちに、いや俺にそんな任務言い渡されないもんな。

 

「それはワタシがカルミナのプロデューサーだからさ、どうだ?驚いたか?」

「……と言う夢を見てるんだろ?」

「夢なんかじゃないさ。れっきとした現実、現にいくつものライブを成功させている実績を持ってるのだからな」

 

 クリスティーナはよくわからない資料を俺にみせてきた。そこにはクリスティーナがプロデューサーのようにバン!と一面に顔の写真が載っている。

 

 内容は確認してないが…何となくこいつがプロデューサーであることは本当なんだろうと嫌でもわかってしまった。

 

「なんで俺なんだよ」

「理由は2つだ。1つはカルミナの連中がオマエに会いたがっているから。そして2つ目は人件費がオマエ1人だけで抑えられるからだ」

「うん。1つ目まではいいけど2つ目はなんだよ!それ言わない方が良かった内容じゃないか!?」

「なっははは☆そうだな、じゃあなしだ」

「おせーよ!」

 

 そうゆうのは隠しておくもんだろうが…。

 

「はあ、わかった。休暇期間中だけど行ってやるから、とりあえず今日はもう帰ってくれ」

「助かるぞアリト、ノゾミ達も喜ぶだろう…じゃあなアリト、アデュー♪」

 

 クリスティーナは別れの言葉を述べた後俺の前から潔く姿を消してくれた。

 

 休日にまであいつと会話をしなければならないとはな。

 

 はあーあ、俺の休暇がー1日無駄にー。

 

 特別やることもないからいいけどさ。でもクリスティーナのせいで1日が潰れるのは癪だな。

 

「とりあえず今日は適当にクエストでも受けるか」

 

 もしくはチャーリー達と飯でも食べに行くかだな。

 

 あ、ユイ達は今日暇してるかな?もし暇ならユイに防御魔法を教えてもらいたいんだが…。

 

 ユイがジャヴァウォックの一撃を防いだあの防御魔法、俺の魔力量なら耐久性が高い状態で展開できるはず。

 

「ギルドにユイ達が住むギルドハウスの場所聞きに行こーっと」

 

 ばびゅーんとアリトはその場から走り去りギルド協会へと向かうのであった。

 

◆ ◆ ◆

 

 ギルド協会に向かうにあたり今まで通ったことがない道を通ろうと思い、普段使わない道をあえて歩いていた。

 

「なるほど。あの道を抜けるとここに出るのか」

 

 よく行く喫茶店の裏に出た。よし、近道を見つけることができたぞ。

 

 民家の屋根を走ればこんなところあっという間に着くが…それは住んでる人達の迷惑をかけるしな。

 

 緊急の時はやむを得えず屋根を走ることはあるがな。

 

 その後も俺は人通りが少ない路地裏を通りながらギルド協会に向かうことにした。

 

「(ペコリーヌとの再会の約束まであと数十日か…)」

 

 ジュンさんに一年経つと聞き俺は急いでNIGHTMAREに入団した日を調べた。

 

 入団した日の数日前に俺はペコリーヌと別れているからな、必然的に再会の日は知れる。

 

「あいつ手紙書くとか言ってたくせに…」

 

 結局一通も来てないんだが!?俺と再会する約束まで忘れてたりしたらタダじゃ犯さないぞ…てかちゃんと生きてるんだろうな。

 

「……心配だなー」

 

 変なやつらに捕まって卑猥なことされてたり…いやそれは流石に考えすぎか。あいつなら馬鹿力でそんなヤツらねじ伏せるよな。

 

 俺は歩きながらペコリーヌのことを考えていた。すると

 

「痛ぁー!」

「!」

 

 声が聞こえた足元を見てみると俺のつま先が地べたに座る幼女?の足に触れていた。

 

「すまない!考え事をしてたんだ!怪我はないか!?」

 

 ちょうど木箱によってこちら側から顔が見れなかったもんだから急いで幼女の前に行きそう言葉を述べた。

 

「なに、こんな裏路地に人が座っているなんて誰も思わないさ。ここで休憩していたぼくにも非がある。君が気に病むことなんてないんだ」

「…………?」

 

 この幼女…なんか淡々と語り出したぞ。見た感じかなり幼いよな…博識な子なのだろうか?

