IS 漆黒の雷龍   作:レインスカイ

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サブタイトルの意味は文章の中で判ります。

Q.前回のサファイア先輩のコスの素性が判りません。
教えてください
P.N.『匿名希望』さん、及び、他多数の読者様方より

A.私が執筆する中で参考にしている作品『盾の勇者の成り上がり』より『ラフタリア』です。
緋袴の巫女服に刀を携えている描写がありましたので、そこから抜粋しました。
判りにくくて申し訳ありませんでした。

さて、纏めてみると

織斑一夏
『英霊 エミヤ』
『プリヤ ドライ』より

更識簪
『童貞を殺すセーター』
資料無し

メルク・ハース
『刀藤 綺凜』
『学戦都市 アスタリスク』より

織斑マドカ
『アリーシャ・ディフダ』
『Tales Of Zestiria』より

篠ノ之箒
『黒田官兵衛』
『戦国BASARAシリーズ』より

凰 鈴音
『遠坂凛 カレイドルビーVer』
『プリヤ』より

セシリア・オルコット
『しらほし姫』
『ONEPIECE』より

ラウラ・ボーデヴィッヒ
『夜刀神 十香』
『デート・ア・ライブ』より

シャルロット・デュノア
『あきら100%』
『SMA NEET Project』より

更識楯無
『キャス狐』
『Fate/ectra Fox Tail』より

篠ノ之束
『月見璃兎』
『アブソリュート・デュオ』より

山田真耶
『グリューネ』
『Tales Of Legendia』より

布仏 本音
『イリヤスフィール・アインツベルン』
『Fateシリーズ』より

クロエ・クロニクル
『裸エプロン』
資料無し

布仏虚
『ヲルバ・ユン・ファング』
『FINAL FANTASY XIII』より

織斑千冬
『ミミル』
『.hack//SIGN』より
『タビー』
『.hack//Roots』より
『朔望』
『.hack//G.U.』より

フォルテ・サファイア
『ラフタリア』
『盾の勇者の成り上がり』より

五反田 弾
『真壁 ハルオミ』
『GOD EATAR2 RAGE BURST』より

以上、ネタバラシでした


獄雷冥魔 ~ 飯禍 ~

Ichika View

 

「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…」

 

十数Kmを泳ぎ切った。

辛いなんてものじゃないだろコレは。

水泳なんて中学一年のころ以来だろう。

正直、三年ものブランクがある人間にこの扱いは暴挙以外の何物でもないだろう。

今年の夏休みに簪に同行したプールとてあるが、アレは『泳いだ』内に入らないだろう。

なにせ流れに身を任せていたのが大半だし、身内にナンパしようとする連中が結構居た覚えがあり、ソイツらを熨す方面に力を入れていたほどだ。

真面目に泳ぐ場所というわけでもないし、真面目に泳いで過ごした記憶もない。

遊覧施設に来ておきながら不真面目な方向に走っていたようなものだ。

にも今回は調査のためという建前でこのハードな遠泳だ、勘弁してほしい。

コレで『何もありませんでした』とかなら、俺も何か相応の仕返しをしても構わないだろう。

とはいえ、そんなお粗末な結果にはならないだろう。

この船、所属不明、寄港目的も不明、識別も不明と来ており、更には視覚に映らなくなる光学迷彩を搭載し、オマケとばかりにレーダーでも感知できないようなジャミングも発しているようだからな。

こうやって考えているだけでも『怪しい』なんて言ってられないほどに胡散臭さがプンプンしている始末だ。

先日から問題になっている複製戦闘兵(クローンソルジャー・ジャック)の運搬には持って来いのスペックである以上、内々に調査をしておくべきなのだろう。

 

「お疲れ様、一夏君」

 

すぐ隣、こちらも肩で息をしている楯無さんに視線を向けるが、すぐに視線を船に戻す。

恰好が非常によろしくない、ISスーツだけだもんな、水着同然だっての。

 

「さてと、調査に入りますか」

 

拡張領域に入れていたであろうタオルで髪を拭き、こうれまた同じように収納していたであろう制服に一瞬で着替えて…というか上から重ね着していた。

 

「ヘックシッ!」

 

