称号【縁の下の力持ち】獲得RTA   作:RTA大好き侍

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RTAが好きです。
アクタージュが好きです。
RTAアクタージュが大好きです。
要するに発作(ほっさく)です。


scene1

 

 

 

才能ある若者の背中を押してさすって労うRTA、はぁじめーるよー。

あいつはワシが育てた…(唐突な親面)

 

 ちなみにうちには(淫夢要素は)ないです。本RTAはノンケの方向けなのでノンケの方以外は頭が壊れちゃう〜^ 前にお帰りください。帰って、どうぞ。(豹変

 

 今回走るゲームを発表したいと思います。今回走るゲームはタイトルを見た皆様ならばご存じであろうこちら!『アクタージュ 演劇奇譚』…の改良版である『アクタージュ 演劇奇譚+』でございます。

 開発者さん達はZEUSUなのではないかという噂が発売当初立ったほどの豊富なルート分岐、秀逸なシナリオ、そしてオープンワールドレベルの自由度。この三つが揃って今なら何と税込7100円!チーズ牛丼の並が約12.5個買える値段です。お得だぁ…(惚れ惚れ)

 

 本RTAで走るのは無印ではなく改良版なのですが、これには理由があります。無印版と改良版では僅かに画質の良さやボイスの質等に違いなどがありますが、結局どちらも一般ノンケにとっては供給過多になるほどルートが豊富です。豊富すぎてRTA中に違うルートに行くことも珍しくありません。あなた達(製作者達)中々やるじゃない…(憤慨)

 

基本的にルートの数やらシナリオ、エンドの数はほぼ一緒なのですが、数個ほど追加された物があります。私が今回走るのはそれです。ですので私と一緒に走りたい方はお高い改良版の方を、じゃけん買いましょうね〜。ふーん、リッチじゃん(感心)

 

いやまぁ、実際買っても損はしないと思います。学生で長期休み中暇な方とかはオヌヌメします。夏休み全部使っても多分全ルート制覇全エンド回収無理だと思います。ちなみに私は全然無理でした(1敗)

 では、そろそろ早く始めろやおらぁんとせっかちなホモの方達がキレてしまうのでキャラクリエイトを背景に今回走るRTAの説明に入りたいと思います。

 

 私は今回『縁の下の力持ち』の称号を得ながら、『知られざる秘密の相棒』エンド獲得を目指して走ります。秘密の相棒…えっちいのは嫌いです(涎)

……冗談はさておき。今回私が走る物は正直言ってこのゲームの中では上位に入るほど簡単な物です。ぶっちゃけ、初心者さん向けに改良版で追加されたルートなので、脳死で走ってるだけで勝手に終わります。

 

大雑把に詳しく伝えますと(矛盾)、『縁の下の力持ち』の称号はアクタージュ原作キャラの誰かを何度も慰めたり元気づけたりすれば獲得できます。無論、物語のキーを握るレベルの主要キャラじゃなくても良きです。ゴジラや天使の好感度調整をヒヤヒヤしながら行って苦労し尽くして初見は取ったのですが、すぐ後にwikiでこの情報を見たときはゲオるか迷いました。

 

そして『知られざる秘密の相棒』のエンド回収条件は、役者や俳優といった芸能人にならずに原作キャラを支えることです。

 つまりです。このゲーム屈指のRTA殺しで有名な2台巨頭の管理に怯えなくていいのです。どうです、最高でしょう。最高ですよね。最高だぁ…(自己完結)

 たかが女の子二人に怯えすぎじゃないかと言う人がいるかもしれません、甘いです。ハゲーンダッツの抹茶味より甘いです。

 

 純粋な天然少女の皮を被った好感度測定難儀モンスター。要所要所の文で少しは特定できるんですけど、あのゴジラいかんせん現在時点の好感度が読みにくいんですよ。突然コミュ取ってきたと思ったらなんか急に好感度が上に下に動き始めるんですわぁ…点Pと一緒に落ち着いててくれませんかね。控えめに言ってキレそう(365敗)

 

 かたや天使はどうかと言われれば、ゴジラとどっこいどっこいです。これまた突然コミュ取ってくるし、いかんせん天使の仮面のせいで会話の意が読みにくいんですよねぇ…役者ってみんなこんな感じなの?(困惑)芸能界伏魔殿すぎません?(震え)