 

「はは、そうか。にしてもこんなところで休むなんて危ないぞー、パパとママは何処にいるんだ?」

「むう。君は何かとんだ勘違いをしてないか?」

「は?」

「確かにぼくは絶賛成長期中のためまだ年相応の容姿には成長していない、言わば蛹の状態だ。周りの同学年の子達と比べればちんちくりんだが頭脳は劣っていないと自負しているよ」

「???」

 

 つまり…幼女ではないってことか?

 

 待て。この子が来ている制服どっかで見たことあるぞ…そうだ!クロエが着ていた制服!テレ女の制服だ!

 

 リボンの色がクロエと違う…てことは上級生?

 

「えっとつかぬ事をお聞きしますが…テレ女の生徒さん?」

「おーぼくがテレ女の生徒だということはわかったのか。さては君女子高生の制服姿が好みなのか?」

「ちげーよ。知り合いにいるんだよ、テレ女に通ってるやつが」

「なるほど。通りで…よいしょっと、こらしょ、どっこらしょっと」

 

 目の前にいた女の子は立ち上がる動作ひとつごとに言葉を零しながら立ち上がった。

 

 そして近くにあった木箱の上によじ登り俺を見下ろすように、そして胸を張りながら言葉を述べた。

 

「ふっふっふ。ここなら見下ろせるぞ…。ぼくはユニ。聖テレサ女学院の2年生であり「象牙の塔」に学ぶものだ」ドヤ

 

 ふんすと鼻息を荒らげ少女は俺に自己紹介をしてきた。何故ドヤ顔をしているのかは知らんが。

 

「2年ってことはあと数日後には3年ってことか?」

「その通りだ。君は見たところぼくよりも歳下だろう?」

「ご名答。あんたの1つ下ですよ」

「ならば敬意を表しぼくのことはユニ先輩と呼びたまえ後輩よ」

「ユニ…先輩…?」

 

 未だにふんすと鼻息を荒らげ木箱の上から俺を見下ろす幼女に見える少女に対して先輩呼びだと…?

 

「?どうした後輩?さあ遠慮せずぼくのことはユニ先輩と呼んでくれて構わないよ、さあ!」

「は、はあ、ユニ先輩」

「くぅー!これが上下関係というやつか…生まれて初めて他人からユニ先輩なんて呼ばれたぞ」

「?後輩はいないのか?」

 

 テレ女の2年ならばクロエを含む1年達が後輩に当たるのではないか?

 

「ぼくは入学早々名誉学位を授与されたからな。授業は全て免除されているため「象牙の塔」に引きこもり日々研究や論文を執筆しているんだ」

「???」

「端的に言うとぼっちってやつだ」

「……ぼっちかー」

 

 ユニ先輩は長々と話すが最終的には内容を端的にまとめて話してくれるから助かる。

 

 てか友達いないのかー今度クロエにユニ先輩のことそれとなく話してみようかな。

 

「そのため君がぼくの後輩第1号だ。とても名誉ある称号だと思わないか?」

「全く、これっぽちも思わないんだが?」

「んもーう。お世辞はやめたまえよ、照れるじゃないかーでゅふふ♪」

「褒めてないんだが!?」

 

 それにユニ先輩の後輩だからって何か融通が聞くわけでもねーだろ!いらんはそんな名誉もない称号なんて!

 

「ところで後輩、君は誰なんだ?自己紹介をしてくれたまえよ」

「俺はNIGHTMARE騎士団員のアリトだよ」

「ふむ?アリト…はて、何処かで聞いたことある名前だ…」

「知らないのなら今日覚えて帰ってくれよユニ先輩」

「心得た。それに君はぼくの後輩第1号なのだからな、その名前はしかと胸に刻んでおこう」

「はは、ありがとうな」

「ところでアリトよ、博識な先輩からのお願いなのだが聞いてくれないだろうか?」

「内容による」

「なら話そう。ぼくが引きこもりであることは先程話したが覚えているだろうか?」

「?ああ、それが?」

「実は訳あってランドソル外のとある洞窟に向かわなくてはならないんだ」

「……はあ」

 

 もう何となくわかった。

 

