それでは、本編どうぞ!
図書室
俺は食堂から大林先輩にサンドイッチを届けに図書室まで戻ってきた。
王馬「へっへっへ~
大林「本には手を出さないでくれよ」
どうやらなにか悪戯を王馬が仕掛けたようだ。
円「すみません、戻ってきました」
大林「おかえり。ところで、それは僕に対して獏が作ってくれたのかい!?」
戻ってくるなり先輩は俺が手に持っているそれを凝視する。
円「はい。どうぞ」
大林「ありがとうね。いや、久しぶりに食うよ。後さお礼に…」
そういうと先輩は持っていた本を俺に渡してくる。
大林「この本を渡すよ。この本は『超高校級の
円「ご飯さめるんではやく食べたらどうですか?」
急に早口でこの本の事を語りだしたので、強引に話題を変える。
大林「あ、そうだね。ごめんね、つい熱くなっちゃって」
そういうと先輩は、図書室からサンドイッチをもって出ていく。
とりあえず、これを読むとするか。あんま時間はかからないだろうし。
天海「ちょっ!それはまずいっすよ!」
王馬「いやいや、そうやってみんなが躊躇する所でやめるのがいけないんだよ!!もっと自分を出そうよ」
……ゆっくり読めるかな。
〜少年読書中〜
??「……。お~い、大丈夫か?」
円「すみません」
どうやら俺は読んでいる最中に寝落ちしてしまったようだ。しかし、俺は図書室で寝たはずなのだが……ここはどう考えても違う。目の前に広がる白一色の景色に俺は不安感を覚えた。
??「ふぅ……寝てる人には優しくしないといけないんだけどな。あ、俺は『超高校級の追憶者』の萩原だ。下の名前は覚えてないんだ」
目の前には謎の男性がいた。
円「俺は『超高校級の世間知らず』壁戸円だ」
アマツ「私はその方の第二人格のような存在、アマツです」
円「………ヘ?」
俺の横にはなぜかワンピースを着ている
アマツ「ここ意識世界ですから私はこうやってできるわけです。多分萩原さんと同じ原理でやっているのでしょう」
円「というかなんでその姿なんだよ。他にも色々あったろ」
アマツ「別に良いじゃないですか。そんな過度な露出のある服でもありませんし。それとも、もしかして円さん的に納得できない姿なのですか?」
円「いや、別に……」
ぶっちゃけわけがわからなさすぎて混乱している。
アマツ「で、なぜ此処に?」
萩原「あの本を取ったからだな。現実で寝て此処に来ると思っていいぜ」
円「目的はなんだ?」
萩原「それはだな…」
そういうと萩原は一拍おく。
萩原「
円「どういう意味だ?」
萩原「俺は死んだ。だったらこんな本に霊としているより、お前の魂に取り込まれたほうが良いかと思ったからだ」
アマツ「いえ、そんな事するならよっぽど成仏した方が良いと思いますが」
萩原「それができてりゃ苦労はしねぇよ。今から大体十五年前、俺が死んだあとの処理を神様が間違えてしまってよ…本に憑く
円「だから俺に取りこまれて消えたいと」
アマツ「その場合、私みたいに自我が残るのですか?」
萩原「いや、全部渡して消滅するだけだ。自我なんざ残んねぇよ」
円「というかなんで俺なんだよ。他の奴でもいいだろ」
萩原「それはこの本を持った瞬間、所有者の記憶を辿れるからだな。生きてた世界が単なるゲームだって知りゃ絶望だってするわ。八つ当たりだな」
そういいながら笑う萩原は、寧ろ自分が気になっていた事がすっきりしたような、そんな笑い方だった。
円「八つ当たりの対象は俺かよ…」
萩原「そういうこった」
アマツ「だから円さんを巻きこもうと」
萩原「正直このままいた所でこの本破壊されるし、いいだろ?」
円「俺が萩原を受け入れるメリットはどこにあるんだよ」
萩原「2つ才能が手に入る。『超高校級の追憶者』と『超高校級の神霊』だ」
円「ほうほう。それで?」
萩原「神霊っつーのはなかなか現れないんだぜ?それこそ、数千回転生しても、一回見れれば良いほうなんだと」
円「どこ情報だよそれ」
萩原「神様情報」
アマツ「じゃあ殆ど間違い無いですね。神様が嘘つくのはできませんから」
円「そういうもんなの?」
