炎とヒーローアカデミア   作:屋台骨

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第4話

 

「ただいまー!」

 

「お、おかえり! まずはお疲れ様。ケーキ買ってきてあるから一緒に食べよう」

 

 家に帰るとお父さんがいつもより少し不安げだが、いつも通りに返事をしてくれた。ここでどうだったかを聞いてこないのはお父さんの気遣いだろう。

 

「うん、ありがとう。晩御飯近いし食べられなくなっちゃうから晩御飯食べてからにしよっか」

 

「ああ、そうだね。今日はなんと、ハヤシライスだ! タマネギ牛肉マシマシだ」

 

「ハヤシライス!? やたっ! 楽しみにしてる!」

 

 ハヤシライスは私の大好物。特にタマネギや牛肉などの具がいっぱい入っているものは毎食毎日食べられるくらい好きだ。

 時間は18時半。体を綺麗にしてくればちょうどいい時間になるだろう。

 

「じゃあ体も汚れたし、体洗ってくる〜」

 

「ごゆっくり〜。晩御飯の準備しとくよ」

 

 ありがとう、と言って脱衣場に向かう。今日は疲れたし、ゆっくりリセットしよう。後ろから聞こえてくる炊飯器の起動音を聞きながらそう思った。

 

 

 

 

 

 

「あぁ〜美味しかったぁ……」

 

「それはよかった。今まで勉強やら特訓やら忙しかったからね。ゆっくり休むといいよ」

 

「うん、そうする」

 

 今までで一番美味しかったハヤシライスを二杯平らげ、ケーキ2つを紅茶で胃袋に収めるともう勉強しなくていいという解放感が襲ってきて力が抜け、疲労と合わせて眠気が一気に襲ってきた。

 

「眠そうだね。それじゃあもう寝ようか。歯磨きは忘れないようにね」

 

「うん……」

 

 言われるまま歯磨きをしてベッドに向かう。

 

「じゃあおやすみ……」

 

「うん、おやすみ。明日は起こさなくて大丈夫だよね?」

 

「うん……あ、いや、遅くても9時までには起こして……」

 

「わかった。それじゃあおやすみ」

 

「おやすみ……」

 

 お父さんにおやすみを言って、今度こそベッドに入る。力を抜くと体が程よく沈み、瞬く間に眠気が大きくなった。

 

 

 

 

「ん……」

 

 目を開けると時計が目に入った。時間は、午前5時半。どうやら寝るのが早すぎたようだ。いつもの目覚まし直前に目が覚める謎現象のときみたいな目覚めの悪さは無く、とてもスッキリしている。

 音を立てないように起き上がり、リビングに行くと流石にお父さんはまだ起きていないようだ。朝ごはんの準暇をしてスマホを触ると、『雄英高校入学試験 解答速報』という文字が目に入った。

 それを見るや否や、リビングに置きっぱなしにしていたカバンから問題用紙を引っ張り出して自己採点を始める。

 自信があった部分は大体マル。ミスしたと思ったところも実は正解だったり、証明問題の足掻きも数点は貰えそうだ。

 

 そして点数を合計してみると…………無事、予想ボーダーラインは突破! 筆記で20点近く貯金ができたのはよかった。

 難易度や倍率は例年とほぼ変わりないようで、ボーダーも去年のボーダーからはほぼ変わらないという予想。

 そして実技試験もA会場の中ならかなりの上位っぽかったし、多分いけてる。

 つまり……多分受かってる! 点数の数え間違いはあるだろうけど、点数の貯金から考えても普通科は間違いないし、ヒーロー科も余裕ではないが判定で言えばA。八割方いける。

 

「おお? おはよう。早いんだな。ってこれ入試の……?」

 

「お父さん! 多分受かってる! 実技のボーダーはわかんないけど、筆記はいけてた! ヒーロー科!」

 

「おお!? マジで!? おめでとう! すごいなぁ!」

 

 朝6時30分に、リビングで手を合わせて笑いながらぴょんぴょんと跳ねる。ここが一軒家じゃなくてマンションやアパートなら苦情待ったナシという具合に、喜び回る。

 

「ホントにすごいよ……! お父さんも雄英受けたからその大変さはよくわかる。雄英の、しかもヒーロー科なんて……!」

 

「んふふふ〜! なんだか変な笑いが止まらないや!」

 

「あっはっはっは! いいねぇ!」

 

 テンションがおかしくなった二人はこの後十数分の間、お互いに顔を見合わせて二ヘラと笑ったり、突然笑い出したりしたが、ヤバっまだこんなに朝早いよ、と言うと、スっと落ち着きを取り戻した。

 そして後日、無事に合格通知が届いた。合格通知には校長がホログラムで登場し、私がどんな存在であっても在学中は雄英高校の生徒として全力に守るということを言って貰えた。それに加えて大量の水をぶつけるなどの、種族的な致命的な弱点がある場合は個性の詳細を書く欄に書いておくように、とのことだ。校長自身もベースが人間ではなく動物であり、それでも人間社会で馴染めていることなどを話してくれた。

 私も校長に親近感が湧いたし、お父さんも瞳を濡らしながらも安心したような様子だった。

 その後は入学用の資料や、個性報告書などの準備をした。

 そして、

 

「うーん……こんな感じでいいかな?」

 

「んんー? 多分ヘルメットは結構邪魔になると思うよ? デザインは可愛くていいんだけどねー。いざ着てみると戦うときに想像以上に邪魔になるってこともあるんだ。あ、ちなみに体の細胞を使ったコスチュームは個性の影響を受けなくなるからオススメだよ」

 

「なるほど……じゃあこのヘルメットはやめにして、体の……髪の毛でも一緒に送ればいいかな?」

 

「いやいや! コスチューム申請書に書いてそれを伝えるとコスチューム会社から容器と量の目安が送られてくるから、そこに入れればいいんだよ」

 

「オッケー! じゃあ書いておいて……よし、こんな感じかな!」

 

「うん、カッコイイし、可愛い、よく出来たコスチュームだよ! 後は雄英で実際に着て、細かい調整をお願いすればいいね」

 

 コスチュームもプロヒーローのお父さんから多少のアドバイスを貰いつつ、デザインなどは私が考えて絵に起こす。下手っぴではあるが、そこは注釈でカバーする。

 そして書類を全て送り、雄英高校で行われた採寸が終わって入学準備は完全に完了した。

 

 

 

 そして一週間と少し。桜が満開から少し経って散り始めた、一番綺麗な季節。

 ついに登校初日だ。

 

「それじゃあいってきます!」

 

「うん。よく似合ってるよ。ちょっと大きめだけどそれが新入生! って感じがして、それもいいね!」

 

「あはは、なにそれ」

 

「本当によく似合ってるってことだよ」

 

「ありがと。じゃあ今度こそいってきます」

 

「いってらっしゃい」

 

 中学の柔らかくなった制服とは違う、パリパリの制服を見に纏い、動きづらさを感じつつも歩き始めた。


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