艦隊これくしょん 〜最新鋭の護衛艦は何を見るのか?〜   作:三坂

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まさかあさひ以外にもこんごうやいずもも同じように、この世界に迷い込んだことに驚きを隠せない一同。本来であれば起こり得ない状況

しかし、彼女達は知る由もなかった……彼女達が招かれた理由には大きな脅威が関係していることに……。


あ号艦隊決戦
第九話 嵐の前の静けさ


 

 

護衛艦『いずも』

 

髪色:茶髪

髪型:ボブショート

瞳色:濃い青と水色の混合

体型:見た目はスレンダーだがあさひよりも胸部装甲はあるらしい。

身長:150センチくらい

性格:穏やかで心優しい性格で、面倒見のいい性格。数少ない海上自衛隊の空母のため、新人パイロットの指導もお手の物。

モデルキャラ:ショートセレナ(アニポケ)

 

 

いずも型護衛艦のネームシップ。海上自衛隊最大とも言えるヘリコプター搭載型護衛艦として就役した彼女は前身の『いせ』型よりも対潜ヘリコプターの運用能力や艦隊としての指揮力が強化されている。近年ではいずもにさらなる航空機運用能力を付与するため空母化に向けた改修を行っており、この世界にやってきたいずもの全体像もその空母化された姿になっている。

 

ステルス戦闘機を12機運用出来、それを活かした高高度の重爆や敵母艦艦載機などの迎撃で真価を発揮した。

 

 

性格としては穏やかで心優しい性格で、面倒見のいい性格。ステルス戦闘機を活用した偵察や奇襲攻撃を得意としていることから戦闘機隊の運用能力はかなり高いようだ。

 

好きな食べ物は特にこれというのはないが、のちに瑞鳳の卵焼きの美味しさにほれてしまう。

 

 

 

護衛艦『こんごう』

 

髪色:黒髪と下側が白

髪型:ショートで後ろに髪をくくっている。

瞳色:赤と紫が混じってる。

体型:長良型軽巡洋艦と同じ

身長:160センチくらい

性格:真面目でしっかり者。しかし真面目過ぎて空回りしてしまうこともあり、どこか秋月に雰囲気が似ている。そのため同じ名前である戦艦金剛とは対称的。

モデルキャラ:護衛艦娘 イージス艦『みらい』(しろきつね様作)

 

 

こんごう型護衛艦のネームシップ。海自初のイージスシステム搭載ミサイル護衛艦にして、アメリカ海軍以外が初めて保有したイージス艦でもある。

 

高性能なイージスシステムを搭載、弾道ミサイル迎撃能力を有した彼女は長きにわたり海上自衛隊の最前線で活躍を続けきたため能力はかなり高い。

 

 

性格としては真面目でしっかり者、自信の経験をいかした指導などもしようと思えば出来るようだ。だが真面目過ぎて変なところで空回りしてしまうことがたまにキズ。

 

部隊は違えどあさひと同じ佐世保基地配属ということもあり、佐世保バーガーが大好物。というか長崎の名物はほとんど大好き。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パラオ大空襲から

翌日

 

泊地司令部

会議室にて

 

 

 

 

秋山「さてと…パラオ大空襲に関しての会議と行きたいが………。」

 

 

 

なんとか敵攻撃隊の波状攻撃を凌いだパラオ泊地では秋山が主要な艦娘を集めて緊急の会議を開いていた。だが空襲の被害は皆無に等しいためぶっちゃけ会議の主な話とすれば秋山が向けた視線の先にいる『いずも』や『こんごう』のことだろう。

 

 

 

秋山「まさか…あさひと同じような状況になっていた艦娘がいるとはな……。とりあえず名前を改めて確認させて貰おうか?」

 

 

いずも「いずも型護衛艦のネームシップ、『いずも』です…!所属は横須賀基地…あっいや…、こっちでいうと横須賀鎮守府に当たるのかな…?」

  

