狂犬を背負いし世界最強の大剣豪を目指す少年   作:ぺへ

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17話

「(消えた?いや、強制的に連行されたか。)」

 

ゾロが刀を仕舞うと同時に、元の生徒会室に戻ってくる。しかし、そこにいたのはソーナ達では無く天照だった。

 

「やあやあ、兵藤麤路君。いい試合だったじゃないか。まあ、一方的だったけどね。」

 

「誰だ、お前。」

 

「僕は天照大御神。日本神話の主神さ。」

 

「勧誘なら断る。興味がねえからな。」

 

「あらら。それは残念。まあ、勧誘は諦めるとして。兵藤麤路君・・・いや、親しみを込めてゾロ君と呼ばせてもらおうか。僕の夫になってくれないかい?」

 

「なに?」

 

唐突過ぎるお願いに流石のゾロも固まる。しかし、天照は間を開ける事無く勝手に喋る。

 

「僕は今まで色恋沙汰には興味が無くてね。永遠に婚姻はしない予定だったんだが、君の事を聞き実際に目にした事でビビっときたんだ。僕の運命の相手だとね。」

 

「悪いが結婚するつもりはねえよ。それに、俺は人間として死ぬって決めてるからな。」

 

「ふふ。なるほどねぇ・・・でも、僕は欲しいものは絶対に手に入れるタイプなのさ。必ず、君の心をモノにして見せるよ。」

 

先程まで幼女の姿をしていた天照は高校生位の身長になりゾロの目の前に立つ。その目は獲物を狙う目をしており、当然ゾロをロックオンしている。

 

「僕はずっと君の事を見ている。僕からのアプローチ、見逃さないでね♪」

 

そう言って天照は輝きながら消えていく。それに対しゾロは特に何も思うこと無くそのまま帰宅する。玄関を開けた瞬間、そこには黒歌がニコニコとしながらも威圧感を醸し出しながら仁王立ちをしている光景が。

 

「おかえり、ゾロ♪」

 

「ああ。ただいま。どうかしたのか?」

 

「どうかしたのかじゃないにゃ・・・!!」

 

黒歌はゾロに近付き思いっきりゲンコツをする。異形の膂力だ。普通の人間ならば即死だが、ゾロは頭に大きなタンコブを作って玄関をのたうち回るだけだった。

 

「痛ってぇな!!なにすんだ!!」

 

「この馬鹿!!どれだけ私が心配したと思ってるのよ!!馬鹿ゾロ!!」

 

黒歌は大泣きしながらゾロの胸ぐらを掴み思いっきり前後に激しく揺さぶる。ゾロは今回の決闘の事をミッテルトとアーシアにはおろか、黒歌にも伝えていなかったのだ。

 

黒歌達に心配を掛けない為にと思いやった事だが、黒歌は白音達からその事を聞いて酷く驚いた。

 

「もう二度と!!こんな事しないで!!返事は!?」

 

「わ、分かった。そ、その……済まなかった……」

 

「次やったらこんなんじゃ済まさないから!!分かった!?」

 

「あ、ああ・・・」

 

黒歌は本気で怒ったためか肩で息をしている。少しして息を整えるとゾロの手を無理矢理引いてベットに投げたと思ったら上着を剥ぎ取る。

 

「お、おい!」

 

「黙る!怪我が無いか調べるから!」

 

黒歌の凄い剣幕にやられ押し黙るゾロ。黒歌は丁寧に体を見るも傷が無いことを見て安心する。

 

「良かった・・・傷はないにゃ。さ、今日はとっとと寝る。いい?」

 

「・・・ああ。その・・・悪かった。」

 

「・・・いいにゃ。話はまた明日するから。」

 

そう言って黒歌は部屋を出ていく。ゾロはそのまま裸で大の字になって横になる。白音と祐斗の事を心配しているうちに眠気が来て抗うこと無く眠りへ入る。

 

しかし、ゾロは不思議な夢を見る。どこか知らない場所。周りにはグレーのスーツを着た男性とパイソン柄のジャケットを着た眼帯の男が向かい合っている。

 

二人とも心から楽しそうにしており、いざ殴り合うという時にゾロの手に何か柔らかい感触を感じて一気に引き戻される。感触に疑問に疑問を持ち目を開けると、何故か全裸の天照大御神がおり、うっとりとした表情を浮かべており、ゾロの手は小さな胸を触っている。

 

「あんっ・・・///まさか、目覚め早々に僕の胸を揉むだなんて以外と助平なのかい?」

 

「うおぉぉぉ!!な、なんでお前がいる!?!?」

 

「あははは♪僕は言ったはずだよ?君の事をずっと見ているってね。でもまさかこんな幼児体型でも胸を求めるなんて、やっぱり君は男子(おのこ)なんだねぇ。男は皆、胸が好きだなんて言ってたけど本当だったとは。母様の日記は正しかった訳だ。さあ、ゾロ君!僕の胸をもっと堪能していいよ!」

