ヤクザが審神者に就任した件   作:月歌う白兎

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ご注意
創作審神者います。
刀剣男士が、暴力を振るわれている描写があります。
嫌いな人は注意


幸せを運ぶ唐揚げ

「国行…?」

子供は、葛羅の顔を見るとその名前を出して涙を流した、体中は痣だらけで顔色も良くない。

万屋街の中でも治安が悪いと言われる路地裏にまるで、ゴミみたいに捨てられている。

赤い髪の子供を抱えるとどこからともなく、ゴロツキどもが現れた。

「よぉ、兄ちゃん。金目のもん全部置いてきな…、」

バキャッ。

葛羅の裏拳が男の顔にめり込み、吹き飛んだ。

「二葉組、料理番・葛羅だ、死にてぇ奴はかかってきな、」

二葉組と聞いてゴロツキ達は怯んだ、それはそうだろう。そこらへんにいるチンピラとはわけが違う、二葉組はこのご時世においても喧嘩は拳でするもの、と言っており武術を嗜む者も多い。

確実に急所を突き仕留めにかかってくる、たとえ料理番だろうと下っ端だろうと戦う術を叩き込まれる。

「大方、このガキを助けようとしたお人好しを、捕まえて金銭巻き上げてたんだろう。」

「ひ、ひぃっ、すいません、」

「死ぬわけじゃねぇから、安心しろよ。」

葛羅は、ゴロツキどもを一発ずつ殴って政府に届け、その後赤髪の子供・愛染国俊を引き取る手続きを行った。

愛染は、目を覚ますとその顔を見て一瞬びっくりした。国行、同じ来派で愛染と蛍丸の保護者を名乗る太刀。もういなくなった彼と似ている顔をした人間、彼はここで引き取ることになったと告げた。

初めは怖かったが頭を撫でるてはとても温かく優しかった、あの人はそんなことしてくれなかった。

愛染の主は、所謂金持ちのバカ息子という奴だった。彼は、レア刀狂いで重傷での出陣や手入れする資源が勿体無いと言い手入れもくれない。レア刀の明石が来ても無茶な進軍を止めることはなく、あの日明石が折れてしまった。悲しみで泣き叫ぶ愛染をうるさいと言って殴り飛ばした。

そして、あそこに捨てられた。

 

 

食堂に通された愛染は目を輝かせた、温かい白飯に、熱々の唐揚げ、野菜のスープ、葛羅は「好きなだけ食え」と言って座るよう促した。

愛染は一口唐揚げを食べる、ジュワッと肉汁が口の中に一杯流れ込む。醤油と生姜の味がとてもいい、これが美味しいと言うことかと思った。

「急いで食わなくても誰もとらねぇよ」

葛羅は、そう言って微笑んだ。

「ありがとう、主さん」

幸せそうに微笑んだ、食べるということはただ腹を満たす行為ではないのだ。

食べるということは、生きるということであり愛されているということであり、幸せであるということ。

愛染は、愛を幸せを、その身から溢れんばかりに享受していると実感した。

「ごちそうさまでした」

愛染の元気な幸せな声が本丸中に響き渡った。


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