艦隊これくしょん 〜最新鋭の護衛艦は何を見るのか?〜   作:三坂

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吉野のアシストを受けて敵艦隊へ対し強襲攻撃をかけようとするパラオ艦隊。だが深海棲艦はそんなことを知らずノコノコと近づいてきた敵艦隊を返り討ちにしてやると言わんばかりに戦闘体制を整えていた。

高性能な電探、そして圧倒的火力で打ちのめそうとする護衛艦隊。しかし突如として襲われた目に見えない攻撃を受けてしまいあっという間に混乱状態に陥ってしまう。


…なんとか体制を立て直そうとした深海棲艦隊であったが、そこに追い打ちをかけるように艦隊は次々と激しい水柱に包まれてしまうのであった…。


(かなり遅くなりましたがあけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたしm(ハープーン直撃))

 
吉野「…遅すぎです」


第二十二話 悪魔の飛翔体

 

 

 

 

8月24日

沖ノ島近海

1840

 

 

 

 

ゴォォォォォン!!!

ドォォォォォン!!!

 

 

 

 

ーグォ…!?ードサッ!!

 

 

 

 

見張り妖精から敵艦隊捕捉の一報を受けた直後、何処からともなく轟音が響き渡るとともに自身の艦が大きく揺れ動く。一体何が起こったのか理解が追いついていないル級だが、そんな彼女に追い打ちを掛けるように衝撃でそのまま艦橋の壁に勢いよく叩きつけられる。

 

 

 

 

ーナッ…ナニガオコッテ……(チラリ)ナッ…ー

 

 

 

 

叩きつけられた衝撃でくらくらする頭をなんとか抑えているル級は一瞬ここが戦場だという事実を忘れるかのように呆然としているらしい。その後ふと艦橋の外に視線を移したことですぐに現実に引き戻されてしまう。…彼女の視線の先、先程まで航行していたはずの駆逐艦ロ級が瞬く間に業火に覆い尽くされていた。

 

 

 

 

ー…ドウナッテルンダ……、ソウダ!確カ敵艦隊ヲ見ツケタトイウ報告ガ上ガッタ直後ニ突然轟音ガ響キ渡ッテ……ッ!ー

 

 

 

 

確か敵艦隊に対するレーダー射撃を行おうとして、それが突然出来なくなったことから見張りによる直接視認からの砲側砲撃による反撃に切り替えようとした。…がその直前に轟音とともに自艦が水柱で包まれたことをようやく思い出したらしい、くらくらしかけている頭をムチで強制的に戻しながらル級は直ぐ様立ち上がる。

 

 

 

 

ースグニ被害ノ状況ヲ確認シロ!!ナニガオコッタノカモ含メデ!ソレト僚艦モダ!!ー

 

 

 

 

衝撃の影響で物があちこちに散乱しており窓ガラスも一部割れている様子。艦橋要員も何があったのか分からず終始混乱していたがル級のよく響く声ではっとしたのかふらふらする足を無理やり走らせながら慌ただしく動き始めていく。

 

最初こそもたもたしていたが、やはり戦闘中ということもあり動き出すと流石はelite級の乗組員、続々と報告が上がって来た。

 

 

 

 

 

ー左舷中央部ニ被雷!!一部区画デ浸水ガ発生シテイマス!!恐ラク敵ノ放ッタ魚雷デス!!ー

 

 

 

 

ー機関室ハ問題ナイトノコト…!!戦闘行動ニハ支障ハアリマセン!!デスガ艦隊全体デノ被害ハカナリ深刻!確認サレテイルダケデモロ級及びイ級4隻、軽巡ホ級ガ2隻、並ビ二重巡リ級1隻ガ轟沈!轟沈ヲ免レタ他ノ艦艇モ被害ガ発生シテイマス…!ー

 

 

 

 

ー…初動デカナリヤラレタナ… タガ何故我々ガ攻撃スルヨリモ先ニ敵艦隊ガ先手ヲ打テテイルンダ 電探ノ性能デ行ケバ我々ニ軍配ガ上ガルノハ間違イナイハズ 一体ナゼ…?ー

 

 

 

 

思っていたよりもかなり被害は深刻のようで、報告だけでも初動の攻撃によって合計七隻の艦艇が喰われたらしい。深海棲艦乗組員からいま分かるだけの状況説明を聞いたル級は敵の先制攻撃でかなりやられたなと思わず頭を抱えてしまう。…がそれよりもふと脳内に過ぎるように、何故敵艦隊が自分達よりも先に攻撃出来たのかという疑問が浮かび上がる。

 

先程も言った通り艦娘側の電探は自分達が搭載しているものと比べるとどうしても見劣りしてしまう。だからこそ、そのレーダー性能差を活かして今日まで夜戦で敵艦隊に対して有力に戦えた。…しかし今はどうだろう?こちらが攻撃する前に敵艦隊から突然の魚雷攻撃を喰い、手も足も出ない状態になっているではないか。

 

 

 

 

ーイヤソレダケジャナイ…!コッチノ電探ガダウンシタタイミングデ魚雷攻撃 マルデコチラノレーダーガ使エナクナルコトヲ知ッテi… 「敵艦隊再度視認!ッ!曳光弾!?クッソ眩シイ!」 何!?マサカ敵機カ!?イヤソレヨリモ…ー

 

 

 

 

しかもこちらが電探を封じられた瞬間の魚雷攻撃、いくらなんでもタイミングが良過ぎるものでなんならまるでそうなることを知っていたかのように思える。もしかして敵艦隊には本当に我々を超える性能を有した電探が開発されたのか…そんなことを思っていた矢先、見張りから悲鳴とも見て取れる声が飛び込んできた。

 

それを聞いて慌ててル級がそちらに視線を向けた直後、自分達を包み込んでいた暗闇が突如として明かりに包まれ深海棲艦の艦隊を照らすような閃光が上空から何個もゆっくりと降ってくる。…もちろん幾度なく人類と戦ってきたル級はこれがすぐに敵機から投下された曳光弾だと判断、これが降ってくるということは敵艦隊から砲撃に晒されることを意味しており…

 

 

 

 

ー全艦衝撃二備エロ!!来ルゾ!!ソレト砲側射撃デ蹴散ラセ…!!ー

 

 

 

 

その意味を理解したル級はすぐさま僚艦に対して敵艦隊からの攻撃に再度備えるようにと伝えつつ、ひるまずに反撃を開始せよと指示していく。いきなりの攻撃で混乱しているはずなのにそれを感じさせないところを見るに流石はeliteクラスの深海棲艦といったところ。

 

…しかし何度も言ったように今回ばかりは相手にした艦隊が悪かったとしか言えなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

(曳光弾投下の少し前)

パラオ艦隊視点

 

 

 

青葉 見張り妖精『敵艦隊に魚雷命中を認む!命中弾は確認出来る限りで8発!火災も発生している模様!!』

 

 

青葉 水雷妖精『よぉし!逆奇襲は成功だな!というか見張り妖精俺たちの魚雷はどうなった!ちゃんと命中したんだろうな!!』

 

 

青葉 見張り妖精『問題ありません!本艦の魚雷もイ級と思しき駆逐艦に命中!火災及び速力が低下しているため大破は確実です!』

 

 

 

もちろんその様子を見ていたパラオ艦隊でも魚雷の状況は各艦で把握しており、青葉の見張り妖精も次々と敵艦隊から上がる水柱を目にしながら急いで報告していく。他の艦の魚雷が命中シてるとなれば自艦のものもやはり気になるもので、水雷妖精が見張り妖精に対して自分達の放った魚雷はどうなったのかと若干興奮気味で話しかける。

