時空神の青年は世界を回す   作:nite

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宝物庫

どうも皆さんこんにちはこんばんは初めましての方は初めましてミキです…ってやるとちょっとユーチューバーっぽいか?小説だから関係ないし、こんな中途半端な話数でやることじゃないって?そりゃそうだ。

ここは俺が管理している俺だけの時空、通称宝物庫だ。先日俺が時空神の仕事を見せるときに梅紅を取り出した保管庫ってのがあっただろ?あれの直系に当たる時空で、保管庫は日常的に使うやつを入れており宝物庫は完全に倉庫になっている。まあ宝物庫っていうのはただのだだっ広い空間であり、保管庫っていうのはその宝物庫時空の中にある一区画のことなんだけどな。厳密に言うと保管庫と宝物庫は同じ空間である。

荷物を整理するときによく使うものは取り出しやすいところに片付けるだろ?あれを時空単位でやっていると思ってくれればいい。

ただ先ほども言った通りここはとにかくだだっ広い。俺一人では到底きれいに片付けることはできない…しかし宝物庫は常に整理されている。メイド?ああ、メイドに任せてもよかったけどここにはもっと適正がある管理者がいる。

そういえばどこぞのありふれた職業の魔王も同じ宝物庫と呼ばれる倉庫を使っているがあっちよりも性能は上だ。名称については偶然の被りである。いくらでも物が入る倉庫の名称なんてそう多くはないだろう。

 

「ミキ様ー、こんにちはー」

「来たかツク」

 

オレンジとピンクがグラデーションになっている髪の彼女はツク。付喪神だ。付喪神だからツクって名前は安直すぎないかって?メイドたちも大体似た感じで種族からつけてるよ。

さて、ツクが何の付喪神かと言うと、俺の神器の一つである光桜剣である。俺の持つ武器には基本的にどれでも意思が宿っている。俺は武器霊って呼んでいるけど、実際は大半は付喪神である。俺の持つ神力が強すぎて本来は物を動かす力すら持たない付喪神が力を持ってしっかりとした意識のある魂に昇華しているのだ。尚武器以外にも防具とかただの道具にも付喪神はいるぞ。

 

「小説のための案内…ですよね?」

「そそ。俺が一人でやってもいいけど折角なら武器霊も紹介した方が良いかなって思って」

「皆さんもよろこびますよ!」

 

昔、それこそ江戸時代とかの浮世絵に妖怪として唐笠お化けなんかが描かれたものがあるだろ?あれも正体は付喪神で、長らく使われなかった道具の付喪神が暴走した姿が唐笠お化けなんだ。そう、道具たちはあまりに使われなかったら暴走することがあるのである。故に武器を含めて宝物庫にいる霊たちは使ってもらう、ひいては認識してもらうことを喜びとするのである。小説で紹介することもどうやら彼ら、彼女らにとっては幸福なことらしいとは俺もつい最近聞いたことだ。

 

「どこから行きますか?」

「まずは保管庫メンバーを紹介しようか」

 

ツクの案内で歩き出そうとしたら、急に背中に重みが。

 

「旦那様ー、私たちは紹介してくれないんですかー?」

「そうですよ。私たちはツクさん以上に一緒にいるのに!」

「あー、悪い。お前らから先に紹介しようか」

 

俺は保管庫に入れている武器とは別に大体常に携帯してる武器がある。俺の時空でも東京でもだ。

武器霊が相当な力を持った場合、武器霊自身の力を自在に操れるようになって武器の大きさや形状をある程度変更することができるようになるのだ。俺の持つ武器の中では三本だけで、ツクは小さくなることは苦手らしいので携帯していないが残りの二つは基本的に身に着けることにしているのだ。魔法が使えない場所だと保管庫から武器を取り出せなくなるからな。

 

「銘は雷桜槌(らいおうつち)、名前はニイカ。元々はミョルニルだったミキ様の神器のハンマーです」

「銘、名ともに春落(しゅんらく)。元々は神殺しの剣だった旦那様の神器の短刀です」

 

簡潔な説明ありがとう。この二つ、二人が常に持ち歩いている武器だ。雷桜槌は腰の右側に、春落は腰の後ろに身に着けている。

そして説明にもあった通りこの二つは元々は別の武器だった。北欧神話の神トールの神器であるミョルニルと、全ての神に仇なす呪具である神殺しだ。紆余曲折あって二つは現在共に俺の神器となっている。小説の数行で説明できるほど短い話でもないのだ。その中で春落は俺のことを旦那様と呼ぶようになったが、春落は俺の妻ではない。呼び方が旦那様というだけである。

 

「んじゃ行こう」

 

さて、この空間と武器霊の関係についてもう少し詳しく説明しよう。

武器霊というのは皆がこの三人のように姿を現すことができるわけではない。むしろできない数の方が多数だ。しかしながらこの宝物庫には多くの武器霊は姿を現しているのである。その原因にはこの宝物庫には常に十分な魔力や神力が流れていることが起因している。

