時空神の青年は世界を回す   作:nite

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空間模倣

なし崩し的に前回は妻のことを紹介してしまったが、ちゃんと三人とも愛しているから安心してくれ。そもそもサナが俺には大切なものを増やしてほしいって考えを持っているから最初の妻であるサナが新しい妻を作ることに抵抗がないことが原因だ。

さて、今回はサブタイトルにある通り俺の権能である【空間模倣】について説明していくぞ。ここで一つ注意なんだが、この小説のタグにある超クロスオーバーというものが今回めちゃめちゃに絡んでくるからな。本当はクロス先にある時空のこともタグに書いた方が良いのだが、如何せん対象の数が多すぎるせいで書けなかったんだ。だから集約してこのタグになっているので気になる人は気になるなぁ…って思いながら読んでくれ。

 

「というわけで技能実験を始めまっす」

「ぱちぱちー」

 

拍手をしてくれるサナ。実際に見てもらうのが手っ取り早いということで実験ということにしたのだ。

俺の拠点がある街の周囲に広がる平原に出て実験を開始する。観覧者はサナとメイドの一人であるテクターだ。彼女は人型古代戦闘兵器の解析型で、環境のチェックをしてくれる。結構派手なこともするので観測機として必要だったのだ。身長は小学校五年生くらいの黒髪少女である。機械少女なので成長はしない。

 

「それで何をするの?」

「改めて色々別時空の技を使うんだ。記録を取ってないのもあるしな」

 

本来はその時空に存在しない魔法だとか技能だとかは使うだけで時空に影響がある場合がある。だから記録を取り問題ないかを解析するのだ。そのためのテクターである。

 

「そんじゃテクターは解析準備」

「…完了しましたマスター」

「んじゃ行くぞ」

 

さて、目の前にサナがいるので思考加速をしつつ先に少しばかり【空間模倣】について説明しておこう。

この権能は俺の数ある権能の中の一つであり、その名の通り空間ごと模倣し使えるようにする。アニメとかで魔法をコピーする力を持ったキャラとかいるだろ?あれの上位互換だと思ってくれていい。例えば特定の能力でしか発動できない技があったとする。だが俺はその能力を持たずとも技を模倣できるのだ。故に俺は大体どの時空に技でも使うことができる。まあ使えない技もあるけどな。

 

「んじゃ取り敢えず魔法から行くか。んー…エクスプロージョン!」

 

俺の正面、結構の距離を開けた先で大爆発が起きる。言わずと知れた爆裂魔法だ。詠唱に関しては使い慣れたものなら破棄できる。ただし権能の関係上、物語の中で詠唱破棄されない技は俺も破棄できない。そこらへんも含めて【空間模倣】なのである。

 

「敵性生物の消滅を確認。三体ほど、グロウタイガーが巻き込まれています」

 

流石精霊だろうが神だろうが吹き飛ばす爆裂魔法だ。爆裂圏内にいた魔物は一瞬で消え去ったようである。メイドでもない魔物に慈悲はない。

テクターの動作チェックにはもうちょい色々やったほうがいいかな。

 

「次……恋符・マスタースパーク!」

 

手元から極太レーザーが放たれ、俺の前方を丁度横切ろうとしたゾウみたいな魔物を消し飛ばした。本来この技は八卦炉という道具が必要なのだが、それくらいの制約であれば【空間模倣】は無視できる。というかこの魔法の使用者の魔力のチャージという目的でその道具は使われているので十分な魔力を持っている俺なら使わなくても使える。

 

「んで…打ち砕け!山脈震撼す明星の薪(アンガルタ・キガルシュ)!」

 

本来はある程度のチャージが必要な超級の魔法でも即使用が可能。まあこれも俺の多大な魔力量のおかげだけどな。オリジナルもとある神の必殺技なのだが、堂々とパクっている。まあ神様同士あっちと会ったこともあるしなんなら本人の前で使ったこともある。なんか悲しそうにしてた。

 

「テクター、どうだ?」

「…はい、ちゃんとチェックできてます。新規データの準備も完了してます」

 

ここまで使った三つは既に記録してる魔法だ。テクターの動作チェックとして既存のデータと相違がないかを確認したのである。

問題ないという報告なのでこっからは記録をとってない魔法を使っていくとしよう。

 

『封、ちょっと結界張っといて』

『了解です』

 

少々危ない魔法なので封に結界を張ってもらう。封印と結界は違うので封が自由に操れるものではないが、そもそも俺の中にいる魂なので結界くらいは普通に張れる。

 

「んじゃいくぞー…極獄界滅灰燼魔砲(エギル・グローネ・アングドロア)!」

 