少し好感度調整をミスればあっという間に修羅がご降臨します(265敗)

(リアル羅刹女はお呼びじゃ)ないです。お出口はあちらに…あ、絶対に帰らない?そっかぁ…(諦念)

 

 アクタージュが原作となっているゲームだけあって、このゲームのルートやエンド、称号実績解放条件のほとんどは役者や俳優として活動することが前提になっています。その証拠にこのゲームを走っているニキネキ達はほとんど主人公ちゃん君を表立って活動させてあげています。

 で す が。私は当然そんな修羅の道を進みません。日常生活をのほほんと暮らしながら、某ウルトラマンイケメン俳優と平和条約を結んで裏方から支えるんや…!やっぱりホモじゃないか(歓喜)

 

 試しに何度か走ってみたのですが、いやぁ…平和です。あまりの争いのなさに驚いた自分に驚いたんだよね(ひ○ゆき)

 こんなに平和なのに誰一人として走者がいないので、私が先駆者になろうと思います。ちなみに私はサウナ嫌い派です。

 結構チャート通りに行けば最速で走れると思うので、ご期待ください。自由なゲーム故にトラブルで多少のガバはあるかもしれませんが…許して(はぁと)。なんでもはしません(仁王立ち)。

 

 

…………まぁ、多少何かあっても走者は私だけ。つまりは約束された最速の称号。金メダル確定…勝った!第三部完!

 

 

 キャラクリ終わっちゃっ…たぁ!

 

さぁ、私と共に勝ち組コースを走る子の名前は本庄 元志君です。略してホモですね、勿論男です。容姿はRTA故ランダムなのでゲーム開始まではわかりません。おら、ワックワックすっぞぉ!

え?容姿をランダム設定にしておいて何にそんな時間かけたのかって?名前に決まってんだろいい加減にしろ(半ギレ)

あっ、ちなみに何故性別が男かは後で説明します。せっかちニキは座布団に座ってもろて。もちろん正座でな!(暗黒微笑)

 

タイム計測ボタンはゲーム開始時と同時に押します。

 位置についてよーい…スタート〜。

 

 

 それでは小鳥の鳴き声を聴きながら皆さま大好き才能ガチャの時間…なのですが。ぶっちゃけ今回のRTAだと割とどうでもいいんですよね。体力面とかで補正のかかる『運動神経 Lv○』とかはあれば当然嬉しいですが、性別男性を選んだことによって結構鍛えられちゃいますし。別に芸能界とか行かないので『魅力 Lv○』は高くなくてもいいですし…無論、演技系スキルは(いら)ないです。

 

 これも本RTAの良いところです。他のRTAだとそのルートによって必要とされるスキルやらがあるので、どうしても厳選に時間を割いちゃうんですよね。私は一回沼にハマって30分ぐらい厳選作業に浸りました。タノシイ……タノシイ……(200敗)

 どのスキルが出るか、レベルはいかほどか。そんなドキドキハラハラ感を味あわず済むのはいいですよぉ…これ(笑顔)

 

 

 ちょっと待てぇい(江戸っ子)

ギャンブラーニキ・ネキがブラウザバックしそうな気配がしたので、画面を止めて一応補足を付け加えておきます。喉から手が出るほど欲しいスキルは無いのですが、これはあったらいいなというスキルは一応あります。

 

主人公の心身や、コミュ力に補正をかけるスキルです。

 前述したような、『運動』はホモ君の身体強化。純粋に体力や筋力等はいくらあっても困りませんからね。多少のガバならごまかせたりもします。

 『話術』はホモ君のコミュ力強化。コミュニケーションはメンタルケアに必須も必須ですからね。純粋に世渡りが上手くなるので、少しガバ等をしてもこれまたごまかしが効きます。

 あとは…少し微妙ですけど『精神力』ですかね。ちょっとやそっとのことで傷付いたりしなくなります。

役者を目指すうえでは心無い言葉や周りとの才能の差などに耐えるために必要なのですが、今回は…なしよりのありです。

 

 

さて、あんまり長々と説明しても画面の前のニキ・ネキ達が寝てしまいかねないのでそろそろスキルを確認しましょうか。

 ステータス…オープン!