この宝物庫には装備品以外にもたくさんのものが仕舞われている。その中には多量の魔力を含む魔石とか、存在するだけで世界を危険に晒す装置とかもあるのである。その結果この宝物庫には常に力が弱い武器霊でも活動できるほどの力が溜まっているのである。因みにそんなものを保管していてもこの空間が無事なのは、それ以上にやばいのがこの空間にあるからである。そしてそれは保管庫エリアにいる。

 

「あそこが保管庫エリアですね」

「まあ見た目はただちょっとした区切りを作ってるだけだけどな」

 

宝物庫の道具たちに勝手に入らないように言っているだけで、保管庫は特に壁とかがあるわけではない。分かりやすいように色がついた絨毯だけ敷いている。そしてそこには俺が特によく使う武器が集まっているのだ。今日はこの武器たちを紹介するためだけにここに来たと言っても過言ではない。梅紅のときはその場で説明したが、毎回新しい武器を出すたびに説明するのも面倒だからな。

 

「ミキ様こんにちはー」

 

俺の神器の武器霊たちは春落を除いて全員が俺のことを様付けで呼んでいる。若干書き分けがし辛いが…頑張れゼロ。

 

「じゃあ皆も一人一人自己紹介してくれ。最初はフラメから」

「銘は梅紅、名はフラメ。元は炎剣だったミキ様の神器です。よろしくお願いします」

 

名乗りの仕方は何も指示していないが皆同じ方法だな。

そう、実はあの梅紅にも武器霊は宿っていたのだ。尚あの時はセリフは文面に出てなかったけど一応喋ってたぞ。ただあまり内容に関係しないことだったから文章化しなかったのだ。それに武器霊のことをあの時に同時に説明するとなると明らかに必要な文章が増えるからな。

 

「頑張れば魔法くらいは燃やせます!」

 

属性関係なくである。水魔法が剣の炎で燃え尽きるというのはよく分からない現象だろうが、魔力を燃やしているのでこの世界では起こりうることなのだ。まあ魔力を燃やすということ自体が神業なので殆どそのようなことは起きないのだけど。

 

「銘・名ともにピアル。魔銃のピアルだよ、よろしくね!」

 

彼女は剣ではないが俺の神器の一つだ。魔力で弾を充填し、強力な一発を放つという仕組みになっている。強化パーツを別に用意しており、それを使うと通常時の五倍ほどの威力で攻撃を放つことができる。尚通常時でもトラックくらいは余裕で貫通する威力がある。

最悪の場合ピアルを投げると大爆発を起こす。その時武器霊のピアルは量産している別のピアルの中に移動する。ここらへん俺もピアルも原理が分かっていない。

少なくとも言えることは俺の神器の中で唯一不壊属性じゃないってことだな。神器になれば基本的に壊れないように不壊属性が付与されるのだが、ピアルにはそれがないのだ。

 

「銘は桜花、名はサクラ。ミキ様の二振りのもう片方です」

 

桜花だから名前がサクラだっていうのは安直?でもこれは俺が名付けたんじゃなくて、サクラが先に名乗ったんだ。

振れば桜の花弁が舞うきれいな剣だ。尚桜花は俺が俺の世界で手に入れた武器だ。その時から桜花という名前は付けていた。つまり桜が俺の世界にもあるということだ。不思議な話だろ?なんせ桜と同じ品種の別のものというわけではなくて、正真正銘日本の桜なのだから。どうやら過去にどこかの神様が持ち込んだらしいということをゼロに教えてもらったことがある。

さて、一番最後、明らかにやばい剣というのはこれだ。

 

「銘は全断剣グランド、名はシャナレ。最高戦力です。よろしくお願いします」

 

石だろうが鉄だろうが概念だろうが時空だろうが何でもかんでも断ち切れる剣、それが全断剣グランドだ。まずもって神であろうと普通の奴は持つこともできない。俺が手に入れたときは星断剣という名前だったのだが、俺が使っているうちに意思が宿ってシャナレが効果を使えるようになったからな。

この剣は持っているだけで効果がある。それに力が強いおかげで宝物庫ではなくとも実体化してシャナレが剣を使えるので例え俺に異常があった場合はシャナレがこの宝物庫の時空に穴をあけて俺のところまで来てくれる。そしてついでに言うと絶対神であるゼロにダメージを与えることができる剣の一つでもある。

ただし勿論消費する魔力は尋常じゃない。星断剣の頃は一振りするだけで気絶間近まで持ってかれていたからな。全断剣になってからはある程度消費量が抑えられて、また俺の力も増大したおかげで何度かは振れる。それでもそう何回も使えない。なのでいつもは装備中に悪影響を全部無効化してくれる存在として役に立ってくれている。

 

「これで全員だな」

「ミキ様、私たちは今後も使っていただけるんですよね?」

「もちろんだ。まあ宝物庫の武具たちも使ってあげないといけないけどな」

 

因みに俺は空間模倣によって無限剣製ができるので剣を投げるとかそういうときは作った方で代用している。なので俺が使っている間に武具たちが俺の手から離れることはまずない。武器を失うというのはそれ即ち死ぬことなのでな。

武器の性質は大体名前通りである。これからの武器たちの活躍に注目だな。尚俺はこれから武具たちのメンテナンスをするのでここでお別れだ。んじゃまたな。


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