第13話どうぞ!
[姫サイド]
うわ、キラキラフワフワしてて入りたくな。
私は恐る恐る入店した。
「すみません~本日依頼された有川です。」
店名はキラカワラグーン。
ラグーンか~センスな。
軽く調べたら人気店だった店名は気にしないのか。
「あっ!いらしゃいませ!来てくれてありがとう!私はここの店長の漣恋って言います!」
20代後半ぐらいの女性が挨拶をしてくれる。
「改めまして東京武偵高校1年の有川姫です。よろしくお願い致します。」
「姫ちゃん、素敵な名前!あっまずは詳しいお話をしたいから座って。」
言われる通り席に座る。
「まずは忙しいのに来てくれてありがとう!昨日突然辞めた子が多くて(・_・;)」
「そうなんですか。」
その顔文字みたいの何って思ったら負けかな。
「それで武偵さんは基本何でもやってくれるから。ダメもとで依頼してみたの!」
「確かにそうですけど、なんで私に。」
「実はここでバイトしている子が武偵さんでね。有川さんが一番女の子のなかでも凄いって聞いて。」
「はぁ。」
ここで武偵がバイトしているなんて情報なかったんですけど。
一体誰が。
≪ピンポーン!≫
「あっ!業者さんだ。ごめんね有川さんちょっと待ってて。」
「はい。」
人はよさそうね。
そもそも私ど素人なんだけども本当にいいのだろうか。
もっと他に人選あっただろうに。
「それはこっちにお願いします~」
「よいしょここで大丈夫かな?」
ん?この声は
「ふぅ、おや?姫ちゃんかい?どうしてこんな所に?」
「パ、パパ!?」
「あっお姉ちゃんだ!」
「春樹まで!?なんで?」
「あれ?あれ?あっそうか“有川商店”さんって同じ有川さんだったんだね!」
「そうなりますね。」
何という事だろう。
まさか、私の実家の“八百屋さん”がメイド喫茶に卸してるとは思いもしなかった。
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!お仕事?」
「うっうん。そうだよ~お仕事。」
あぁ、もう愛おしいくてたまんない。
この天使の名前は有川春樹。
小学4年生で私の可愛い弟。
見ているだけで癒される。
お持ち帰りしたら駄目かな。
「そうか姫ちゃんお仕事か無理しないでね。」
この人は有川昌。
私が幼い頃にママと再婚した義理のお父さんだ。
主に野菜の配達を担当している。
「うん、パパも無理しないでね。お酒飲みすぎたら駄目だからね。ママによろしく。」
「大丈夫だよこのくらい。ハハ気を付けるよ。うん伝えとくたまには帰ってくるんだよ。それじゃ、また。春樹行くよ。」
「うん!お姉ちゃんまたね!」
「またね~」
もうだめ可愛い。
「お疲れ様です~。それで依頼の方なんだけども」
「やります!完璧にこなします。」
「本当!?良かった~。それじゃ、まず……」
私は一通り接客の仕方を教えてもらった。
ここのメイド喫茶はフードに力を入れているらしく比較的安価で食べることができて種類も豊富だ。
なんでメイド喫茶でやろうとしたのだろうか。
「とまぁ、こんな感じです。どう?できそう?」
「はい、問題ないです。人数は私達だけですか?」
「えっとあと一人くるよ!」
「おはようございます~…うわマジか。」
「は?なんでアンタがここに?」
「おろおろ?お知り合いだったの?」
「えぇまぁ。」
「……」
コイツか武偵でバイトしているのって。
「なんでアンタが」
「それはこっちの台詞よ。」
「もう、“咲良ちゃん”喧嘩はっめ!だぞ!」
「喧嘩じゃないですよ店長。挨拶です。」
「・・・・・・・・・・・」
「何よ有川。文句ある?」
「別に」
一応説明しておくとこの女の名は
浅野咲良、同じ武偵高の1年でクラスはC組の委員長。情報科でBランク。
ことあるごとに私に突っかかってくる女。
「制服についてなんだけど、ロングスカートとハーフスカートどっちにする?銃は見えても大丈夫だよ!」
「ロングスカートでお願いします。」
