黒疾風   作:バトクロス

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お久しぶりです。遅れて誠に申し訳ない……今までの話の誤字脱字、並びに無理な展開一部を編集しました。多少流れが変わって居るので一話から読むのを推奨します。


黒拳、ついでに黒猫

「一時的にとは言えファミリアの資産、結構飛んだわね。」「誠に申し訳有りません……しかしこれでイシュタルから回収した資金とこのファミリアの資産によってギルド主体の裏孤児院の計画が発足し始めます。」「確かに新聞にその様な記事が載っていたな。」

 審判から3日後、アストレア・ファミリアは遅めの朝食を食べながら孤児院の話をしていた。今日の朝食は軽く焼いたパンとベーコンエッグ、それと野菜スープ。翡翠が食事を作り始めてからご飯が美味しいとアストレアは言っていた。

「それにしても団長が会っているらしい情報提供者、そして依頼人は誰なんだ?裏孤児院の話の時も思ったがそもそも自分は会ってはならない存在なのか?」「そうですね、現状貴方の言っている人物は秘匿性の高い人物です。もう少し彼方の信用を得てから会いに行きましょう。」

 罰金は1500万ヴァリス、因みにウラノス達から、後日割の良い依頼を斡旋すると連絡が有った。フェルズ曰く『契約通りだとしてもこちらから依頼を出して依頼を達成したのにも関わらず、そちらが酷い不利益を被る状態なのは良くない。ちゃんと補填する』との事だ。

 

 

「最初から気になっていたことだが、リオン嬢は何故孤児院を重要視するのだ?他にもスパイを送り込むなら方法は有るだろうに。」

「目的の為でも有りますが、正直な話アーディ……掛け替えのない友人を失うような事は有って欲しく無いのです。あの時は闇派閥(イヴィルス)との抗争で孤児だらけだった。その孤児達を拾い上げる事が出来れば闇派閥(イヴィルス)に自爆兵として使われる事は無かった。」

「……リューあの時誓った、自分の正義は覚えている?」

「勿論、忘れる事など出来ません。それに、あの誓いはまだ()()()()()()()()()()()。」

 そんな話をしている中、玄関のチャイムが鳴った。

「私が出よう。」

 朝食を食べ終わっていた翡翠が席を立ち玄関に向かうなか「……このホームもまだ寂しいですね。」玄関で誰かと話している斑鳩を見ながらリューがポツリと呟いた。

 

 

「手紙です。リオン嬢宛の用です。」「私が代わりに読みましょう。」戻ってきた翡翠の手には手紙が握られていた。

 食べ終わった朝食をかたづけているリューの代わりに内容を読んだアストレアは、顔を上げながら「イシュタル・ファミリアのターゲットの一つだった『タレイア・ファミリア』の団長から近頃話をしたいと連絡が来たけど、リューはいつ頃なら行けるの?」とリューに尋ねた。

「……5日後には行けるかと。今日はあの黒拳と黒猫に用が有るので。」「危ない橋を余り渡らないのよ。」「知らなくても良い事かもしれないが黒拳と黒猫とはなんだ?最近来たばかりなのでな。」「まぁ……後々教えます。」

 片付けが終わったリューとアストレアが会話をしていると何も知らない翡翠が質問をしたが誤魔化され、多少疑問に思ったものの翡翠はそれ以上聞くことをせず話は終わった。

「翡翠、返信を頼めますか?」「了承した。」

 返信を翡翠に押しつけるとリューは外へ向かった。

 

 

「ちゃんと脅された通りにしたじゃない!何でまた来るの!」「それで全て終わったと思って居るのですか?」「終わらせてちょうだいよ!」

 黒拳ことルノア・ファウストの住処をあらかじめ調べていたリューは彼女の住むぼろアパートに突撃していた。

「まぁ落ち着きなさい、今回は貴女に取引を持ち込んだだけです。」「取引?正義の使者が?」「ええ。暗黒期の被害を拡大させた一員でも有る賞金稼ぎと暗殺者には未だに恨みは有りますが……それとこれは別です。」「とりあえずお茶持って来るから。」

 案件を伝えて多少落ち着き、紅茶を注ぐルノアにリューは要件を話し始めた。

「一つは貴女に今神の恩恵(ファルナ)を与えている神を教えて頂きたいと言うことです。」「……教えた場合どうするつもり?」「邪神なら排除、善神なら対話して要求を飲んで頂きたいだけです、貴女はフリーランスの賞金稼ぎですよね?」

