娯楽もクソもないので美少女とフラグ立てる   作:半濁音

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パパ黒 CV:子安とか正気か?

ここから本格的にオリ主くんが動きます。


ウヌはシスコンか?

 

 

 

櫛田を駒にした後、清凪から堀北の不審な行動についてのメールを受信したので音速で馳せ参じた。

 

寮の近くの物陰で気配を消す。俺たちにかかれば風景と同化することなど造作も無い。勝ったな風呂入ってくる。

 

覗いてみれば堀北と堀北学と名乗っていた生徒会長の姿が。兄妹とは言え暗く人通りの少ない場所で男女2人。何も起きないはずも無く…。

 

別にこんな触れ込みだからって薄い本的展開とは限らんのよな。

現にあの2人の間から剣呑な雰囲気が芳しく香る。一般通過ホワイトルーム生でなきゃ逃げ出すかもしれん。

 

「3年前と何ら変わらないな。俺を追いかけるのみで、自身の欠点に気付かない。 Dクラスと言う評価は妥当と言うことか」

「私は…Aクラスに上がって見せます。そしたら──」

「不可能だな。その前にクラスの崩壊が始まり、挽回不可能な状態に陥るだろう」

 

いや、ええ…?そこまで威圧的な目を身内に向けるか普通。いや、この頭おかしい学校の生徒会長が普通なわけねえか。深春くんったらウッカリ。

 

「絶対に、絶対に辿り着いてみせます……」

「無理だと言っただろう。本当に、聞き分けのない妹だ」

 

その台詞ってもうちょい穏やかな時に言うべきでは?もしかして堀北兄妹の戯れ合いの範疇なのか。世界は広いんだな(白目)

 

堀北兄の目が細まったかと思うと、力無く垂れていた堀北妹の手首を掴み、壁に強く叩き付けた。

いや普通に事案で草も生えんぞ。カメラを回せェェェ‼︎

 

「お前が俺の妹である事実は変わらない。俺の顔に泥を塗る前に、さっさと退学するんだな」

「で、出来ません…ッ!私は、私は絶対に…!」

「──お前には上を目指す資格が無いこと。痛みを以て思い知るが良い」

 

堀北兄の重心が移動し、足に力が入る。ん?えっ。

アイツ実の妹投げ飛ばすつもりかよ。ありゃ受身も取れずにコンクリに叩きつけられるな。

 

美少女がピンチの時に駆け付けずに日和ってる奴いる?いねぇよなぁ!

 

 

カメラを閉じて物陰から飛び出す。俺は堀北を掴んでいる腕を、清凪はその反対の腕を拘束する。

 

「オイオイオイ。天下の生徒会長が妹に手ェ上げてるぜ?」

「とんでもないビッグニュース。信用の墜落待ったなし」

「えっ、あっ…。貴方たちが、なんでここに…?」

 

バッキャロー。美少女のピンチに駆け付けるのが俺なのサ。但し、そのピンチは俺自身が演出したものも入ってるけど。人でなしじゃーん。褒め言葉ですよ、それ。

 

「盗み聞きとは感心しないな」

「それ以前の問題でしょ。生徒会長も冗談が言えるとは」

 

笑えない冗談っすよ学クン。ユーモラス勝負は俺の勝ちかにゃ?

 

俺と堀北兄が睨み合っている間に、清凪が堀北の安否を口頭で確認する。弱々しく首肯しながら、振り絞るように声を出した。

 

「やめて、2人とも…」

 

…うーむ。当の本人がそう言うなら仕方がない。俺から言うことは何も無いや。

 

清凪にもアイコンタクトで拘束を解くように促す。眉を顰めて一つ溜息を吐き、握っていた掌を開いた。

 

 

瞬間、残像が出るくらいのスピードの裏拳が俺目掛けて放たれる。咄嗟に上体を後ろに反らして回避するが、続け様に急所に向かって鋭い蹴りが襲い掛かるが、飛び退って何とかこれも回避。

 

「ッぶねェなぁ」

 

息を吐く暇もなく、生徒会長の右手が迫る。このまま体の一部分を掴まれてしまうとマズイ。ので、低い打点から左裏拳を放って弾き落とした。

 

これで終わりだろうと思ったが、足払いが追加で放たれ、それと同時に小さく跳ねた所を顔面へと拳が迫り来る。身を捩ってカウンターの蹴りを敢えて掠らせて威嚇。上下反転した身体を両手で支え、スプリングスの容量で体勢を整えた。

 

 

…いや。いやいや。アホちゃうん?流石にここまでやられて怒らんわけにいかんでしょ。

 

「ちょっと待ってって!生徒会長って好きに誰かを殴れる権限とかあるの⁉︎」

「フン。其方こそ笑えない冗談を言う。それに、ここには監視カメラが無いのでな」

 

冗談じゃねーでしょクソカスがよぉ…。いや、ホント止めよう?これ以上は無駄じゃん(建前)

 

もう疲れたわ(本音)

 

堀北兄は鼻を鳴らして俺を鋭い目で見据えたままに語る。

 