パンツとか覗かれたら嫌だし。
「もしかして有川、日和った?」
「は?日和ってないし!ハーフスカートでお願いします!」
「ハーフスカート?わかったよちょっと待っててね!」
漣さんは更衣室に入っていった。
「浅野一体どういうつもりよ、漣さんに私を紹介なんてして!」
「活躍している1年の女子を聞かれたから正直に言っただけだし!まさか有川に依頼するなんて思ってもなかったわよ!」
「仲いいね~」
「よくない!」「よくないです!」
なんでコイツとはもるのよ。
「はい、有川さん……姫ちゃんってよんでもいい?」
「大丈夫です。着替えてきます。」
私は更衣室に向かった。
なるほどこういう構造ね。
渡された服は通気性がよく可愛いデザインだ。
サイズもピッタリ。
銃も忘れずに携帯しておかないと。
「着替えました。」
「凄い似合ってるよ!姫ちゃん!お胸大きくて羨ましいね沙良ちゃん!」
「たっただの脂肪ですよ!いうて店長は小さくないじゃないですか!」
「えぇ~そうかな~」
漣さんは自分の胸を確認しながら言った。
「っく・・・・・・」
浅野は悔しいでしょうねぇ。
「何よ!有川!」
「別に肩凝らなくてよさそうだなって思っただけよ。」
「こんの・・・・・」
「咲良ちゃんもうオープンするから着替えてきて~」
「はい、わかりましたよ。」
浅野はしぶしぶ更衣室に行った。
ふん、ざまぁ。
【咲良サイド】
「別に良いじゃないの大きくなくて。」
有川の奴、勝ち誇った顔してムカつく。
Cカップで何が悪い篠原さんに言いつけるぞ。
あんなのただの脂肪なんだから!
ね!篠原さん!
「はっくしょん!」
「風邪?望海ちゃん?」
「誰か噂しているのかな~。あっお迎えきたから行くね!」
「はーい気を付けてね。」
いけないいけない早く着替えないと!
「でもまぁ、有川がいれば安心ね。」
一時はどうなるかとおもったけどこれで一安心、頼りにしているわよAランクさん。
【姫サイド】
「店長~お待たせしました。」
「うん!今日の沙良ちゃんも可愛い!あとはよろしくね!」
「はい、わかりました。」
「・・・・・・・・・・・」
「何よ有川」
「・・・・・・・・・・・さまになっているのね。」
「そりゃどうも。店長は今日は厨房だから私と有川が接客なんだけどできるの?」
「私を誰だと思っているのよ。」
「はいはい、Aランク武偵さんだったわね。」
「一つ質問」
「何よ?」
「なんでアンタはロングスカートなのよ!」
「ロングが好きだからよ!・・・・・・・・・・・はぁ、オープンするわよ準備はいい?」
「ん」
「だから“ん”は返事じゃないでしょ、ったく」
浅野はお店の看板をオープンにし、店内BGMを流す。
「しっかり頼むわよ、Aランクさん」
「言われなくても」
「お客様がお見えになるわ、いい?」
「「お帰りなさいませ!ご主人様!」」
いっちょ、やりますか。
「店長!ふわふわオムライス入ります!」
「漣さん!モリモリチャーハンお願いします!」
「は~い少し待っててね!」
普通に忙しいぞこのお店。
「すみません~注文いいですか~」
「はーい、有川あちらのご主人様お願い」
「ん」
「アンタはまた、んって言って」
浅野がとやかく言っているがいつもの事か。
「お待たせいたしましたご主人様!」
「お?新人さんかい?」
「1日体験なんです~」
私は笑顔で答える。
「そうなんだ後でチェキお願い、それと地獄ドリンクお願い。」
「かしこまりました!ご主人様!浅野さん地獄ドリンクお願い致します。」
「……わかりました!」
浅野が一旦フリーズした。
何よ私だってアンタにこんな声色で話したくないわよ。
「姫ちゃん、咲良ちゃんお料理お願い~」
漣さんが厨房から声をかける。
「有川さん、ふわふわオムライスお願い。」
「・・・・・・・・・・・お待たせ致しました!ふわふわオムライスです~」
「君可愛いね~新人?」
