この厄祭戦の悪魔に祝福を!   作:青は澄んでいる

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この新たな転生者と駄女神と悪魔に遭遇を!

ソラは普段、以前とある事がきっかけでリーンに冒険者として一人でクエストに行くことを止められている。

全く行ってはダメとはいかないがそれでも一人でクエストに行かせてもらえる事は少ない。

 

そのためソラはクエストはクエストでも街の清掃やら土木工事の手伝いやらをやっていた。

 

「おやっさん、こっちの壁終わったよ」

 

「おうソラ、もう終わったのか。お前もうバイトじゃなくて正式に雇われるか?ウチの連中も大歓迎だと思うぜ?」

 

「それは嬉しいけど、俺はやっぱり戦う方が何か性に合ってるかな」

 

「そうか。まあ気が変わったらいつでも言えよ」

 

おやっさんと呼ばれた土木工事の親方はソラにバイト代の入った封筒を渡した。

 

「ホレよ、今日のバイト代だ。大事にしろよ?」

 

「ありがとうおやっさん。それじゃあ俺ギルドに行くから」

 

「おう、頑張れよ」

 

ソラは服を着替え、親方にお礼を言い今日の街の清掃クエストでも受けようとギルドに向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

「しかし、今日も見たな。変な夢」

 

ソラは冒険者ギルドに向かいながらそんな事を呟いた。

彼はとある理由で今の世界に転生してきた。

 

それが影響しているのか、彼は眠る際に稀にとある夢を見るのだがそれがどういう内容だったのかはあんまり思い出せないでいた。

 

「まあ良いや。別に大して困らないし」

 

だがソラはそんな夢の事も何も気にしていなかった。

 

「ん?」

 

そんな彼の視線の先にこの街では見かけない恰好の2人がおりソラの目に止まった。

 

その2人は一人は全体的に緑の色の見慣れない服を着ている男性で、もう一人は青い髪に青い服など全体的に青い恰好の女性だった。

 

その2人は何やら男性の方が何か言うと女性の方が男性に叫び声を上げながら襟を掴み揺さぶった。

その様子はソラ以外の街の住民も見ていて彼らを遠目に見る者や子供の目を塞ぎ立ち去る者など殆どだ。

 

本来なら無視してギルドに行きたいところだが、流石にあのままだと街の清掃の時に鉢合わせするかもしれないと思い、面倒ごとは早めに片付けておこうと思い仕方なくその2人に近づいた。

 

「ねえ、何やってんの?」

 

「「えッ?」」

 

ソラが話しかけて我に返ったらしい2人組はそらの方に視線を向けた。

 

「えっとぉ…」

 

「そのぉ…」

 

「どうかしたわけ?」

 

「え、えっとですね「おいちょっと待て、あっちょっと待ってくださいね」え!?ちょちょっと!」

 

男性は女性を引き寄せなにやらヒソヒソと話し始めた。

 

「なあ、俺たちは兎に角この街のギルド的な場所に行かないといけない。向こうから話しかけて来たなら好都合だ、あの人に話を聞いてあわよくば案内してもらおう」ヒソヒソ

 

「え?う、うん!分かったわ」ヒソヒソ

 

何を言っているのかは聞こえなかったがどうやら話は終わったようで彼らはソラに向き直った。

 

「えーっとですね。俺たち実はこの街にさっき着いたばかいでして、この街に冒険者になる為に来たんです。

でもその登録をするための場所が分からなくて、よければ教えてくれませんか?」

 

「冒険者になるって、もしかしてギルドに行きたいの?だったら俺も行くところだから、良かったら一緒に行く?」

 

「良いんですか!?」

 

「どうせ目的地一緒だからさ」

 

「「ありがとうございます!」」

 

2人組ソラに感謝すると彼の後を付いていく事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソラ達はギルドに辿り着くと扉を開けて酒場へと足を踏み入れる。

 

「いらっしゃいませ、お食事は好きなお席へどうぞ。お仕事は奥のカウンターへってソラさん!いらっしゃいませ!後ろのお二人は新しいご友人ですか?」

 

「ううん、ギルドに来て冒険者になりたいって言ったから連れて来た」

 

「そうですか。ではソラさん、私は他の人の対応があるので案内は頼んでも?」

 

「うん、分かった」

 

ギルドに入るなり女給に男性達の案内を頼まれた。

 

「それじゃあカウンターまで案内するよ。そこで手続きについても説明されるから」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「ありがとう親切な人!」

 

「別に敬語は使わなくていいよ、見た感じ年も近いし」

 

「「そうか(そうなの)?じゃあ遠慮なく」」

 

ソラの申し出に2人は迷うことなくソラへの敬語を止め砕けた感じの口調に変わった。

恐らくこれが彼らの素なのだろう。

 

「おおソラじゃねえか」

 

ソラ達が話していると突然声をかけられそちらを見る。

そこにはジョッキに入ったシュワシュワを飲んでいるモヒカン頭で如何にも世紀末といった感じの服装の男が居た。

女性の方はその男の雰囲気が怖かったのか「ヒィッ」と小さな悲鳴を上げる。

 

