自分の書いたゲーム転生小説の主人公に成り代わってしまった主人公の話   作:ぱgood(パグ最かわ)

20 / 32
幕間 俺は我が子を守りたい

幕間 後編

 

☆☆☆

 

勇利は言葉を失っていた。

と言うよりも先ほどよりも動揺していた。

 

何故なら、安全な場所で待機させていた筈の信濃が戦場のど真ん中にいるのだ。

 

大切な、それこそ、我が子のように可愛がっている子供が戦いの中心にきて動揺するなと言う方が難しいだろう。

 

「なんでだと?そんなの決まっている‼勇利たちがピンチだと聞いたから助けに来たんだ!」

 

信濃はそんな勇利の内心などお構いなしにはきはきと答える。

その様子はピンチを救ってみせたこともあって少し、得意げでもあった。

 

「………はぁ、わかった。取り敢えず、ここにいる俺以外の仲間を連れて仮設基地に戻れ。」

 

「何を言っているんだ?私がここに来たのは勇利と一緒に戦うためだぞ」

 

キョトンと首を傾げる信濃に勇利は諭すように優しい声で語り掛ける。

 

「いいか、信濃。お前はまだ子供だ。そんな危ない真似しなくてもいい。

こういうことは大人がやる。だから……………。」

 

「なら、私は何のために防人本部に育てられたんだ?勇利は何のために優しくしてくれたんだ?私は今こそ、皆の優しさに答えなくちゃいけないんだ。」

 

勇利は口ごもる。

自分は違うと言いたかった。

ただ、それと同時に防人本部が信濃を手塩にかけて育てた理由は、信濃の予想通りであるとも思ってしまった。

 

実際、勇利が鋭利に信濃を頼んでいた筈なのに信濃はここに立っている。

それが答えだろう。

 

だから、ここで信濃を止めてしまえば信濃の防人本部内での立場を悪くしてしまう。

この子の帰る場所である筈の本部での評価を下げてしまう。

 

故に勇利は信濃を止めるのを躊躇ってしまった。

 

勿論、そこには自分であれば信濃を守り切れるという慢心も含まれていたが………。

 

勇利は数秒の黙考の末、結論を出す。

 

「………分かった。俺がお前を守る。

だから、お前は好きに戦え」

 

勇利が諦め気味にそう告げると信濃はニヤリと笑い。

勇利の言葉を否定する。

 

「何を言っている?私が全て救ってやる。そのために来たんだ」

 

信濃は不敵な笑みを浮かべて魔剣を構え、姿を消す。

否、姿を消したのではなく、超高速で敵の、侍大将級の背後を取ったのだ。

 

侍大将級の魔物も信濃の動きを目で追うことは叶わず、背後を取られた後、ワンテンポ遅れて反応する。

 

しかし、そこで再度、姿を消す。

今度は侍大将級の魔物の目の前だ。

 

「食らえ‼《俊撃》」

 

その言葉と共に糸よりも細い斬撃が飛ぶ。

しかも、只の斬撃ではない。

≪ドラゴンボルト≫の雷撃を圧縮した高密度の雷の斬撃だ。

その瞬間火力は彼女が持つ魔法を使わなかった場合の高威力技である《天剣・白夜》を凌ぐほどだった。

 

それを何度も何度も連続で敵に叩きつけていく。

 

「グゥゥゥゥゥ‼」

 

侍大将級は避ける隙すら与えない高威力の連撃により、どんどんと傷ついていく。

先程までの戦況が嘘のように覆されていく。

 

しかし、相手もまた侍大将級という上から数えた方が早い強者。

直ぐに≪ジェネリックシールド≫を使い自らの身を守る。

 

これにより、信濃の攻撃は侍大将級の魔物には届かなくなった。

 

ただ、それでも、その場に立ち尽くしていた防人たちは少なくない衝撃を受けた。

なんせ、【無二】に引っ付いていた少しだけ才覚のある子どもだと思っていた存在が自分たち上位の実力を誇る防人ですら束になっても敵わなかった敵を相手に大立ち回りをしているのだ。

 

これを驚かずにいられようか?

