君を想う三つの音   作:シグザール

18 / 20
どうも、シグザールです。




さて、このシリーズはあと三話で完結の予定です。
もしかしたら後日談を書くかもしれませんが。



真木と、ニーゴのみんなの救い救われの話。
その終着点まで、どうかお付き合いいただけれると嬉しいです。



では、どうぞ!


第九話 セカイノモト

真木「......ここ、は?」

 

 

 

 

 

急な明かりに驚いて、ゆっくりとまぶたを開く。

まぶたを開いた先に映ってたものは。

 

 

 

 

 

 

真木「う.....み?」

 

 

 

 

 

 

また、だ。

どうしてこうも俺には海に縁があるのだろうか。

海、か。

俺のセカイの海も、この海も。

どういうわけか懐かしさを感じる。

初めて見たはずなのに。

 

 

 

 

 

 

そう考えていると、急に風が吹く。

結構強い風で、食いしばらなければ吹き飛ばされるぐらいの。

 

 

 

 

 

 

風が止み、辺りを見渡す。

すると、さっきまでいなかった誰かがいた。

身長は低く、少年なのか。

不思議に思いながらも、ゆっくりと近づく。

 

 

 

 

 

 

 

 

近づくと、少年が後ろを振り向いて話しかけてきた。

 

 

 

 

 

 

 

名もない少年「お兄ちゃん、だれ?」

 

 

真木「俺は重音真木。君は?」

 

 

名もない少年「僕はしんきって言うんだって。」

 

 

真木「え?」

 

 

 

 

 

 

 

少年の名前が聞き取れない。

というより、言葉にノイズが走ってるような感じだった。

まるで、初めてあのセカイに入ったような.....

ん?という事は、また知らずのうちにセカイに入ってたのか?

 

 

 

 

 

心当たりがありすぎる。

心当たり、というのは。

最近、よく俺の家に来る奏とまふゆ曰く「寝てる時に勝手にスマホを触ってる」らしい。

もしかしたら、それなんじゃないか。

 

 

 

 

 

 

まあ一人で考えてもしょうがない。

そこにいる少年と話してみる事にした。

 

 

 

 

 

 

 

少年の近くに座らせてもらい、一緒に海を眺める。

波は静かに動いて、心地よさが耳にくる。

何時間だって見られる。そんな気がした。

そして、少年に疑問を投げた。

 

 

 

 

真木「君は、どうしてここにいるの?」

 

 

名がある少年「お母さんとお父さんに連れてきてもらったの!海が好きだから!」

 

 

真木「海、か。それはどうして?」

 

 

名がある少年「んーと......綺麗だから!青くて、キラキラして、海の上に蒼い空があるから!」

 

 

真木「......そうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

話している中、俺は一つ疑問が浮かんだ。

この少年、どこか俺に似ているんじゃないか。

髪色が自分の髪色が同じだし、何より。

あの父親から受け継いだ赤色が入っている。

 

 

 

 

 

 

ほとんど確定みたいなものだが。

それでも認めたくなかった。

だって、俺がこんな無邪気に笑っている。

何も思わず、心のままに。

それが、羨ましい。

 

 

 

 

 

 

 

名がある少年「お兄ちゃんは、海好き?」

 

 

真木「......綺麗とは思う。でも、好きかどうかは分からない。」

 

 

名がある少年「......そっか。でも、多分好きだと思うよ?」

 

 

真木「なんで?」

 

 

名がある少年「海見てるお兄ちゃん、目がキラキラしてるから。」

 

 

真木「なっ!?」

 

 

名がある少年「お兄ちゃんさ、昔好きだったんじゃない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

少年が言う事は、すんなりと胸の中に入ってくる。

確かに、言われてみれば好きだったのかもしれない。

理由は.....なんだったかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんな綺麗な海みたいに、みんなを救えたりできるのかな。俺。」

 

 

 

 

 

 

 

 

頭に、言葉が流れる。

懐かしく、聞き覚えのある声。

そして、俺の脳に映し出される映像。

 

 

 

 

 

 

誰かと海に来て、脳に響いた声を言った。

 

 

 

 

 

そう結論つけると、何もかもが繋がった。

俺のセカイ、ミク?が言っていた「心象風景」、俺に似た少年。

そうだ、俺が好きだったのは。あの蒼い空と、この綺麗な海。

 

 

 

 

 

 

真木「.......今、分かった。なんで俺のセカイが海なのか。なんで俺がこの海に懐かしさを感じるのか。」

 

 

名がある少年「あれ、何処か行っちゃうの?」

 

 

真木「ああ。俺は帰らないと。」

 

 

 

 

 

 

 

座っていた砂浜から立ち上がる。

長い間座っていたからすっかりズボンに砂がついている。

それを軽く払って、後ろに背を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

名がある少年「ふーん......ねぇ、お兄ちゃん。一つだけ、約束してもいい?」

 

 

真木「約束?」

 

 

名がある少年「うん、もう一人で抱え込まない事。」

 

 

 

 

 

 

 

真木「ああ。約束するーーー」

 

 

 

 

 

 

 

その先を言おうとした時、俺の意識は消えた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

真木「はっ!」

 

 

 

 

 

 

意識が目覚め、顔を勢いよく上げる。

辺りを見渡すと、俺の部屋だった。

ベットに横たわっていて、携帯も近くにない。

それに、あの海なんてこれっぽっちもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「なんだったんだろうな......夢って事でいいん.....だよな?」

 

 

 

 

 

 

 

夢にしては結構リアルだったような......

でも、大切な事を思い出せた。

それだけでも、あの夢に感謝しないと。

 

 

 

 

 

 

それと、一人で抱え込まない約束、か。

 

 

 

 

 

 

 

あの少年の前で言えなかったけれど。

約束する。

絶対に抱え込まない事。

少年が思い出せてくれた大切な事。

その恩返しってわけじゃないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「明日、海を見に行こう。」

 

 

 

 

 

 

 

そう小さく呟いた俺の声は、部屋に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く。




次回予告



真木はニーゴのみんなと共に海辺に向かう。
そして、真木は言う。
自分が、好きなものを思い出せた事を。
そして、一人一人にありがとうを伝える。
日々の感謝、あのセカイから救ってくれた事を。





次回「ありがとうをみんなに」





瑞希、奏、まふゆ、絵名。
救ってくれて、ありがとう。





▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。