 

「誰がするか!誰が!つか、服を着ろ!!」

 

「ノリが悪いねぇ・・・まあいいさ。それは今度してもらうとして、今日は仕事を頼みたいんだ。」

 

「あ?仕事?」

 

「ああ。八坂から聞いてるよ。報酬があれば請け負ってくれると。」

 

「まあ、内容次第だがな。んで?依頼内容は?」

 

「まさか、こんな状態で話すのかい?裸の男女が1つの部屋にいるんだよ?どう考えてもピロートークじゃないか。」

 

「チッ・・・なら、先に降りてるからとっとと服を着て降りてこい。」

 

ゾロは服を着て先に部屋を出る。残された天照はと言うと、さも当然かの様に部屋の物色を始める。しかし、ゾロの部屋には剣術に関する本ばかりで、他には特にこれと言って無い。

 

そもそも部屋にあるものがタンスとベット、本棚が1つしかないのだ。漁ろうにも漁る事が出来ない。

「ふむ・・・春画の一つでも置かれていれば好みが分かるんだけどねぇ・・・まさか、その手の物が何一つ無いとは・・・いや、確かここには猫又もいたな。」

 

天照は印を結び、いつもの巫女服へと着替えつつも一人ブツブツと発する。しかし、それでも警戒を怠らないのが神と言えるだろう。

 

「ねえ、猫又君。彼はどんなものがタイプなんだい?」

 

壁の一角が歪んだと思ったら突然黒歌が現れる。黒歌はあの後、少し時間を置いていつものようにゾロと眠ろうとすれば、神のオーラを感知しずっと隠れていたのだ。

 

「・・・いつから気付いてたにゃ?」

 

「最初からさ。僕がゾロ君の部屋に入った時からね。こうみえて高位の神だからね。」

 

天照はまるでイタズラが成功したと言わんばかりにニコリと微笑む。しかし、そのオーラはほんの僅かに負のオーラを纏わせていた。

 

「日本神話の主神様がこんな所に何の用にゃ?言っとくけど、ゾロは絶対に渡さないにゃ。」

 

「だろうね。でも僕は必ず手に入れるよ。君より早くね。」

 

傍から見れば、二人の間で火花でも散っているかのようにも見えるだろうが、相手は最古であり原初の一柱でもある。

 

目を離さなくともやられるだろうが、黒歌は決して目を逸らさなかった。天照はそんな黒歌を見て楽しげに笑う。

 

「あはは♪いいね、いいね♪君の事も気に入ったよ♪さ、下に行こうか。」

 

天照は黒歌の返事も聞かずに下に降りる。黒歌は力が抜けへたり込むしか出来なかった。

 

その頃ゾロはと言うと、普通に朝食を取っていた。裏の新聞を読みながらミッテルトとアーシアの作った朝食を頬張っていると、ふとした記事に目が止まる。

 

「懸賞金か。一、十、百、千・・・6000万$か。」

 

「ろ、6000万!?」

 

「す、すごい額っす!い、一体、どんな極悪人なのか・・・」

 

「・・・悪かったな。極悪人で。」

 

「「え?」」

 

ゾロが新聞を見せると、一面に大きくゾロの写真と懸賞金額が乗っていた。これを見たミッテルトは思わず飲み物を吹き出し、アーシアは驚愕した顔をしている。

 

「ゾゾゾ、ゾロさん!?い、いい一体どんな悪い事をしたんですか!?」

 

「そ、そうっす!い、今から自首しましょう!そ、そうすれば数年後には出られるかもしれないっすよ!?」

 

「なんもしてねえよ。・・・まあ、やったとすればあの決闘だろうがな。」

 

「け、決闘!?だ、誰とっすか!?」

 

「リアス・グレモリーさ。」

 

「!?だ、誰すか!?」

 

「ま、ゾロ君の嫁さ。よろしく、堕天使ちゃんにシスターちゃん。」

 

「「よ、嫁ぇ!?」」

 

「はあ・・・ツッコムのもアホらしい。それよりも、なんで俺に懸賞金が付いたか知ってるか?」

 

「さあね。ま、考えられるのはリアス・グレモリーしかいないけどね。これで君は絶対絶命という訳だ。ほとんどの悪魔から狙われるだろうね。どうだい?僕と婚姻する気になった?」

 

「アホか。とっとと仕事の話をするぞ。ミッテルト、何か飲み物を頼む。」

 

「は、はい!こ、紅茶とコーヒー、どちらがいいっすか?」

 

「う〜ん・・・コーヒーを頼むよ。」

 

「は、はい!」

 

ミッテルトは初めての来客にガチガチになりながらも、コーヒーを入れて天照に振る舞う。

 

「ん〜♪いい香りだね♪堕天使ちゃん、入れるの上手いんだねぇ。」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「んで?仕事ってのは?」

 

「ああ。駒王町に入ってきた堕天使と聖剣の処分を頼みたいのさ。」

 

物語は更に加速する。


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