 

 

 

………

えーっと、まず『魅力Lv4』ですか!高すぎず低すぎず、それでも一般人にしてはイケメンかな…ぐらいですね。

 いや、めっちゃいいです!変に高かったり低いと好感度調整にガバができたり、変な業界人やお店にスカウトされたりして時間を食わせられるので。少しいいぐらいだと顔の良さで少し地雷を踏んだりしても許されたりするので、魅力レベルの高さの恩恵だけを一番受けられます!役者ルートなら少し微妙なんですけど、今回は当たりも当たりです。いいぞ〜^これ

 

 コォレには私も画面の前の兄貴姉貴も興奮マックスですねぇ…ノンケは素直に喜びます。変に勘ぐったりなんかしません。運は収束するなんていう考えは知りません。知りたくありません(本音)

 

さぁ、、目当ての運動は……!ありますねぇ!ありますあります!しかも『運動Lv4』!?『話術Lv3』!?

…やばいですね、私死ぬかもしれません。人口呼吸をお願いします…私はノンケなのでネキがいいです(強欲な壺)

 てっきり魅力や運動で良い引きをした分、話術の恩恵は得られないと思ってました。

 

で☆も☆?

良くてLv2とかかなと思ったらしっかりと平均通りのLv3ですよ!すごくないですか!?すごい!!(自画自賛)

勝ちましたいやこれ勝ったと言っていいでしょ!過去最高のスキル欄ですよ…スクショしてぇ……しちゃった♡(事後)

 

 

 うん?(スクショ確認)

…あー(画面確認)、でもその代わり今回取ったキャラクター専用の特殊アビリティ、『適材適所』は悲惨ですね…でもLv2あるなら使えなくはないか?

本来RTAならもっとステータスを上げやすくしたりするような、後に大きく響く特殊アビリティを取った方がいいのですが…今回私は『適材適所』を選びました。

 適材適所の説明は端的に言うと、一週間に一回だけ主人公君…つまりホモ君が最速で最善の行動を考え行動してくれるというものです。

 

 数学の課題の途中計算で困った時に出す電卓みたいな存在だと思ってくれればいいです。言ってしまえば一時的なその場しのぎにしかなりません。そのため中々他のアビリティに比べ不良品のレッテルを貼られているんですが…今回は採用しました。

 平和な今回のルートでは滅多に緊急事態が発生しません。なので変にステータスを上げやすくするよりも、回数の少ないかわりに正確に答えを導いてくれるセーフティーバー的アビリティの方がいいかと思ったので、今回採用しました。

ちなみにですが、このアビリティ結構優秀で試走では中々活躍してくれました。

 脳死でガバかましてホモ君にケツ拭かせるの気持ちよすぎだろ!(畜生)

 

 あれ…ていうかそもそもホモ君のステータス、スキルの上昇分無くても何か高いですね…これ一般家系です?

 一般家系の素人にしてはやけにステータス高いですね。もしや芸術家系とかでは?二世…いや、にしては低いな。

このゲーム、主人公の取り巻く環境をランダムで決めるんですよね。種類としては一般家系、芸術家系、二世の三つです。

 

当然開発者(へんたい)がただの設定で終わらせる訳がなく、芸術家系だと芸能界にデビューしやすかったり、二世だとステータスが全体的に高水準であったりします。

 一般家系のメリットは何かと言われると…ワンチャンではありますが原作主人公と絡めるところかなと思います。幼馴染であったり仲のいい友人であったりと、立ち位置こそ分かりませんがたまにキャッキャうふふできます。

 原作が大好きで、なおかつ主人公こと夜凪景ちゃんが大好きな人は一般家系が最高だと思います。特殊スキルの『メソッド演技』を獲得、かつ鍛えられるためRTAでも接触するのも全然ありです。めっちゃくちゃ確率低いんですけどね。

 

まぁ、今回は(いら)ないです。

というかマジで喜んで周り見てなかったです、『メソッド演技Lv4』ありますねホモ君。何してんだコイツ?(辛辣)

 …何か、一般家系じゃなさそうな匂いがしますねぇ。できれば一般家系の方がいいんですけど…少し不安です。そろそろOPが終わるのでムービーに全集中ッッ!!

 

 理想は一般家系に親族が芸能関係!一般家系オンリーでも全然オーケー!

 

 

 

 

 >あなたはカーテンから零れた朝日によって目が覚めた。

 >ボロボロのベッドから飛び降りると、寝ぼけた顔を洗いにリビングへと向かう

 

 

……ん?

