作者は国語が苦手です、許してください
今から数十年前、
その場所にしか実らない果実"桃"が存在し、食べた者に異能の力を与えるが、その恩恵を受けれたのは女性だけだった。
男女平等という言葉は無くなり、この世は女尊男卑の社会へと変化していった。
現世と魔都を繋ぐクナド、通称"門"は突発的に発生することがある。
門から魔都に生息する化け物"
どちらの場合も、桃の力を得た女性で構成された組織"魔防隊"が人々を守っている。
「だ、誰かーっ!助けてくれーっ!」
しかし、魔防隊も必ずしも全ての人を助けれるわけでは無い。
魔都に入り迷ってしまうと、魔防隊の隊員が駆けつけるまで待つ必要があるが、魔防隊を待っている間に近くに醜鬼が現れ襲われてしまう。
「なんで俺がこんな目に遭うんだよ!誰かーっ!」
叫ぶ男子高校生は不幸にも魔都に迷い込んでしまい、多数の醜鬼に追われている。
逃げながらも石を醜鬼に投げつけるが、桃の力でしか倒せない醜鬼には無意味だった。
もうすぐ後ろには醜鬼達が迫ってきて、今にも高校生掴みそうだ。
その時、高校生の横を誰がが通り過ぎ醜鬼達を吹き飛ばした。
「助けに来るのが遅くなったな、もう安心しろ。
今、助けてやる」
「え?……はっ?」
高校生の前に現れたのは自分と同じ男だが、身体には芋虫の様な醜鬼が巻きついていた。
男には桃の力はもたらさない、そんなことは世界中の誰だって知ってることだ。
だが、男が醜鬼を吹き飛ばしたことに高校生は未だ理解できなかった。
「大丈夫、俺は特別だからな」
そういうと男は、芋虫の醜鬼の口から刀を抜き取り、目にも留まらぬ速さで次々と醜鬼達を切り裂いていく。
あっという間に高校生を追っていた醜鬼は全滅し、男も傷一つなく醜鬼の返り血を浴びているぐらいだった。
周りに醜鬼がいなくなったことを確認した男は、高校生の安否確認をするために近づいた。
「あのっ!助けてくれてありがとうございました!
それであなたは一体?」
「俺は魔防隊四番組組長の
▽
ーーー女に産んであげられなくてごめんなさいね
幼い頃、母親から言われたのがこの言葉だった。
たしかにこの世界は女尊男卑の社会だし、女にしか桃の力は使えない。
男に生まれてきた時点で女に劣っている。
だけど、俺には特別な力があった。
常人からかけ離れた身体能力、桃の力を得た女も捻じ伏せ、通常兵器では倒せない醜鬼も倒してしまう。
まるで
世界中探してもこんな男、俺一人だろう。
「まぁ、俺みたいのがポンポン居たらまた世界がひっくり返るか」
てか、まだ着かないのか。大分、歩いた気もするんだが
さっき助けた高校生は寝てしまいおんぶして目的地まで歩いているが、一向に着く気配がない。
走って行こうとしたが、寝ている彼を起こすのも申し訳ない無いと思ってしまった。
こういう時、移動系の桃の力は便利だと思う。
すると、前方から一匹の醜鬼が走ってきたが、よく見ると人が乗っていた。
魔防隊で醜鬼に乗るのは一人しかいない。
「寧が
七番組組長
この人は俺と同じで自身の肉体で醜鬼を倒している。
桃の力も得ているが、
よく七番組には訓練などでお世話になっている。
「京香さん、ちょうどよかったこの少年を現世に送ってってあげて下さい」
「魔都災害の遭難者か。わかった、こちらで現世に送り届けておく。」
俺は、京香さんが奴隷化している醜鬼の背中に彼を乗せた。
ともあれ、少年が無事で何よりだった。
「私は寮に戻るがお前はどうする?」
「俺は遠慮しておきます。また訓練の時にお邪魔されてもらいます」
「そうか
……なぁ慶司、もう一度だけ私の奴隷になる気はないか?」
そう、俺は一度だけ京香さんの奴隷になったことがあるが、その時は強化された俺を京香さんは制御出来ずにいた。
あとご褒美のことを聞いておらず、まさかあんなことになるとは思ってもなかった。
「すいません、俺の身が持たないので勘弁してください」
「?お前の身体は丈夫だろ?」
身体の方じゃ無いです、心の方です。
断った後、「…残念だ。だが私は諦めんぞ」と言って去っていった。
また、合同訓練の時に言われるんだろうなと思いため息を出しながら、魔都を駆け走り出した。