女子からぬパワフルなくしゃみをしている様子を見ても、俺としては何も感じちゃいない。

やれやれ、行こうか。

 

「収穫があればいいんだけどな」

 

主に情報的な意味で。

 

 

 

静かに扉を開き、中に入ると、それこそ暗部頭首らしく音もたてずに隠密作業に入っていた。

陰から蔭へと、物陰から物陰へと。

…本当に久々に見るよな、こんな様子、いつもやってくれていればもう少しばかり扱いはよくなるかもしれないけど。

 

「質問いいですか?」

 

「何かしら?」

 

「この船の調査に来たわけですが、ここで情報が得られたとして…情報はだれが管轄に入れるんですか?

そしてこの船はだれが掌握を?」

 

「日本政府になるでしょうね」

 

俺個人的には…正直、日本政府にはそこまで信頼を置いていないのだが…まあ、仕方あるまい。

仕事に私情は挟むべきではないのだろうが…胡散臭さがより一段と強くなってきたな。

二年前の『モンド・グロッソ』と同時期に起きた俺の誘拐時も、情報を封鎖していたし、無人機の時のことに関しても音沙汰無し、福音の時にも情報を伏せた状態で現場の判断をないがしろにした指示を出すだけ。

学園の教師に裏切り者がいた以上、教員配属に関しても一枚どころか二枚三枚と噛んでいるのではないのかとも考えられる。

俺たちが敵対関係となっている組織とも内通者がいると考えるのは…俺の思考回路がおかしくなってきているかもしれないが。

それとも、考えすぎなのだろうか?

 

念には念を入れて、俺も早々と刀を引き抜いて準備をしておく。

それにしても…先ほどから乗組員の姿がマトモに見受けられない。

これだけ大きな船であれば船員が大勢いてもいいと思うのだが、見当たらない。

 

「この船に複製戦闘兵(クローンソルジャー・ジャック)の設備…というか製造工場を発見した場合ですけど…」

 

「それも政府の預かりになるとは思うわ」

 

悪いが、そんな所に預けるつもりはない。

国に任せたら正直どうなるかは判らない。

国家預かりになったとしても、どこぞから情報とは流出してしまうものだ。

国が分捕ったところで、再利用しない手は無い。

何しろ、日本は防衛に力を入れる傾向があるものの、無尽蔵の盾が手に入るのならすぐさま飛びつくだろう。

まして光学迷彩、レーダーにも感知されないというのであれば、『国が接収』すること自体が危険だと思ってる。

 

「俺としては徹底的に破壊したいんですけど」

 

「物騒な事を考えるわね」

 

「現場の意思ってものを尊重させてもらえませんか?」

 

「政府への報告が難しくなるわね」

 

なぁなぁではあるが、一応の承知は得られたから今回はこれでいいだろう。

それと、だ

 

「この船のどこを目指すんですか?」

 

「二手に分かれるわ。

私は情報端末があると考えている船室。

一夏君は、積み荷を確認して」

 

了解ですよ。

確かにこれだけの大きさの船なら、真っ先に製造工場として扱うのなら貨物室だろう。

もしくは動力室辺りだろう。

 

「で、収穫が終わったら…ってもう居ないし…」

 

暗部の長としては流石だな、足音も立てずに俺の視界から消え去っていた。

さてと、それでは俺も行動に移りますかね。

案内板なんて期待はしていない、最悪の場合、床を叩き斬って下の階を目指すことを考えておこう。

 

船の扱いに関しては政府預かりになるかもしれないが、中身の技術は徹底的に破壊してしまっておこう。

複製人型兵器製造工場にしても光学迷彩だとかジャミングだとか、人に預けるだけでも危険すぎる。

こういう技術自体、存在しないほうが世のため人のためだ。

 

「じゃあ、張り切りますか」

 

 

 

Tatenashi View

 

日本政府の指示でやってきたこの船に侵入調査に来ていたけれど、一夏君もその根底を理解してくれていたらしい。

複製人型兵器製造工場なんてものは、どこの国であろうと喉から手を伸ばしたくなるほどに魅力的な代物。

一体の複製戦闘兵(クローンソルジャー・ジャック)であったとしてもどれだけの年月を重ねて製造されるのかはわからないけれど、それも情報として政府は欲しがっているはず。