これって…あれ?

 

 

 >冷水に気が引き締まるのを感じる

>今日も一日頑張ろう、大きな破裂音が鳴るほどあなたは頬を強く叩いた

 >…少し痛い

 

 

えぇ…(困惑)

ホモくんなにやってんですかね…って、じゃなくてですね!

 何百回も色々なRTAを走ってきましたけど、このゲームを購入してから初めてみましたよあんなムービーと文!

文的に見るに一般家系確定の文と似ているので一般家系…なんですかね?ベッドがボロボロになっている描写なんて一度も描かれたところを見たことないのですが…?というかめちゃくちゃボロボロだったな、掛け布団とかデカい雑巾ですかあれ?(心無し)

 

 …家の様相を見るには一般家系ぽいんですけどねぇ。

めちゃくちゃ貧困なのかと思えば、全然家の中にある家具はしっかりしてますし、テレビとか私の家にあるやつよりでかいですよ、生意気(嫉妬)

なんか家具、床、壁ところどころに傷とか少し入ってますけど、人を駄目にするソファーとかあるし…富裕層かホモ君?あと動物飼ってる?しつけできてませんよ?

 

 

 >昨日の夜ご飯の残りを食べよう。顔を拭き終わったあなたはそう思い、キッチンへ向かった

 >冷蔵庫のラップに包まれた青椒肉絲を電車レンジに入れ、加熱を始める

 >コーヒーを飲みながら温め終わるった青椒肉絲を食べるあなた。なおコーヒーに砂糖とミルクは必需品だ

 

 はぇー、甘党なんですねホモ君。

なんかスカしてコーヒー(もはやカフェオレ)を飲んでいるのが腹立ちますが、あいにく私はホモ君のように暇ではないのです

 …何かまだムービー続きそうなので、その間に少し調べてみます。ムービーの進行をオート設定にして…失礼します。

 

 

………(攻略wikiチェック中)

……(完全攻略本チェック中)

…(ワザップ攻略チェック中)

 

 

……えっ、これバグなの?データ消せば治るの?

 

 

 >小さなノック音が2回鳴った

 >あなたはコーヒーを飲むことをやめない。どうせ彼女なら合鍵で勝手に入ってくるだろうからだ。

 

 >小さな足音が段々と近づいてくることに朝の訪れを感じるあなた

 >年頃の女の子なのだから入ることに遠慮ぐらいしてほしいと、虚空に問いかけるあなた。

 >返事は遅れてやってきた

 

「?私たち幼馴染でしょ?」

「今更気にする?そんなこと」

 

…危ない危ない。騙されかけるところだった…とりあえずワザップの人とは次回のRTAまでに法廷でオフ会するとして。

 

 

…………物凄く悲しくて叫びたい気分です。叫んでもいいですか?

…いや、さすがに朝っぱらからだと近所迷惑だから駄目ですね。そもそも人違いならぬアホ毛違いゴジラ違いの可能性もあr

 

 

 >こてんと首を傾げる天然幼馴染に困ったあなたは苦笑いを浮かべる

 >彼女の名前は『夜凪 景』。あなたと彼女は幼馴染である。

 

 

 >おはよう、そうあなたが微笑むと

 

 

 

「えぇ。おはよう、本庄君」

 

 

 

 

 >美しい黒百合が、静かな部屋で花咲いた

 

 

エンダァァァァァァァァ嫌ァァァァァァァァァ!

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 小さな頃から冷静で、周りを良く見れている人…だった訳ではない。

 いつも気を抜けばどこか遠くを眺めるような癖も、昔は確か無かったはず。

 元気で、明るくて、活発で、私も遊びに毎日誘われては、断っていた。

 

『えー。またあいつ誘うのかよ〜?』

『どうせ断られるっての。やめとけよ』

『私あの子苦手〜』

 

周りから見ればノリの悪い子で、冷たい子に見えただろう。

ある日、私も彼も小学校に通うようになってから数年が経ったころだった。

彼とその友達さんたちが私の陰口を言っているのを聞いて、私は悲しかったけど、しょうがないことだとも思っていた。

 

 女の子はまだいい。上手く会話をできる自信があった訳ではないけど。

男の子は…どうしてもダメだった。

 

 