「中々良い動きだった。何か習っていたのか?」

「音楽関連ならやってたけど」

「ほう?鈴音、お前にこの様な友人が居たとは……むっ」

 

キメ顔で振り向いた所に目に映った光景。それはサムズアップしながらカメラを回す清凪だった。

 

堀北兄は素早くそのカメラを止める為の体勢に入った。圧倒的なデジャヴ。てか女子生徒に手ェ上げんなよカイチョー。いや、清凪だったら大丈夫だろうけど。

 

「ちょーいちょいちょい。会長流石に、流石に画的にマズイから」

 

羽交締めにして動きを制限する。身内だから良いってわけじゃ無いけど、妹と初対面の女子生徒とじゃ訳が違うから。

 

「あの兄さんを羽交締めに…⁉︎」

 

うーんなんか違う。堀北、そこも驚くべき所だけどもうちょっと適した時があったんじゃ無いかな。

 

「清凪。その動画を消せ」

「……分かった」

 

これ以上堀北妹に危害を加えない為の交換条件。生徒会長はそれをしっかり理解した上で俺を微笑を向ける。

 

目線でしっかりと釘を刺した所で、力を緩めて解放してやった。

 

「随分と甘いな。ポイントでも要求すればよかったものを」

「アンタも妹さんも、大事にはされたく無いでしょ?」

 

まあ、ちょっとしたブラフではあるけども。堀北妹がこれ以上を望まないなら口を挟む権利なんか無い。

 

でも追撃に来たことは許せねえよなぁ!反撃に転じられない事を逆手に取りやがって。

 

「千登勢深春と、綾小路清凪だったな」

「…深春、名乗った?」

「生徒会長が生徒の名前と顔とを一致させてても可笑しくは無いか」

「成程。ストーカーの類かと警戒したけど、違った」

 

ただでさえ俺らは入試全教科50点とかやらかしてるし。目ェ付けられてもおかしくは無いよね。全部アンタ(清凪)の所為だ!(テ○ーダ)

 

もうおうちかえりたい。こんな所で俺は止まってられねぇんだ!ヌワァァァァァ‼︎

 

「…孤独と孤高を履き違えた鈴音単独ならば不可能だっただろうが、お前たちが居れば多少は面白くなりそうだ」

 

ああそう(無関心)当分は妹さんの味方するつもりだし、安心して良いっすよ。

 

自分の妹が心配なのは分かるけど、流石にここまでやると虐待の様にも思えてくる。愛情の裏返しも行き過ぎれば毒になるからね。

ウヌはシスコンか?兄弟揃って愛し合ってんのか?それも一つの家族の形だ。素敵だね。

 

「帰るか」

「うん」

「…そうね」

 

威圧感を周囲に撒き散らしながら帰って行く姿を見送り、何事も無かったように帰る事を提案する。

 

けれども清凪にはやっておいて欲しい事がある。俺は別件で動くから、彼女にしか頼めない。

 

「悪いけど、堀北を言い包めておいてくれないか?」

「よゆー。それと、攻略法も大体目星が付いた」

「流石は清凪。詳細は端末に送っといて」

 

拳を軽く突き合わせ、俺は寮に戻る。

 

そんなフリをして、ケヤキモールへと向かって行く。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

「こんばんは、先輩。お待たせしてしまいましたか?」

「良い、御託はいいから早く、このデータを受け取れ」

「そう焦らずとも人払いは済ませています。…では」

 

震える手で差し出された生徒証を掻っ攫い、慣れた手つきでポイントを贈与する。額としては10万ポイント。同時に送られる2つのデータ。満足げに頷く。

 

「はい、確かに。今後とも宜しくお願いします」

「こ、今回だけだぞ。絶対に。もう関わるな」

 

待ち合わせていたレストランの伝票を目の前に叩き付け、先輩は足早に去って行った。おう自分が頼んだ分は払っていけや。

その程度で目くじらを立てる様な短気な人間では無いけど。道理くらい通してもらいたい。

 

それでもあそこまで手酷くフラれたらちょっと、ね。心にヒビ割れがピキピキと…。んほぉぉぉぉ!(メンタルブレイク)

 

「凄く嫌われちゃってるね〜?」

「朝比奈先輩ですか。お元気そうで何よりです」

 

朝比奈なずな。システムの情報を秘密裏に探ってる内に出会った先輩。頼れる情報源とも言う。

 

お前『人払いは済ませた』って言ってたやろ、って?俺が呼び寄せたからここに居るんですよね…。

 

それもこれも全部陸八魔……じゃなくて南雲雅ってヤツの仕業なんだ。いや、割とマジで。

 

 

対面に座った朝比奈先輩は俺の傍に置いてあったグラスを引き寄せ、ストローに口を付けて啜る。ここだけ見るとゆるふわな感じがするけど。

 

「良く平気で口を付けますね」

「だって一口も飲んでなかったじゃん。最初から私の分として用意してたんでしょ?」

「どうでしょう。ご想像にお任せします」

 