「普段運動をしない引きこもりのぼくが重い腰を上げて象牙の塔から出てみればどうだ。世界はこんなにも知識に満ち溢れているというのに、外に出れば一瞬にして地獄と変貌した」

「……………………………………………………」

「未発達の体故に歩幅が小さく数分歩いたとて数メートルしか進まない。そんな中太陽はぼくのことなんて容赦せず必要以上に照りつけるじゃないか。ぼくはあいつに何か悪いことでもしたのだろうか?」

 

 生まれて初めて太陽に文句言ってる奴みたぞ。てか太陽は別にユニ先輩1人を照らしている訳では無いぞ?

 

「端的に言うともう疲れたんだ。だからぼくをおぶってその洞窟に連れてってくれないか?」

「着いても疲れてるだろ」

「なに君の背中で少し休めば探索はできるさ。それにあそこならばやつ(太陽)がぼくを必要以上に照らすこともない」

「さいですか」

 

 ユニ先輩の天敵は太陽ってことか。心のメモ帳にメモでもしておこうか。

 

「では早速洞窟へ…」ギュルルー

 

 ユニ先輩は木箱から降りて洞窟に向こうと言おうとした時可愛らしいお腹から空腹を知らせる音が鳴った。

 

「しまった。ぼくとしたことが本日分のサプリメントを服用していなかった」

「サプリメント?そんなんで栄養とれるのかよ?」

「とれるさ。それにぼくが服用しているサプリメントはミツキ氏が作り上げた物だ。彼女をヤブ医者と呼ぶ物も多いが…それは彼女の悪ふざけが表に出ているだけだ」

「ミツキかー、俺も知ってるぞそいつ」

 

 数ヶ月前町中で理想郷を使用したところたまたま目撃してたらしく暫くは理想郷を研究させてくれとかなり懇願していた。

 

 負けて調べさせようと思ったところチャーリーからやめてた方がいいっすよ?と言われたからやめたんだ。

 

 最近顔を合わせないが多分生きてると思う。あとなんかナナカとかいう助手がいたような?

 

 あいつなかなか際どい服着てるから目のやり場に困るんだよなー

 

 に比べればユニ先輩といいクロエといい制服姿の人はそうゆうの困らないからいいよな。

 

「ぼくとミツキ氏は旧友の仲なんだ。ここに来る前に住んでいた里では一時期だが同じ釜の飯を食べたものだ」

「ユニ先輩あいつと一緒に過ごしてたのか!?」

 

 聞くところによると自分で開発した薬を人に試したがるようなやつと聞いてるぞ?

 

 なんでもよくわからない副反応があるとか何とか…そんなやつと同じ屋根の下で生活なんて!

 

「ぼくは昔のことを気にしないたちだからな。今となればいい思い出…とは言い難いが、うん。面倒臭いからそうしておこうか」

 

 ユニ先輩小さい頃色々されてたのかー大変だったろうな。

 

 そう思っているとまたもユニ先輩の腹から発する音が路地裏に鳴り響く。

 

「うぅー後輩とにかくーサプリメントを取りに帰るか、なにか柔らかくて顎が痛くならない物を食べさせてくれないだろうか?」

「……はいはい、世話のかかる先輩だこと」

「へへ、褒め言葉だぜ」

「だから褒めてねーよ!」

 

 ユニ先輩の前にかがみ込み背中に乗れと誘う。するとユニ先輩は即座に背中にしがみつきがはは!進めー!なんて言い出しやがった。

 

「おい後輩、ぼくの大切な武器を忘れているぞ」

「あ?」

 

 ユニ先輩は地面に転がる巨大な万年筆?を指差しながらそう言った。

 

「……こんな大きなもん持ってるから尚更疲れるんだろ」

「何言うか!確かにこの武器は戦闘では一切使用しないが…」

「使用しないが?」

「ふふ、浪漫を感じるだろ?」ドヤ

「………………………………………………」

 

 おぶっているから顔が見えないが多分ドヤってんだろうな。

 

「はあ、とりあえずこれは一体俺が預かっておくぞ」

 

 異空間の窓を展開し、ユニ先輩の武器を回収した。すると

 

