仮面ライダーナイトメア   作:ケーニッヒ

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pixiv様からの転載はひとまず今日はおしまいです!

だいぶ長いお話になる予定ですがぜひ、お付き合いください。少しでも面白いなと感じてくれたら評価やお気に入りの登録など、よろしくお願いします!モチベーションに繋がります!


第一夜:Nightmareは突然に!#3

ここは対・夢喰い討伐機関Dear、ドリームイーターアヴォリッシュレイダーズ。研究により一連の精神喪失事件が人の夢を精神ごと喰らう怪異、バクによるものだと突き止めた政府が極秘裏に結成した組織である。

 

「港周辺にてデイドリーム空間の発生を確認。深度は2、バクの発生は確認されておりません」

 

「警備会社より提供を受けた監視カメラの映像です。深度2という事もあり現実とデイドリーム空間との差異は微々たるもの。常人ではまず気がつかないでしょう」

 

暗い会議室、モニターの明かりのみ光源にライフルにプロテクターで武装した集団の中央には白いスーツの男女。

 

「すごいね。夢と現実がクロスする時代、来たか。人を食べちゃう怪獣付きで、ね」

 

白いスーツのメガネをかけた青年がモニターを眺めて真面目な顔をしつつ飄々とした態度で呟く。

 

「感心してる場合ですか?すぐに付近で働いている人達の避難をしないと精神を悪夢に閉じ込められてしまいます。そうなっては今の我々では……」

 

青年の隣に座る小柄な女性が真剣味に欠ける青年の態度を非難する。しかし、青年もまた負けてはいなかった。

 

「出水、静粛に。誰も見ているだけとは言っていないよ。キミ、これ、どうやるんだっけ?」

 

青年はコンピュータの使い方が分からないらしく近くにいる武装した隊員に尋ねる。

 

は、と一つ短く返事をした隊員がコンピュータを操作すると会議室らしき場所の中央には立体視でベルトのような物体の映像が映し出される。

 

「皆、こいつを見てくれたまえ。現在、我々、Dearがバクに対抗すべく開発中のアイテム。ホープライターシステムだ」

 

ベルトの横には騎士を彷彿させるような白銀の装甲と優美な白いマントを纏った戦士の姿。

 

「現段階では量産は不可能だが配備された暁には今以上に僕達Dearの希望の力となるだろう」

 

「ホープ……ライダーシステム……」

 

先程、出水と呼ばれた女性が立体視で映し出されるアイテムと戦士を見て呟く。

 

「あ、ちなみに君達のじゃないよ?この希望の力を使うのは……僕だ。だいぶ胡散臭いルーツだからね」

 

「胡散臭い?」

 

「ナーイショ♪さ、ブリーフィング終了!出動だ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「その荷物、そっちのパレットに降ろしてくれ」

 

「うっす!」

 

先程、Dearの議題に上がっていた港の倉庫の外。作業員たちが額に汗を流して働いていた。あちこちに段ボールの山やコンテナがあり物の密林状態である。

 

「ん?何君、こんな所で何してんの?」

 

一人の作業員が荷物に持たれて足を伸ばし地面に座り込む少年を見つける。紫色の白目を剥いて吠える狂犬のパーカー、頬にはダイヤの入れ墨。

 

「ポテチ食ってる。おっさんも食うか?」

 

少年は顔を作業員と合わせる事なくポテトチップを一枚作業員へ差し出す。作業員はそれを受け取りパリッと一口食べてから叱り始める。

 

「いやいや!危ないから他所行って!おじさん達ね!忙しいんの!君みたいな子にかまってられないの!」

 

「へぇ〜そうか。んじゃ、今日からここは俺らの遊び場だ。悪いな、おっさん」

 

「えっ?何言って……?」

 

倉庫の外に黒い瘴気が立ち込め地面から黒い粒子状の物体で身体を形成した人型の化け物が現れる。

 

「当分のメシだぞテメーら!一人残らず連れて帰れ!」

 

少年の声に応じて猫が喉を鳴らす声に似た、それよりも遥かに気色悪い声で返事をし、シルエットは人影その物だが顔は無くゾンビのようにウネウネと動き回る。

 

「う、うわぁぁぁぁ!バケモンだぁぁぁあ!」

 

当然、倉庫は大パニックに陥った。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

あのデイドリームとか言うよく分からない場所に行って一晩。僕は国木田さんに再び、あの喫茶店へ呼び出された。

 

「らっしゃーせー、開いてる席どぞー」

 

いつものボンヤリとしたウェイトレスさんがコップを拭きながらやる気なさそうに案内してくれる。

 

「あ、いつものお兄さんだ。いつものおっちゃんならいつもの席だよ。あっち」

 

「アバウトだね……うん。ありがと」

 