 

こんごう「海上自衛隊所属 イージス艦『こんごう』です…!あさひさんがお世話になっています…!」

 

  

秋山「マジか…小さい頃、深海棲艦がまだ現れてない頃に一度本物のこんごうを見たことがあるが…。まかさこうやって別世界から迷い込んでくるとはな…。」

 

 

榛名「というか何でしょう…、お姉さまと同じ名前なのに雰囲気がほとんど違うというか……」

 

 

霧島「同じ金剛のハズなのに…、どうしてここまで性格に差があるのでしょう…(汗)。どことなく秋月さんと似ているように感じます。」

 

 

 

いずもに関しては秋山の世界ではまだ就役してないためわからないのは無理はないが、彼が小さい頃に横須賀に寄港したさいに見たイージス艦『こんごう』を艦娘として再び見ることになるとは思わなかったのか少し懐かしげに眺めていた。

 

 

 

大鳳「ひとまずお礼からですね…!我がパラオ泊地に襲来した敵機の迎撃をしてくださってありがとうございます。お陰で被害を出さずに済みました…!」

 

 

瑞鳳「私からもお礼を言わせてください…!ありがとうございます…!貴方たちからすれば見ず知らずの世界なのに戦闘に加わっていただいて…!」(頭を下げる

 

 

いずも「いやはや(汗)そんな頭を下げないでください。私もここが自分の知ってる世界じゃないのはわかっていましたし…、敵とわかればむざむざ見過ごすのもよくありませんでしたから…」

 

 

こんごう「私としてはあさひさんの反応がレーダーに写っていましたし…何より後輩がピンチだったので咄嗟にですが…(汗)」

 

 

 

まさか頭を下げられると思っていなかったのか、勢いよく下げた大鳳と瑞鳳をみて少し焦りながら慌てて弁明しつつ頭を上げるように説得を二人はしていた。そこからしばらくてんやわんやしていたがようやく落ち着いてきたため静かにしていた提督が口を開く。

 

 

 

秋山「ひとまず、二人はあさひと同じようにこのパラオ泊地配属になってもらう。今流石に本土からお偉いさんを呼ぶわけにもいかないからな…。ひとまずという形だが、問題なければこのままパラオ配属になるだろう。慣れたところの方がやりやすいだろうし、…他の鎮守府の提督が知れば欲しがりそうだが…(汗)」

 

 

龍驤「そこは提督の手腕が生きるところやでぇー。海軍司令部にいたころのコネが役立つやろー。」

 

 

秋山川「言ってくれるなー(汗)。まっそこをどうにかするのが俺の仕事だから当たり前か…。ひとまずこの話はまた後でじっくりするとして…、瑞鳳頼めるか?」

 

 

瑞鳳「わかりました…!それでは報告会を始めます…!!内容としては以下のとおりですね。」

 

 

 

 

 

来襲セル深海棲艦陸上機及ビ敵母艦艦載機ニヨル空襲二ツイテ

対空戦闘報告:大鳳

被害報告:瑞鳳

今後ノ対策提案:鳥海 

 

新タニ加ッタ護衛艦娘ノ艦種変更二ツイテ 

報告:霧島

 

 

第四艦隊ヨリ達セラレル指令二ツイテ

代読:瑞鳳

 

 

 

秋山「なるほど、それじゃまずは対空戦闘を指揮した大鳳。報告を頼めるか?」

 

 

大鳳「あっはい…!昨日、我がパラオ泊地は深海棲艦機、陸上機、述べ174機の攻撃を受けました。編成及び対空火器にのる撃墜数は以下の通りです。」

 

 

 

 

来襲セル敵機

 

 

第一波:重爆二十四機

第二波:重爆五機、軽爆撃機四十五機、陸上戦闘機二十機

第三波:雷撃機十五機、爆撃機四十五機、艦上戦闘機十五機(イズレモ空母艦載機)

合計:百七十四機

 