 

 

 

青葉『喜ぶのはまだ早いです!ここからが正念場ですよ!!砲術妖精!!主砲の用意はいいですか!』

 

 

青葉 砲術妖精『問題ありません!合図があればいつでもぶっ放せます!!敵艦隊に砲弾の雨を降らせてやりましょう!』

 

 

青葉『了解です!!水雷妖精も継続して魚雷攻撃を!!ですが先程とはタイミングが異なるのでそこは気をつけて!!』

 

 

青葉 水雷妖精『はっ!』

 

 

 

しかし喜んでいる妖精達を宥めるように青葉がまだ早いという口調で引き締めさせる。先程は半分奇襲で仕掛けて大打撃を与えられたがここからは敵艦隊はこちらの位置を完全に把握した状態での砲雷撃戦に突入するため、まさに本当の戦闘は今からと言っても過言ではない。

 

   

 

霧島『残魚雷が残っている艦艇は引き続き魚雷戦を継続!!それと同時に混乱している敵艦隊に砲撃戦で追い打ちをかけます!!合図は水偵から投下される曳光弾で!!』

 

 

榛名『砲術妖精!!徹甲弾の用意はいいですか!?曳光弾が投下され次第すぐに射撃します!!』

 

 

榛名 九一式徹甲弾妖精『こちらはいつでも準備オーケーです!!信管調整やチェックは既に終わらせてます!!いつでも敵艦のと出っ腹に徹甲弾打ち込めますよ!!』

 

 

榛名 副砲妖精『主砲連中が装填中の間は俺たちで補うぞ!!威力は低くても数で補え!!絶え間ない弾幕を撃ち続けるぞ!!』

 

  

 

魚雷戦と平行して砲撃による追撃を行うために、霧島は各艦に的確な指示を下しながら砲撃用意を下令。これを受けて各艦では主砲や副砲担当の砲術妖精などはいつでも撃てるように最終配置についており、いずれ来るであろう合図を今か今かと待ち望んでいた。

 

 

 

 

カッ!!

鳥海 見張り妖精『複数の曳光弾を確認!!偵察機からの合図が来ました!!』

 

 

鳥海『いきますっ!!目標!!複縦陣左側の重巡リ級!!全砲門砲撃始め!!』

 

 

鳥海 砲術妖精『待ってました!!主砲副砲!!遠慮はいらん!!全力砲撃だ!ぶちかませ!!』

 

 

鳥海 主砲妖精『言われなくても分かってますよ!!目標はホ級だ!!反撃される前に潰してやれ!!てぇ!!』ドォォォォン!!

 

 

 

もちろんそんな艦隊の期待に答える形で、敵艦隊と会敵する前に味方戦艦や巡洋艦から発進した偵察機から砲撃合図とも見て取れる曳光弾が相次いで上空から投下されていく。先程まで周囲は暗闇に包まれていたのにそれを感じさせない眩しさが敵艦隊を照らし上げる。

 

これを合図と捉えた鳥海は間髪を入れずに砲撃開始の号令を下していき、待ってましたと言わんばかりの勢いで主砲である三年式二号 20.3cm(50口径)連装砲が、少し遅れて副砲の八九式 12.7cm(40口径)連装高角砲(史実では45口径十年式12cm単装高角砲)も一斉に火を吹くように砲撃を開始。放たれた砲弾が半円を描くように上空を飛来し敵艦隊へと降り注いでいった。

 

 

 

古鷹『私達も行きます!!目標重巡リ級!!撃ち方始め!!』

 

 

青葉『こちらもいきますよー!古鷹さんや鳥海さんに遅れないで!!目標軽巡へ級!!砲撃始め!!』

 

 

ドドドドォォン!!!

 

 

 

もちろんこちらも遅れる訳にはいかないと言わんばかりに鳥海や青葉も続く形で主砲副砲問わずに全力射撃を実施。次々と放たれた砲弾はまるで吸い込まれるように敵艦隊へと襲いかかる。

 

 

 

ーいよいよ始まったか…、頼むぞみんな…ー

 

 

霧島『パラオ艦隊伝統の夜戦…!!しっかりと焼き付けてあげます!!右砲戦用意!!目標は旗艦と思しき敵戦艦ル級!!』

 

 

榛名『榛名も行きます!!目標は霧島と同じ敵戦艦ル級!!主砲交互撃ち方!!』

 

 

 

いよいよ始まったか…、そんな表情を密かに浮かべている秋山。それに対し霧島は、砲撃を始めた鳥海達に遅れを取るわけにいかないと言わんばかりに妖精達へ砲撃準備を下令。同じように指示が下った榛名と同様に敵艦隊に向けていた主砲群が目標である敵艦に狙いを付けていく。

 

それと同時に射撃指揮装置からの指示に従う形で交互撃ち方を行うため、各砲の右側砲身がゆっくりと音を立てながら射撃体制に入る。もちろん副砲や高角砲群も続く形で主砲と同じ敵艦へ狙いを定めて合図を待つ。

 

 

 

霧島 砲術妖精『各砲射撃用意完了!!いつでもいけます!!』

 

 

榛名 砲術妖精『こちらも大丈夫です!始めちゃいましょう!!』

 

 

霧島『…主砲!!よく狙って!!てぇ!!』

ドドドドドォォンン!!

 

 

榛名『勝手は…!!榛名が!!許しません!!』

ドドドドドォォンン!!!

 

 

 

射撃準備完了との返答が来るや否や当たりの砲撃音に負けないほどのよく透き通る声で霧島や榛名が撃ち方始めの合図を下す。直後待ってましたと言わんばかりに狙いを付けていた主砲が発砲ブザーに負けないほどの轟音を響かせながら一斉に火を吹くように発砲、放たれた徹甲弾が綺麗な弾道を描きながら暗闇へと飛んでいく。

 

 

 

ゴクン…!!

霧島 砲術妖精『続いて左側砲身だ!感覚を開けずに連続して撃て!!敵に反撃の隙を与えるな!!』

 

 

霧島 砲術妖精『副砲も遅れるな!!撃ち方始めぇ!!主砲の装填時間をこっちで補うぞ!!』

 

 

 

もちろんこれだけで終わるはずもなく右側砲の射撃が終わるや否や右側の砲身が下がっていくとともにすぐさま各砲の左側砲身が同じようにゆっくりと空へと向けるように上がる。その間にも主砲の射撃スピードの遅さを補うために霧島や榛名の右舷側に搭載されている15.2cm50口径単装砲や12.7cm連装高角砲が次々と射撃を開始、発射レートの高さを活かして砲弾を絶え間なく送り出す。

 

 

 

榛名 主砲妖精『発射準備よし!!』

 

 

榛名 砲術妖精『射撃だ射撃!!せっかく精度上げるために交互撃ち方にしたんだ!!ここで外すんじゃないぞ!!てぇ!!』ドドドドドォォンン

 

 

 

副砲群が絶え間ない射撃を続けている中、発射準備が完了した各主砲の左側砲身も先程の轟音に負けないような発射音を響かせながら徹甲弾を空へと一瞬打ち上げた。先程撃った砲弾に続く形でそのまま空高くへと飛びそうになるが、すぐさま軌道を変えて重力に沿いながら落下していく。…もちろんその先には狙いを定めていた戦艦ル級の姿が…