「はい!1日体験メイドなんです~。ご主人様絵は何書きますか?」
「う~んそれじゃ、大好きって書いてもらおうかな。」
「は~い」
私は心がこもってない大好きの文字をケチャップで書く。
「ありがとう~」
「いえいえ~ごゆっくりお休みください~」
顔に出てないよね少し心配。
「それ?本物?」
「きゃ!?お触りは厳禁ですよ!ご主人様!」
っち、八倒すぞおっさん。
「ハハ、ごめんよ。」
「私、武偵なので本物ですよ~」
「咲良ちゃんと同じ?」
「はい!同じ1年なんです~」
「咲良ちゃん学校ではどんな感じ?」
「そうですね~はきはきとしてて人気者なんですよ~私尊敬しちゃう!」
「へぇ~そうなんだ」
興味ないのなら聞くな。
「………(何よ浅野文句ある?)」
「有川さん、次の料理お願い(いや少し気持ち悪いなと。)」
「わかりました~(は?撃つわよ)」
「お願いね~(だってアンタがあんな事言うなんてね~)」
「は~い(言っておくけど本心じゃないから)」
「はいはい」
声出したらアイコンタクトの意味なくなるだろ。
「ふぅ、ひとまずピークは過ぎたね。姫ちゃん、咲良ちゃん」
「そうですね~流石に疲れました。」
「………ふぅ」
さっきまで忙しかったのに今はがら空きだ。
ずっと居座る客がいないのは意外だ。
「姫ちゃん、すごいね!流石、Aランク武偵さん!」
「別に普通です。」
「やるじゃん有川」
「アンタはもう少し愛想よくしたら?忙しくてもさ。」
「は?してますけど!」
「こらこら喧嘩はっめ!だぞ。」
「「してない!」」
「仲いいんだから~」
「よくないですよ店長」
「お腹空いた……」
「少し休憩しようか!……お帰りなさいませ!ご主人様!」
「お帰りなさいませ!ご主人様!」
休憩しようとしてるときに。
「3人なんですけど空いてます?」
「あら、リンさんお帰りなさいませ。」
は?カユゥ。
それにキモオタと………板倉!
「いってらっしゃいませ!お嬢様!ご主人様!」
「え!?姫ちゃん駄目だよ来たばかりなのに!」
「あら私ったらごめんなさい漣さん。ご案内致しますね!」
3人を席に案内する。
「ご注文はお水でいいですか?」
「まだ頼んでないでござるよ姫ぇ」
「………何しにきた冷やかしか?」
「有川、似合ってるぞ」
「姫、可愛い!」
「殺す」
「ちょっとお店で物騒な事言うなし有川。」
「・・・・・・・・」
「黙るなし!はろはろ、板倉君、リンさん、それに・・・・・・・・竜胆君だよね?」
「ちちち違うでござるよ!」
「戸惑い過ぎだぞ優飛」
「瘦せたらめっちゃイケメンだったんだ。意外」
「だって良かったわねお兄ちゃん………あ」
「お兄ちゃん?へぇ~なるほどなるほど。私の情報はあってたか。」
「え!?知ってたの?浅野さん?」
「まぁ、なんとなくね~深いことは聞かないわ。ご注文は何にする?」
「俺はふわふわオムライスで」
「私はキラメキパフェで!」
「拙者は~」
「いつものでしょ?」
「ござる」
「いつものっていつもきてるの?お兄ちゃん?」
「まぁそうなるでござるな」
「汗大丈夫か?優飛?」
「問題ござらん!」
「ご注文ありがとうございます!お嬢様、ご主人様!ほら有川!」
「ありがとうございます♪楽しみに待っててね♪」
「姫、顔引きつってるわよ」
「えぇ~そうですか~姫わかんない~」
絶対後で締めてやる!
「有川、ほらパフェ作るわよ」
「はーい♪」
【双介サイド】
「なぁ、やっぱりやめたほうが良かったんじゃないか?有川のあんな声初めて聴いたぞ」
「私もよ双介。それにしても姫似合ってるわね~」
「そうだな~。後が怖いけどな。」
「まぁ、いいじゃないの。こんな姫中々見れないんだし。」
「だな。優飛?本当に大丈夫か?」
「だっだ大丈夫でござるよ何でもござらん!」
「顔色悪いわよ、お兄ちゃん。」
「気の精霊さんでござる」
【姫サイド】
「絶対に殺す」
「有川、声に漏れる」
「うっさい知ってるわよ。」
なんで来たのよあの3人!
