「ショウマ君、一体どうして決闘する事になってるの?」
「オメーこそ、なんでクルルシファーと付き合う事になってんだ。羨ましいぞコノヤロ」
「全然羨ましくないから!?僕だって何がなんだか…はぁ」
ショウマとルクスは互いにライガーゼロの足元でくつろいで、色々と状況を整理していた。ルクスは1週間クルルシファーの彼氏になるといううらやまけしからん事態に陥り、ショウマはコトナを賭けてゾイドで試合に出るなど様々だ。
「でも、ショウマ君が戦うロベルト・クジャンって確か新王国のゾイド部隊の隊長を務める人でしょ?ショウマ君だから心配してないけど……」
「ルクス、まさか俺が負けるとでも思ってるのか?あんなキザ野郎に負けねぇさ。それに、今回の戦いを挑んだのにはもう一つ理由があんのさ」
「もう一つの理由…?」
「新王国ゾイド部隊を率いる全隊長でロベルトは第3番隊隊長で元は第1番部隊所属……つまりアイツの部下だから、少し興味が湧いた」
「アイツ?」
「リンネ・ヤマト……アティスマータ新王国ゾイド部隊第1番隊隊長。俺やお前と同じライガー乗りで、ゾイド部隊の切り札と言われている男だ」
アティスマータ新王国には現在3チームに分かれたゾイド部隊が存在する。ロベルトは第3番部隊を率いる実力者ではあるが、元は1番隊隊長リンネ・ヤマトの部下でもあった……リンネ・ヤマトは部隊の中でも厳しくゾイド乗りとして一流の腕を持つ戦士で、ショウマとはある事がキッカケで腐れ縁である。
「アイツの部下なら見てみたいと思ったのさ……アイツの教育がちゃんとしてるのかを…」
「そうなんだ……ショウマ君はその、リンネさんとは知り合いなの?」
「まあ腐れ縁だよ。あいつも俺と同じライガーゼロに乗る……言わばライバル関係だな」
「え?……ライガーゼロって、もう1体いるの!?」
「ああ。ただリンネのライガーは少し違う……奴のゾイドはライガーゼロイクスだ……奴は、俺が一度も倒せなかった相手だ」
同時刻、新王国ゾイド部隊の整備場にてショウマが噂しているリンネ・ヤマトはいた。背中まである茶髪の髪を後ろで結わえて、黒い服装を着用しながら自身の愛機であるライガーゼロイクスを洗っていた。
「ヤマト隊長、今時間宜しいでしょうか」
「……ロベルトか。珍しいな、お前から話し掛けるとは」
「はっ!実は隊長に聞きたいことがありまして」
「聞きたい事?」
「はい。実は――――」
ロベルトは今回の一連の流れを話し、学園にいたライガー乗りのショウマとコトナを賭けて戦う事を全てリンネに話した。
「ショウマか……懐かしい」
「お知り合いですか?」
「知り合いというより……ライバルという関係が正しいな。俺は奴に一度も勝てなかった」
「っ!?た、隊長が……ですか!」
「ああ。ロベルト、ショウマと戦うなら念入りに訓練に挑め……ショウマは一見どこか気怠そうな態度をしているが、戦いになれば奴は容赦ないぞ。ショウマという男は抜かりない……気を付けていけ」
リンネはライガーゼロイクスに搭乗すると、自身の部隊を率いて任務へ向かう。