 

 

ちなみに交互撃ち方とは

指揮系統二属スル連装砲ヲ二連装砲ニ在リテハ左右交互ニ三連装砲ニ在リテハ右中左交互ニ又ハ左右砲中砲ヲ交互ニ発射セシムルヲ言フ

 

つまり左右の砲を同時発射させずに別個に発砲することで弾着観測が容易になり(=誤観測が少なくなる) かつ斉射間隔が短く出来る。そのため目標の変針・変速や、測的誤差などの累積に対する対応が早くできるというメリットが生まれるというもの。

 

 

今回のパラオ艦隊による夜間砲撃も、敵艦隊の位置が大雑把にしか掴めていないがその中でもより正確な砲撃を素早く叩き込む必要がある。だから霧島や榛名は一斉射ではなく交互撃ち方による射撃を用いているようだ。

 

 

 

 

※ちなちにこの海戦に投入された両艦隊戦力と陣容を説明してなかったためここに載せておきます

(敵輸送船団とパラオ艦隊所属の水雷戦隊についての編成は次回説明するため、ここでは両軍主力艦隊のみ解説します)

 

 

日本海軍

パラオ泊地艦隊(水上打撃艦隊)

総数8隻

 

 

戦艦 

霧島(旗艦) 榛名

 

重巡洋艦

鳥海 古鷹 青葉

 

軽巡洋艦

吉野(後方支援)

 

駆逐艦

雪風 巻雲

 

 

深海棲艦

侵攻艦隊(輸送船団護衛部隊)

総数27隻(残存20隻)

 

 

戦艦

ル級(ニューメキシコ級)×3隻(うち1隻が旗艦)

 

重巡洋艦

リ級×4隻(ペンサコーラ級及びノーザンプトン級)

内訳としてはそれぞれ2隻ずつ

 

軽巡洋艦

ホ級×3隻(アトランタ級)

へ級×7隻(クリーブランド級)

 

駆逐艦

イ級×4隻(フレッチャー級)

ロ級×5隻(グリーブス級)

 

 

                   ロ級(撃)

陣形         

             ロ級(撃)

      

                   イ級(撃)

   鳥海

             イ級(撃)

                    

                   へ級

   青葉

             リ級

 

                   リ級

   古鷹

             ル級(旗艦)(中)

             

                   ル級

   霧島

             ル級(中)

 

                   リ級  

   榛名

             リ級(撃)

             

                   ホ級(撃) 

   雪風

             ホ級(撃)

           

                   ホ級(中)

   巻雲

             へ級

    

                   へ級     

 

             へ級

 

                   へ級

 

             へ級

  

                   へ級

 

             イ級

 

                   イ級

 

             ロ級

 

                  ロ級

 

             ロ級 

 

                   

 

             

 

                    

 

 

 

 

 

 

ちなみに(撃)と書いているのは初動のパラオ艦隊による奇襲雷撃を受けて撃沈した艦。そして(中)とあるのは撃沈はしていないものの雷撃により中破の被害を受けた艦。

 

先陣を切っていた駆逐艦群はこれにより壊滅することに、これに大し後方を航行していた深海棲艦群は比較的被害は少ない。しかしそれでも艦隊のほとんどが被雷している状況。

 

 

 

(そして時は戻り)

 

 

 

ー敵艦隊発砲!!撃ッテ来タゾ!!ー

 

 

ー全艦発砲!!順番ハ問ワン!!撃テル砲カラ射撃シロ!!敵二主導権ヲ握ラスナ!!ードドドドドォォンン!!

 

 

 

暗闇の中の敵艦隊から次々と光る発砲炎を確認した見張り員が砲撃音に負けないほど声を上げる。それを受けたル級はこのまま敵に主導権を握らせないために即座に反撃を指示。奇襲雷撃によって陣形や味方同士のが乱れてはいるものの、指示に従う形で体制を立て直した艦が次々と発砲していく。

 

5インチ砲(127 mm)や6インチ砲(152mm)、はたまた14インチ砲(356mm)などが入り乱れるように立て続けに射撃を行い、放たれた砲弾がパラオ艦隊へと襲いかかる。…が体制を立て直したといえどそれは辛うじてであり未だに混乱から脱した訳では無い。

 

 

現に発砲していると言えどそのタイミングは明らかにバラバラであり統制が取れてないし、おまけに狙いを澄ます時間もない状態での発砲であるため自分が放った砲弾がどこに行ってるかも分からない始末。

 

 

 

霧島 見張り妖精『敵艦隊発砲!!案外立ち直りが早かったな!!』

 

 

霧島『ですが発砲タイミングはこちらが先!それに相手は統制が取れていないところを見るにまだ立ち直り切れていないはず…!見張り妖精!弾着観測は任せましたよ!』

 

 

霧島 見張り妖精『お任せください!!正確な弾着観測をお見せいたしましょう!!』

 

 

 

もちろん深海棲艦が発砲したのはパラオ艦隊側でも気付いており、見張り妖精から砲撃音に負けないほどの声で報告が飛び込んで来た。だが自分達の方が先に先手を打って発砲しているため弾着のタイミングは明らかにこちらが早い。

 

更に敵艦隊は未だに混乱から立ち直り切れておらず砲撃も目に見えるほど乱れており、これではマトモな射撃は出来ていないと霧島は確信する。…と同時に見張り妖精へ敵艦隊への弾着状況を見るように指示を下し、その間にも砲弾群は敵艦隊へと向けて飛来していき…

 

 

 

霧島 見張り妖精『こちらの砲弾!!弾着まであと!!6・5・4・3・2・1……!!』

 

 

ーッ!!敵戦艦発砲!!狙イハ本艦デス!!ー

 

 

ークソッ!!早速カ!!衝撃二各自備エロ!!ー

ドドドドドォォンン!!

 

 

 

ル級も見張りからの報告で霧島が放った砲撃がこちらに向かっているのは分かっており各自へ衝撃に備えるように指示を出す。その直後、轟音や衝撃とともに自艦周辺に第一射が着弾してかなり高めの水柱が次々と上がる。

 

 

 

霧島見張り妖精『初弾全弾近!!続いて次弾着弾します!!』

 

 

ー初弾夾叉!!クソ初ッ端カラコレカヨ!!連中メカナリ練度ガイイト来タ!!ー

 

 

ーソンナ関心シテル場合カ!!第二射来ルゾ!!恐ラク敵戦艦ハ射撃精度ヲ上ゲルタメニ交互撃チ方ヲシテル!!ー

 

 

ー再ビ衝撃二備エロ!!大丈夫ダ!!初弾カラマズ当テテ来ルコトハn……(ドドドドドォォンン!!)ー

 

 

 

いくら照明弾である程度明るくなっているとは言えどまさかこの暗闇で初弾から近で来るとは思っていなかった見張り員は思わず眉を潜めながら関心の表情を浮かべていた。…しかしそんな見張り員に対しもう一人の見張りが関心してる場合ではないと言いながら次弾が来ると素早く報告していく。

 

もちろんル級もその報告はしっかりと耳にしており再び各乗組へ衝撃に備えるように伝えようとする。いくら精度を上げるための交互撃ち方だとしてもいきなり当ててくることはない、そう思っていた彼女であったが…

 

 

 

ガギィィィィン!!!

