1話
目が醒めるとそこは雪山の中だった。辺りは真っ暗で何も見えない中、ただ冷たい風が体に張り付いていた。その中で一人の少女はこれまで何があったのか思い出していた。
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「ねえ、生徒会長て権力は無いくせに仕事だけたくさんあるのは何故なの」
エメラルドグリーン髪を小さめのツインテールにした少女はそうため息をついて机の上に突っ伏した。
『そりゃ生徒会長は生徒の代表だからね小さなことから大きな事まで色々と支えなきゃいけないのっさ』
眼帯を嵌めたウサギのパペットはまるで社会の重みを知るサラリーマンのように悟った気分でいた。
「七罪ちゃん少し休憩しようね。」
サファイアの目と髪の色をして片手にパペットをつけた少女は優しくうなだれた少女に声をかけた
そう言って軽く茶菓子とお茶を持ち込んでお菓子を並べ始めた。それぞれお茶からはほんのり湯気が漂っており、お菓子は甘いクッキーにチョコレートをコーティングされたものだった。
「やっぱ四糸乃の汲んでるお茶は格別よね、結婚を前提にお付き合いしたい。」
「七罪ちゃん・・・・・・・・・・・」
『もう、七罪ちゃんたら四糸乃のことたら仕込んじゃって、お父さん許しませんからね四糸乃の貞操は士道君にしか許さないんだから』
ウサギのパペット髭を手入れしながらそういった。
「冗談だってば、フンコロガシも避ける私にお菓子恵んでくれんだもんそれだけで嬉しいわよ。」
「あ、ありがとう七罪ちゃん」
前に比べると冗談を言える程改善してるのだが今でも少し間があるとネガティブになる所はまだ改善していないようだった。
電話の音が生徒会室に流れてきた。
「ごめん、私みたい」
七罪は携帯の画面を確認すると琴理と表示されていた。
「今すぐそこから離れて!!」
「どうしたの急に」
「空間震に似た予兆が観測されたのあなたの学校の生徒会室で」
「え?もう空間震は起こらない筈じゃ」
最後のまでその言葉は届かなかった。突如空間が歪み始め黒い渦を作り出した。そこから骨の手のような物が七罪の身体を捕まえようとまるで蛇のように這いだして襲いかかった。七罪はそれに上手く反応が遅れてしまい。その手に捕まった瞬間、意識が途切れてしまった。
その直前に七罪さんと呼ぶ声が聞こえてきた。
吹雪の中を彷徨ってきてどれくらい経ったのだろうか。目の前には黒づくめの集団が大きな荷物を背負い歩いているのが見えた。私はその事に気づくと咄嗟に木の影に隠れて聞き耳を立てて様子を見始めた。
人が怖いからというものではあるのだが、それ以前に彼らから何だか嫌な雰囲気を感じたのだ。
「本当にここで見かけたのか?脱走者を」
「ああ、何でもこの森に逃げ込むところを監視に教えたらしい。馬鹿な奴だよ感染者に売られたとも知らずにこの山を越えようとしているかもな」
しかも同じ感染者にだ。と一段はドット一笑いするとまた歩みを始めた。
「感染者?監視?こんな山の中に病院があるっていうの?」
だが彼らの格好は腰のベルトにはいつでも取り出せる斧と背中には銃を背負っているのを見た。まともな病院であるはずがないそれどころか収容場に近いものでは無いかと彼女は感じた。あいつらと鉢合わせないようにしよう、それは彼女が出した結論だった。彼女自身のネガティブさがその行動に正しさをもたらした。
そしてアイツらをやり過ごしてそのまんま奴らの来た方へと足を進めた。
歩き始めるといつの間にか吹雪は止んでおり辺りの景色が見渡せるようになった。遠くから二つの場所が見える一つ目は炭鉱の採掘地の所、二つ目は小さな町だった。どっちも遠くからでは人が見えずに少し安心感を覚えてしまった。まだまだ癖が抜けてないらしい。
「普通、ゲームなら街で情報を集めるのが筋よね採掘場だとモンスターに鉢合わせしそう」
出来るならRTAのように早くこの場所から抜け出しで士道の料理にありつきたいのだが見渡すと天宮市でも無いわけだからまだまだ先になるようだ。
これからも拠点を作ることも考えて街に向かう事にした。
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私はあの寒い冬の山の中で遭難したことを思い出していた。後に彼らが軍隊の隊員だと知った時は驚きを隠せなかった。人を美化しすぎたのだろうかそれとも日本というぬるま湯の中で生きてきた事を実感した。そして入った街が移動する都市であることも知り、驚きを隠せなかった。この世界は天災にという超常現象のような物に襲われるらしい。そのために街に車輪が付いてエンジンを吹きそして変形合体もするのだと知った。漫画ばかり読んでた自分としてはこのような物をマジかで見られるとは思わなかった。少し興奮してきた。ラタトスクと技術は違うがこれもオーバーテクノロジー私はしばらくの間、この高揚感を大事にしていた。さてそろそろ私の話に戻ろうあれは私が街に入り放浪している中、とある夫婦に拾われた時の話だ