レイヴン・ストラトス 作:すくりゅうあたっく
2022年、奇妙な隕石が観測された。
曰く、確実に地面に衝突するコースであったのに、クレーターが発生していないというなんとも奇妙な出来事であったが、数日後に出たとあるニュースによって世間からも、裏社会からもその奇妙な隕石への関心は消えた。
そして舞台は再びIS学園の試験会場に戻る。
レイヴンビークこと、大鷹 真央はIS学園の試験会場の前に立っていた。
今度は侵入者ではなく、大鷹 真央という受験生として入るのだ。
「……」
「こちらです。身体検査等を済ませてから入室してください」
真央が以前来た時よりも警備は厳重になっており、受験生として見れる範囲だけでも警備は5倍ほどになっていた。コッソリとパワードスーツに送られる情報を制服越しに見て、その中からセキュリティを軽く覗いてみたが、パワードスーツのハッキング機能でも多少は時間がかかるぐらいには強化されていた。恐らく篠ノ之 束が仕込んだセキュリティだ。余程ISコアを強奪されたのが悔しかったようである。
肝心の奪われたISコアはパワードスーツの修復後に不要となったので、真央によって粉々に砕かれているが……
真央はDNAとISコアへの干渉を用いて擬態用にISコアへの適正をAの上位にしている。篠ノ之 束が適正の変更を出来なくとも、鳥人族の頭脳を持ってしてすれば自身へ最適化するなど容易い。
だが、今目立つのはあまり良くない。そう考えた真央は最大値であるSを避けたのだ。幾らなんでもいきなり適正Sは不正等を疑われるし、そもそもISコアも擬態の為だ。最終的にパワードスーツを使うのだから適正もクソもない。
「……」
列が進み、あと数人で真央の番になる。
話を戻すが、真央が適正をA上位にしたのかには理由がある。
理由は至って単純。『己の強さを示す為』ただ1つである。
馬鹿馬鹿しい。人によってはそう思うだろう。
だが、彼女にとって力は全てだ。嘗てメトロイドという力による平和を求めた事から分かるように、彼女は力を求め続けていた。
そして、遂に真央の番になる時、ふと後ろの気配が変わった。
「……」
「…お、おう……?」
真央が振り向くと、そこには少年がいた。少々マヌケっぽい感じがするのは気のせいだろうか。
真央は彼への興味がすぐに失せて向き直り、少年の言葉を無視して部屋に入る。
「……」
「じゃあISスーツを着てISに触れなさい。そうすれば適正が分かるわ」
「……」
真央は部屋にいた試験官の指示通りにISスーツを着て、嘗てコアを奪い去った無骨なIS、打鉄に触れる。
だが、打鉄は電流を流しながら真央を拒絶する。適正など関係ない。嘗てコアを奪い去った者に適応するなど有り得ないのだ。だが、真央は密かにパワードスーツのハッキング機能で打鉄を乗っ取り、無理矢理黙らせる。
「
真央は打鉄を纏いながらチョウゾ語でそう呟いた……
試験会場の実技試験の簡易アリーナにて、真央と1人の教師が対面していた。
真央は教師の放つオーラから実力を判断し、教師は真央の放つ絶対強者のプレッシャーに怯んでいた。
「……(IS学園と言えどもこの程度か。期待外れかもしれんな)」
「……(なんなんだ、彼女から放たれるこのプレッシャーは……! 織斑先生の比じゃない!)」
教師の握る打鉄のブレード、『葵』の持ち手が金属音を立てて擦れる。彼女の強みはいついかなる時も保てる平常心だったのだが、真央を前にして無意識のうちに緊張をしてしまっていた。
対して真央は至って冷静である。百戦錬磨のマオキン族の長が、この程度の相手に緊張するなど有り得ない。
教師の物と同じブレードである葵の切れ味を確認して
そして、ゆっくりと歩み、徐々に教師との距離を詰める。
真央の意図を察した教師は居合の姿勢に移り、真央が間合いに入るのを待つ。
別席にいる採点を担当している試験官にも緊張が走る。
彼女の放つプレッシャーは王者のみが扱うのを許される物。
唯の少女が放って良いものでは無い。明らかに不自然。
だが、放つ事が強者である事を示してしまっている。
「……! ハァッ!!」
真央が教師の葵の間合いに入った瞬間、教師が抜刀して真央を吹き飛ばさんとする。
ガキンと音が鳴り、震えている教師の目線の先には……
片手で葵を受け止めていた真央がいた。
そのまま真央の投げによって葵ごと宙に舞い、空を飛んだ真央のかかと落としが頭に直撃して意識を失わされる。
その直後にブザーが鳴り響き、真央の入学が確定した。
パワードスーツは……
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サムスのと同じ形
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レイヴンビークの時と同じ