トガヒミコの楽しい雄英生活   作:ベルゼバビデブ

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トガちゃんの変身の当創作物における設定です。
・外見及び筋肉などをコピー
・よって障子の六本腕(部位の複製は不可)や尾白の尻尾はアリの状態になるし、訓練すれば動かすことも可能(なので実質尾白の個性「尻尾」に関してはトガも個性を使えることになる※練度は当然異なる)解釈的にはギャングオルカやセルキーに変身すれば水中活動も可、魚になる個性の人に変身すれば鰓呼吸も理論上可能。そしてホークスになれば練習次第で空は飛べる(羽根を一本一本動かすのは個性の範囲なので不可。)塩崎になってもツタの髪は操れないし、峰田の場合髪の毛はもげない。ウワバミの場合髪の毛は蛇っぽい見た目だが生きていない。上鳴に変身すると多少の電気なら酷くても"アホになる程度"で済む。轟の場合左半身は耐火性を持つ。
・瀬路の特徴的な肘や麗日の肉球(?)もコピー出来るが膝からテープは出ないし肉球で触れても無重力には出来ない。相澤先生に変身するともれなくドライアイが付いてくる。爆豪に変身すると手汗が凄いだけの人になる。口田や心操になって声帯をコピーしても個性は使えない。

長々と書いたけど、原作のイレイザーが個性説明のイメージ図で尻尾が動かない様になってたんだよね。でも矛盾はしてないよ。してないったらしてない。


第八話

「オクトブロー!なのです!」

「刃物相手に素手とは…」

 ガキンガキンと金属同士のぶつかる音がします。

「素手かと思えばまたナイフか、チッ…一撃貰ったか」

 如何に相手が戦闘の達人であろうと、6本も腕があれば1本くらいは体を掠めさせるくらいのことは出来るものです。しかしながらなんだか力が入らなくなってきました。恐らく時間切れです。

 ベチャベチャと目蔵くんを模っていた部位が無くなり私自身の姿になります。先程輸血に血を使ったのでストックできている血の種類はあまりありません。体格の優れた目蔵くんと天哉くんにはもう変身できません。…ステインから投げられた三本のナイフ、内一本をキャッチしつつ残り2つを躱します。

「渡我さん!上だ!」

 チラリと上を見ると刀が落ちてきている様です。とは言え彼方に意識を取られるとステイン自体への注意が…………居ません。咄嗟に振り向きながらナイフを振るとガシリと掴まれてしまいます。

「子供にしてはなかなかの身のこなしと勘のの良さ…ハァ、悪くない」

「女の子の腕を乱暴に掴むなんて変態さんなのです。」

 ズルリ、と私の腕が崩れ拘束を抜け出します。私は私に変身したのです。

「コイツ…!」

 スパイクの付いたブーツでの蹴りをギリギリ躱し、先程キャッチしたナイフを投げつけつつ距離を取ります。

 

「渡我さん!血が…!」

 ステインはニヤリと笑い、ブーツのスパイクに付いた血を手で拭い取りました。

「俺の個性は凝血、舐めた血の持ち主の動きを止める。お前達はそこでメガネの小僧の粛清される様を見て真の英雄になる為の糧にするがいい」

 ステインは勝ち誇った様に血を舐めとりました。そして動きが止まったのです。

 

「が…!?こ、これは…!?」

 

 動きがだったのは私ではなく、ステインでした。

「そのブーツに付いた血は貴方の血なのです。」

「そうか!障子くんに変身して六本のナイフでステインを攻撃した時に手に入れた血をスパイクに塗り付けてあたかも渡我さんの血のようかに偽装したんだ!」

「そんなことが!?し、しかし渡我くんの顔には確かに傷が…まさか!」

「そのまさかだよ飯田くん!渡我さんは"顔に傷の付いた自分自身"に変身したんだよ!」

「そんな個性の使い方が!?」

 出久くんが興奮しています。

「…?あれ?出久くん、もう動けるんですか?」

「あれ?本当だ。動ける…なんで?」

 そのあと、自分の個性で動けないステインを拘束したのです。

「緑谷!」

「轟くん!?」

「無事だったか、それにそいつはステインか?お前達で捕まえたのか」

 出久くんの連絡を受けた焦凍くんが合流し、念のために頭以外を凍結して拘束してくれました。

 

 その後、ヒーローの人達と合流しました。中には私が輸血した人もいる様です。

「君が輸血してくれた子だね?君の処置のおかげで助かったよ」

「もう動いて平気なんですか?」

 ヒーローである彼は傷口を押さえ、少し痛みに顔を引き攣らせながらも笑って頷きました。

「街がこんな風なのにヒーローが寝てる訳には行かないさ」

 すると、ステインは彼を睨みつけ、怒りの形相を見せました。

「黙れ、ヒーローを騙る紛い物が!」

「うるさいのです」

 猿轡代わりに目当て(?)を噛ませ黙らせます。

「もがもが…」

 