艦隊対空砲火ニヨル戦果:撃墜四十機 

 

 

 

秋山「この40機は当直艦娘とあさひの戦果だろうが…、やはり彼女の防空能力は目を見張るものがあるな…。後続から襲来した多方面奇襲を防げたのもあさひのレーダーのお陰だし…」

 

 

あさひ「そっそんな大したことありませんよ…///(てれてれ)自分の役割を全うしただけですから…///」

 

 

曙「でも、今後はあんまり無茶はしないようにしなさいよ。何かあればすぐに報告、これを徹底しなさい?それと不調起こしてた対空火器は直ったの?」

  

 

あさひ「わっわかりました…!!はい、CIWSについても修理妖精があのあと徹夜で直してくれました…♪どうやら弾づまりによるエラーだったみたいです…(汗)」

  

 

曙「ちゃんとメンテナンスはしてたんだろうけど…。今後は気をつけなさいよ?貴方の代わりはいないんだから…、最新鋭艦だからって油断は禁物だからね…!」

  

 

あさひ「ありがとうございます…♪その言葉はしっかりと肝に命じておきます…!!」  

 

 

皐月「…(なんだかんだいって曙ちゃんは心配性なんだねー♪)ヒソヒソ」

 

 

陽炎「…(確かに…♪表ではツンツンだけど案外あさひさんのこと気にかけてるのかも…♪)」

 

 

曙「こっこらそこ…!///ヒソヒソと私のこと話すな…!///」

 

 

陽炎・皐月「「はーい♪」」

  

 

 

なんだかんだいいながらあさひのことを気にかけている曙を横目に陽炎と皐月はヒソヒソと安心したような表情で話し込んでいた。その際にコソコソ話を聞かれたのか頬を赤らめた彼女から注意を受けて二人はニヤニヤしつつ返事を返しているのを見つつ秋山が大鳳に続くように説明を続ける。

 

 

 

秋山「それじゃ大鳳からは航空隊についての報告をお願いしようか。」

 

 

大鳳「それでは、航空隊については私から…!艦隊航空隊、基地航空隊、陸軍航空隊、合わせて30機といずも所属の航空隊12機が離陸発艦に成功。迎撃戦闘を行いました。」

 

 

秋山「やはり奇襲で多くの機が離陸出来なかったのが痛かったな…。防空網の構築が急務ってところか…。」

 

 

 

 

海軍航空隊ニヨル戦果

撃墜十ニ機、撃破四機

 

陸軍航空隊ニヨル戦果

撃破十一機、撃破三機

 

いずも航空隊ニヨル戦果

撃墜七十機、撃破ニ十機

 

 

合計:撃墜機九十三、撃破ニ十七機 

 

 

総合計:撃墜機百三十三、撃破ニ十七機

  

 

 

 

大鳳「航空隊の損失も追記しておきます。こちらの損害は自爆未帰還3機、搭乗員妖精はいずれも脱出しました。」

 

 

龍驤「こうしてみるとなぁ…、いずもはんの航空隊の撃墜数がえげつないなぁ…(汗)。ジェット機とレシプロ機の差があるとはいえど……。」 

 

 

いずも「あはは…(汗)。なんかこうしてみると私の部隊だけ撃墜数が浮いてるような…それにこれだけ見ると盛ってるように感じちゃいますね…(汗)。」

 

 

秋山「まあ君の性格ならそれはなさそうだけどなー、とりあえず次は被害報告か…。瑞鳳、頼む。」

 

 

瑞鳳「はい提督♪今回の大規模空襲についての被害報告ですが、ほとんどが泊地に到達する前にほぼすべての攻撃隊を迎撃出来たので特にこれといった被害はありません…(汗)。強いていうなら対空砲が1基機銃掃射で破壊されたくらいです…。」

 

 

秋山「あれだけの大空襲を受けて被害がこれだけとは…。全く…タイミングのいいときに君たちはここに来たもんだな…(汗)。」

 