 アイツが、チラつくから。

女の子の嫌い宣言に彼の周りにいる友達が自分も同じと次々と同調していく。

小学生になっても彼からの遊びのお誘いを貰っていた私は、安堵した。これでもう断らなくて済むって、思ったから。

 

 

 

 …そう思ってたのに

 

 

『マジ!?田中も!?えっ、佐藤さんも!?』

『俺は好きだけどな…夜凪さん』

『はぁ?何で?いっっつも遊びの誘い断られてるのに』

 

 訳がわからないと手を広げ、少し怒り気味に話す彼の友人。

彼の友人は彼のことを思って私に遊びの誘いを呼びかけることを止めていたのだと思う。実際、その怒りをあらわにした友達は誰よりも先に彼へ私を遊びに誘うことを止めようとしていた。

 

 きっとその優しい怒りを理解しているはずなのに、彼はずっと穏やかに笑っていた。

 その表情を見て彼の友人がさらに怒りの度合いをあげようとした時…彼はゆらりと笑って言った言葉。

 

 

『夜凪さんには失礼だけどさ、何となく思ったんだ。多分俺と、夜凪さんは…わがままで似たもの同士だと思うんだよ』

『…まぁ、俺よりもだれかに優しくしてそうだから。気のせいかもだけど』

 

 

 それ本物と彼偽物は、似ても似つかない

 年齢も、体格も、口調も、言語も、声も

 一から、百まで全部が全部

 なのに…ほんの一瞬。たった一瞬だったけれど、私は確かに見た

 

ゆらりと笑う彼の姿虚像が、確かに私がなりたいと思ったテレビのその向こう本物にあった。

 

 もしかしたら、ただの気のせいかもしれない。たまたま自分の知っている映画のよくある名言を彼が使いたくて使っただけなのかもしれない。事実、彼は照れ臭そうに笑って誤魔化していた。

 時を超えた話にはなるけれど、今では我が家でよく食事等を共にするぐらい彼とは仲良しになっている

 

 本人は嫌がって…ないわよね?多分仲良し。いえ、絶対仲良しって言い切れる自信が私にはある。私には。

 度々家に来てはバイトなどで忙しい私の代わりにとレイとルイの世話をしてくれたり、ご飯を作ってくれたりもした。彼の作る和食は何というか…優しい味がして好きだ。

 再現しようと何度か作ってみたのだが、これが不思議とうまくいかない。コツを聞いても『お母さんの秘蔵レシピだから他言無用〜』だとか言ってはぐらかされる。

そう、私の幼馴染は意地悪なのだ。

 

 

 …結局、私が見入ってしまったあの演技を彼はあの日以来行ったことはない。

 遊びの誘いを受けるようになってからは時折数回私の家で一緒に映画を見たり、役者ごっこみたいなのを遊びで行ったりもしたのだが…彼の演技は普通だった。何なら下手ね、ほぼ棒読みの大根役者だもの。

 今でも私に何か嫌なことがあったことを察した彼が気分転換にと役者ごっこをしようと提案することがある。しかし、その度にレイとルイに「…本気?」などと冷たい目で見られながら心配されて彼が落ち込むまでが台本だ。いつもは二人に懐かれているだけに対応の違いが面白くて、いつもクスリと笑っては元気をもらっている。

 

 あの時彼が言ったように、私と彼は似ている。

とは言っても全部が全部同じな訳ではない。私より彼の方が何倍も友達がいるし、身長も私より高ければ性格も違う。私と彼は赤の他人なのだから、違うところの方が多いのは当然。

 それでも、彼と私は似ていると思う。彼もお母さんを小さいころに亡くした上に、お父さんは姿を見せないのだという。

 

冗談をついたり面白い話をして楽しい空気を作る彼が、悲しそうな笑みを浮かべてかつて私にそう語ってくれた。

 放っておけば消えてしまいそうなほど、弱くにへらと笑った彼は、目を離せばどこかに歩いて行ってしまいそうだった。

 

 

「私は本庄君の幼馴染よ」

「…うん、知ってるよ?えっ、家庭の切り盛りでついに壊れた?飴ちゃんなめる?」

「酷くないっ!?私達は唯一の幼馴染なのに…飴ちゃんは頂戴」

「貰うんかい」

「何味」

「抹茶リラックス味」

「貰うわ」

 

本庄君ってばなんでやたらと落ち着いた味を好むのかしら。それによく私にもお裾分けくれるし、不思議だわ。大体美味しいからむしろありがたいのだけれど…うん、丁度いい甘さ。

 …なにかしら、本庄君ってば私の顔をジロジロ見たかと思えばため息なんかついて。人の顔を見てため息とか失礼にも程があるんじゃないかしら?親しき仲にも礼儀ありよっ!