「何それぇー!」

「……異空間の窓」

「異空間の窓だって!?書籍で概要は知ってはいるが開く人物を初めて見たー!!」

「それはユニ先輩が普段外に出ないからじゃないか?」

「一度開くだけでも相当の魔力を消費すると書かれていたぞ、後輩、君今無理してたりしないかね?」

「それは大丈夫だ。俺他の人達よりも魔力多いから」

「……なんと、ならば異空間の窓を開けたい放題ではないか」

「はい、とりあえず行くぞー」

 

 近くにあるよく行く喫茶店へと俺は向かう。ここから一番近い飲食店はそこだからな、顎が痛くならない食べ物となるとフレンチトーストがうってつけだろ。

 

 そう考えているうちにすぐに喫茶店へ着き、ユニ先輩と一緒に入店した。

 

「すみません。2人です」

「お席へ案内しますねー」

 

 店員さんの後を着いていき案内されたテーブルに備えられている椅子へユニ先輩を座らせ、その後俺も座る。

 

「今の時間だとモーニングメニューあるだろ?ここのフレンチトーストはふわふわだから顎は痛くならないと思うぞ」

「ふむ、ではそれを頼もうか」

 

 なら俺も考えるの面倒臭いからユニ先輩と同じやつでいいか。

 

 店員を呼び注文をした後フレンチトーストが運ばれるまでの間ユニ先輩としばし話をしていた。

 

「ところでユニ先輩は何故洞窟へ?」

「!……気になるか後輩?」

「?まあユニ先輩がそこまでして行きたがるから少しだけ気になるな」

「そうか。そうかそうか。そこまで気になるのかー、なら話してしんぜよう」

「そこまで気になってないだろうが…」

 

 聞かれたことがよっぽど嬉しかったのだろうか?ユニ先輩はニヤニヤしていたが、語り出す寸前にすっと表情が変わる。

 

 その顔は今から真剣な話をするぞと言わんばかりの表情だった。

 

「君はこの世界についてどう思っている?」

「……世界について?いや特に考えたことは無いからなんとも言えないな」

「ふむ。ならばこの世界で何か不思議に感じたことはないだろうか?」

「急に言われてもパッとは思い出せんな…てか結局何が言いたいんだ?」

 

 ユニ先輩は内容を話すにあたって前置きが必要だからこのような話をしているのだろう。

 

 そのためそろそろ端的に語ってくれると思うんだが…。

 

「実はある研究をしていてね。その内容というのが…」

「内容というのが…?」

「世界に蟠る根源的な虚構…忌まわしい忘却現象について、だ」

「根源的な虚構?忌まわしい忘却現象?」

「ああ、ぼくはこの世界には何か大いなる欺瞞がある…と仮説を立てているのだ」

「……欺瞞?」

 

 ちょっと待ってくれ。なんか難しい話になってきてないか…?

 

「すまない。こちとらまともな教育を受けてなくてだな、もっと分かりやすく話してくれないか?」

「それもそうだろうな。ならばぼくの体験談を語ろうじゃないか。確かこのメモ帳に…」

 

 ユニ先輩はメモ帳を取り出しペラペラとページをめくり出した。

 

「あーこれか?ぼくは俗に言うメモ魔でね。色々な経験は全て書き留めているんだ。だからこの辺に…あったぞ」

 

 その後ユニ先輩は語り出した。

 

 なんでも数ヶ月前全く身に覚えのないメモ帳が見つかったとのこと。

 

 それも象牙の塔ではなくテレ女の校舎裏にある焼却炉の中にあったそうだ。

 

 火入れの際業務員の目にとまりマザーへ相談し、内容を確認したところ筆跡から見てユニ先輩のものでは無いかと思い、ユニ先輩へ相談したそうだ。

 

 なんでも博識高いユニ先輩のメモ帳ともならば大事な情報を書き連ねている可能性が十分に高いからな。

 

 色々懸念して確認することを判断したマザーはユニ先輩の元へ訪ねた。

 

 しかしユニ先輩本人は捨てていたことなんてまったく覚えていなかったそうだ。

 