 

あさひ「んー…(汗)タイミングいいんですかね…?」

 

 

いずも「まあ結果としては敵の大空襲を防げたんだしいいんじゃないかな?そうでしょ、こんごう?」

 

 

こんごう「確かにそうかもしれませんね…。私達がいなければここは間違いなく火の海になっていたでしょうし……。」

 

 

 

秋山の言うとおり、あさひ達がこのタイミングでパラオにやってきたというのは確かに良かったのかもしれない。結果としては深海棲艦のパラオ大空襲を頓挫させるだけでなく、攻撃隊の半数以上を撃墜し相手に致命的なダメージを与えたのだ。まさしく救世主と言っても過言ではないため、3隻は確かにという表情を浮かべながら頷く。

 

 

 

秋山「だがいつまでも君たちに頼りっぱなしなのもあれだ…。そういえば、鳥海から今後の対策について提案があるんだってな?」

 

 

鳥海「はい…!やはり今回の空襲ではミクロネシア連邦にあるレーダー基地で判明したため…やはり早期警戒網を構築するべきかと…。」

 

 

阿武隈「早期警戒網…?」

 

 

鳥海「近隣の島にレーダー基地及び哨所を設置、海上では哨戒艇や航空機による複層哨戒を行うようにすれば奇襲についてはかなり防げるようになるはずです。」    

 

 

秋山「もっと早く作ってれば良かったのだが…、気にしてても仕方ない。担当艦は龍驤、君に頼めるかな?」

 

 

龍驤「任せときーや!航空機対策ならうちの得意分野やで…!」

 

 

大鳳「基地航空隊の手配とかについては、私に相談してくださいね。」

 

 

瑞鳳「必要な人員、物資については私か霧島さんに言ってください…♪」

 

 

龍驤「了解したでー…!なんかあればよろしゅう頼むなー。」

 

 

秋山「それと鳥海には泊地の対空、防空設備の整備をやって貰おう。」

 

 

鳥海「了解しました…!鉄壁の守りと言えるように泊地の防空を強化いたしましょう…!!」

 

 

秋山「しっかりと頼むぞ…!…だがここまでの空襲…やはり敵の大規模侵攻が近い可能性があるな…。」

 

 

霧島「えぇ…ここまでの空襲はパラオ泊地創設以来ほとんどありませんでしたからね…。小規模の空襲なら何度かはありまりましたが…。」

 

 

皐月「前提督が言ってたことが本当になるかもしれないってことかな…?実際その話が上がってから少ししてこれだし…」

 

 

秋山「まだ確証はないが…、ひとまずは哨戒機の数と出撃回数を増やして索敵を強化するしかあるまいな…。」

 

 

 

突然ここまでの大規模空襲が始まったとなれば、前々から言われていた深海棲艦による侵攻の前段階の可能性が高い。まだ確証はないがそうでなければ一度にここまでの機数や波状攻撃をしかけることはない。…となれば近いうちに何らかのアクションを起こすのではないかと秋山は考えていた。…しかし今は空襲の被害報告などの話し合いのためこの件はあとで調べるとして、瑞鳳が次の話に入る。

 

 

 

瑞鳳「では、次の議題に入ります。新たに加わったいずもさんやこんごうさんについての艦種変更ですが…」

 

 

霧島「それについては私から、やはり今の名称では他艦隊と行動する際に連絡で支障をきたしますから艦種変更をするべきかと…、それとこんごうさんについては名前が被る艦があるのでそちらの変更もするべきでしょうね。」

 

 

いずも「まあ、こっちからすれば私は空母の分類なのに護衛艦って言われたらそりゃ困惑するよねー。」

 

 

こんごう「確かに今のままでは霧島さんのお姉さん?と一緒になった時に無線で交信するのには支障が思いっ切り出るでしょう…。私もその案には賛成です。」

 

 