「来たか、ノゾ」

 

「こ、こんにちは……」

 

「ハッ、ガキの頃から一緒に住んでんだ。今更丁寧なご挨拶なんていらねぇーよ。ま、座れや」

 

国木田さんにすすめられて席に着く。

 

僕には両親がいない。昔は居た。本当に幼い頃。

 

でも、死神が連れて行った。僕の目の前で。

 

国木田さんは生前、父さんと唯一無二の親友だった。

 

昔、父さんと交わしたもしも父さんと母さんに何かあった時は僕を頼むという約束を律儀に守り僕を大人まで育ててくれたんだ。

 

高校卒業してすぐ国木田さんの勤める会社にコネで入社したんだけど重度の睡眠恐怖症と不眠症が祟って、更に内向的な性格も相まって業務成績は最悪。

 

これ以上、失敗を重ねれば僕はきっと国木田さんの顔に泥を塗ってしまう。その前に国木田さんの勤める会社を辞めようと思いたったんだ。

 

今日はきっとその話の続きだ。

 

「んで……ちっとは頭冷めたか?」

 

「い、いえ……僕はやっぱり……」

 

大事な話を遮るかのようにあの子がお冷とおしぼりをテーブルに並べる。

 

「ご注文お決まりでしたらお手元のボタン、電池ないのでカウンターまで来るか、大声で叫ぶ、で頼みます」

 

「はっ!相変わらず自由な嬢ちゃんだぜ。俺はいつものブレンド。ノゾ、お前はどうする?」

 

「僕は……」

 

ホットココア、そう言いかけた瞬間。

 

「ホットココア。ね?了解」

 

「え?まだ何も……」

 

「え?違うの……?」

 

「いや、違わないけど。僕はいいけどお客の注文勝手に決めるのは流石にどうかと……」

 

あれ?この感じ、どこかで……

 

「僕はいいけどって……なにそれ……ふふっ、ウケる……」

 

この笑い方……

 

「き、君!どこかで、会った事、ない!?」

 

思わず立ち上がり、彼女に詰め寄ってしまった。

 

昨日、変な夢から僕を助け出してくれた変な子だ!

 

「……それは、あるでしょ。ほぼ毎週来てんじゃん。お兄さん達」

 

「ま、まぁ、それはそうだけど。違くて!変な夢の中っていうか……」

 

この反応……何?やっぱり……夢?

 

「……もう行くね?コップ拭き、残ってるから」

 

「あ、ご、ごめん……変な事言った……」

 

少女はまた、カウンターへ戻っていった。

 

「オイオイ、なんだ今の。ナンパか?どう見たって未成年だ。確かにキレイな嬢ちゃんだけどよ」

 

「ち、違うんです!こ、これには訳が……!」

 

そ、そうたよな。

 

ほとんど他人の女の子にいきなり昨日夢で会ったねなんて言ってはいそうですねなんて答える人はいない。

 

で、でもあれは確かに夢なんかじゃ……

 

「ウッ…!あ、頭が……!」

 

「お、おい!ノゾ!どうしたってんだ急に!」

 

──目覚メロ、目ヲ覚マセ。

 

ま、また……お前か……!

 

で、でもどうして……今は現実だ。夢じゃない……!

 

──悪夢ヲ、求メヨ。光ヲ、求メヨ。

 

悪夢……光……?な、なんだそれ……!

 

「アレ……なんか、眠く……」

 

僕は眠りについてしまった。なのに、足は立ち上がり、ユラユラと喫茶店の外へ出ようと進み始める。

 

意識が……

 

「お、おい!ノゾ!どうしたってんだ!何か言え!おい!大丈夫なのか!」

 

国木田さん……叫んでる。

 

何を言ってるんだ……?

 

聞こえないや。

 

カランカラン。扉の鈴の音だ。綺麗だな。

 

この扉の先は、どこへ続いてるんだろう?

 

「店長。私、ちょっと出掛けるね」

 

少女が厨房側のカウンターの椅子に腰掛け本を読む執事のような格好の青年に許可を得ずにエプロンを取り、パーカーを羽織る。

 

「あぁ。行っておいで。今日は寄り道をしないでまっすぐ帰ってくるんだよ?」

 

「あー、マスター。お勘定!ったく、ノゾの奴どうしちまったっていうんだいきなり……」

 

国木田が乱暴にポケットから財布を取り出すも、マスターと呼ばれた男は本を読むのをやめず国木田には目もくれず一方的に話し始める。

 

「国木田さん。今日の所はお代は結構です。……が一つ、ご提案がありまして。聞いてくださいますか……?」

 

「あ?提案?」

 

「彼、夢宮 望くんをこの夢幻館に借り受けたい」

 

続く

 




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