ゼロと地獄の女神 作:嫦娥(全裸)
「……おや、かなり珍しい紋様ですね。スケッチさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「構わないわよん♪ ……ふむふむ……なるほどねぇ……」
私はとりあえず(胸元と頭に描かれたのは隠れているから向こうには見えていないし、見せるのはちょっと恥ずかしいわ)両手を差し出して、しばらくしてスケッチが終わると、ミスタ・コルベールは手を叩いて注目を集め、学院に帰還するよう号令を出した。
次々とルイズの同級生達らしき子達が上空へ飛び上がる。この子達、魔法使いだったのね。まぁパッと見だと力がしょぼそうだし、”の卵”が後ろににつくわね。 月の異変を起こした時に来た白黒魔法使いなら通常弾幕で蹴散らせる雑魚妖精レベルといったところかしら?
「『フライ』もろくに出来ないゼロのルイズはそのメイジと仲良く歩いて帰れよ!」
「ちゃんと学院まで使い魔を連れてってあげるのよ?」
「何もできないゼロには優雅なフライは難しすぎますものね。肉体労働がお似合いでしてよ!」
ガルル……!と唸り声をあげる隣にいる主人となったルイズちゃん。悔しいみたいね。ちょっとあの子達を驚かせようかしら?
「ぐぬぬ……!」
「お困りのようね? 力を貸すわ!」
私はルイズちゃんを後ろから抱き上げて飛翔。快適な空の旅をお届けしてあげる。
「ちょっ、ちょっと!いきなりご主人様に何無礼なことやって……………きゃあああ!!!」
そのまま上空へと到着♪ マントをはためかせるおチビちゃん達と同じ高度に並ばせたわ。
「ふふ、びっくりしたかしら?」
「そう言うことは聞かれなくてもちゃんとやる前に言いなさい!まぁいいわ。仕方ないけど褒めてあげてもいいわよ。光栄に思いなさい」
私は何も言わずおチビちゃん達のやり取りを眺めていると、1人の少女が舌打ちした。
「な、何よ、ゼロのルイズの癖に。使い魔にぶら下がって飛ぶだなんて、メイジの恥もいいところね!」
「な、何ですってぇ!『洪水』のモンモラシーの分際で!」
「『香水』のモンモラシーよ!変な二つ名付けないで頂戴っ。」
「私知ってるんだから!初等部高学年の年になってもアンタがお漏らししてたってことくらいっ!ああ、淑女として恥ずかしいっ……!」
「ななな、何言っていますのっ!?いい加減なこと言わないで頂戴っ。下品よっ。このメイジの恥っ!」
「うるさい、うるさーいっ! 無駄口叩く暇あったら、漏らしたパンツでも干してなさいよっ!」
「まだ言うのっ!? このゼロのルイズが!」
「ほら貴女、ちゃんと前を見ないと……」
ガサガサガサッ!
あら、警告が遅れちゃったわね。木にぶつかって落ちちゃった。浮かしてあげて……って、気絶してるわね。運んであげましょっと……
「すまない、レディ。僕に彼女を渡してくれないかい?」
「あら、優しいのね? はい、どうぞ♪」
「ありがとう、だが、レディを丁重に扱うのは当たり前の事さ」
あらあら……もしかして、この子にお熱なのかしら? ちょっとからかってあげましょう。
「んん〜? も し か し て ……付き合っているのかしら?」
「!!?? な、なんの事だか分からないね……」
「ん〜……まぁ、そういうことにしておくわ。それじゃ、お先に失礼するわよ〜ん♪」
「え、ちょ、きゃぁぁぁ!!」
私は一気に加速してルイズちゃん達の寮がある塔と思わしき所へ向かう。
「そ、空を飛ぶのって、こんなにも疲れるのね……」
「あら? お遊びとはいえ、私の飛行に耐えられるのは凄いことなのよ?」
「まぁ、それはそれとして、使い魔のやるべき事を教えるわよ!」
「本来使い魔は主人の目となり、耳となる能力を与えられるわ。早い話、あんたが見てる物や聞いている事を私も見たり聞いたり出来るの。……でもおかしいわね、なんにも見も聞こえもしないわ……」
(……あぁ、ルーンにそういう機能が搭載されていないのね。まぁやってる事筒抜けは嫌だし、そのままにしときましょ)
「次に、秘薬やその材料などの主人が望むものを持ってくること! ……って、アンタじゃそれなりにしか出来そうにないわね……」
「ふふふ……人は見た目に依らずって言うわよ? 大抵のものは取り出せる筈よ」(女神だけどね……)
「? 最後に、最も大切なのは……、主人を守る存在であること! その能力で主人を敵から守るのが、一番の役目よ!」
「じゃあ問題ないわね! 私、最強だから」
「……冗談もほどほどにしなさいよ? でも、この学院じゃ戦いなんてそうそうないから、普段は他の仕事をしてもらうわ。洗濯、掃除、その他の雑用!」
(……ま、部下の仕事を体験するって事にしましょう)「分かったわ。それじゃあ洗濯してくるわ〜♪」
そう言ってへカーティアは指を振って洗濯物を浮かし、行列のように並ばせた……
「って、まだ私の着替えが……!?」
ルイズが自分の服を見ると、いつの間にか寝間着へと入れ替わっていた……