ーグゥゥ…!?ー

 

 

 

その予想を打ち破るように霧島が放った徹甲弾の一発がまるでそこに吸い込まれるように艦橋へと突き刺さる。一瞬何が起こったのか理解が追いついていない艦橋要員やル級本人は着弾の衝撃で壁へと突き飛ばされた。…いやそれだけならまだマシのようなもので…

 

 

 

ーグッ…ナッナンダイキナリ…コノ衝撃ハ一体…ー

 

 

ーッ!マズイ砲弾ガ艦橋二!!退避!退避シロ!!コノママジャ巻キ添エヲ喰ラウゾ!!ー

 

 

 

着弾の衝撃で意識が飛びかけていた艦橋要員だったが目の前には突き刺さったと思われる砲弾が視界に入った。そうなればもちろんいつまでも倒れている訳にも行かず、乗組員は信管が作動する前に慌てて仲間とともに退避を試みようとする。

 

 

 

ゴォォォォン!!!

ーガッ!!グッ…ーザスザス!!

 

 

ーグァァァ!!?イダイ…!!誰ガ助ケ……(バタリ)ー

 

 

ー………(ドォォン)ー

 

 

 

…が当然間に合う訳もなく着弾から少し遅れる形で信管が作動、激しい爆風に包まれるとともに炸裂によって艦橋内部のあちこちへ破片が飛び散っていく。爆風とともに破片を喰らった艦橋要員のほとんどはそのまま倒れ込みながら息を引き取ったり激しい痛みに苦しみながら絶命したりとなかなか地獄のような有様であった。   

 

 

 

ー…何故ダ…何故我々ガ地獄ヲ見テルンダ…ー

 

 

 

衝撃で壁に叩きつけられくらくらする頭を抑えていたル級は目の前の光景に思わず言葉を失ってしまう。もちろん彼女も破片を喰らってはいるものの、艦自体の損傷としては軽微のため軽いかすり傷で済んでいるらしい。…が先程まで一緒にいた艦橋の乗組員は壊滅、艦の戦闘力としてはほぼ失ったと言ってもいい状況に陥っている。

 

 

 

ー…イヤ…ソンカコトヲ投ゲテイル暇ハナイカ…、ヒトマズコノママデハイイ的…。ドウニカシナケレバ…ー

ドォォン!!

 

 

 

しかしいつまでもそんなことで嘆いている場合ではないため、クラクラする頭を震え立たせながら立ち上がったル級は辺りで響き渡る砲撃音を背に使い物にならなくなった艦橋を後にしていくのであった…。

 

 

 

 

 

 

榛名 見張り妖精『着弾!!全弾近!!だがけっこういい線行ってる!!射撃諸元そのままで行け!!』

 

 

榛名 砲術妖精『副砲はバイタルパート以外を狙え!!数の暴力に物を言わせて撃ちまくれ!!』

 

 

 

霧島が射撃を開始したのとほぼ同じタイミングで砲撃を開始した榛名、こちらでも激しい射撃を行っており主砲や副砲群が次々と敵艦へ向けて砲撃を叩き込んでいる。もちろん敵艦隊からの反撃も受け、周囲には絶え間なく砲撃による水柱が上がり艦が大きく揺れていた。

 

 

 

榛名 見張り妖精『…!!霧島が敵艦隊旗艦と思しき戦艦ル級艦橋に命中弾!!流石だ…!!初弾でやってくれるとは…!!』

 

 

榛名 見張り妖精『榛名さん!!霧島さんが初弾で敵旗艦ル級の艦橋へ命中弾を与えました!!これで恐らく敵艦隊の指揮系統は更に乱れるかと…!』

 

 

 

自艦や他艦艇の弾着や状況確認を行っていた見張り妖精が霧島が放った砲弾の一発が旗艦である戦艦ル級へ着弾したことに気付いてすぐさま榛名に報告していく。その間にも内部に飛び込んだ砲弾が炸裂したのか一瞬閃光が光るとともに爆炎が窓を突き破って外へと溢れ出るように広がっていた。

 

艦橋に命中したと言えど撃沈に至るような致命傷ではないため、艦橋に被弾したル級からは相変わらず激しい砲撃が続けられていく。…が指揮系統で重要な区画が被弾となれば旗艦としての機能は壊滅と言ってもいいため、艦隊全体としてはかなり致命的な被弾になり得る。

 

 

 

榛名『流石霧島です…!!交互撃ち方とは言えど初弾からいきなり旗艦の艦橋に命中させるなんて…!!私も負けてられませんね…!!』

 

 

榛名 砲術妖精『当たり前ですよ!同じ高速戦艦として遅れるわけにはいきません!!修正射急いで!敵艦隊の連携が取れてないうちに決定打を与えるわよ!』ドォォン!!

 

 

榛名 副砲妖精『撃てるだけ撃ちまくれ!!遠慮はいらん!!俺たち戦艦乗りは撃ち合ってなんぼなんだからな!!』

 

 

榛名 高角砲妖精『数が少なくても連射力で補え!!高角砲だからって撃つのは航空機だけじゃないぞ!!』ドォン!!ドォン!!

 

 

榛名 見張り妖精『後方雪風及び巻雲も射撃を開始しました!!どうやら射程に入った模様!!』

 

 

 

巡洋艦や戦艦が砲撃を開始してから少し遅れる形ではあるものの後方を航行していた駆逐艦である雪風や巻雲も射程に入ったのか主砲による砲撃を開始しているのが確認出来た。とは言えど二人の装備している50口径三年式12.7cm連装砲(C型及びD型)の火力では戦艦や重巡洋艦と撃ち合うのは厳しいため比較的装甲の薄い軽巡洋艦や駆逐艦を狙っている。

 

 

 

巻雲『駆逐艦は水雷戦だけが取り柄ではありません!!艦隊型駆逐艦新鋭の実力!見せて上げます!』

 

 

巻雲 砲術妖精『水雷屋ばかりにいいとこは見せられない!駆逐艦だって狙う敵艦によっては砲撃戦はできるんだ!先輩方に遅れなんて取らないぜ!』

 

 

雪風『妖精の皆さんいいですか!雪風の実力をしっかりと見せましょう!呉の雪風の名は伊達じゃありません!』

 

 

雪風 砲術妖精『その通り!呉からパラオに転属になってもその実力は変わらんよ!新入りに負けるわけにはいかん!てぇ!』ドォォン

 

 

 

吉野の電波妨害によって乱れた敵艦隊に強襲する形で始まった両艦隊による砲雷撃戦、最初こそ雷撃による攻撃でアドバンテージを取れたパラオ第一艦隊であったがやはりそれだけでは数の差を埋めるのは厳しいか…。徐々に若干押され気味になっていた。

 

確かに巡洋艦や駆逐艦による一斉雷撃で敵艦隊の7隻を撃沈出来たのは大きい、だがその多くは先頭を航行していた駆逐艦がほとんど。レーダー使えなくても未だに艦隊としての戦闘能力は健在、数の差もまだまだといったところ。そのため統制が取れていなくても圧倒的火力による砲撃はパラオ艦隊にとって悩みの種になりつつあった。

 

 

 

ゴォォォォン!!