本当の紳士ならば恩着せがましいことは言わんだろうし。こう返すのが最善だ。多分、きっと、メイビー。

 

まあそんなつまらん事は置いておいて。さっきの生徒会長戦で疲れたし、さっさと要件を終えてしまおう。私のマイベッドが俺を呼んでる…気がする。

 

「朝比奈先輩に来て貰ったのは、他でも無い。この画像を見てください」

「ん〜?…ありゃ、雅のスキャンダル画像じゃん」

「アヴァンチュールを邪魔しない様に、あの先輩にコッソリと」

 

人はそれを盗撮と言う。芸能人の追っ掛け、週刊誌のカメラマンみたいなものなので合法です。

 

「それで、私に何をして欲しいの?まさか単純に雅に情報をリークしろって訳でもなさそうだけど」

「そのまさかです。と言っても色々枷は付けますが」

「なんか面白そうだね。聞いてあげる」

「一つ。このデータを持っている確証を持たせない。二つ。千登勢深春が嗅ぎ回っていると言う事を隠す。この条件で今の一件を話して欲しいんです」

 

朝比奈先輩の目が細められる。そりゃあこんな事する意図が分かる訳ないもんね。俺も先輩の立場なら何言ってんだコイツ、って思う。

 

今夜の事がなきゃ隠し通すつもりだったんだけどなぁ。色々面白い手札を貰えたからね。

 

南雲雅撃退チャートを並走している自分にとっちゃ渡りに船…かな?チャートって言ったって、どれだけ己が楽しめるかどうかを第一に考えてるし。

 

「耐久力が高いボス相手には、防御力ダウンのデバフを付けたら楽でしょ?」

「そう、だね?脈絡がない様に思うけど」

「実は今日、生徒会長に目を付けられまして」

「おおっ。千登勢くんの底知れなさをやっと会長も気づいたか」

 

どうして貴女が誇らしげなんですかねぇ…(すっとぼけ)

 

「生徒会長のお気に入り、だけどDクラスの生徒。加えて顔も名前もわからない、自分の素性を嗅ぎ回る生徒。防御は2方向に展開する筈」

「…成程。どっちも君、だけど幾ら雅でも中々そこを直結させないか。Dクラスって評価なら尚更」

 

御明察と言う風にティーカップに入っていた紅茶を呷る。有栖たそに紅茶漬けにされた所為で、俺も中毒になっちゃいそうだ。手遅れってのは禁句。

 

 

良い笑顔で俺の頼み事に頷いてくれた朝比奈先輩。まあ、ちょっとした噂を個人に吹聴するだけでポイントはぶん取られなかった。

けど、もう一つ依頼があるんですよね。アハー⤴︎

 

「それともう一つあるんですけど」

「んー?今の私はご機嫌なので、どうぞどうぞ」

「去年の中間考査の過去問と、小テストって有ります?」

「…わーお。めちゃ早いね」

 

反応を見るにビンゴか。流石は清凪の頭の回転の速さ。そこに痺れる!憧れるゥ!

 

まあ目星が付いてたってだけで確証は無かったし、一度思いつきはしたものの。ネゴシエーションは俺の得意分野ですよ、ええ。

 

「でもそうなると…分かるよね?」

「流石にタダじゃないですよね。うーん、3万で」

「それっぽっち?7はいけるでしょ」

「4万」

「6万5000」

「5万で手を打ちましょう」

「まいどあり〜」

 

負けました(即堕ち)誰だよネゴシエーションは得意分野とか言った奴。ぶん殴ってやろうか。

 

5万はキツいっすよホントキツい。ポイントが湯水の如く出て行っちゃうよーん。ポイント荒稼ぎ試験早よ。間に合わなくなっても知らんぞ!

 

後でチャットにリンク貼っとくね〜、と手を振りながら立ち去って行く朝比奈先輩。これ頼る先輩間違えたかな…。でも南雲パイセンのスキャルダルを撮ってくれた人に頼ると、多分朝比奈先輩よりふんだくられた、と思う。

 

まま、エアロ。偽物かどうかを判別が出来ると考えればトントンだ。きっと。

 

そこまで考えて、通話を掛ける。ツーコール後にガチャリと言う音がした。

 

「ビンゴだったよ。流石だね」

『やっぱり。後は勉強会を成立させるだけ。堀北の説得は完了。須藤たちをどうするか』

「済まないけど、其方で動いててくれないか?櫛田にも協力は仰ぐから、何とかしておいてくれ」

『りょーかい。深春はどう動く?やっぱり生徒会長の所に行くのが得策だと思うけど』

「一応の保険と、色々融通を利かせて貰うのと、ね」

『じゃあこっちで過去問に関して動く事はない?』

「そうなるかな」

 

ここ成功させるかどうかで色々変わってくるからなー、ホント。頼むよ片割れ。失敗は許されねーからなホントな。

 

 

 

 

 





実は中間考査時点で何人か退学にできるんですよね。
その方法はまあ、次話のお楽しみって事で。

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