「ああモヒカンの人」

 

「相変わらずその覚え方なのな・・・まあ良い、それよりそこの妙な恰好の二人組は何だ?見ねえ顔だが」

 

モヒカンの男はソラと一緒にいる男性達が気になったようだ。

ソラが説明しようとしたが男性の方から男のほうに近づいた。

 

「実は遠くからこの街に来て、ついさっき着いたばかりなんだ・・・・俺も、魔王軍と戦う冒険者になりに来たんだ」

 

男性はなにやら決め顔でそういった。

モヒカンの男は男性を暫く観察する。

 

「・・・はっ、そういうことかよ命知らずめ。ようこそ地獄の入り口へ!!!ギルドの受付ならあそこだ」

 

モヒカンの男は何が気に入ったのか気前よく、受付の場所を教えてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、3人はギルドの受付に並び彼らの番がやってきた。

 

「あ、ソラさん。今日も清掃の依頼を受けに来たんですか?」

 

「ああうん。そうなんだけど、途中でこの人達に会って。聞いたら冒険者登録に来たんだって」

 

カウンターでは受付嬢のルナが対応しており、ソラの指さした後ろの二人を見て状況を理解したらしい。

 

「そうでしたか。それでは、登録するにあたって登録手数料がかかります。」

 

「え?お金かかるの?」

 

「はい。2人で2000エリスになります」

 

ルナの説明に男性の方は早速顔色を暗くしたが、直ぐにふと思い出した様に女性の方に向き直る。

 

「なあこの世界のお金って持ってないのか?」

 

「はあ?いきなりこの世界に連れてこられたんだからあるわけ無いじゃない」

 

「・・・(コイツ使えねえ)」

 

男性は内心女性に対して悪態をつきがっかりした。

 

「ねえ、ひょっとしてお金無いの?」

 

「えっ、あ、ああそうらしい…」

 

「…良かったらお金貸そうか?」

 

「えっ!?良いのか?」

 

「うん。俺も冒険者になるときに今の仲間からお金貸してもらったからさ」

 

ソラは冒険者になった時の事を思い出しながら、ポケットに手を入れてそこから折りたたまれ少しクシャッとなっているが2000エリスを取り出した。

 

「ルナ、これで足りる?」

 

「はい、丁度2000エリスですね。それでは、冒険者カードを作成しますからこちらの推奨に手をかざしてください」

 

「ははい。ありがとな、えっと」

 

「ソラ、ソラ・イブラヒム」

 

「そっか、ありがとうなソラ。俺は佐藤和真〈さとう かずま〉」

 

「私はアクアよ、ありがとねソラって貴方何書いてるの?」

 

”サトウ カズマ”と”アクア”がソラに対してお礼を言っているとソラが何やらメモを取っていた。

 

「ん?今カズマとアクアに貸した金額のメモ」

 

「・・・あのソラさん。因みにそれは何の目的で書いていらっしゃるのですか?」

 

「俺の仲間の思い付きでお金を貸したらその人の名前と金額をメモしておけって。

もし全然帰ってこなかったら取り立てろって」

 

「借金!?」

 

「プークスクス、異世界に転生して早々借金ですか?ざまあ見なさい!女神を無理矢理連れて来るとか罰当たりな事するからよ」

 

「おい、この借金はお前にも適応されるんだからな?」

 

「別にたったの1000エリスだから、そんなに急がなくても良いよ。俺の知ってる奴なんてこの前で合計100万だから」

 

「どんだけ借金してんだよ!」

 

「あ、あのぉそろそろ手続きを・・・」

 

カズマとアクアが互いに罵ったりソラのコメントにツッコんだりしている内に、ルナが少し困った顔で手続きを促した。

 

「ああすみません。水晶に手を翳すんでしたね」

 

カズマは慌てて受付に置かれた水晶に手を翳した。

 

すると、用意されたカードに水晶を通して得た情報がカードに刻まれていった。

 

「サトウカズマさんですね。ステータスは知力が高いだけで、後はほとんど平均値……、あれ? 今まで見たことがないくらい幸運値が人並外れて高いですね。ただ、冒険者に幸運ってあんまり影響を与えないステータスなんですが……。あの、本当に冒険者になられますか? これだと選択できる職業は基本職の方の冒険者しかないですよ? これだけの幸運があるなら、商売人だとかギャンブラーだとかになったほうが……」

 

「えっ?」

 

カズマは期待していたステータスとは違ったのか少し間の抜けた声を上げてしまう。

そんな彼の様子をまるで滑稽な物を見ているかのようにアクアは口元に手を当てて微笑していた。

 

「おい、いきなり冒険者人生否定されたぞ・・・」

 

「えっとカズマ、大丈夫?」

 

「あっ、うん。大丈夫だ。えーっとお姉さん、職業は基本の職冒険者でお願いします」

 

「そうですか・・・あのレベルを上げれば他の職業に転職できますからそう気を落とさないでくださいね?」

 

「…はい(なんか…思ってたのと違う)」

 

カズマは少ししょんぼりした様子でルナから冒険者カードを受け取った。

 