 

 

霧島 見張り妖精『敵軽巡洋艦からの砲撃、艦中央部に被弾!!』

 

 

霧島 修理妖精『おっしゃ!早速出番来た!おら角材もってさっさと仕事に取り掛かるぞ!今日は徹夜は覚悟しとけ!』

 

 

秋山『吉野の力を借りて強襲雷撃が成功したとしてもそれだけじゃ数の差は埋めれんか…、艦隊としての戦闘能力は維持してる訳だし…。…どうする霧島?』

 

 

 

敵艦隊が放った砲弾のうち一発が霧島の艦中央部に着弾、衝撃で少し艦が揺れる。見張り妖精からの報告が上がると同時に即応待機していた修理妖精達が待ってましたという表情を浮かべながら修理道具や角材を持ちながら被弾箇所へと砲撃の嵐の中向かっていく。

 

いくら電波妨害による攻撃と強襲の形で行った雷撃により敵艦隊の戦力を減らせたとしてもそれだけで優勢を取れるほど戦争は甘くない。まだまだ威勢のある砲撃を見つつどうしたものかという表情を浮かべていた秋山は隣にいた霧島にどうするか尋ねる。

 

 

 

霧島『…その点については霧島に任せてください…♪既に策は考えてます、(ピッ)霧島より鳥海へ。次弾による雷撃は出来るだけ後方よりに放てますか?』

 

 

鳥海『後方寄りですね、了解です。…ですが駆逐艦の子達は次の雷撃で予備魚雷を使い切りますが…』

 

 

霧島『大丈夫、次の雷撃で後方の巡洋艦群を一掃出来ればあとは砲撃で一気にケリをつけます。このまま伸ばせばこちらがジリ貧に成りかねませんし』

 

 

 

たがその点については既に策があるようで任せてくださいと笑みを浮かべると無線で鳥海へ繋ぐと何やら話していく。どうやら次弾による雷撃は先程の敵艦隊進路上にばら撒くのとは違い比較的後方へ流すようにという指示らしい。

 

…が重巡洋艦群はまだまだ予備魚雷はあるものの、駆逐艦の魚雷は次で全弾を撃ち切ってしまうためそれについて大丈夫なのかという質問が彼女から上がっていく。もちろんそれは霧島も解っているが、このまま戦闘が長引いて押されてしまうその前で一気に決着を付けたいという考えがあるようだ。確かに次の雷撃で敵艦隊の巡洋艦群を大方一掃出来れば火力の集中がしやすくなり各個撃破がしやすくなる。

 

 

 

鳥海『…なるほど確かに、分かりました古鷹や青葉、あと雪風や巻雲には私から伝えておきます』

 

 

霧島『ええっ、お願いします。発射のタイミングは貴女に委ねるわ』

 

 

鳥海『了解です、任せてください…!』

 

 

 

 

 

 

 

ークソッタレ…!!何故数デ劣ル敵艦隊ゴトキ二ヤラレナケレバ行ケナインダ!!旗艦ハ何ヲシテル!?ー

 

 

 

陣形後方を航行していて、比較的被害の少なかった巡洋艦隊では数の劣る敵艦隊相手になぜここまでやられなければならないのかと1隻のリ級は悪態を付きながら不満を露にしていた。それと同時に一体旗艦のル級は何をしているのかという愚痴を溢しながら通信妖精に問いただす。

 

 

 

ーソッソレガ!先程僚艦カラノ報告デ 敵戦艦ノ放ッタ砲弾ガドウモ艦橋二命中シタラシク ル級ノ無事ハ確認出来マシタガ艦橋二イタ乗組員ガ壊滅!!ソレト同時二旗艦トシテノ能力モホボ喪失シタ…ト!!現在ハ臨時デ別ノル級ガ指揮ヲー

 

 

ーコンナ時二何デ敵艦隊ノ射撃ガ正確ナンダ…!!レーダー射撃サエ出来レバアンナ奴ラ!!ソレデ ル級ハナンテ言ッテル!?ー

 

 

ー比較的被害ノ少ナイ巡洋艦部隊ヲ中心トシテ 敵艦隊へ反撃ヲ実施セヨトノコトデス!!ソノ間ニ艦隊ヲ立テ直ストノコト!!ー

 

 

ー了解シタ!!リ級ヨリ各巡洋艦宛!コレヨリ敵艦隊へ対シ砲撃火力ヲ持ッテ反撃ヲ実施スル 駆逐艦群ハ照明弾用意!!敵艦隊ヲ炙リ出セ!!ー

 

 

 

問いただすのとほぼ同じタイミングで僚艦のル級から旗艦が砲撃を艦橋に受けたことで指揮が困難との返答が来たのか通信員がすぐさま報告していく。それを聞いてどうしてこんな大事な時に敵艦隊の射撃が正確なのかと愚痴を溢したへ級であったが、追加の指示を聞くなりすぐさま各艦へ情報を共有。

 

指示を受けて、残存していた巡洋艦隊は僚艦の立て直しを支援するための砲撃戦へと移行。駆逐艦隊も味方艦隊の砲撃支援を行うために照明弾の用意に入りつつ、平行して魚雷の発射用意にも入る。

 

 

 

ーコノママワンサイドデ終ワルト思ウナヨ!!キッチリオ返シハシテヤル!!ー

 

 

ー各艦射撃用意ヨシ!!駆逐艦隊!!照明弾ヲ打チ上ゲロ!!敵艦隊ヲ炙リ出シテ徹底的火力デ叩キノメセ!!ー

 

 

ー了解!!照明弾発射ァ!!次ハオマエ達ガ丸裸二ナル番ダ!!ーゴォォォォン!!

 

 

 

そうこうしているうちに射撃用意が完了、それと同時に照明弾発射指示を受けたイ級やロ級などの駆逐艦が次々と照明弾を主砲から発射。敵艦隊がいると思われる海域の上空に向けて次々と射撃、それと同時に打ち上げ式の照明弾も放っていく。

 

 

 

カッ!!

ー照明弾発射確認!!敵ガ丸裸デス!!中央二戦艦2隻ヲ視認!!巡洋艦クラスモ3隻ホド!!駆逐艦モイマス!!ー

 

 

ー恐ラクソイツラガコチラニ魚雷攻撃ヲシテキタ正体!ダガ2度モ撃タセルカ!!次コソハ海ノ藻屑二シロ!!ー

 

 

ー当タリ前ダ!!全砲門撃チ方始メェ!!ードドドドドォォンン

 

 

 

打ち上げられた照明弾が次々と閃光とともに眩しく光ると先程まで暗闇に潜んでいたパラオ艦隊が露になった。見張りからの報告を受け、こいつらが魚雷攻撃をしてきた主だと確信しつつ今度こそは撃たせるなと砲撃指示を下す。

 

それを受けて射撃待機をしていた巡洋艦へ級やホ級、一部のリ級や駆逐艦群が相次いで一斉射撃を開始。6インチや5インチ、さらには8インチ砲弾が入り乱れるように次々と襲いかかっていく。

 

 

 

古鷹 見張り妖精『くっそ!敵艦隊照明弾撃ちやがった!これじゃこっちは丸裸だぞ!』

 

 

古鷹『それは想定内だから大丈夫!!それより敵艦発砲!!来るよ!!』

 

 

 

まさかこれほど早く照明弾を打ってくるとは思っていなかった見張り妖精は上空で当たりを照らしなが落ちてくる閃光の球を見ながら思わず悪態をついてしまう。というのもこれによりこちらは完全に丸裸となり戦力が露見、位置も掴まれるとなれば砲撃の雨に晒されるのも時間の問題となる。

 

だがこうなることは分かっていたのか悪態をつく妖精を古鷹が宥めつつ、それよりも敵艦が発砲したことを伝えて衝撃に備えるように指示を出す。

 

 

 

ドドドドドォォンン!!!

ガギィィィィン!!