 

「む、【無二】!彼女は一体何なんですか⁉」

 

戦いを見ていた防人の一人が勇利に信濃の存在について尋ねる。

それに対し、勇利は面倒くさそうに頭を掻きながらも、ここで答えた場合と答えなかった場合どうなるかについて、考える。

 

(答えるってことは当然ながら信濃の手の内をばらすってことだ。

こいつらが敵対した場合に多少は不利になるかもしれないな。

 

………いや、ここに集まっているメンバーは少なからず国から信頼を得ている奴らだ。

言わなかったとしても、国の方が勝手に信濃の情報を渡すか?

 

それじゃあ、答えなかった場合はどうなる?

……………………今回、俺の意見を無視して作戦に信濃を参加させた件、鋭利が信濃を戦場に向かわせた件、国は俺の教育方針をあまり好ましく思っていない…………だったら、ここで少しでも不信感を買う訳には行かない……………………か)

 

なんせ、不信感を買った結果信濃と引き離される可能性もあるのだから、と勇利は更に心の中で付け加える。

 

「あ~、アイツの能力、固有魔力波は本部では収束って呼ばれている。」

 

「収束?ただ、自分の下に集めるだけのようには見えませんが………」

 

「ああ、あいつの固有魔力波は範囲指定、対象指定、どこへ収束させるかの座標指定の3つの要素から出来ている。」

 

「な、なるほど……」

 

防人は何となくわかったのか曖昧に頷く。

 

勇利の話に補足を入れるのなら一番初めの範囲指定とは魔力波を飛ばす行為によって完了する。

そして、対象指定は魔力波が届いた範囲内から指定し、どの物質、どのエネルギーを対象にするかを決める。

ただし、魔力を持つ生物は自分を除き、かなりの実力差が無ければ不可能であり、また、運動エネルギーを対象にすることも出来ない。

座標指定に関しても魔力波の届いた場所であればどこにでも指定することが出来る。

 

この能力を活かすことで弧毬信濃は自分を対象指定し、目にも止まらぬ高速移動を可能とし、敵の魔法を対象とし、魔剣のある位置を座標指定することで敵の魔法を収束し、魔法攻撃を無効化していた。

更に、そこから、2つ目の収束座標を指定することで、敵の魔法を拡散させずにカウンターを決めているのだ。

 

「取り敢えず、俺はこれからノブのフォローに行く。お前らは離れてろ。」

 

勇利はそう言うと、彼らに背を向け、信濃の下に走る。

 

 

「ノブ!取り敢えず、俺も手伝う」

 

「む!休んでても良いんだぞ?勇利」

 

信濃の下まで来た勇利に信濃は首を傾げる。

 

「いや、弟子が敵の矢面で戦ってるんだそういう訳にも行かないだろ?取り敢えず防御魔法なら任せてくれ。それぐらいしか出来ないが……………。」

 

「分かった。なら防御魔法を使って出来るだけ敵の動きを拘束してくれ。」

 

信濃は現状を分析し、現状防御魔法で出来る上で有効な手段をはじき出す。

本来、回避とカウンターを行える信濃には防御魔法は必要ないが、敵の妨害などをしてくれるのであれば話は別だ。

その答えを信濃は一瞬で導き出した。

 

「分かった。任せろ‼」

 

勇利も知らぬ間に成長している信濃に寂しさ半分、嬉しさ半分で答える。

この戦いにおいて鍵を握るのは間違いなく、信濃だろう。

そのことを勇利は長年の直感で感じ取る。

 

「グァァァァァァ‼」

 

敵は≪創剣≫を用い6本の腕にそれぞれ剣を持つ。

 

そして、二本の腕で信濃に斬りかかる。

それを信濃は収束の固有魔力波を使い直ぐさまその場から移動することで回避する。

 

しかし、それを相手は想定していたのか直ぐに二本の腕で背後に剣を振るう。

 