 一方的に自分の要求を突きつけるリューに対し、ルノアは苦虫をかみつぶしたような表情をしながら「拒否したらどうするつもり?」と聞いた。

「背中引っ剥がして、薬でステイタスを強引に見せて貰う。」「貴女本当に鬼畜だね!デメテル様だよ!」「さっさと言えば良いのです。それにしても神デメテルですか……」

 真顔で犯罪スレスレ……と言うか犯罪行為を行うと発言され、直ぐさま口をわるルノアを見ながらリューは頭を回し始めた。

(神デメテルか、文句なしの善神だが何故賞金稼ぎにを神の恩恵(ファルナ)を……)「何考えているかは分かっているつもりだから言うけど、デメテル様は賞金稼ぎの事は何も知らない。多分薄々気が付いているから一緒に農業をしようと言ってくれていた。」

 思考を遮られ、更に頭の中の思考を読み取られたリューは多少驚いた。

「……よく分かりましたね。何故?」「だって貴女謀略についての未熟さをポーカーフェイスで取り繕っているだけだもの。脳筋寄りの自分でも、裏の世界だと多少は分かるように成るよ。それでも自分は未熟だけどね……でも貴女が本来そんな人間じゃ無いって分かるよ。」

 ほぼ初対面で見破られる自分の未熟さを感じながら話が早いと思い、リューは取引を切り出した。

「先程言った取引……本題ですが、簡潔に言います。貴女にアストレア・ファミリアの()()になって欲しい。」空気が凍った。

 

 

 ルノアは驚愕し、混乱の極致にあった。

(何で賞金稼ぎの私が、さっき自分で賞金稼ぎには恨みが有るって、第一正義の派閥に居るよう人間ではない!)思考が錯綜し、纏まらない状態で辛うじて「何故私の様な元賞金稼ぎを?」とだけ聞くことが出来た。

「表の世界では存在しない上級冒険者レベルの戦闘力、対人戦での経験値、そして前回私の偵察に来たときに確認した以外にも真っ当な人柄……理由は他にも色々と有ります。しかし一番の理由は闇派閥に対して私がやり過ぎたせいで、私のホームに入団試験を受けに来る人間に真っ当な人間がいないのでその中でまとも寄りだった貴女を雇いに来ました。」

(結局戦闘能力目当てね。もう荒事は辞めたいのだけど。)思わず溜息が出そうになるのをこらえてルノアは返答した。

「悪いけど私は今までこんな生き方しかしてないし、そっちに今更付く事は出来ないよ。顔もごく少数とは言え知られている。」

 

 

(やはりそうなったか、ならば()()()()()だな。)

「分かった、それは諦めよう。」「なら良かった、はっきり言って今目の前に貴女が居るのは怖いの。」

 あっさりと話を取り下げたリューに対して安心したルノアはさっさと家から追い出そうとした。

「まぁ待て、幾つか聞きたい事が有る。」「何よ」「もう数分で良いから話を聞いてくれ。」リューを追い出そうとしていたルノアは露骨に嫌な顔をし、しかし追い出すのを一度辞め、再び話を聞く耐性になった。

「もしよければ正式にデメテル・ファミリアの一員になってくれ。」「それだけ?もともと暗黒期はあんたの行動によって終わった。後始末も私に幾らかさせた。これ以上はもう賞金稼ぎの仕事は出来ないからもともとそのつもり。」

 何を言うかとが身構えていると、そんな言葉が飛んできて怪訝な顔をしながらルノアが返答すると、リューは安心した顔で続きを言った。

「良かった、それと必ず何らかの理由を付けて月に一度私の所に来て()()()()()()()()()を伝えてください。」「はぁ!?」「叫ばないでください。」

 オラリオ屈指の善神を疑う様な言動をするリューに驚愕するなか、リューは声を落として説明を始めた。

「デメテルを疑っているのでは無い。ファミリアの構成員を疑って居るのです。彼処は珍しいオラリオに自由に出入り出来るファミリアで構成員も多い。戦力は多くないので乗っ取りとかもし易い。色々な点で闇派閥(イヴィルス)に狙われる可能性が有ると私は考えています。」「考えすぎだと私は思うけどね。分かったそれ位はしてあげるよ。」

 今度こそ話が終わったリューは部屋から出て行った。

 

 

「これ黒猫と同様に黒拳もファミリアの監視員として送り込む事が出来た。神ニョルズと神デメテル、何方も善神だ。願わくばこの判断が必要ない事を祈ろう。」


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