 

 

古鷹 見張り妖精『うおっ!?(思わずコケそうになり)』

 

 

古鷹 砲術妖精『さっ3番砲塔被弾!!大破により使用不能!!現在弾薬庫誘爆に備えて注水中!!』

 

 

青葉 水雷妖精『左舷側魚雷発射管被弾により大破!!尚魚雷については右舷側に回していたため投棄などはなし!!』

 

 

巻雲 砲術妖精『2番砲塔大破!!負傷者多数です!!至急衛生兵を!!』

 

 

青葉『流石にこれは効きましたねぇ……』

 

 

古鷹『うん…、ある程度備えていてもけっこう響いたよ…』

 

 

巻雲『いたた……』

 

 

霧島『霧島より各艦!!先程の砲撃による損害報告を!!』

 

 

 

直後、艦隊周辺に次々と砲弾が相次いで着水し、それによりあちこちで水柱が上がっていく。もちろんそれだけで終わるはずもなく何発かの砲弾はパラオ艦隊を捉えており次々と命中、被弾により艦が大きく揺れてしまう。

 

いくら被弾することが解っていたとしても流石にこれは答えたようで、少し手痛い損傷を受けた古鷹・青葉・巻雲は思わず顔を顰めながらも妖精からの損害報告に耳を傾けていく。それと同時刻、霧島からも先程の砲撃で受けた損害報告をするようにという指示も飛んでくる。

 

 

 

鳥海『本艦は艦首に被弾しました…!ですが損害は軽微!戦闘についても問題はありません!現在損傷箇所の修理を試みています!』

 

 

古鷹『こっちは3番砲塔がやられただけ…!!幸い誘爆もしでないし機関も問題なしだから航行に支障なしです!!』

 

 

青葉『青葉は左舷側魚雷発射管が大破しました!!ですが左舷側の酸素魚雷を右舷側に回していたため投棄などはありません!』

 

 

巻雲『私は2番砲塔をやられました…!航行や戦闘に支障はありませんが負傷者多数…!現在衛生兵や修理妖精が対応中です…!』

 

 

榛名『本艦も被弾しましたが損害は軽微!!高速戦艦でも装甲は伊達じゃありません!!』

 

 

雪風『雪風は被弾なしです!至近弾のみ!全力砲撃可能です!!』

 

 

霧島『流石雪風ちゃん…!伊達に幸運の女神と呼ばれているだけありますね…!鳥海さん!魚雷については…!!』

 

 

鳥海『既に全艦魚雷発射済み!!砲撃による支障、及び自爆や迷走は確認されていないとのこと!順調に敵艦隊に向けて流れています!』

 

 

 

各艦から相次いで損害報告が上がっていくが、それと同時に鳥海から魚雷については問題なく発射したとの報告が上がってくる。閃光弾で海面一体が照らされているとはいえど、航跡の見えにくい酸素魚雷にとってはそんなの関係ないもので海中に潜むように敵艦隊へ流れていく。

 

 

 

ー全弾着弾確認!!命中弾数発ヲ認!!敵艦隊ノ攻撃ガ一瞬衰エマシタ!!ー

 

 

ーヨシ!コノママ押シ込厶ゾ!!後ハコッチガ主導権ヲ握レバ!!全艦続ケテ砲撃ダ!!連中二今マデノ倍返シヲシテヤレ!!ー

 

 

 

もちろん魚雷が流されていることを知らない護衛艦隊では、砲撃が何発か命中したという見張りからの報告を受けたリ級が思わず笑みを浮かべていた。…がすぐさま真剣な表情に戻り僚艦に絶え間なく砲撃を叩き込むように指示を飛ばす。

 

ここで主導権を奪い取れば後は立て直した戦艦部隊とともに数の優勢を活かして押し込んでいくだけ。先程撃沈させられた仲間の仇と言わんばかりにリ級は意気込んでいた、…のだが…

 

 

 

ー砲撃始m…『サッ左舷側二魚雷ヲ確認!!シカモ複数デス!!』ナッ…!?ー

 

 

 

再び砲撃始めの指示を出そうとしたまさにその直後、見張り妖精から悲鳴のような声と見て取れる魚雷接近の一報が飛び込んで来た。先程まで反撃開始だと言わんばかりの表情をしていたリ級であったが、一瞬で焦りの雰囲気に変わってしまう。

 

 

もちろん回避の指示は出そうとしたが、なにせ相手が航跡が見えづらい酸素魚雷。しかも発見が直前となってしまえば避けることなど到底不可能と言ってもいい。

 

 

 

ドォォォンン!!!

 

 

 

回避指示を出す時間もほとんどなく、あっという間に後方に展開していた巡洋艦や駆逐艦のほとんどが轟音や閃光とともに相次いで水柱に飲み込まれてしまうのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

晋級艦内

 

 

 

『被雷二ヨリ機関停止!!浸水モ止マラナイ!!』

 

 

『駄目ダ!!艦ノ傾斜ガ止マラン!!総員退艦!!総員退艦ダ急ゲ!!』

 

 

『コチラリ級!!2番砲塔デ火災発生!!コノママジャ弾薬庫ニ誘爆……(ドォォォンン!!ドォォォンン!!)ザーーー』

 

 

ー…思ッタヨリ状況ハ良クナサソウ…マサカコノ短時間デ数ノ優位ヲ失イカケルトハ 想定外ダワー

 

 

 

まさに護衛艦隊が劣勢に立たせられていた中、攻撃位置につくために暗闇の中を航行していた晋級は無線越しに聞こえてくる僚艦の悲鳴のような会話に思わず眉を潜めている。いくら数が多くてもこっちが配置につくまでは持つと踏んでいた彼女であったが、予想以上に動きのいい敵艦隊の攻撃に驚きや関心の表情を浮かべていた。

 

 

 

ー本来ナラモウ少シ確実ナ配置ニ付キタカッタケド コレジャ間ニ合ワナイ…(ピッ)攻撃指揮官 前部発射管ノ状況ハ?ー

 

 

ー(ピッ)前部発射管ニツイテハ先程ノ指示通リ対艦巡航ミサイル『YJ-18B』ヲ装填済ミ 合図ガアレバイツデモ撃テマスー

 

 

ー航海長 進路180度反転 敵艦隊ニ対シミサイル攻撃ヲ行ウタメニ発射体制へ入リマスー

 

 

ー了解 進路180度反転 攻撃ニ備エタ発射準備ニ入ルー

 

 

 

本来であればもう少しいい位置に陣取りたかったが、流石に黙って味方がやられているのをただ見る趣味はないため攻撃指揮官に対し現状について確認することに。晋級の問いに対し、すでに発射管へ対艦巡航ミサイルの装填が完了しいつでも撃てることを答えていく。

 

それを聞くと同時に航海長に対し艦を180度反転して攻撃準備へ入るように指示を出し、それを受けて指示通り艦を反転させて敵艦隊へ艦首を向けるように進路を変針する。

 

 

 

ーソレト潜望鏡深度マデ浮上 YJ-18B班 対艦巡航ミサイルデ狙ウナラドウスレバイイカシラ?ー

 

 

ー本来デアレバ衛星ヲ中継シタ誘導ガ必要デスガ…ー

 

 

ーコノ世界ジャ私達オ得意ノ衛星ハ使エナイ…カ…、ナラ直接トソナーノ反応ヲ元二座標攻撃ヲ行ウワー

 

 

ー了解 デスガソレダト精度ハ落チマスガヨロシイデスガ?ー

 

 

