んー、これでいいのかな?あ、記録できてる。
やっほー、日本の皆。もしかしたら日本国外の人も見ているかな?サナだよ。
ミキが未だに仕事から帰ってきてないから今週は仕方なく私が記録してあげることにした。私は時空の力を持ってるけど神じゃないからゼロさんに連絡できないし、トキネちゃんも忙しいだろうから代わりに私。
とはいえ何か書くこともないんだよねぇ…私の研究記録をここに書いたところで魔法体系が、というか魔法という概念自体が違うから意味が分からないだろうし…
ちょっと待ってね……先週はメイドたちで、その前はミキの幼少の話かぁ……あまり参考にならないや。
そうだ。じゃあ私がこの世界の食生活について教えてあげよう。この世界特有の食べ物とか料理もあるからね。日本語だと発音が難しいから似たような音のカタカナ表記で紹介するよ。
「というわけでユキちゃん、行こう!」
「…分かりました」
折角なら料理担当のメイドも連れて行けば詳細に分かるはずということでユキちゃんを連れて行く。まあ別に料理担当ってのが決まっているわけじゃないけど、ユキちゃんはその雪女の力のおかげで食品を劣化させずに料理できるので料理に回されることが多いというだけだ。
街も拠点も大きいし、仕事も多いけど、メイドの数がいつの間にかすごい数になってしたので一人や二人私用で連れだしても業務に問題はない。ミキが無駄に増やすのはどうなんだといつも思っているけど、まあ役立ってもらってるから良しとしよう。この子たち給料とかもらってくれないし。
「じゃあまずはここから」
拠点のすぐ近くのカフェ。拠点近くのエリアは街となる前の店が残っていることが多くて色々な文化と店が混在しているので実は拠点の周囲の店だけでこの世界の文化は大抵押さえることができる。素晴らしい街だね!
「…」
「ありがとうございます」
この世界では日本と違って料理を持ってくるときに声をかけることはしない。むしろなんであんな毎回声をかけるんだろう。初めて日本の料理屋でご飯を食べられたときに驚いて返事をしてしまったのは黒歴史。
一つ目はイチゴみたいな果物を乗せたシンプルなケーキみたいなやつ。ただしスポンジなんてないし、そもそもこれは硬い。
「サナ様、これはブランを乗せたクラッテャルですね」
「硬いよねこれー」
「生地はパンと同じ製法ですので」
果物の名前とか料理の名前とかは日本人だと発音すら難しいだろうから諦めてもらうけど、味の感想は頑張って伝えます。
と言ってもパンみたいな生地とあまり甘くないクリームとイチゴみたいな味がするブランを組み合わせただけなので難しい味でもない。味の想像ができない人はフランスパンと砂糖をいれていないクリームとイチゴを一緒に食べるといい。大体あんな感じ。
この世界にも牛乳はあるよ。牛じゃないから牛乳とは言わないんだけど、成分も味もほとんど一緒。ミキが成分調査で正確なデータを出してくれたから間違っていないはず。
「次は…ケルティだっけ」
「はい。ブランの皮を細かくしてベレィの実と共に煮込みジェリャにしたものを、バンカとテェキャンを混ぜたクヮンタにかけたものですね」
もう日本人の皆には全く意味が分からないと思うので私が補足すると、ジェリャっていうのがジャムみたいなやつで、クヮンタが焼き菓子なので、ジャムをかけたラスクみたいなやつだよ。
クラッチャルに比べると甘いからこっちのほうがスイーツらしいかな。
この世界には映えなんてないのであまり見栄えを気にした盛り付けではないけど、ちゃんと整えるとお高めのカフェのスイーツくらいにはなるよ。ベレィっていう果物が地球に似たものがなかったから説明できないんだけど、結構なレアな果物だから他のところだと手に入りにくいんだ。この街だからこそこんな街中のカフェでも出されるってわけ。
…
ユキちゃんの説明は日本人には全く伝わらないから連れてきた意味がなかったかもしれない。やっぱり言語が違うものを無理やりカタカナにしてもだめだね。
「ユキちゃん、ケルティを日本で作るとして簡単に説明すると?」
「えーと…柑橘系の果物のジャムを果物のエキスを混ぜたクラッカーにかければ似たようなものにはなるかと」
てっきりカヌレとかにかけるのかと思ったけど、ユキちゃん曰く味に関してはクラッカーの方が近いらしい。
私実はクラッカー食べたことないから分からないんだよね。ミキが買ってこないから。自分から買おうって思うこともないから一度も手に取ったことがない。
「日本語に翻訳するの難しいね…ミキはいつもどうやってるのかな」
「マスターはこちらの言語は出来る限り使わないようにしているらしいですよ。固有名詞は仕方ありませんけど、魔物の名前とかは見た目で日本人に分かりやすい適当なあだ名をつけているようです」
あー、だから放浪旅の時に魔物の名前知ってるくせに〇〇モドキって言ってたのか。納得。
なるほど…これが読者に配慮するってやつか。私は研究のために正式名称で報告書やら論文やらを書くことが多いから適当に分かりやすくするっていうことが苦手なんだよねぇ…
「次が…ベキェリャク…えっと…うーん…」
「タルトもどきですかね」
「それだ!」
ただよく見るタルトとは違って四角だし、果物とかは生地の下にある。先に果物とかを型にいれてから生地の流し込んで焼くからこうなるらしい。なんで焼いた後に乗せないんだろう?
「それは元々ベキェリャクが暑い地域のものだからですね。すぐに悪くなるので先に焼いてしまおうという考えらしいです」
「ドライフルーツとかあったんじゃないの?」
「貴重な果物をわざわざ乾かすことはしなかったのでしょう。収穫から調理までほとんど時間をかけなかったといいます」
ユキちゃんは物知りだねぇ。私は魔法研究ばかりだから歴史とか文化とかはあまりよく知らないんだよね。
「色々来ているので先に食べませんか?」
「あ、そだねー」
クラッテャルは少し食べたけど、ケルティもベキェリャクも食べてない。そこまで大きい机じゃないので落ちちゃいそうだしさっさと食べちゃう。
さっきも言ったけどクラッテャルはそこまで甘さが強くない硬いスイーツ。なのでこれは手で持ってかぶりつくのが定番の食べ方だ。うん、美味しい。
ケルティもラスクみたいなやつだから手で持って食べる。ジェリャが落ちないように食べるのが少し難しいけど、落ちそうになったら魔法で補助して落ちないようにして食べる。うん、美味しい。
ベキェリャクはタルトみたいなやつだからこれはフォークを使う。フォークって名前じゃないけどフォークはこの世界にもあるよ。地球のやつに比べると先端が鋭すぎて凶器になっているので一般的じゃないけど。この店のフォークはちゃんと先端が少し丸められているので安全。うん、美味しい。
「サナ様、感想それでいいんですか?」
「だってそれ以外思いつかないもん」
ミキだってきっと同じような感じに食べるはず。だから何も問題はない…多分。
ミキの追記:もし食事をメインにした話ならちゃんと孤独のグルメくらいの食レポはするぞ。
うーん、いつもよりも文字数が少ないけど、ミキはいつもどうやって文字数を増やしてるのかな。
これくらいで終わっていいのかな。いいよね。だって紹介する食べ物の名前も料理の方法も日本語に直すの大変なんだもん。
来週はちゃんとミキが書いてくれると思うからよろしくー。
えっと…終わらせ方は…こ
ミキ「サブタイトルを入力し忘れてるぞ」
サナ「え」