アマツ「そういうものです」
萩原「話を続けるぞ。神霊が
アマツ「それ以外には?」
萩原「追憶者は、相手の過去を見れる。だから話を合わせたりするのとかにも使えるし、脅すのにも最適だな」
円「便利な才能のようで」
萩原「その代わりに受け止めきれずに死ぬ奴が多いんだがな…これでも三年前に一回受け渡してんだよ」
アマツ「誰にですか?」
萩原「覚えてなんざいねぇよ。かなり日本語を
円「ほぼヒントないやん」
萩原「あとさらっと突っ込み忘れたが、アマツとやらは一体全体なんだよ……」
アマツ「さぁ、私にもわかりませんね。ボーカロイドみたいな感じじゃないですかね」
萩原「ったく、最近は進化してんなぁ…あんま爺の精神を削んないでくれ。で?壁戸、お前は問題ないか?」
円「問題ないぜ。性格とかには影響しないんだよな?」
萩原「もちのろんだぜ。まぁ、めんどくさいこともあるが…」
アマツ「それはなんですか?」
萩原「お前」
萩原はそういうと、アマツを指さした。
萩原「こいつがついているから記憶が混ざる可能性があるんだよ」
アマツ「それを防ぐためには?」
萩原「手段なんぞねぇよ。そもそも普通魂は一人だけしかはいれないんだから、二人目の時点でもう終わってんだよ。例えんなら結婚してさらにもう一人嫁を迎えるみたいな」
アマツ「なら多分問題ないですね。イレギュラーにイレギュラーが混ざったところで対して変わりませんし」
円「ま、記憶力には自身あるしな」
萩原「確かにお前は問題なさそうだな。んじゃ、さよなら」
そういうと萩原は俺の体に触れてそのまま消えていく。
萩原「ようやく寝れる…じゃーな、お前ら。あ、壁戸。アマツ達に気をつけとけ」
最後に萩原がなにを言ったのかはわからなかったが、萩原は消えた。
アマツ「せめて安らかな消滅を……」
円「聞いておきたいんだが、記憶と心以外全部渡されたんだよな?」
アマツ「はい」
しかし、アマツが中に入ってきたときと比べると、違和感が多い。
アマツ「ちょっと検査するので動かないでください」
円「わかった」
そういうとアマツは俺の体をじっと見つめたあと、抱きしめてきた。触られた感触は精神世界でもあるのだろう。女性の柔らかい質感がしっかり伝わってきた。その後たっぷり時間が経った後にアマツは離した。少し名残惜しそうなのは気のせいだろう。
円「……終わったか?」
アマツ「はい、問題はありませんでした」
円「そんじゃ、さっさと出ようぜ」
アマツ「はい。あと…」
円「なんかあるか?」
アマツ「私、綺麗でしたか?」
綺麗かどうかといわれれば、間違いなく美人に入るだろう。それこそ、町で通り過ぎたら思わず目を奪われるぐらいには。
円「充分美女だぞ」
アマツ「ありがとうございます。では、いきましょう」
そういってアマツは手を合わせて音を鳴らす。途端に周囲の白が黒く染まりだし、俺とアマツを呑み込んだ。
……お~い?はやく起きなよ壁戸ちゃん!朝だよ!!朝だよ!!希望の朝だよ!
円「うるせぇ!!…って?」
次に俺が目を覚ますと図書室だった。目を開けた瞬間、視界には両手を握った王馬が映った。
天海「おはようございます、円さん」
横に顔を動かすと、見るからに笑いをこらえている表情をしている天海がいた。
円「お、おう。おはよう」
王馬「いや〜凄いよね壁戸ちゃん。お金を払えばただで貰えるんだから」
円「わけわかんねえこと言うなよ」
天海「もしかして、某大臣の言葉っスか?」
王馬「そうそう〜あと壁戸ちゃん食堂に呼ばれてたよ〜?」
円「まじか…んじゃ行ってくるわ」
王馬「はやくいきなよ〜」
俺は慌てて図書室から食堂に行った。
読了ありがとうございますm(_ _)m。もうそろそろパーティー組んでハンター(期末試験)がやってきそうなので恐怖しております。まぁそんなものなんて気にしないでこれは書きますけどね!ね!
次回のキーワードは『美女』と『美少女』です。
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