霧島「それで艦種変更についての案ですが…。ひとまずいずもさんについては出雲型航空母艦で、こんごうさんについては艦隊指揮力や設備を考えて巡洋艦でいこうと思います。艦名についても川の名前を取って吉野級軽巡洋艦という感じはどうでしょう。」

 

 

いずも「私はそれでオッケーですよ♪なんかカッコ良さそうだし…!」

 

 

こんごう「私も問題ありません。軽巡洋艦という呼び名には慣れませんが…、私の船体で駆逐艦は無理がありますからね…それが妥当でしょう。」

 

 

霧島「了解しました…♪あさひさんに関しても朝日型駆逐艦というていで登録を行いますがよろしいでしょうか?」

 

 

あさひ「はい♪良さそうな呼び名ですから問題ありませんよ♪」

 

 

秋山「決まりだな。霧島、会議の後に泊地関連の登録手続きをお願いするよ。」

 

 

霧島「はい…!おまかせください…!」

 

 

 

ひとまずあさひ達の新しい呼び名も問題なく決まり、その名前で登録を行うことに。やはりこちらに合わせた呼び名の方が他鎮守府との作戦についての連携もしやすくなる。こんごうに関しても名前の変更で被らなくなったため、霧島や榛名の姉であるこんごうと一緒になってもこんがらなくなるのもかなり大きいだろう。

 

 

 

瑞鳳「では…!続いては第四艦隊からの命令についてです。」

 

瑞鳳「沖ノ島沖周辺に深海棲艦隊の出現が予測される。これに対する出撃準備及び警戒体制の強化を……(タッタッタッ!!)」

 

 

参謀妖精「会議中失礼します…!連合艦隊司令部より緊急の連絡です…!!」   

 

 

秋山「緊急連絡?構わんから教えてくれ。」

 

 

 

最後に第四艦隊から届いた命令書の代読を瑞鳳が始めようとしたその直後、滑り込むように参謀妖精が会議室に滑り込んでくる。様子からして緊急の可能性があるため会議中にも関わらず秋山は真剣な表情で話を続けるように命令する。

 

 

 

参謀妖精「『沖ノ島海域に出現した、有力な敵機動部隊を迎撃。全力出撃でこれを撃滅せよ』。主文は以上です…!現在、詳細電文を受信中です…!」

 

 

秋山「……わかった。瑞鳳、現在の艦隊状況を教えてくれ。」

 

 

瑞鳳「パラオ泊地に展開する全艦隊の出撃が可能です。提督…!」

 

 

秋山「敵の空襲目標が泊地機能、そして大規模空襲を凌げたのが大きかったな……艦隊、抜錨用意。明朝0600、連合艦隊編成で抜錨する。」

 

 

あさひ「あの、私達はどうすれば…。」

 

 

秋山「君たちにも出撃を命ずる。今回の相手はかなりの大規模の艦隊の可能性が高い…。今は少しでも戦力が欲しいからな…」

 

 

いずも「了解しました…!!航空隊には即時待機を命じておきます…!!」

 

 

こんごう「こちらも了解しました…!艦隊防空ならおまかせください…!」

 

 

秋山「恐らく厳しい戦いになるだろう。各員一層奮励努力せよ…!」

 

 

会議出席の全艦娘「「はい!!!」」

 

  

 

 

 

その日の夕方

パラオ泊地湾内にて

 

 

 

補給妖精「おら!燃料と弾薬ありったけ積み込め!!今回の戦いは長期戦必至だぞ…!!」 

 

 

給糧妖精「食料も積み込めるだけ積み込め!!長期戦は士気の高さが命運を左右する…!!乗員が喜びそうなものとすぐに腹ごしらえ出来るもんを用意しろ…!!」

 

 

工廠妖精「退いた退いた!!角材のお通りだ…!!」

 

 

 