来るなっていったのに。
「ふわふわオムライスできたよ~」
「はーい!ほら有川持って行って。私はパフェ持っていくから。」
「・・・・・・・・ん」
「ほんとそれ、返事なのアンタの。」
「お待たせいたしました!キラメキパフェです!」
「ありがとう!浅野さん。」
「お待たせいたしました!ふわふわオムライスです♪絵は何を書きますか?」
「お任せで」
「わかりました♪」
私はケチャップで文字を書く
「有川その・・・・・・・・すまん」
「え?何がですか?ご主人様♪」
「有川~アンタ何でご主人様に殺って書くのよ!」
「お任せって言われたので~」
腹の虫が収まらない。
板倉、アンタは締め落とすからな。
「はぁ~お待たせいたしました!竜胆お兄ちゃん!妹愛情ケーキです!」
「は?妹愛情?」
「キモ」
カユゥと私がほぼ同時に反応する。
「ここここれはその!ただのケーキでござるよ!」
「どうしたの?竜胆お兄ちゃん?ほらあーん」
「あーん」
浅野がキモオタにあーんをしている。
「美味しい?竜胆お兄ちゃん!」
「お美味しいでござる~はははは」
「お兄ちゃんねぇ~へぇ~」
「カユゥ!?これはその誤解というかそのでござるよ!」
「べっつに~お会計お兄ちゃんがしてくれるんでしょ?」
「え!?でも奢ってくれるって・・・・・・・・承知でござる。」
キモオタはカユゥの気迫に負けた。
ざまぁみろ。
「竜胆お兄ちゃんもうケーキいらないの?」
「浅野殿、もう勘弁してほしいでござる」
「あっはは。ごめんね!面白くて。リンさん大丈夫だよいつもはあーんしないから。」
「別に気にしてないわ。」
噓つけ拗ねてる顔のくせに。
なんだかんだ言ってキモオタの事
好きなのね。
いい兄弟じゃない。
キモオタの焦っている顔見て少しはマシになった。
「美味いなこのオムライス」
板倉アンタはよく食えるな。
殺って書いてあるオムライス。
「みんな武偵さんなの~?」
「あ、店長。そうですよ。」
「そうなんだ!姫ちゃんのメイド服可愛いよね!」
「はい!可愛いです!私も着てみたい!」
「本当に!?でもサイズあるかな~」
「あぁ~大きいからか。そうだったリンさんは向こう側の人間か」
「浅野さん?向こう側って?」
「乳デカ連盟」
「えぇ~」
カユゥが困った顔をしている。
「負け惜しみは見苦しいわよ浅野」
「はぁ!?誰が!」
「こーら!ご主人様達の前で喧嘩はめ!」
「「すみません」」
浅野のせいで漣さんに怒られた。
「板倉鼻の下伸ばすな」
「は?してねぇよ!」
「姫ちゃん!ご主人様にそんな口聞いたらめ!」
「はーいごめんなさい」
っち怒られた。
他愛のない会話が進んでいった。
「ふぅ、楽しかった!ご馳走様お兄ちゃん」
「すまんな優飛」
「大丈夫でござるこのくらい……」
「また来てね竜胆お兄ちゃん!」
「あ浅野殿!」
「ごめんごめんw」
浅野がキモオタに絡んでいると
≪バン!≫
入り口が勢い良く開き、複数人男性が入店する。
「漣さん~まだこんなちんけな店で営業してたのですか?そろそろ私の所で働きなさい。」
太った男が漣さんの腕を掴み引き寄せた。
「きゃ!?やめてください!その話は前に断ったはずです!近藤さん!」
「生意気な口を聞いていいんですか~。」
「みんな!逃げて!私は大丈夫だから!」
「おや~よく見れば可愛い子がいるじゃないですか~おい連れてこい」
「へい兄貴」
男の1人がカユゥに向かって接近する。
「これ以上近づいたらただじゃすまんでござるよ」
キモオタがカユゥの前に立ち、言い放った。
「はぁ?ただのガキが何言ってんだ!」
「っふ!」
「ぐあ!?」
キモオタが近くにあった飴を男の目にめがけて投げた。
「ねぇ、おっさんそろそろ漣さんを離してくれない?私の大事な人なんだけど?」
「おっさん!?この私におっさんだとぉ!おいお前等懲らしめて私の元に連れてこい!」
「な!待て!っち」
くそ漣さんが連れていかれた。
ざっと20人ぐらいかどうするか。
