時空神の青年は世界を回す   作:nite

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魔神

読者の皆こんにちは、俺だよ。

さて、前回は邪神のことを話したので、今日は魔神について話そうではないか。

魔神っていうのは、邪神とは別ベクトルでの神との敵対者だ。狂神のようにどっかの時空に降りて暴れていることもあれば、神に直接攻撃を仕掛けてくることもある。

邪神とは違う点として、まず魔神にはそれぞれ個別に権能がある。その権能たちは、神側にはいないことが多い。また、魔神はちゃんと理知的だ。理知的に神に攻撃をしてくるのだ。邪神相手とは違って、戦いが乱戦かつ過激になりやすいので注意が必要である。

 

「というわけで魔神代表を連れてきました。全能魔神のゼノさんです」

「えっと、こんにちは。ゼノです」

 

まあ魔神くらいは街にも住んでいるんだけどな。

全能の権能持ちである魔神のゼノだ。見た目はマイと同じくらいの小さい女の子である。ただし持っている神力の量は途方もないので、威圧感や存在感は異常なほどにある。

 

「何を話せばよろしいのですか?」

「魔神の生態についてー」

「私たちも分かっていないことを話せとおっしゃるのですか」

 

ゼノはあくまで全能なだけで全知ではない。ついでに言うと、全能と言えど全能ではない。死者蘇生だとか、全知になるとかいうことはできないのだ。全能の権能はどちらかと言えば俺の空間模倣に近い。

 

「えっと…魔神は魔神界なるところで生まれて、色んな時空に行ってそこを神域にしようとします。それをミキ様が撃破します」

「うむ。まあ俺じゃないこともあるけどな」

 

色んな時空の歴史を見れば、英雄と呼ばれるような人たちが魔神を討ち取ったという過去もある。落雷魔神みたいな、一つの事象に特化しすぎて応用が利かないような魔神には、人の身でも十分届きうるのだ。

 

「そして、そもそもの魔神の存在理由は神に仕えることでした」

 

そう、ここが驚きポイントである。

魔神は基本的に問答無用で神に敵対する。出会えばどちらからともなく間違いなく戦闘が始まるくらいだ。

しかし、そんな魔神がなぜ生まれたのかというと、それは神を補佐するためだ。俺も詳しくは分かっていないのだが、昔は魔神がちゃんと神の補佐として働いていたこともあるらしい。神が持っていない権能を持っているのは、これが原因だな。

だが、それがどこかで途切れて魔神と神は敵対するようになってしまった。魔神には文献っていう文化がないので、過去を調べるのは相当に労力を使う。未だに不明な点も多い。

 

「私も最初はミキ様に敵対してましたもんね」

「ゼノと戦った時が一番激しかったよ」

 

ゼノと戦ったときは、俺だけでなく複数の神の力と仲間たちの力を借りてようやく撃破したという過去がある。全断剣一本で決着がつくような戦いであれば楽なのだが、実のところ全断剣は使い勝手が悪いのでワンサイドゲームということには中々ならない。

全能らしく、時空移動や物質の生成、生命の誕生くらいは片手間にできるので総力戦にならざるを得なかったのだ。

 

「今ではミキ様ラブの忠臣ですよ」

「眷属って言え」

「でもまだ眷属の契約は結んでないじゃないですか」

「だって全能魔神と眷属契約したら、その瞬間にゼロとの戦闘が始まるんだもん」

 

ゼノは、俺の従者ではあるものの、眷属という繋がりはない。

ゼロが俺の戦力強化にビビっているからだ。絶対の権能と、全能の権能だとどちらの方が強いのかはよく分からないけど、俺の眷属になると俺自身も強化されるので、そこを怖がっているのだろう。

 

「ショーレさんが羨ましいです」

「あっちは一般的な権能だからな…」

 

ショーレというのは、方向魔神の名前である。ベクトル魔神とも言える、様々な事象のベクトルを変える権能を使える。どこかの学園都市にいる第一位と同じ感じだな。脳内演算などの処理が必要ない分、ショーレの権能の方が強いかな。

ショーレは俺の眷属である。魔神を眷属にすること自体は神と魔神の元々の関係を見れば当然のことなので、そこでゼロから怒られることはないのだけど、ゼロから魔神を暴走させるなと強く厳命されている。

 

「今この街にいる魔神は…」

「ゼノ、ショーレの他に、逆進魔神のスン、即死魔神のタント、狂気魔神のシーレイ、表操魔神のマチ、時空魔神のシヨ、性転魔神のアディだな」

 

大体名前からどんな権能かは分かるはずだ。

眷属なのはショーレのみで、残りは皆住んでいるだけである。どんな種族も受け入れるルクスでは、魔神でも安心して過ごせるぞ。

 

「皆さんとの出会いは掘り下げないのですか?」

「何話必要だと?」

「…それもそうですね」

 

魔神との戦いは基本的に熾烈なので、そんなダイジェストに書けるようなものでもない。

ただ俺の魔神に対する意識が変わったのは、ここにいるゼノとの出会いの後なので、その戦いはどこかで書くこともあるかもしれないな。予定は未定です。

 

「ですが…ここにショーレさんを呼んでもよかったのではないですか?ミキ様の眷属でしょう?」

「まあそれはそうなんだが…全能魔神の方が、こう読者に対して威圧感があるだろ?」

「なんで読者に威圧してるんですか…」

 

まあ流石に文字越しじゃ威圧されないか。

たまにはホラーテイストの文章でも書いてみようかね。今までの冒険の中で、そういう怪奇現象的なものには何度も遭遇してるし。今の俺の目標は、読者を特殊な状態に陥らせることだ。

 

「ああそうだ。読者の皆さん。ミキ様は酷いんです。魔神は多く住んでるんですが、その多くは女性なんですよ。女性ではないのは、男性のタントさんと中性のアディさんだけなんです」

「別に酷くはないだろ。女性を集めたくて集めているわけではないんだし」

「私は、サナさんたちほど嫉妬せずにいられる質じゃないんですよ」

 

ゼノは、出会った頃は俺への不信感マックスだったのにも関わらず、今では随分と俺に対して信頼を寄せてくれている。

 

「信頼じゃなくて愛情ですよ」

「心を読むな」

「ならレジストすればいいじゃないですか」

 

…ゼノは全能なので、心を読むくらいは容易にできる。

 

「ミキ様のことが好きって女の子は周囲にいっぱいいるのに、ミキ様は見て見ぬふりをしているんです」

「ちゃんと応えてやってるだろ?」

「でしたら夜中に抱くくらいはしてください」

 

それは妻にしかしません。

というかこの小説は強い年齢制限はしてないんだから、あまりガイドラインに引っかかるようなことを言うんじゃない。まあ別に困るのは、この小説を地球に投稿してるゼロなんだけどな。

とはいえ、あまり違反するのもよろしくない。神々の規定を取り締まるのが俺の仕事なので。

 

「まあ冗談はいいとして」

「ガチトーンだったじゃん」

「…冗談はいいとして、ミキ様にキスくらいはされたいですね」

 

ガチトーンだったと思うんだが。

まあいい。そんでもって、キスくらいなら問題ない。力の譲渡に効率がいい方法だし、キスくらいならサナたちからも何も言われない。

というわけでゼノにキス。

 

「っ!!!!!!!」

 

ゼノが顔を真っ赤にして硬直した。この子、全能魔神とかいう魔神の頂点的な立ち位置なのに、こういうことには滅法弱いんだよな…

まあいい。代表者のゼノが固まってしまったので、今日はここで終わりにしよう。

 




作者「別にミキは浮気をしているわけではありません。これがこの人の通常です」

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