でも、こういった技術は存在しないほうがいい。

だから破壊する。

私たちが裏で請け負う仕事の内容をよく理解してくれているようで何より。

 

「さてと、うまく情報端末が見つかってくれればいいんだけど」

 

出来る事なら一夏君(黒翼天)がこの船をブッ壊すよりも前に、ね。

さて、船舶といえば情報が集中的に集まるのは操舵室が一番だろう。

けど、この船にそういうのはさして期待は出来ない。

闇の情報が大っぴらになりうるような場所に放置されているだなんてそれこそ考え辛い。

最も怪しむべきは、船室のネットワークが分断されているであろう場所。

 

「結局此処よね」

 

船員が集中することもないであろう電気室。

大型の船舶ではあるけど、この船のこのシステムはあまりにも異常だった。

動力と直結しているものと、別の場所に通じているであろう別電源が存在していた。

非常電源とはまた別に、だ。

 

その電力が流れていく場所はどうやら船底近くの貨物室らしい。

こっちもこっちで大当たりね。

柱に偽造されている端末を発見し、さっそくアクセスしてみる。

 

「あン、もう、あたりまえだけどロックを仕掛けてるみたいね」

 

ヒントなんてあるわけでもないし、どうしたものかしらね。

そんなことを考えながらUSBを差し込む。

暗部お抱えのパスワード解析ソフトを利用し、あっさりクリア。

十重二十重にしていて時間がかかるけど、そういうのは時間が解決してくれる。

はい、クリア♡

 

「さてと、この船がどこから来たのか、キッチリと調べさせてもらおうわね」

 

ファイルを悉く開いていき、中身の詰まったソレを探し出す。

この船の航行記録の場所、それに所属する組織や国家、さらにはこの船の乗組員の名簿があれば探し出す。

情報が見つかればいいのだけれど、期待が大きいだけに此処まで来てて空振りで終わるなんてそれこそお断り。

徹底的に情報を探し出していく。

 

「コレは…」

 

この船の内部で行われている情報のソレだった。

『人造兵量産計画』、そして『肉体培養』に、『自我データ保存』に『自我データ転写』の記録だった。

 

「…有り得ない…」

 

『人造兵量産計画』についてはまだ判る。

一夏君が接触し、なんとか肉体の鹵獲に成功した『複製戦闘兵(クローンソルジャー)』を製造しようとしているという事だろう。

そして…その『肉体培養』にも時間がかかると思われていたけれど…その問題は、肉体を成長させる時間だと思われていたけれど、その問題は既にクリアされている。

『25歳程』の肉体を培養し、戦闘兵に育て上げるのではなく、これは…

 

『戦闘兵として完成された状態の肉体培養を行い、戦闘兵としての意識を転写する』という非倫理的技術のものだった。

そして…自我が転写された戦闘兵の完成までは…『二年半(・・・)』。

そしてすでに裏ルートを通じ、あちこちに売約がされている。

 

「何処なの、技術が開発されているのは…⁉」

 

次々に情報を探し回る。

この船意義に何処か…どこかこの技術を使用している場所、もしくは技術を開発した場所は…

 

「ラスベガス?

もう街そのものが消滅した場所じゃないのよ」

 

何があったかは知らないけれど、アメリカ最大のカジノシティとされているラスベガスは、地図上にも名前が残っているだけ。

スプーンで抉り取られたかのように巨大なクレーター状の形跡が残っているだけ。

あそこでも複製戦闘兵(クローンソルジャー)が開発されていた?

じゃあ、街が消滅したのは何故?

そうだ、思い出した、あの街の跡から見つかった辛うじて生き延びた人が居て、その人達の証言によると

 

「『冥王は実在する』」

 

自然現象では有り得ない現象、アレはまさか『人災(意図的に行われたもの)』…⁉

では、それが行われた意図は…⁉

そしてそれを行った人物は誰なの⁉

 

 

Ichika View

 

楯無さんと二手に分かれた後、俺は厨房に来ていた。

悲しいことにも、こんなところでも鍋を振るっていた。

 

「パスタ二つ!」

 

「こっちは酒が足りないぞ!」

 

「チキンカツ追加だ!」

 

「は~い、少々お待ちを」

 

