これがありふれてたら良かったのに   作:紅しげる

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約束

「ん…?ん〜…」

 

この頭の下にある柔かい感触は…冬花のでも、桜のでもない…なら…誰だ?

 

重い瞼を持ち上げ、誰なのか、確認した。そこには冬花でも、桜でも、ユエ達でもない。園部優花だった。寝ていた場所はどこかの宿の部屋のようった。

 

「……なにをやっている?」

「神咲さん達が…////」

 

園部は何故か顔を赤らめていた。冬花達がなにを言ったのか疑問を持ちながら、体を起こして、時間を確認した。

 

「昼か…」

「えっと…ご飯食べる?」

「そうだな…飯ぐらいくわねぇとな…」

「あ、ちょっと待ってて!」

「あ?」

 

園部が部屋から出ていき、俺だけが取り残された。部屋には鏡があった。

 

「あ?」

 

鏡に映っていた俺の右目が前の目と違っていた。

 

「なんだこれ…」

 

前のような目とは違う。爬虫類のような、猫のような目になっていた。

 

「まるで怪獣…いや、俺は《変威獣》だったな…」

 

自分の変わってしまった姿に少し驚いていると、園部が部屋に帰ってきた。なにかの美味そうな匂いがして、振り返ると園部が料理を持ってきていた。

 

「その目…」

「もう人間じゃない…その証拠だな」

「そ、そうなんだね…」

「それはそうと、その飯…くれるのか?」

「え?あ、うん。私が作ったんだけど…口に合うかな?」

 

そう言いながら、料理を俺の前に置いてくれた。

 

「美味いな…」

「あ、ありがとう…」

 

なぜ、コイツはここまで俺に優しく接するのだろうか。人間ではない、あんなに冷たく接していたのに、なぜなのだろうか。俺はそれが不思議で園部を見た。

 

「ど、どうしたの?」

「なんで、俺にそこまで優しくするんだ?」

「え?!///そ、それは…」

 

園部は言いたくないのか、下を向いて、なにか言っていたが、俺には聞こえなかった。そこへ桜が入ってきた。

 

「零斗、起きたの?」

「あぁ、ついさっきな」

「あ、お、お皿片付けてね!」

 

そう言うと、園部は逃げるように出ていった。

 

「ユエ達は?」

「先生達と話してる。それよりも零斗、園部さんが言いたいことがあるって言ってたんだけど、なにか言われた?」

「ん?なにも言われてないぞ?」

「そう…」

 

桜と話していると、園部が帰ってきた。桜は園部の手を取って、俺の前に座らせた。

 

「えっと…神咲さん?こ、これは…」

「零斗に言いたいことを言って」

「そ、それは…「好きなんでしょ?零斗のことが」なんで…?!」

「見てたらわかる。園部さんの目は恋する乙女の目。園部さんは零斗が人間をやめたってことを認めたくなかった」

「ッ!?」

「零斗が自分から裏切ったって言ったのに、園部さんだけ信じなかった。好きな人が敵になるのが嫌だった。違う?」

「そ、それは…」

 

桜が言っていることがわからなかった。桜が言っていることが本当なら、園部は俺のどこに惚れたのだろうか。

 

「多分、零斗が《オルクス》で助けたときだと思う」

「あぁ、あの時か…園部」

「え?な、なに?」

「桜が言っていることは本当か?」

 

俺がそう聞くと園部はゆっくりと頷いた。

 

「なら…無事に地球に帰れたとき、お前のその気持ちが変わらなかったかどうか、俺が聞く。もし、変わらなかったら…その時、お前が一番したいことを言え。大抵のことはやってやる。」

「ほ、本当に…?」

「あぁ、約束だ。んじゃ、桜、みんなを集めろ。そろそろウィルを連れて出発するぞ」

「わかった」

 

そう言い、部屋を出た。ウルから出ていくとき、園部だけ何も言わずにジッと俺達を見ていた。その後、ウィルを乗せて、《フューレン》まで車を走らせた。




桜「桜です」
冬花「冬花でーす!」
桜「作者からの伝言は一つだけ、『アンケートのURLです。
https://syosetu.org/novel/293806/』だって」
冬花「一部、ネタバレみたいなのが含まれてるから、嫌だって人は読まなくていいよ!」

フリードボコボコ計画

  • 大火山でボコボコ
  • 魔族領でボコボコ

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