「残念だが、外れだ。」

 

ただ、それを更に読んでいた信濃は相手の頭上を取る。

 

「《俊撃・二式》」

 

頭上を取った信濃は≪ドラゴンボルト≫と≪プロミネンスレイ≫を圧縮し、束ね、放つ。

 

その攻撃は先程の《俊撃》よりも更に威力が上がっており、敵の≪ジェネリックシールド≫に罅を入れる。

 

それを見ていた信濃は更に一撃、二撃と連射する。

ただ、相手も只棒立ちで見てくれているわけでは無い。

 

残った二本の腕で剣を振るう。

更に、光線による攻撃も行ってくる。

 

勇利はそれを収束の固有魔力波による高速移動によって緊急回避する。

 

ただ、相手は畳みかけるように更に魔法を行使する。

その魔法の名は先程使った広範囲魔法≪ヘブンピラー≫だ。

 

これを防ぐには回避ではなく。

収束による無力化を行うしかない。

 

信濃も瞬時にそれを選んだ。

 

しかし、それを相手は狙っていた。

 

範囲を指定し、対象を指定する。

それは高速移動を行う際も行っている行為ではあるが、≪ヘブンピラー≫は通常の攻撃よりも範囲が広く、対象の指定に少しだけ時間がかかってしまった。

 

その隙を突き、≪クイックミゼット≫を使った敵が一気に距離を詰めてくる。

ある種の慢心により生じたピンチであるが、ただ、信濃を責めることは出来ないだろう。

何故なら、敵は現時点で確実に魔法を使う際のクールタイムを無視して魔法を行使しているのだから。

 

「≪ジェネリックシールド≫‼」

 

それを遠くから敵の動きを阻害していた勇利が咄嗟に防ぐ。

 

これに関しては経験の差と遠くから戦況を観察できるという状況であったことによる影響だろう。

 

「ナイスだ‼」

 

信濃はそれだけ言うと収束させた敵の≪ヘブンピラー≫を圧縮させ、自分の≪ドラゴンボルト≫と≪プロミネンスレイ≫を上乗せし、飛ばす。

 

「《俊撃・三式》」

 

これにより、敵の≪ジェネリックシールド≫は容易く割られ、更に非常に深刻なダメージを与える。

 

「私を敵にしたことを呪うんだな‼終わりだぁぁぁぁ《俊撃・二式》‼」

 

信濃はそう言うと魔剣から糸よりも細い斬撃を飛ばす。

これで終わり、そう思われた時、敵はふっと姿を消した。

 

「⁉」

 

信濃は直ぐに辺りを見渡そうとするが、それよりも早く、敵が勇利の背後を取る。

勇利は回避タイプであり瞬間的な速度は群を抜いているが、その方法は座標まで体を引っ張っているに過ぎない。

 

勿論、肉体強化だけでも相当な速度、動体視力を得ることが出来るが、残念ながら今の信濃にはこの侍大将級の魔物の動きを捉えることは出来なかった。

 

侍大将級の天使型の魔物は信濃の背後を取ると思い切り、剣を振るう。

 

それを勇利は黒い雷を体から迸らせ、加速することで間一髪のところで救出する。

 

「危なかったな」

 

「な、何なんだ⁉あいつは‼急に早くなったぞ」

 

信濃は敵が急に強くなったことに目を白黒させ困惑する。

しかし、遠くから戦況を見ていた勇利は何故敵が強くなったのか直ぐに分かった。

 

(やっこ)さんは今≪アクセラレーター≫と≪フェニックスフレイム≫を使ってやがる」

 

その言葉に信濃は目を大きく瞬かせるが直ぐに敵の強化した方法を察する。

≪アクセラレーター≫とは速度だけを上昇させる自壊バフだ。

そして≪フェニックスフレイム≫は≪オートヒール≫の上位互換となる自動回復の魔法だ。

 

この二つを併用することで敵は≪アクセラレーター≫を極限まで行使し、こちらを道連れにしようとしているのだ。

 