この船にもやはり厨房があったらしく、そこに潜入して情報収集をしていた。

この船の乗組員も少なからず居たようだが、酒が入ると聞いてもない情報を吐くわ吐くわ。

お陰様でいろいろと判ってきていた。

この船の厨房にて働いていたコックは結構雑だったみたいで、俺が料理を出したらコイツら調子に乗っている。

『コックに歯向かったら餓死させる』を実践していたらしいから猶の事に懐柔が簡単だった。

この船のコックはというと船室で寝ている(懇切丁寧に顔面を蹴り飛ばして無力化した)

疲れている(脳震盪を起こした)らしいので、当面起きることもないだろう。

包丁で切りかかってくるとは思いもしなかった。

 

で、ここの乗組員にはどうやらダミーの情報が掴まされていたらしい。

彼らは物資運搬をする条件でこの船に乗っていたらしいが、寄港しても仕事が割り振られず、船内での待機を命じ続けられているらしい。

暇潰しに食堂に来ていたらしいが、それだけのようだ。

まあ、給金がもらえているらしいので、サボっても金がもらえる楽な仕事という怪しいキャッチフレーズに嫌悪感がしてくる。

…コイツらは楽な仕事にありつけたと思っているようだが、こういうのは大抵捨て駒扱いされるやつなんだよな、相場的に。

 

「んーでだ、この船の肝心の貨物室にも入らせてもらえないんだよ。

『関係者以外入室禁止』とかでな、乗組員なら入れろってんだよチクショーッ!」

 

「じゃあ、どなたなら入れると思いますか?」

 

「んあ?そりゃ船長とか、そんな所だろ」

 

「直訴でもしたほうがいいかもしれませんね、これじゃあ皆さん何もできずに終わりますよ?」

 

「ハハッハハッ!

どうにも船長は船長室に入り浸ってて出てこないんだよ!」

 

ふむ、ならその船長に接触する必要がありそうだった。

貨物室に入ろうとしても、カードキーが無くて入れなくて困ってたんだよ。

船長なら入れるのなら、その御仁からカードキーを拝借しよう。

さて、そのためにもここに入り浸っている船員が邪魔だし、このままここに居ついてもらおう。

その為にも…俺は厨房に備えられている瓶の一つを手に取った。

 

 

 

 

 

「楽勝だったな」

 

瓶の中身を鍋に振るって、「あとはお替りご自由にどうぞ」と言ったら肉に食らいつく獣のごとく夢中になっていた。

別に依存性のあるものを入れたわけじゃない。

料理のコツはちょっとした塩加減だ。

それを変えるだけであの変化、この手を使う前にも結構な量を食らい荒らしていたのに、あのザマだ。

当面心配は無い。

さてと、この船の船長は船長室から出てくる様子がない、との事だったが…。

 

「あー、腹減った…おい、ソコのガキ!」

 

慇懃無礼な声が背後から聞こえた。

コックから剥ぎ取ったコック服を着てるのに『コック』じゃなくて『ガキ』呼ばわり。

ウンザリしながら、背後の御仁を確認してみる。

銀髪の女性だった。

身に着けているのはISスーツ、しかもご丁寧に『U.S.AIR FORCE』のエンブレムが刻まれている。

…確定、この船はアメリカから来たものだ。

テロリストの可能性も否定できないから、コレは早計か。

 

「あ?誰だテメェ?」

 

「見ての通りコックですよ、新人の」

 

無用な争いは避けておきたいから、穏便にやり過ごそう。

 

「大鍋に料理を作っていますので、厨房へどうぞ。

お替りは好きなだけできますよ」

 

居酒屋でのバイト経験を活かし、人当たりの良いであろう営業スマイルでやり過ごす。

何が使えるか人生判ったものじゃないよな。

 

「おお、そうか。

気が利くじゃねぇか、坊主」

 

さてと、この場をやり過ごしたし、調査の続きを

 

「って、騙される訳無ぇだろうが!

織斑一夏ァァァァァァッッッ!!」

 

まあ、顔を隠してるわけじゃないから当然バレるよな。

仕方なくコック服を剥ぎ取り、腰に携えていた刀を抜刀。

銀髪のパイロットのナイフと俺の刀がぶつかった。


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