ー大丈夫 今ハソンナ贅沢ナコトヲ考エテル余裕ハナイシ 精度ハ大型艦ヲ狙エバ問題ナイワー

 

 

 

いろいろと話しているうちに母艦は発射体制が整い、533mm魚雷発射管に装填された対艦巡航ミサイルもほとんど整備が終わり発射合図を今かいまかと待っていた。本来このミサイルは中国が独自に開発した北斗衛星導航系統か艦載レーダーシーカーによって目標まで誘導するのだが、生憎この世界では衛星が使えず艦載レーダシーカーは水上艦用のためこれも例外。

 

…となれば母艦からの直接照準かソナーなどで捉えた敵艦隊の反応を元に座標などで誘導していくしかない。もちろんそれでは精度が落ちるのは確かだが、今はそんなことを言ってられる余裕はないため最悪大型艦を狙えばどうにかなる。

 

 

 

ー今ハ味方ガ放ッタ閃光弾ノ恩恵ガアル 効力ガナクナル前二一撃加エルワヨ ソウイエバル級カラハ何カ指示ハ?ー

 

 

ーイエ…今ノトコロハ特二 艦自体ハ健在デスガアノ状況ダト恐ラク艦橋二被弾シテイル可能性ガー

 

 

ー艦橋…ナラサッキカラ無線ガナイノモ頷ケルワネ トナレバ艦隊ノ状況ハ思ッタ以上二深刻… ナラサッサト一撃加エナイトヤバイワ 対艦ミサイル攻撃用意ー

 

 

 

それ同時に旗艦であるル級と連絡は取れないのかと尋ねるが、どうやら先程応答がないようで乗組員からの報告によれば敵艦の放った砲弾が艦橋に直撃した様子。幸い戦闘能力は健在で沈没の危険はないものの、旗艦としてはかなり致命的なダメージのため思った以上に深刻のようだ。

 

かなり不味いことになったな…と思いながらも攻撃指揮官に巡航ミサイルの発射目標を潜望鏡で見ながら指示していく。そんな彼女の視線の先には、艦隊の中央で轟音を響かせながら砲撃を行っている2つの大型艦である霧島と榛名の姿が…

 

 

 

ー…ニシテモナゼココマデ劣勢ニナッテルノ…?レーダージャコッチガ優レテルッテ言ッテタノニ ソレニ数モ優勢 更ニコイツラハeliteクラスの実力ノハズー

 

ー…マサカハッタリダッタノ? …マサカ 私ガ直接確認シテルシナニヨリ輸送船団ノ護衛ノタメニ選バレタ精鋭… ナラナゼ…? イヤソレヨリモ…ー

 

 

 

攻撃に入ろうとした彼女であったがふと気になったことがあるようでそのことを考えかける。…というのもこの輸送船団の護衛を担当している深海棲艦達は選ばれた精鋭中の精鋭、更に数の優位や優れた電探などの装備を考えればこんなあっさりと決着が付くはずがない。

 

ならなんだ、まさか彼女達がハッタリだとでも言うのか…。そんなことを思いかけたがそんなことないという表情を浮かべながら晋級は軽く首を振る。彼女達は直接この侵攻作戦の指揮官直々に選ばれたメンツ、それなのに練度がハッタリということは有り得ないだろう。じゃあなんなのかと考えかけた晋級、しかし今はそれどころではないと言うことで攻撃に集中することに

 

 

 

ー対艦巡航ミサイル 発射弾数六発 目標敵艦隊ノ大型艦二隻 ソレゾレ三発ズツ発射 コレデ撃沈ハ出来ナクテモ戦闘能力ヲ削ゲレバイイワ 撃チ方用意…!!ー

 

 

 

 

 

 

 

吉野

CIC

 

 

吉野 OQS-102妖精『…(ゴォォンドォォォンンーキュイイーゴォォン)ん?何だ今の音…』カチャカチャ

 

 

 

その頃、砲撃の着弾音が響く海中に耳を傾けながら警戒を行っていたOQS-102妖精であったが一瞬何かの反応らしき音をキャッチしたようで思わず顔を上げながら機器を操作していく。だがそれ以外にこれと言って異変は確認出来ず、あの微かに聞こえたソナー音も確認出来ない。 

 

 

 

吉野 OQS-102妖精『…気の所為か?いやとりあえず報告しないと、こうゆうのを見逃していちゃ戦場では命取り……(アラーム音)っ!?』

  

 

 

一瞬気の所為かと思いかけた妖精であったが、流石に戦場でこんなことをしてたら命取りになりかねないと思い念のために報告しようとインカムに手をかざそうとする。…しかしその前にCICの雰囲気をあっという間に一変させてしまうほどのアラーム音がけたたましく鳴り響く。

 

 

 

吉野 AN/SPY-1D妖精『れっレーダーに感あり!!本艦6時の方向!!距離距離2万!!とっとんでもない速度で接近中!!推定速度マッハ2.5!!』

 

 

吉野 攻撃指揮官妖精『はぁ!?マッハ2.5ってどうゆうことよ!!深海棲艦って二次大戦の船が中心だからそんな速度は有り得ないはずよ!!』

 

 

吉野 AN/SPY-1D妖精『わっ私にもそれは…(ピピッ!!)種別判明しました!!恐らくこれは対艦巡航ミサイルです!!数六!!』

 

 

吉野 攻撃指揮官妖精『たっ対艦巡航ミサイル!?私達現代艦が装備してるやつじゃない…!!なんで深海棲艦が…『吉野よりCIC!!何があったの!!報告して!!』っ!』

 

 

 

どうやら艦載レーダーが深海棲艦側から高速で接近してくる飛翔体を探知した際の警報音のようで、スクリーンに捉えた反応を元にAN/SPY-1D妖精が素早く報告する。…が本来であれば有り得ないような速度で接近していることに彼女も驚いているらしく、報告を聞いた攻撃指揮官妖精も思わず声が裏返ってしまう。

 

更に付け加えるようにその接近中の飛翔体が対艦巡航ミサイルだということを聞くと更に驚きを露にして一瞬吾を忘れそうになりかけたが、催促するように飛び込んできた吉野からの無線でハッとなる。

 

 

 

吉野 攻撃指揮官妖精『ほっ本艦6時の方向、距離距離2万から高速で接近中の飛翔体を探知!!推定速度マッハ2.5!!数六!!反応からして恐らく敵の対艦巡航ミサイルです!!』

 

 

吉野『対艦巡航ミサイル!?なんで深海棲艦がそんな物を…いやそれよりも!!艦対空ミサイル発射用意!!それと味方にも打電急いで!!敵ミサイルの目標は!?』

 

 

 

なんとか我に返った攻撃指揮官妖精はそのままAN/SPY-1D妖精から報告されたことを吉野に伝えていく。まさか深海棲艦がそんな攻撃をするとは思っていなかった彼女も一瞬動揺を見せるがすぐさま迎撃用意と味方への報告、ミサイルの目標の算出を急ぐように指示する。

 

 

 

吉野 AN/SPY-1D妖精『この進路だと…(カチャ)まだ暫定ですが恐らく味方戦艦が目標です!!このまま行くと!!』

 

 

吉野『艦対空ミサイル発射用意!!Mk.99妖精!!迎撃位置の算出は!?』

 

 

吉野 Mk.99妖精『駄目です!!発射は可能ですがこのタイミングでの迎撃ではミサイルが間に合うかどうか!!それに発射となれば我々の位置が…』

 

 