「そこでぼくはメモ帳の内容を確認した。確かに筆跡はぼくの物だ。だが…ほとんどが書き留めたことがある内容だったのだ」

「???」

「というのもぼくは一度書き留めた内容は書き留めない主義でね。内容を見てみると現在愛用しているメモ帳と全く同じ内容のメモがちらほら書かれている」

「………………………………………………」

「つまりだ。ぼくはメモ帳を捨てていたこと、そして書き留めた内容そのものを失念していたということさ」

「……なるほど?」

 

 博識高いユニ先輩ならば一度書き留めたものを別のメモ帳に書くはずかない。

 

 しかし、メモ帳を捨てたこととその内容に書き留めていた内容を失念しており、また同様の内容を書き留めていた。

 

「つまりその事象こそが忘却現象ってことか?」

「然り。それにメモ帳にもある内容が記されていたんだ」

「その内容は?」

「……この世界は何かがおかしい。とね、最後のページに記されていた」

「……じゃあユニ先輩はその内容を受け止め先程述べた説?を立てた…と」

「おーなんだちゃんと話を理解しているではないか。先輩は嬉しいぞ、どれ頭を撫でてやるからこっちに来て膝を付き頭を差し出したまえ」

「色々工程が多いなぁー!」

 

 めんどくさいからいいと俺は答えユニ先輩の所へ向かうことはなかった。その後ユニ先輩はまたも話の続きを語り出した。

 

「しかしだ。これはぼくが導き出した答えだ。そのため論文を書くにしても証明するものがない」

「確かに俺に話しても最初はピンと来なかったしな。それにただ単にユニ先輩が一時的な記憶喪失を患っていたって可能性もある」

「ぼくも最初はそう思ったのだがな、近くの脳神経外科へ赴き大金を叩き精密検査を行ったが…そんなものはなかったよ」

 

 精密検査まで受けるとは…。

 

「考えられるのは何かしらの魔法により記憶を忘却している。もしくは書き換えられている、または世界自体が何かしらぼくたちを欺くよう偽の記憶を与えている…はずなんだ」

「つまり記憶を書き換える魔法をかけられているってことか…?」

「にわかに信じ難い魔法だろ?しかしあるにはある、が膨大な魔力を消費するのだ。並の魔力量では到底会得ができない魔法さ」

「……いや、俺それできるぞ」

「なんだってぇぇぇええー!!!」

 

 ユニ先輩は椅子から立ち上がり声を荒らげた。

 

 椅子から立ち上がるとなれば地に足をつけ立ち上がること様を想像するがユニ先輩は違った。

 

 そのまま椅子の上に立っているのだ。

 

「正確に言えば相手に絶対命令を下すことができるんだ」

「絶対命令!?なにそれ興味深ぁー!是非ぼくにかけてくれないか!?」

「!なるほど!ユニ先輩に絶対命令でユニ先輩の記憶を思い出させればいいんだな!」

「へっ!?あ、あーそうだね。そうしようか」

 

 こいつ絶対興味本位でかけてくれと言っていただろ。

 

「だけどこれは1人に一度しか発動しないんだ」

「ぼくと君が顔を合わせたのは今日が初めてだろ?ならば問題ないはずだ」

「だけど俺は初対面のやつに対して絶対命令が発動しなかったことがあるんだ」

 

 ユイに対して発動した時能力は発動しなかった。

 

 ユイも夢の中で会ってていたといえ、現実出会うのは初めてだったというのに発動しなかったのだ。

 

「それこそぼくが述べた仮説と一致しているのではないか?」

「!なに?」

「君とその初対面の人は初対面ではなかったということさ。世界の虚構により君の記憶が忘却されていたんだろう。証明はできないが」

「じゃあ俺はユイと出会っていた…?」

 

 会っていたとしても俺は何故ユイに絶対命令を?それにどんな内容の命令を…?

 

「もしかするとぼくと君も既に出会っていた可能性もあるかもしれない。その絶対命令をかけていたかどうかわかりかねるがな」

「出会っていたとしてもおかしくないか?俺は1年ぐらい前にランドソルに来たんだぞ?」

「おかしくなどないさ。世界そのものがぼくたちに嘘の記憶を与えているのなら矛盾点なんて見つかるものだ。おーまた1つ見つけたぞ、メモメモ…」

 

 俺の記憶が偽の記憶だと…?

