時空神の青年は世界を回す   作:nite

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時空神の役割

説明回第四回目だ。すまんな。でも今までと違って血湧き肉躍る戦闘もあるだろう。多分。

今回は俺の日頃どんなことをしているのかについて実演する。多分実際にやりながらの説明の方が分かりやすいだろうからな。

 

「ミキ仕事ー?」

「いえす。ゼロに指定された時空に行ってくるわ」

 

サナに挨拶をして時空転移。俺は拠点のどこからでも時空転移はできるのだが、まあ家の中でやるってのもどうかと思うのでちゃんと外に出てから時空転移している。因みにこの世界では家の中も土足スタイルが主流だが、うちの街では大体は日本スタイルだ。やっぱり汚れは少ない方が良いよね。

ゼロから指定される時空は時空座標という数字で連絡される。時空魔法を理解してないとどういう意味なのかも分からないからここには書かないが…お前らの世界で研究・考察されてる次元概念とはまた違う形だからあまり気にしないようにしてくれ。

さあ、今回指定されたのはこの時空。出現したのは森の中。初めて行く時空において俺が最初に現れる場所は俺には想定できないがランダムではない。その時空の中で一番力が薄いところに現れるようになっている。壁が薄い方が通りやすいっていう理論は時空単位で考えても成立するんだぜ?

俺がこの時空でするべきなのは異常の調査と時空の調査だ。ゼロ曰くこの時空は変な異変が起きているらしいということ。ついでに時空自体も初めて行くとこだから調査してきてねーというなんとも適当な指示だ。まあ俺の上司ってゼロしかいないし、ゼロの部下らしい部下も俺だけだから気が楽なのだろう。

 

『周囲に敵なし!』

『なんなら動物とかもなし!』

 

ヒカリとヤミから周囲の報告を聞く。二人は魔力の塊なので魔力を飛ばして周囲の状況を知ることができるのだ。勿論GPSのような正確なものではないが、二人が基本的にずっと索敵しているので不意打ちを受けることはあまりない。

この世界は…魔力っていう概念はあるっぽいな。魔法も問題なく使えるみたいだし、木々や空の様子を見ても俺の時空とあまり差異はなさそうだ。しかしゼロが指定してきたということはただのありきたりな世界ではないのだろう。それに力が一番薄いということは一番発展していないということでもある。この世界に人間がいるかは分からないが集落をまずは探すべきだろう。

 

「んじゃ手っ取り早く飛びますか」

 

天族としての翼を生やす。日本でよく天使と呼ばれているキャラが背中に生やしているあれだ。俺は空間模倣と全属性適用のおかげで天使にだってなれるのだ。というか悪魔とか、なんなら竜人とかにだってなれる。魔法ってすごい。

うーん、高く飛びあがっても周囲に広がってるのは森ばかり。仕方ないので取り敢えず方向を決めてまっすぐ飛んでみるか…

…おい森終わんないぞ。

…絶対これじゃん!ゼロが言ってた異常これじゃん!

えー、掻い摘んで説明すると、一時間程度ジャンボジェットの三倍くらいの速度で飛んだんだが一度も森は途切れなかった。世界が広がって空や森が形成されている以上必ず気候という概念はこの世界にもあるはずである。しかしながら眼下の森は俺がこの世界に来たときに見たものと同じ青々とした葉を広げている。尚道中で集落っぽいのを見つけることもできなかった。海がないっぽいしもしかして動物はいないのかもしれない。まあ別に海がなければいけないという条件でもないのだが。

 

「でも調査つってもどうすればいいんだこれ?原因がどこかにあるのか?」

『ミキ様、一度下に降りてみては?』

「…せやな」

 

封の提案に俺は同意して地面に降りる。森の中の景色は俺がここに来たときと変わらず、多分この森で迷ったら一生同じところに戻ってくることはできないだろう。

一応原始的な方法で環境を把握しておくか。えー…方位磁針、反応しない。磁力、なし。重力、地球と同じ。大気構成、地球と同じ。魔力、俺のとこと同じ。

木々が永遠に生えていること以外は普通。むしろ困る。でもゼロが異常としてこの時空を探知したのならば元々はこんな森じゃなかったのだろう。うーん…木を切ってみるか。

別時空の俺専用の保管庫から時空魔法で斧を取り出す。何の変哲もない普通の斧だ。多分地球で買った千五百円くらいのやつ。

 

「そーいっ!」

 

全力で斧を幹にぶつけ木を切り倒す。木材は…知らない品種だけど毒があるとか魔力があるとかそういうものではなく普通の木のようだ。地球に輸入しても普通に植林され材木として使用されることだろう。