「姫!私達は大丈夫だから!店長さんをお願い!」
「カユゥでも!」
「有川大丈夫だ素人集団なんて俺達にかかれば余裕だ」
「Eランクのくせにいっちょ前に。はぁ・・・・任せた!私は漣さんを追う!」
まぁ、これも板倉の成長に繋がるからいいか。
「有川!アンタ一人で行く気?」
「そうだけど!せい!」
向かってきた男を蹴り上げる。
「連れていかれた場所なら心当たりある!私も行く!」
「あっそうアンタ、ついてこれんの?」
「当たり前!これでもBランクなので!」
「板倉!カユゥ!キモオタ!お店の残党まかせた!」
「行くぞお前等!ただのガキだ!」
「「「「「おー---!」」」」
「そんじゃ!お願いね3人とも!」
私と浅野は入り口を突破し、外に出る。
【双介サイド】
「なぁ、優飛競争するか?」
「拙者の圧勝でござるよ?」
「言ってろ!器物破損及び」
「誘拐の容疑で!」
「貴方達を逮捕します!お願い、
お兄ちゃん、双介!」
「カユゥは更衣室に!」
「えぇ、わかったわお兄ちゃん!」
カユゥが更衣室に入ったのを確認すると優飛は更衣室の前に瞬間移動する。
「な!?コイツ何者だ!」
「拙者はただの武偵でござる・・・よ!」
パイプ椅子で男Cをけん制する。
「くそ!これなら!」
男Dは拳銃を取り出す。
「双介氏~この勝負拙者の勝ちでござる!」
「っふどうかな!」
俺はベビーイーグルを取り出し構える。
男がうじゃうじゃと鬱陶しいからさっさと終わりにするか。
「ここは癒しの場だぞ?おっさんなんてお呼びじゃないんだよ!」
【姫サイド】
「有川!後ろ乗って!」
浅野がバイクに乗って言う。
「アンタ免許持ってたっけ?」
「待ってます!ほら早くメット被って!」
「はいはい」
「それじゃ飛ばすわ!」
「マジ」
どうして私の周りはこうも飛ばしたがるのか。
メイド服のまま出てきたから結構周りの目が集まるわね。
ニュースとかになってたら嫌だな。
「そんで漣さんが連れていかれた所はどこ?」
「新しくできたメイド喫茶よ!昨日辞めた子も引き抜きにあってね。それに違法に営業しているみたいなの」
「なんで警察は動かないのよ!」
「証拠がないからよ!私はある程度情報が持ってたからしってるだけ!」
「なら早く捕まえたらいいじゃない!」
「それができたらしてるわよ!でもこうしてのこのこと来てくれたから!チャンスって訳!アンタもいるしね!」
「あっそう!寒いんだけど!」
「知らないわよ!アンタがハーフスカートにしたのが悪いんでしょ!」
「アンタが言うなし!」
「なによ!」
バイクはみるみるスピードが出てあっという間に目的地に着いた。
「行くわよ!有川!」
浅野はロングスカートからグロック19を取り出す。
「指図すんなし!」
私は太もものホルスターからグロック18Cを取り出し新しくできたというメイド喫茶の中に入った。
「武偵よ!大人しくお縄につきなさい!」
「手下共はどうした!」
「たぶんくたばってるわ。」
「姫ちゃん、咲良ちゃんどうして……」
服が引き裂かれてる漣さんが言う。
くそ外道がなんでこうもこんな人間ばかりいるのか。
「漣さんは私の依頼者ですから。すみません、漣さんを危険な目に合わせて武偵失格ですね。」
「Aランクが一人いなくなるか~残念」
「ちゃちゃを入れるな浅野」
「はいはい。店長私達は武偵です。ですので依頼してください。私を助けてと。」
「何をごちゃごちゃと!お前等やれ!」
黒服の男がぞろぞろと現れた。
「ごちゃごちゃなのはアンタ等クズ共よ!漣さんお願いします!」
「・・・・・・・・・・・姫ちゃん、咲良ちゃん!私を助けて!」
「「かしこまりました!メイド長!」」
「器物破損及び」「誘拐の容疑で」
「「アンタ等を逮捕する!」」
「浅野!」「はいはい」
浅野は黒服の男達の相手をする。
【咲良サイド】
「さーてお掃除のお時間ですよ~」
店長、ごめんなさい。
私がもっとはやく行動に移せたのならこんな目に合わせずに済んだのに。
私がAランク武偵ならすぐできたのに!