威力抑えめに放つ滅びの魔法。この魔法普通に時空に影響与えてくるので結界を出さないとヤバいのである。なんで今まで記録していなかったかというとそれが理由で、出力がでかすぎて記録できなかったのだ。テクターを改造してなんとか記録できるようになっているはずだ。

 

「…記録完了です」

「よっしゃ」

 

成功に安堵する。

この魔法、とある時空の魔王が使うのだがそいつとはあまり喧嘩したくない。どちらも攻撃が規格外すぎて本気を出すとそれぞれ時空を三つくらい消し飛ばすことになるだろう。あれ、神でもなんでもないのに強すぎだろ。

 

「次行くぞ」

「はい、大丈夫です」

「…トゥマーン・ボンバ!」

 

上空に大量の魔法陣が展開される。そしてその真下で大爆発が起きる。

本来は何人もの術者と大がかりな装置が必要な魔法も俺一人で発動させることが可能だ。というかそもそも俺が一人で発動できないような魔法は一般人だと何人いようとも発動させることはできないだろう。尚俺一人だと発動できない魔法自体は存在する。魔力の質的な問題でサナの補助が必要になるのだ。

 

「チェイン・キャスト、記録完了」

「よろしい。魔法はこれくらいで大丈夫?」

「はい、細々したものは別の機会でもいいかと」

 

今日は読者諸君に日頃の俺の仕事以外の生活を見せるためにやっているので細かい魔法はなしだ。クリーナップとか身体強化レベルⅩとかそこらへんのそこまで広範囲に効果がないやつらはあとでサナと一緒にまとめて記録することになるだろう。

 

「マスター、次は魔法以外です」

「ほい来た」

 

魔法以外でも俺は戦えるのでそこらへんの記録もしていく。これもまた他の時空から模倣してきたやつらだ。

ただし魔法以上に使えない技は多い。なんせ身体的特徴を利用した技も多く存在するからだ。例えば腕とか足が多い生物の技は俺も魔法で増やさないと使えないし、ゴムゴムの~とかももちろん無理だ。ただし身体硬化とかは魔法じゃなくても体内の気を操ればなんとかなるのでそこらへんの技なら使える。

 

「すぅ……ジ・イクリプス!」

 

忘れてた剣技その一。振る回数が多すぎるせいで微妙に使いづらいので後回しになっていたのだ。一応このスキルって奥義に分類されていたはずなんだが…まあ奥義が使いづらいというのもよくある話か。

 

「しゅー…雷の呼吸、一の型・霹靂一閃!」

 

忘れてた剣技その二。実のところこれの派生は記録しているのだが、ただの霹靂一閃は記録していなかった。なぜかって?俺にとっては派生したところで負荷が変わらないので元のやつを使う機会がなかったからだよ。一応時空跳躍で師匠と呼ばれる人のところにも行ったんだよ?

俺が使うと確実に雷が起きるのだが、これは魔法ではなく身体強化系に含まれるので魔力は消費しない。分類で言えば霊力を消費していることになるのかな?魔力が使えない場所でも呼吸法で炎とか雷とか出せるので意外と助かっている。

 

「…英雄の一撃!」

 

数秒のベルの後の発破、通称アルゴノゥト。英雄を憧憬することによってチャージする英雄への切符…なのだが俺にはこれを上手く使いこなせない。なんせ尊敬する相手はいようとも憧憬する相手はいないからだ。ただ空間模倣で切り取っただけのチャージではまともな威力も出ない。今まで記録していなかった理由はそれだ。

あとこの技はスキルの側面があるので俺は魔法とは認識していない。本家本元では精神(マインド)と呼ばれる魔力みたいなものを消費するのだが…俺が使うと霊力を消費する。この差はよく分からないけど、ヒカリ曰く精神(マインド)は俺らの世界で見ると魔力よりも霊力に性質が似ているからではとのこと。

 

「剣技だと流石に敵を巻き込まないねぇ」

「巻き込もうと思えば巻き込めるけどな」

 

サナの意見に答える。魔物を巻き込まないのは広範囲の剣技を使ってないからであり、剣技だけで大地を割る技もあるのでそういうやつを使えば巻き込める。まあそういう類のやつは既に記録しているので記録しないけど。

 

「これで終わりー?」

「いやもうちょい…」

 

ただあとはしょうもないものを使うので見せる理由もないか。読者諸君には俺がどういう条件で空間模倣しているのかなんとなく分かってくれただろうし今日はここまでだな。

あとはサナと細々とやるので…次回をお楽しみにってやつ?


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