 

「…そういうところは、本庄君の良くない所だと思うわ。私」

「いや、飴舐めてる時の夜凪すごい綺麗に笑ってたからさ。勿体ないなと思って」

「えっ、そんなに出てた?」

「うん、めっちゃ出てたよ。『美味しい…』って言葉が顔に書いてあった」

 

ペタペタと自分の顔を触ってみても、もう食べ終わった後だからか変化の違いを感じられない。そんな私の姿を見て今度はカラカラと面白そうに笑う彼。

 …私の幼馴染は意地悪である。

 

「そういえばレイちゃんとルイ君は?」

「朝ご飯は一緒に食べたわ。本当はもう少し経ってから来る予定だったのだけど、何か二人に家を追い出されちゃったの」

「それまた何で…まさか反抗期」

「早めに来ちゃったのかしら…でもまだお姉ちゃんって慕ってくれてるし、追い出される時も何か私のためって言ってたわ」

「うーむ?僕にも二人が何したいのかはわかんないな…とりあえず座りなよ。まだ時間あるしテレビでも見よう」

 

 促されるがままテーブルに座る。本庄君がテレビを付けると、朝のテレビコーナーで最近の子供特集をやっていた。

子供たちが自分達の特技を披露したり、優しそうな親が自分の子供のマイブームを動画付きで紹介したりしていて、ついつい心がほっこりと暖まってしまう。

 ちらりと本庄君に目をやる。テレビをじっと頬杖をついて眺めながらも時折顔を綻ばせていて、私と同じ気持ちを抱いているのは明らかだった。

 

『私の一人娘の最近のマイブームはおままごとなんですが、それが少し特殊なんです。少し設定がませていて…最近までやっていた昼ドラにそっくりなんですよ。夫役の人に恋人が二人いて、しかもその恋人が妻役の人の親友だったり過去にお世話になった高校時代の恩師だったりで、妻役の人は夫の浮気に気付いているものの子供がいるから別れられなくて−−−』

 

「……最近の子ませすぎじゃない?というかこれ朝の番組で流していいのか…?」

「何か…すごいわね」

「夜凪的にはどうなのこういう」

「嫌い」

「あら食い気味」

 

できるならもっと平和なのがいいわ。

こんなの見たら悲しくなっちゃうもの。

 

小さな機械音と共にテレビの画面が真っ暗になる。疑問に思い横を見てみると、本庄君はぐいっと体を伸ばしたかと思うと、すぐさま素早い動作で鞄を背負っていた。

 

「そろそろ行こうよ」

「まだ早くない?この時間からだと施錠されてるんじゃないかしら」

「ゆっくり歩けば大丈夫。軽い散歩混じりの登校も乙なものだよ夜凪君」

「…そう?」

「そう」

 

 諭すように大きく頷いてリモコンを近くのソファーに放り投げる本庄君。衝突音は鳴らずにふわりとリモコンはソファーのクッションに受け止められた。

そうして今度は私の背中を押しては無理やり外へと押し出そうとしてくるので、慌てて靴を玄関で履いて外に出る。

 

 

 活発で少しヤンチャでみんなを引っ張る太陽のような姿は、すっかり鳴りを潜めてしまったけれど。

 いつからか、遠いところを見てはため息をついて。誰かと話す時には元気な仮面を被るようになってしまったけれど。

 

 

「よし、行こう。最近田中さんの家に綺麗なチューリップが咲いてるんだ」

 

 優しいところは、何も変わってない。

細かな優しさに、私も救われたから。

自分だって大変なくせにいつも他の人、そして私たちのことばっかり気にかけて。

 

「別に、良かったのに」

「ん?何の」

「番組よ番組。私が嫌いだって言ったから消したんでしょう?お見通しよ」

「…食い気味に返答するの流行ってんの?あとちょっと何言ってるかわかんない」

 

 とんだお人好しの男の子。

それが私の、大切な幼馴染

 

 

 

 

 

   


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