「失せろ!雑菌共!」
≪ダァン!ダァン!ダァン!≫
私はグロックを照明めがけて発砲した。
暗くなったからやりやすい。
「この!」
黒服Aがナイフを持って突っ込んでくる。
「邪魔なのよ!」
スルリと躱し、首元をグロックで殴る。
「纏まってかかってきなさい!お掃除するから!」
「なんだと!」「このガキ!」「やっちまうぞ!」
安い挑発にのってくれて良かった。
「3,2,1ドカーンってね」
閃光弾を私の足元に落とす。
黒服の男達はまんまと引っかかる。
「それでも黒服?情けないわね!」
私は次から次へと黒服の首筋を強くグロックで殴り無力化をしていく。
「はい、お掃除完了」
後は任せたわよ姫!
【姫サイド】
「今なら怪我をしないで済むけどどうする?おっさん?」
グロックを構えながら近藤と呼ばれていたおっさんに接近する。
「こっこのアマ!また私をおっさんと言いやがって!これ以上きたらこの女の命はないぞ!」
「きゃ!?」
近くにあったナイフを漣さんに突きつけた。
「これ以上罪を重ねて・・・・・・・・・・・はぁ~」
「馬鹿にしやがって!どうなってもいいのか」
「おっさん、私が撃つのとナイフで刺すのどっちが速いと思う?」
「ナイフに決まって」
≪パン!パン!≫
「うわぁ!?」
私はナイフめがけて一発、足元目がけて一発撃った。
怯んだ隙に詰め寄り漣さんを救出する。
「ありがとう姫ちゃん。」
「遅くなってすみません。浅野!」
「はいはい。店長こちらです!」
浅野を呼び漣さんを近藤から距離を取らせた。
「っくくそぉ!覚えてろ!」
私達に背を向け情けなく走る。
「逃がすか!」
私は全力で走り後ろ姿の近藤目がけてラリアット。
「ぎょえ!」
「大人しくしろ豚が!」
転がった近藤に関節を決める。
「痛い痛い痛い!」
「そのまま寝てろ!」
「ぐふぇ………」
落ちたか。
「ふぅ。これにて終了。浅野!」
「もう警察呼んでる、というか自分で呼びなさいよ!」
「うっさいBランク」
「ふん。漣さん、他に何かされてませんか?」
「姫ちゃん達がすぐきてくれたから服を切り裂かれただけで済んだよ。あっでも少し口で」
「大丈夫です!言わなくて!」
「店長なんで平気そうなんですか~」
「昔ちょっとそういうお店で~」
「そうなんですか!?知らなかった。」
「えへへ」
えへへって。
人それぞれ色々あるから深くは聞けないか。
「とりあえずこれを。」
私はバスタオルを漣さんにかけてあげた。
メイド喫茶にバスタオルなんて何に使うんだが。
「にしても、メイド喫茶じゃないわね。シャワー室なんてあるし風俗店じゃないこんな雰囲気」
「アンタ行った事あるの?」
「ないわよ!」
「もう、すぐ喧嘩する~」
「してない!」「してないです!」
なんてやりとりしていると警察がきて近藤達を回収していった。
【キラカワラグーン】
板倉から連絡がきて片付け終わったみたいなので私達はお店に行った。
「有川、お疲れさん」
「ん」
「アンタはまたそういう返事を」
「で?なんでキモオタと板倉は正座してるわけ?」
「気にしなくていいわ姫」
「あっそう」
気になるけどどうせくだらない事か。
今回の件、望海ちゃんがいなくて良かった。
怪我人多数になってたと思うし。
「皆、ありがとうねお店守ってくれて」
「仲間を信じ仲間を助けよ。このくらい普通よ浅野さん」
「そうだね。あと浅野さんっていうより咲良ってよんで私もカユゥって呼ぶから。」
「わかったわ咲良」
「そんじゃ、私と有川は報告しないといけないからこれで。またね竜胆お兄ちゃん!」
「あ浅野殿!」
「さて私達も帰りますか行くわよ双介、お兄ちゃん」
「あ、板倉」
「なんだ有川」
「私のメイド服姿見たから今度締めるから。」
「なんでだよ!」
「アンタが一番見てたから!あと浅野の胸と比べた!」
「え!?そうなの?板倉君」
「双介、最低ね」
「なんでこうなるんだよ」
「南無でござる」
「キモオタアンタもな。」
「ござる!?」
メイド喫茶来た罰だっての。
ばーか。
よろしければ感想などお待ちしております。
誤字などあるかもしれませんが最後まで読んでくださりありがとうございます。