日が傾き始めているのを背にパラオ泊地湾内では明日の抜錨に向けて慌ただしい出港準備に追われていた。給油艦や補給艦の輸送船を始めとし、哨戒艇や揚陸艦といった使える小型船などは片っ端から引っ張り出して艦艇への弾薬、燃料の補給や食料などの積み込み、応急修理用の角材や予備の部品などの積み込みがひっきりなしに行われていた。

 

 

 

秋山「よっ瑞鳳…♪出港準備の進捗はどうだ?」

 

 

瑞鳳「あっ提督…!(駆け寄って)ひとまず積み込み作業は順調に進んでるよ…!缶の圧力も問題なしだから予定通りの抜錨が出来るかな♪」

 

 

 

そんな中、作業の進捗状況を見に来た秋山は書類片手に積み込み作業の様子を見ていた瑞鳳のもとへやってくる。もちろん彼女もそれに気づき、嬉しそうな笑みを浮かべながらこちやに駆け寄ってきて報告を行っている。

 

 

 

秋山「ふむ、パーフェクトだな…♪流石はパラオ泊地艦隊総旗艦…!俺が見込んだことはあるぜ…♪」

 

 

瑞鳳「えへへ…♪ありがとう提督♪っとそういえば第一艦隊の旗艦私で良かったのかな…?指揮設備とかなら霧島さんとか大鳳さんが適任だと思うけど……?」

 

 

秋山「まあ確かに本来ならそうなんだろうけどな…(汗)。大鳳達も優秀だし艦隊指揮能力とかもかなり高い。大規模な作戦ならそっちを選ぶべきなんだろうが…」

 

 

瑞鳳「ならどうして……」

 

 

 

確かに、瑞鳳の言うとおりここまでの大規模作戦なら艦隊指揮力の高い大型艦艇を第一艦隊旗艦にするのが妥当だろう。このパラオなら戦艦霧島か榛名、正規空母である大鳳といった艦娘が旗艦になることが多い。それを知っていてどうして自分を選んだのか瑞鳳からすれば不思議なことであった。

 

 

 

秋山「やっぱこうゆう時だからこそ瑞鳳を旗艦にするべきだと思うんだよ。もちろん大鳳達も信頼はしているけど、やっぱ瑞鳳に乗ってるとどこか落ち着いて指揮が出来るからさ…(照れくさそうに)」

 

 

瑞鳳「……提督……(こみ上げてくる感情を抑えつつ)。」

 

 

秋山「まっ、それは建前で本当は久しぶりに瑞鳳に乗りたいのが一番の理由だな…♪」

 

 

瑞鳳「…ぷっ、何よそれ…♪ふふっ♪(本当、提督は優しいよね…。そんなに優しいと…私もっと好きになっちゃうよ…?)」

 

 

瑞鳳 砲術妖精「なーんか提督と瑞鳳さんが更に接近してますねー。まあ別に止めるつもりもありませんが…!」

 

 

瑞鳳 制空隊 第一中隊 中隊長機「瑞鳳さんに用事があって来たんだが…後にするか、いい雰囲気邪魔したくないし。」

 

 

 

二人がいい感じになっているのを建物の影から見ていた瑞鳳の砲術妖精と制空隊の中隊長妖精であったが邪魔をしないようにこっそりとその場を後にする。それに気づいていないのか少し話が弾みつつも秋山が艦隊の状況について尋ねる。

 

 

 

秋山「やっぱ瑞鳳はその笑顔がお似合いだよ♪とりあえず現状のパラオ泊地戦力及び出撃する連合艦隊編成を教えてくれないか?」

 

 

瑞鳳「はい…!!それでは、こちらがパラオ泊地に展開している艦隊の状況です…!」

 

 

 

 

パラオ泊地

在艦隊戦力

 

空母

大鳳、瑞鳳、龍驤、出雲(いずも)

以下四隻

 

戦艦

霧島、榛名

以下二隻

 

重巡洋艦

古鷹、鳥海、青葉

以下三隻

 