そんなカズマを他所に今度はアクアが水晶に触れてステータスを調べてもらっているようだ。

 

そしてカードへの記載が完了すると、ルナはその冒険者カードを確認した。

 

「えっと、アクアさんは・・・えっ!? 何ですか、この数値は!? 知力が平均より低いのと、幸運値が最低レベルな事以外は、全ステータスが異常なほどに高いですよ!? 特に魔力が類を見ないほどに高値なんですが、アクアさん、貴方いったい何者なんですか!?」

 

ルナが言ったアクアの驚きのステータスの高さが他の冒険者たちにも聞こえたのか周りも驚きに包まれている。

 

「え?何々?私が凄いって事?」

 

「凄いなんてものじゃないですよ!これなら、知力を必要とする魔法使い職は無理ですがそれ以外であればなんにでも、クルセイダー、ソードマスター、アークプリースト。最初から殆どの上級職に!」」

 

『おおおおおおおおっ!』

 

周りの冒険者はアクアのステータスの高さに驚きの声を上げ者が続出しアクアはそれを背に気分を良くして職業を選択した。

 

「そうね、女神って職業が無いのは残念だけど。それじゃあ私はアークプリーストにするわ」

 

「アークプリーストですね!あらゆる回復魔法を使いこなし前衛もこなせる万能職ですよ!」

 

アクアが選択した職業によりまたもや周りから歓声が上がる。

 

 

 

「・・・」

 

「カズマ、ドンマイ」

 

周りから賞賛や期待の声を掛けられるアクアを見てカズマは軽くフリーズし、それをソラは何時と変わらない表情でとりあえず励ました。

 

そんな彼らに気分を良くしたアクアが近づいてくる。

 

「ふっふーん、どうよ」

 

「・・・」

 

アクアはどや顔で親指を立ててきた。

そんな彼女の様子にカズマは

 

「(殴りたい!この笑顔!)」

 

と、まさしく嫉妬まっしぐらな事を思っていた。

 

「まあとりあえず2人とも、冒険者登録おめでとう」

 

「うん・・・ありがとう」

 

「まあ私にかかればこんなもんよね。そういえば、ソラって何の職業なの?私気になるわ!」

 

「あっ、それは俺も興味ある」

 

カズマとアクアは登録し終わると自分たちを案内してくれたソラのステータスと職業が気になり聞いてみた。

別段隠していたりしているものでもないのでソラとしては見せても良いのだがそれには問題があった。

 

「別に良いけど、俺にもよく分からない職業なんだよね」

 

「ん?よく分からないってどういうことだ?」

 

「まあ見せた方が早いかな・・・はい」

 

ソラは自分の冒険者カードを懐から取り出しそれをカズマに手渡しカズマとアクアはソラのステータスを確認した。

 

「えーっと、知力と幸運は少しだけ低くて魔力は平均。おっすげえ筋力や体力に生命力などの身体能力はぶっちぎりで高い!」

 

「凄いわ!…ん?でもこの職業って」

 

「ん?何々・・・がん、だむ・・・ってガンダム!?」

 

「知ってるの?」

 

「知ってるもなにも(ガンダムっていえば、俺の元居た世界で誰もが知っているロボットアニメだぞ!

って待てよ?するとソラってもしかして)なあソラ、ちょっとこっちに来てくれ。アクアも」

 

「ん?」

 

カズマは何かに気付いたのかソラとアクアをとりあえずギルドの酒場にある隅っこの席に着いた。

 

「なあ、ソラ。お前ってひょっとして、転生者か?」

 

「!ひょっとしてカズマも?」

 

「その反応はやっぱり!」

 

「うん。俺もそうなんだ」

 

ソラは自らが転生者であることを明かした。

カズマはそれに合点が行ったのと早速同じ転生者と出会えたことに喜びを感じずにはいられなかった。

 

「良かったーいきなり同じ転生者に会えて。それにしてもガンダムか、めっちゃいいじゃん!」

 

「そうなの?」

 

「?そのガンダムって多分だけどソラの特典だろ?転生する時に女神に選ばせてもらったんじゃないのか?」

 

「・・・女神?」

 

「え?」

 

カズマはソラの反応になにやら違和感を感じる。

なんだか会話がかみ合ってないようなそんな感じが。

 

「えっと、ソラも元の世界で死んでこの世界に転生させてもらったんじゃないのか?」

 

「ああカズマ、お話中に悪いんだけど多分ソラは何も覚えていないわ」

 

「え?」

 

「そうでしょ?ソラ」

 

アクアは何か知ってるんかソラの反応をみてなにやら察したらしい。

 

「アクアの言葉はあってるよ」

 

「…それってまさか」

 

「うん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺、自分の名前と転生したこと以外の記憶が無いんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あ、そういえば今日の街の掃除が残ってたんだった。

今日は街の溝掃除だったっけ。

そういえばダストにもそろそろお金返してもらわないと、リーンにも返さなかったらしばいてでも返させろって言われたし。

それにしてもリーンから貰ったこの”みさんが”っていうやつ、結構いい匂いだなぁ。

次回:この初クエストにカエルを!





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