吉野『構いません!!ぎりぎり間に合うならバレようが発射してください!!ミサイルに対しての防御がない僚艦がアレをモロに受けたら…』

 

 

吉野 Mk.99妖精『…分かりました!!やってみます!(カチャ)対空戦妖精!!艦対空ミサイル発射だ!!残弾は気にするな!!撃てるだけ撃ってバラ撒け!!』

 

 

吉野 対空戦妖精『了解!!対空戦闘!!CICの目標 味方戦艦へ接近中の対艦巡航ミサイル!!最終安全装置解除!!SM-2、発射始めっ!!』

 

 

 

次々と送られてくる情報に接近中の対艦巡航ミサイルの目標が榛名、霧島だという報告が上がってくるとともにすぐさま艦対空ミサイルの発射指示を下し迎撃位置の算出は可能か問う。

 

だが返ってきた返答は芳しくなく撃てないことはないが今撃っても間に合うかどうかの保証が出来ないし、もし艦対空ミサイルを発射すれば自艦の位置が敵艦隊にバレる可能性が出てくる。その危険性があるためあまりいい表情をしなかったMk.99 妖精(ミサイル射撃指揮装置)であったが、それでも構わないという吉野からの返事を受け覚悟が決まったようだ。

 

 

すぐさま対空戦妖精に対して撃てるだけの艦対空ミサイルを発射するように指示を下し、それを受けて味方艦隊に接近中の対艦巡航ミサイルに狙いを定めながら安全装置を解除しつつ発射ボタンを勢いよく押す。

 

 

 

ゴォォォォ!!!

 

 

 

彼女の前部と後部に搭載されているVLSが立て続けに開くと、轟音を響かせながらロケットブースターに点火されたSM-2が当たりを閃光と煙で包み込みながら何発も上空へ一瞬打ち上げられていく。がすぐに進路を変えて目標海域に向けて高速で飛翔していった。

 

 

   

 

 

 

 

 

霧島 電信妖精『よっ吉野より緊急電!!貴艦及び榛名に超高速で接近中の飛翔体を探知!!数六!!推定速度…さっ3087 キロ!?』

 

 

秋山『何!?それだとマッハということになるぞ!!なんで深海棲艦がそんなもの…『提督!!伏せててください(霧島)!!』ムグ!』

 

 

霧島『狙いは私達で間違いないんですね!それと見張り妖精!!確認は出来ますか!?』

 

 

 

同時刻、晋級が放った対艦巡航ミサイルの目標である霧島や榛名では吉野からの通信を受けて大騒ぎになっていた。それはそうだろう、今までに聞いたことのないような速度で突っ込んでくる飛翔体なぞ経験したことがないからだ。秋山もなぜ深海棲艦がそんなものをと言いかけたが、霧島だけは冷静のようで提督を伏せさせながら状況確認を素早く行う。

 

 

 

霧島 電信妖精『はっ…!間違いはないかと…!現在吉野が迎撃を試みていますが間に合うかどうか……』

 

 

霧島 見張り妖精『接近中の方角には特にこれと言って……あっ見えました!!微かにですが低空を高速で接近!!本艦に向かってきます!!』

 

 

霧島『くっ…!!全艦近接対空戦闘用意!!接近中の飛翔体をなんてしてでも叩き…『吉野から放たれた対空誘導弾を複数視認!!真っ直ぐ例の飛翔体に向かってます!!命中までおよそ10秒!!』』 

 

 

榛名『各自衝撃に備えてください!!それと修理妖精は即時待機!!いつでも動けるようにしてください!!』

 

 

 

状況確認をしながら思わず歯ぎしりをしかけた霧島てあったが、すぐに近接対空戦を全艦に下令しようとする。…がそれよりも先に吉野が放った艦対空ミサイルが命中しそうだということが分かると、迎撃よりも衝撃に備えるほうが先決と判断しようでそうした指示をしていく。

 

そう言い放った直後、ロケットブースター全開で接近してきていた艦対空ミサイルが霧島や榛名の右舷側近くで相次ぎ信管が作動。激しい閃光とともに次々と爆発して榛名や霧島目掛けて飛んできた対艦巡航ミサイルを巻き込もうとした。

 

 

 

ドォォォンンドォォォンン!!

 

 

霧島『くっ…!!』(ギギギギ!!) 

 

 

榛名『っ…!!』(ギギギギ!!)

 

 

秋山『どっ…どうなった…?『にっ2発は迎撃成功確認……あとは……駄目です!!残り4発がそれぞれに突っ込んできます!!』』

 

 

霧島『各自衝撃に備えて!!提督!!けっこう揺れますから注意してください!!』

 

 

 

艦の近くで相次いで爆発したため、その際に発生した衝撃が二艦にもしっかりと伝わって来たのか霧島や榛名は思わず顔を顰めてしまう。秋山も一瞬そうなりかけながらも見張り妖精にどうなったのかと尋ねようとする。

 

どうなら2発迎撃は確実のようで見張り妖精がなんとか目を凝らしながら報告しつつ残りはどつなったのかと確認しようとする。…が爆炎の中から飛び出してくるように残りの巡航ミサイルが姿を表したことで一変して悲鳴のような声が響き渡った。

 

 

最悪のシチュエーションになった、そんなことを霧島は微かに思いながら秋山や乗組員妖精に対して衝撃に注意するように伝えながら自分も備えようとしたが…   

 

 

 

 

ドォォォンンドォォォンン!!!

ガギィィィィン!!

 

 

 

霧島『ぐっ!?』

 

 

榛名『きゃぁぁ!!?』

 

 

 

超高速で接近してくる飛翔体に対してその動きでは当然間に合うはずもなく、4発のうち艦の中央を捉えた2発がそれぞれ速度を落とさず勢いよく突き刺さったもとも思ったら轟音を響かせながら爆発。

 

その衝撃波のせいで指示を出していて動くのが遅れてしまった霧島や榛名は思わず悲鳴のような声を出しながら勢いよく弾き飛ばされてしまう。…だがそんな悲鳴も虚しく激しい閃光とともに二隻は激しい爆風に包まれてしまうのであった…。

 

 

 

 

損害状況

重巡洋艦三隻撃沈

軽巡洋艦七隻撃沈(内訳 へ級が二隻、ホ級が五隻)

駆逐艦六隻撃沈(内訳 イ級が二隻隻、ロ級が四隻)

(砲撃による戦果はリ級及びホ級、ロ級がそれぞれ一隻ずつ、あとは雷撃による戦果)

合計十六隻

 

 

パラオ艦隊

撃沈なし

古鷹・青葉・巻雲・鳥海が小破

榛名・霧島損害不明

雪風・吉野は損害なし

 

 

 

 

 




 


第二十三話 水雷戦隊の激闘



晋級の武装についてですが、弾道ミサイルや魚雷以外の武装が確認出来なかったため中国潜水艦の標準装備である対艦巡航ミサイルを使わせて頂きました。


それの攻撃方法もこれだ…!というのが探しても見つからなかったため史実とは違うかもしれませんがご了承ください…(もしあればコメント欄で教えてもらえると嬉しいデス

今後登場させる現代艦娘でどれがいいかアンケートを取りたいと思います。リクエストも含めていますのでぜひドシドシ投票してください!

  • 護衛艦『たかつき』
  • 護衛艦『くにさき』
  • 原子力空母『ジェラルド・R・フォード級』
  • ミサイル駆逐艦『ミリアス』
  • その他(感想欄でお願いします)

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