軽巡洋艦

阿武隈、五十鈴、阿賀野、吉野(旧こんごう)

以下四隻

 

駆逐艦

陽炎、曙、皐月、睦月、敷波、涼風、雪風、時津風、巻雲、朝日(あさひ)

以下十隻

 

 

計ニ十四隻

 

 

瑞鳳「以上がパラオ在海軍戦力です。続いて、今回出撃する連合艦隊編成についてはこちらに…!」

 

 

 

連合艦隊編成

 

第一艦隊

旗艦:瑞鳳

大鳳、龍驤、出雲、霧島、榛名、朝日

以下七隻

 

第二艦隊 

旗艦:鳥海

古鷹、青葉、吉野、雪風、敷波、時津風

以下七隻

 

第三艦隊

旗艦:阿賀野

阿武隈、巻雲、曙、涼風、皐月、睦月

以下七隻

 

 

計ニ十ニ隻  

 

泊地警備・運営:五十鈴、陽炎

以下二隻 

 

 

  

秋山「五十鈴と陽炎には泊地の運営及び警備のために残ってもらおう。本来であれば全艦抜錨させたいが…、流石に陸軍任せにするわけにもいかんからな。二人にはもう伝えてるな?」

 

 

瑞鳳「はい…!すでに伝達済みで、二人から了承は貰っています…!」

 

 

秋山「なら問題はなさそうだ…!明日の出撃は早い。作業が終わり次第出撃する子やその乗組員妖精のみんなにはしっかりと休むように伝えてくれ。」

 

 

瑞鳳「了解です♪提督も今日はしっかりと休んでくださいね…♪寝不足は艦隊指揮に影響が出ますから…!」

 

 

秋山「おう、ありがとうな…!瑞鳳♪そうさせて貰うよ…!」

 

 

瑞鳳「うん…♪」

 

 

 

 

その日の夜

埠頭にて

 

 

 

こんごう「……。(静かに夜空を眺めていた)」

 

 

いずも「あら、まだ起きてたのね?(声をかけつつ歩み寄り)」

 

 

こんごう「いずもさん…」

 

 

 

暗闇の中、月夜に照らされながらこんごうはどこか神妙な表情を浮かべながら何か考えているようだ。するとそこにいずもが何気なく歩み寄ってきて隣にしゃがみつつ視線をこちらに向ける。

 

 

 

いずも「考えることは悪いことじゃないけどあんまり遅くまで起きてると美容の天敵になるわよー?」

 

 

こんごう「それをいうならいずもさんも人のこと言えませんよ…(汗)。あさひさんは…」

 

 

いずも「あの子ならとっくのとうに寝てるわ。明日の作戦で寝不足はいけないだろうからだって♪本当、あの子らしいというか…♪」 

 

 

こんごう「こうやって艦娘になる前の自分たちの性格なんてわからないと思っていましたが…、案外見ただけで分かるものですね…。」

 

 

いずも「そうねぇ…、ところでさっき神妙な表情浮かべてたでしょ?もしかして今後のことで不安かしら。」

 

 

こんごう「ちが…くはないですね…。なんだかいずもさんには隠し事してもあっさりとバレちゃいますね…(汗)。」

 

 

いずも「当たり前でしょー?空母の私相手に隠し事はバレバレよー♪」

 

 

 

何やら考えていることを当てられて、一瞬否定しかけたこんごうであったがすぐに観念したような表情を浮かべて白状した。そんな彼女を見るなり自分の予想が的中したいずもは当たり前と言わんばかりにドヤ顔をしつつ笑みを浮かべる。

 

 

 

こんごう「…気づいたらこの世界に飛ばされて…、自分の知らない深海棲艦という敵や存在しないはずの日本海軍…。話を聞く限り終わりの見えない戦い…。」

 

 

いずも「こんごうはそれが不安なのでしょう?自分や私達がかつていた世界とは違い、深海棲艦という謎の勢力との戦争。自分はなんのために戦っているのかって……ね?」

 