その証拠に≪フェニックスフレイム≫の回復が全くと言っていい程間に合っていない。

≪アクセラレーター≫で限界以上に加速し、こちらを潰しにかかっている。

 

敵のその覚悟と戦闘能力と信濃の現在の実力を図り、勇利はある決断をする。

 

「こっからは俺が受け持つ。信濃は下がってろ。」

 

そう言うと勇利は黒い雷を迸らせ、敵に突っ込む。

それからの攻防は一方的だった。

 

侍大将級の魔物は勇利の速度に翻弄され、更に黒い雷は敵を感電させるだけに留まらず敵を切り裂き、どんどんと魔物の体を削っていった。

 

将来の護懐とまで言われている信濃ですら立ち入ることが出来ないレベルの戦いが繰り広げられていた。

 

そして、侍大将級の魔物は倒され、大ダメージを与えていた信濃にその殆どの瘴気がいく。

これにより、信濃に大幅な抵抗力上昇(レベルアップ)が起こる。

そして、勇利には全体で言うと一割程度の瘴気が吸収された。

 

大したことが無い量、信濃が九割の魔力を受けきれたのだから、勇利が受け止められない筈がない。

信濃はそう確信していたが、結果は違った。

 

瘴気を吸収した勇利は身体中から血を流しながら倒れる。

 

「ゆ、勇利どうした⁉大丈夫か⁉」

 

信濃は急いで勇利に駆け寄る。

そして、無きそうな顔で勇利に縋りつく。

 

「勇利⁉大丈夫か勇利‼」

 

それを見ていた勇利は苦笑する。

 

「そんな心配そうな顔するな。こんなのかすり傷だ」

 

安心させるように信濃に言い聞かせる勇利。

実際に信濃がかなりのダメージを与えてくれていたおかげで死ぬほどの怪我には至っていなかった。

 

勿論長時間が放置されれば分からないが……………。

しかし、悪い想定は早々に外れた。

 

遠くから人の気配がすることに勇利は気づく。

 

「お~い、回復魔法士を連れて来たぞ!凄かったな!」

 

防人の一人がそう言いながら、近づいて来る。

どうやら、近くで見ていた防人が本部に連絡し、回復魔法士を連れてきてくれたらしい。

勇利はほっとし、眠るように意識を失った。

 

☆☆☆

 

勇利は目が覚めると病室のベットにいた。

横に目を向けると、椅子に座り、読書をしていた鋭利と目が合う。

 

「おや、起きたみたいですね」

 

「ああ、ところであの後どうなった?」

 

「皆家に帰りましたよ。勿論、信濃さんもね」

 

「そうか………………」

 

勇利は無事に何事もなく終わったことにほっと息をつく。

 

その勇利の姿を見ながら鋭利は勇利の現状について聞く。

 

「それより、勇利さんこそ体の方は?」

 

「ああ、普通に生活する分には問題ないが、もう戦いには参加できないな」

 

勇利は自分の右手を握って開いてを繰り返しながらそう告げる。

 

「そうですか、分かりました。今までありがとうございます。あなたは今日限りで防人の任を解きます。」

 

「そか、分かった」

 

「安心してください。退職金はたんまり出るので」

 

「そりゃよかった」

 

勇利と鋭利はそう言うとニッと笑いあう。

そこには往年に渡る友情が垣間見えた。

 

「………一つ聞きたいんだが、信濃の教育係に再就職って出来るか?」

 

「………………あの少女ですか?