 その時でした、空からヴィランがやってきて出久くんを攫ったのです。

「出久くん!」

 しかし出久くんは自ら掴まれている脚を逆に掴み、そのままヴィランを殴りつけます。そして空飛ぶヴィランの前に氷の壁が現れゆく手を阻みました。

「行かせねえ!」

 そして放たれる炎の槍にヴィランは貫かれたのです。落ちてくる出久くんを壁を登って空中で受け止め、炎の噴出で勢いを殺してから着地したのはナンバー2ヒーローのエンデヴァーさん。

「焦凍、良い判断だったぞ。ヴィランに逃走させない…見事な氷壁だった。更にステインまで拘束したとは流石は俺の息子だ。」

「倒したのは俺じゃねえ、渡我だ。」

「何?」

 エンデヴァーさんがこちらを見下ろします。威圧感が凄いです。

「………。あー、確か身体からドロドロの何かを分泌する個性だったか?」

「あれは個性の副産物というかなんと言いますか…」

 思えば範太くんとの勝負でしか個性を見せてない…しかも自分に変身しただけなので人からはそんな風に認識されているのだと知りました…

「副産物?」

「私の個性は変身です。見た目をその人に変身できます。」

「個性も使えるのか?」

「いえ、見た目だけです」

 エンデヴァーさんが眉間に皺を…正しくは更に皺を寄せました。

「そんな個性でどうやってヒーロー殺しを?」

「…そういやどうやったんだ?渡我。」

「それはですね…」

 私の拙い説明の途中で警察がやってきたので一度説明は中止になり、事情聴取が行われました。

「なので、ナイフで血を採って私の血だと思わせてステインに舐めさせたのです」

「なるほど。」

 

 数日後、私は目蔵くんとインタビューを受けていました。

「ヒーロー殺し確保に貢献されたんですよね!ご感想は?」

「怖かったのです」

「い、未だに実感が湧きません…」

 私はともかく、なぜ目蔵くんもインタビューを受けているかというと…

 

 この個性社会では「ヒーロー資格を持たない人間が監督者のいないところで個性を用いて人を傷つけることはヴィランと同じこと」なのです。…が、私の個性は変身であり、直接的な攻撃力は持ちません。そしてステインの怪我はナイフの様な刃物による浅い切り傷。そして私の証言から

・"プロヒーローネイティブ事務所に職業体験していた"渡我 被身子と障子 目蔵はネイティブの指示の下ステインと交戦。負傷したネイティブは障子 目蔵が連れて逃げ、その間に渡我 被身子の正当防衛によりナイフを奪い取られ負傷、その後誤って口にした自身の血液で身動きが取れなくなった。

・その後"エンデヴァーと共に現れた"職業体験生の轟 焦凍により氷結で更に拘束、お縄になった。

 ということになってしまいました。被害者はそう、目蔵くんです。そして他にも被害者は居ました。それはヒーロー殺しステインによって倒れた数々のヒーロー。ヒーロー見習いの女子高生に返り討ちにされたヴィラン、ではそんなヴィランに負けた今までのヒーロー達は?

 

「そんな弱いヴィランにヒーロー達は負けたのか」という空気が世間に漂ったのです。天哉くんは悔しそうでした。

 

「それにしてもお手柄でしたね!」

「自分は怪我をしたネイ…ネイティブさんを運んだくらいで大したことは…」

 目蔵くんは必死に嘘を吐いています…

「雄英高校での授業の成果が出たのです。普段の訓練のお陰なのです。」

「なるほどね!努力は裏切らないってことですね!」

 この後、消太せんせえに呼び出された私はゲンコツを貰いました。痛いです…。

 

 

 

--一方その頃。ヒーロー殺しステインの逮捕をテレビで見ている男がいた。そう、死柄木 弔だ。

「女子高生に返り討ちにされたヒーロー殺し、報道はヒーロー殺しを『大したことないヴィラン』にしたいみたいだな。ざまぁないぜ大先輩。」

死柄木は心底愉快そうにふんぞり返って椅子に座りテレビを見ていた。

「しかしメディアも馬鹿だよな。大したことないヴィランにヒーローが殺せるかよ。その女子高生が強過ぎるだけだろ。何もわかっちゃいねえな。まぁ、俺たちにとっては好都合…。ヒーローが頼り無いって思われる方がな。」

 死柄木はグラスを4本の指で持ち上げ、カラカラと中の氷を鳴らし、その直後5指で触れグラスを崩壊させた。氷を踏み潰した死柄木はドアを開け部屋を去って行く。--




轟くんがハンドクラッシャーにならずに済んだ世界線。そしてステインは女子高生に正当防衛される情けないヴィランになってしまいました。

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