 

こんごう「今は上官である秋山提督の命令でなんとか自分の目的を見つけてるけど……、もしかして将来なんのために戦っているのかが分からなくなるんじゃないかって……。」

 

 

いずも「……。」

 

 

こんごう「そうなったら私……ムグ…!?(人差し指で口を抑えられる。)」 

 

 

 

話していくうちにこんごうの表現が曇っていき、今は問題ない戦う目的が分からなくなったどうすればいいのか…。そう言いかけた直後にいずもから人差し指で口を抑えられたため一瞬目を見開く。

 

 

 

いずも「大丈夫、貴方ならその心配はないわ…♪だって海上自衛隊で歴戦のイージス艦よ?それに戦う目的はもう定まってるんじゃないかしら?気づいていないだけで…♪」 

 

 

こんごう「戦う目的……が……?」

 

 

いずも「そう♪だってこんごうさんは始めてこの世界に来たとき、後輩を護るために戦闘に加わったそうじゃない?それでも充分果たせてるわよ…♪」

 

 

こんごう「でっでも…、海上自衛隊としてそれでいいのかしら…?」

  

 

いずも「大丈夫よー♪それだけでもちゃんと目的として果たせてるし、先輩として後輩を護ることも立派な役目…♪自信を持っていいわ…!」

  

 

こんごう「……そう…ですね…♪ありがとうございますいずもさん(ペコリ)、お陰で少し楽になりました…!」

   

 

いずも「困ったときはお互い様でしょ?また何かあれば遠慮なくいって頂戴♪そうゆうのは得意だから…!」

   

 

 

いずもの励ましによって自分の目的に自身が持てたのか、気持ちが軽くなりこんごうの表現から笑みがこぼれ始めた。それを見るな否やいずもも満足そうな表現でウンウンと頷いている様子で、彼女が頭を下げているのを見て何かあればまた遠慮なく言ってくれといずもはそう告げつつふと空へと視線を向ける。

  

 

 

いずも「……にしても…空…キレイだね…♪」     

 

 

こんごう「…えぇ…♪なんか…光がない分星空がきれいに見えます…!佐世保じゃこうは行きませんから……(汗)」

 

 

いずも「横須賀でもおんなじことよ…♪やっばこういったところの特権ってやつかしら…!」

 

 

 

こんごう「はい…♪」

   

 

 

そう話していた二人は、そこからしばらくの間星空満点の夜空を二人揃って眺めているのであった…。彼女達からすればこちらにきて始めての大規模作戦…、一体どうなるのでしょうか…?

 

そして、パラオ泊地艦隊は深海棲艦の大規模侵攻を跳ねのけることが出来るのか…!?

 

 

 

 

   

 

 

第九話 あ号作戦発動

 

 

 

 

 

 

 





護衛艦娘の艦種変更及び艦名変更について

あさひ型護衛艦→朝日型駆逐艦
こんごう型護衛艦→吉野型軽巡洋艦
いずも型護衛艦→出雲型航空母艦

(こんごうについては戦艦金剛と名前が被るためと秘匿名称のために名前を変更。艦種も分類でいけばミサイル駆逐艦ではあるものの、船体の大きさ等から比較的近い軽巡洋艦に艦種を変更させていただきました。)       


それと今回の回では伍長が制作する艦これの二次創作ドラマ『艦これIL-2』よりMMD編 3機目 あ号艦隊決戦 4マス目の会話の一部を参考にさせていただきました。

ありがとうございます…!

今後登場させる現代艦娘でどれがいいかアンケートを取りたいと思います。リクエストも含めていますのでぜひドシドシ投票してください!

  • 護衛艦『たかつき』
  • 護衛艦『くにさき』
  • 原子力空母『ジェラルド・R・フォード級』
  • ミサイル駆逐艦『ミリアス』
  • その他(感想欄でお願いします)

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