無理ですね。あなたの存在はあの少女にとって悪影響と判断されていますから」

 

「そか、それでお前も信濃を俺の下に誘導しなくちゃいけなかったのか」

 

「はい。」

 

勇利はそれだけ言うと、顔に手を乗せる。

 

「それでも諦められねぇな。どうにかして会うか……………。」

 

「まったく、貴方ならそう言うと思ってましたよ」

 

呆れ気味に、それでいて、それこそが勇利の良い所だとでもいう様に穏やかに笑い、鋭利はスーツの内ポケットに手を入れる。

 

「おっ‼何か策があるのか?」

 

勇利はキラキラした目で鋭利を見る。

 

 

 

 

 

そして、鋭利はそんな勇利を眺めながら、通常よりも大口径な拳銃を勇利に向けた。

対戦人用暗殺銃だ。

 

「…私は本当に貴方のことを快く思っていました。

でも、私は家族が一番大切だ。そして、その家族の安寧にはあの少女の存在が何よりも重要。それこそ、戦えない貴方よりも。」

 

「お、おい。冗談だ」

 

そこまで言いかけた所で鋭利は引き金を引いた。

サプレッサーが付いていたのでプシュンという呆気ない音と共に、そして真道勇利は命を落とした。

 

☆☆☆

 

防人本部に帰った信濃は元孤児院の園長にして、勇利が来るまでの信濃の教育係でもあった、暗奈と一緒にいた。

 

「やっぱり園長の親子丼は最高だ!」

 

「ふふ、ありがとう」

 

そんな他愛もない話をしていると園長のスマホに電話がかかってくる。

 

「あら、誰かしら?」

 

園長は首を傾げて、スマホを片手に部屋を出る。

信濃はその様子に対して不信感を抱くこともなく親子丼を食べ続ける。

何故なら園長が色んな人から連絡を受けるのは何時ものことだからだ。

 

しかし、今日に関しては少し事情が違った。

何故なら信濃にも関係のある話だったからだ。

 

「大変よ。勇利さんが、勇利さんが‼瘴気の影響で亡くなられて……………………」

 

その言葉で勇利は親子丼を食べていたスプーンを落とす。

 

「わ、私が勇利の言いつけを破ったから…………」

 

「それは違うわ。信濃ちゃんが勇利さんの言いつけを破ったから亡くなったんじゃない。ただ、信濃ちゃんが弱かったから亡くなったのよ」

 

園長慰めるように信濃に抱き着きながら信濃の耳元でそう呟く。

 

「私が弱かったから?」

 

「ええ、そうよ。だって信濃ちゃんが強かったら勇利さんを戦わせなくて済んだでしょう?」

 

園長は信濃の頭を優しくなでる。

言い聞かせるように、優しく諭す。

 

「だから、強くなって?勉強なんてしなくていいから、友達何て作らなくていいから、学校何て通わなくていいから。ただ、ただ強くなって、信濃ちゃん。」

 

信濃は園長の言葉を噛み締める。

自分の無力に歯を食いしばる。

 

そして、血を吐くように決意する。

 

「分かった。私は誰よりも何よりも強くなる。」

 

「良い子ね。今日は色々あって疲れたでしょう。もう休みなさい」

 

暗奈はそう言うと、信濃を寝室まで連れて行く。

そして、信濃が寝室に向かったのを確認し、一人で恍惚と笑う。

 

「信濃ちゃん。貴方は他人に気持ちを寄り添わせなくて良いのよ。ただ、その力で私たちの未来を明るく照らしてくれればそれで良いの。それこそ、暗い宇宙空間で誰のためでもなく輝き続ける太陽のように」

 




おまけ

夜遅く、既に祖父と祖母が眠っている時間帯、家に電話がかかってくる。
丁度トイレに起きてきた才は目をこすりながらも受話器に手をかける。

「もしもし、真道です。」

「もし…………勇利だ。才、何かあったらノブに助けてもらえ、逆にノブが困っていたら、助けてやれ…………………。」

それだけ言うと電話は切れてしまう。
才は父が電話をかけてくれたことに驚きながらも、首を傾げる。
何故なら、何時もと比べ随分と会話が淡白だったからだ。

しかし、その疑問も頭の片隅に追いやられる。
何故なら、この時の才は直ぐにでもトイレに駆け込みたかったし、何よりも後でゆっくり話を聞けばいいと思っていたからだ。
そのため、才はトイレに行き、その日は直ぐに眠りについた。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。