 

「じゃあユニ先輩がさっき語ってたミツキとの記憶は!?それも偽物の記憶なのか!?」

「だからあくまでもぼくの仮説だと言ってるだろ?君が何故そこまで取り乱すのかわかり兼ねるがな」

「ッ!」

 

 嘘だ。嘘だ嘘だ…!あんな地獄のような日々がただ世界が与えた偽の記憶だなんて、到底信じられない…!

 

 今でも鮮明に思い出させる過去の記憶が、そんな…なら何故そんな記憶を俺に…!

 

「さて話は戻るが、後輩はぼくが何故ランドソル外の洞窟に向かうのか気になっていたな」

「!あ、ああ」

「実はな、そこにはあるのだよ…ぼくの仮説を立証させる物(・・・・・・・・・)がね」

「なん…だと…?」

 

 ユニ先輩の仮説を証明させる物、だと?それは一体なんなんだ?

 

「その洞窟の中にはとある泉があってだな。そこの泉の水にはある能力が備わっているそうだ」

「その能力がユニ先輩の仮説を立証させるために必要な能力なのか?」

「然り、して!その能力とはぁー!!」

 

 ユニ先輩がまたも椅子の上に立ち上がり能力を述べようとしたその時だ。

 

「お待たせいたしましたーこちらフレンチトーストになります〜」

「……ありがとうございまーす」

「それと店内ではお静かにね、お嬢ちゃん♪」

「………………あ、はい」

『………………………………………………』

 

 お子様扱いされた+椅子の上に立ち上がるという恥ずかしい所を目撃されたユニ先輩は逃げるようにフレンチトーストにかぶりつく、のでは無くあたかも何も無かったかのように振舞っていた。

 

「んんっ!少し話が途切れたが…してその能力とは!」

「能力とは…?」

「魔力の流れをよくする能力さ」

「……?」

「別名「魔水」だ」

「魔水?聞いたことないな…てか流れをよくするだけで立証されるのか?」

「まあ待て……もぐもぐ……まあ待て」

 

 この人咀嚼回数多くないか…?フレンチトーストなら柔らかいからそこまで噛まなくていいと思うんだが?

 

「その泉に生息する魔物はその水を常時飲み込み生活をしている。中でも特定の魔物に関しては体内で宝石を生成する能力を持ち合わせていてな、その魔物が生成した魔水の宝石にもまた能力が備わっているんだ」

「………………………………………………」

「して!その能力とは!」

「………………………………………………」

「おいおい後輩、さっきみたいに盛り上げておくれよ」

「もうそのパターン飽きたんだよ」

 

 2回目はつまらん。1回目のときどんな能力かかなり気になったんだけどな。

 

「あらゆる魔法の能力を打ち消す能力(・・・・・・・・・)さ」

「なっ!そんな能力を秘めたものがこの世にあるのか!?」

「おうとも。まあ書籍に記されているだけだがな、赴き調査するに越したことはないと思ったぼくは一人でその洞窟に向かうことを決心したのさ」

 

 なるほど。ユニ先輩は世界が偽りの記憶と本来の記憶を書き換えられていると言う自分の仮説を立証させるために!

 

 その宝石を用いて自分に付与されていた偽の記憶を解き、本来の記憶を取り戻して世界の謎を立証させるって訳か。

 

「でもユニ先輩一人で行ってその魔物討伐できてたのかよ」

「討伐できなくともいい方法があるのだよ。後輩、君はぼくの話を聞いていなかったのか?」

「いや聞いてたよ」

「……ふむ。ここでは言い難い内容だからな。現地に着いた時話すとするよ」

「はあ、じゃあ早く食べてくんね?」

「おいおい、ぼくは普段食事なんてしないんだぞ。食すペースが後輩より劣っているのは仕方がないことじゃあないか」

「……わかったよ。すみませんー俺の皿下げてくれませんか?あとアイスコーヒー1つ追加で」

「かしこまりましたー」

 

 こうして俺はユニ先輩の食事が住むまでアイスコーヒーを飲みながら待つのであった。




次回、洞窟編と…次回はまさかのあいつが登場(オリキャラ)キャラ同士の会話には何度か登場してます。お楽しみに!

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