折角だからできることは全部してみるか。今度は保管庫から武器を一つ取り出した。

紅い刀身に赤い柄、そして刀身を包み込む圧倒的な炎。これが俺の神器の一つ、神器・梅紅(ばいべに)だ。めちゃめちゃシンプルな炎の剣だが、その火力は一撃である程度の広さの海を蒸発させることができる代物である。火力故に普段使いはできないものの、俺の神器の中ではトップクラスの火力を持つ。

 

「すぅ……ふっっ!!」

 

技名もなくただ全力で魔力を込めて梅紅を振る。それだけで俺の目の前の森は一瞬にして燃え尽きてしまう。範囲外だった木々にも多くの火が燃え移っており、しばらくすればこの森は超広範囲で火事が起きるだろう。しかし本当に何事もなく燃えたせいで何の原因も分からなかったな。

 

『いえ、ミキ様!何か来ます!』

 

ヒカリの忠告と共に地面が震える。そりゃ上空を飛んでも見つからないはずだ。だって、犯人は地中にいるのだから。

 

「グオオオオオオオ!!」

「元気でよろしい!」

 

地中から出てきたのはでっかい化け物ツリー。どうやらこの森は全部こいつから伸びた木で構成されていたようだ。それに空間的な歪みも感じるので多分認識修正も使ってるなこいつ。そりゃいつまで経っても森から出られないはずだ。どうせ森から出ようとしたらなんとなく森に戻るように認識を変えて、そして森の中で死んだ者を栄養にしていたのだろう。果物やキノコがなく、動物もいなかったのはそれが原因だと考えられる。

こいつがそのままだとこの時空自体が崩壊する可能性がある。森は少しずつ大きくなっているだろうから、最終的にはこの世界のすべての生き物がこいつに食われて、こいつも餓死して全生物消滅とかいう最悪な未来が待っている。

 

「つうわけでてめえには死んでもらう」

「グオオオオオオ!」

 

俺が先ほど広範囲を燃やしたからか俺のことは既に敵として認識しているらしく、すぐに太い木の根が伸びてきた。大きさの割にめちゃくちゃ早い。こいつ、一体どうやって生まれたんだ?

魔法で障壁を出して根を止める。しかし相当な攻撃力があるようで適当に作った障壁では完全に止めることができなかった。やはり普通に生まれるような生物ではない。もしかしてどこぞの迷惑な神がここに種でも落としていったのだろうか。だとすればそいつは断罪せねばなるまい。

動きが遅くなった根っこを捉えることなど容易だ。まあ別に動き遅くなってなくても狙えるけど。

 

「燃えろ!」

「グアアアアアア!」

 

あ、鳴き声のパターン変わった。ただ明らかに弱点そうな炎を根っこにつけてあげただけなのに。さっきまでの何の飾り気もない状態に比べると断然きれいだぞー。

うん、致命傷っぽい。燃えた根っこは地面の中へと戻っていった。火を消す方法は知っているのか。地面に戻っていった根っこの代わりに三本くらい太い根っこが現れた。果たしてあと何本あるかな。

 

『接近するからお前らバックアップ頼む』

 

身体強化…うーん、アクセラレーション…よし、行ける。

 

「ふっ!」

「グワアアアアアア!」

 

梅紅を背中の鞘に戻して保管庫から光桜剣と桜花を取り出す。そしてそのまま飛んでくる根っこを切り伏せながら急接近。今の俺は根っこと同じくらいのスピードだ。弾くことくらい造作もない。

 

「よお、でかぶつぅ…」

「グアアアアア!」

「炎をプレゼントだ!」

 

二振りを保管庫に戻してからもう一度梅紅を抜く。今度は先ほどのように闇雲に放つ炎じゃなく、明確な意思を持って放つ炎だ。ただの植物風情がどれだけ耐えられるかな?

 

「燃え尽きろ!天地開闢ううううううう!」

 

全力の炎。一瞬にして大樹を飲み込みそのまま空の彼方まで炎の柱が突き刺さる。

炎が消えればそこには切り株の部分だけを残して燃え尽きた化け物がいた。どうやらこの世界では死んでも消えたりはしないようだ。死んだあとの処理なんかも時空によって違うから面白い。

しばらくすれば周囲の森が一気に枯れ始めた。やはりこの木々は全部この化け物と繋がっていたらしい。これで異変の調査は終了だな。ゼロに報告してしまおう。

大体一連の俺の仕事はこんなもんだ。時によっては人に会ったり神を退治したりしている。神様版の何でも屋って表現が正しいだろうか。うん、それでいい。




ミキ「化け物がいたから燃やしといた」
ゼロ「世界終焉シナリオしなくてよかったね☆」

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